2020.10.12
第5回鑑賞実践講座
「作品選びのグループワーク」
日時|2020年10月12日(月)13:00-17:00
場所|zoom(オンライン)
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構/ARDA)
10月12日、第5回鑑賞実践講座を行いました。講師は引き続き、三ツ木紀英さん(NPO法人 芸術資源開発機構/ARDA)です。第5回では、どんな鑑賞者と、どんな作品を鑑賞するかを考える「作品選びのグループワーク」を行いました。
2020.09.26
第4回建築実践講座「美術館建築の歴史的変遷と公共性」
日時|9月26日(土) 13:30〜15:30
場所|zoom(オンライン)
講師|佐藤慎也(建築家/日本大学理工学部建築学科教授)
登壇|伊藤達矢(東京藝術大学)、稲庭彩和子(東京都美術館)
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またたく間に夏が過ぎ去り、はやくも冬の息吹すら感じられた9月26日の昼下がり。第4回目となる建築実践講座が開催されました。今回のテーマは「美術館建築の歴史と公共性」。ゲスト講師として建築家の佐藤慎也さんにお越しいただきました。美術館建築の公共的な役割にあらためて目を向け、これからの美術館の在り方、そして、より心地の良い空間をつくるため自分たちにできる働きかけを考える機会となりました。
講座の前半は佐藤さんによる講義。「美術館建築の公共性」について、1960年代以降に国内で設計された美術館建築の内部写真や図面を通して、いかにして美術館建築に人が主体となるワークショップのための空間が形作られてきたのかを概観しました。
そして後半はとびらプロジェクトの伊藤達矢さんと稲庭彩和子さんも登壇し、3名によるディスカッションです。
佐藤さんが現在計画に携わっている八戸市新美術館(仮称/以下、八戸市新美術館)の事例を中心に、「新たな美術館立ち上げのプロセスや背景」について、同館の基本構想に美術館を運営する立場から参与している伊藤さん、おなじく館を運営する立場としてさまざまな新美術館設立のための委員会に関わってきた稲庭さんが言葉を交わします。その直後の質疑応答では、先の対談でも触れられた美術館建築が成立するのに不可欠な土壌としての様々な人々(行政、委員会、運営、市民など)の在り方への理解を深めるための質問がとびラーから多数寄せられました。
〇講義:「美術館建築の公共性」|ここで佐藤さんが示しているのは、2021年開館予定の八戸市新美術館の設計図。共用スペースとして幅広い用途で使える「ジャイアントルーム」の規模が展示室にあたる「ホワイトキューブ」よりも大きいのが特色です。
〇対談:「新たな美術館立ち上げのプロセスや背景」|今回、対談と質疑応答の進行も務めてくださった伊藤さん。八戸市新美術館の基本構想を実現するために経た過程や「ジャイアントルーム」の運用方法などについて、佐藤さん、稲庭さんとお話しいただきました。
〇質疑応答の時間|とびラーから寄せられた質問に回答する稲庭さん。新しい美術館の構想に携わってきたお三方から「舞台裏」について伺える絶好の機会ということで、なかには先の対談からさらに踏み込んだ質問も。
ゲスト講師の佐藤さんは、昨年度11月に都美の講堂で開催されたオープンレクチャーで、これまでの国内外の美術館建築の歴史的変遷(「第一世代」から「第三世代」まで)と、それに連なる「劇場」としての機能を有する「第四世代美術館の可能性」についてお話しくださいました。本講座はその流れを汲むものです。今回の講義と対談の要となった八戸市新美術館は、展示室よりも広い共用空間が中心部に設けられ、アート・コミュニケータら市民の活動が基本構想の段階から盛り込まれているという意味において、佐藤さんの提案する「第四世代美術館」の在り方にもっとも近い事例たりうるのかもしれません。
それではあらためて、都美を拠点として活動する市民であるとびラーが、より心地の良い空間をつくるためにできることはなんでしょう?佐藤さんは、とびらプロジェクトの活動を「日常的な集団活動の場」に該当すると捉え、「第四世代美術館」の一例として紹介なさっていました。また、都美の公募展示室を「快適な滞在のための場」として取り上げています。
これまでの実践講座や建築ツアーなどのプログラムを介して都美建築を味わってきたとびラーの皆さんなら、公募展示室のみならず都美のいたるところを「快適な滞在のための場」にできる可能性があるのではないか。これまでの講座や活動を振り返り、そのように考えます。
国内での美術館建築の文脈における都美の立ち位置をあらためて把握するのみならず、建築と人とのかかわりがますます重要になっていくことを学ぶことができた本講座。プレイヤーとしてのとびラーの活動を今後とも見守っていきたいと思います。
(東京都美術館 インターン 久光真央)
2020.09.14
「とびラジオ!とびラーが語る5つの浮世絵〜」。軽快な音楽とともに、パーソナリティが語りかけます。
「とびラジオ」は、2020年9月14日に「The UKIYO-E 2020-日本三大浮世絵コレクション」展で実施された「障害のある方のための特別鑑賞会」にて公開された、とびラー制作によるラジオ番組風音声コンテンツです。お持ち帰りいただいた作品画像掲載の特製チラシとともに、ご自宅でもう一度展覧会を楽しんでいただく趣向です。
(公開された音声はこちらのページでお聞きいただけます)
今回の特別鑑賞会は、新型コロナ感染予防のため、来館者ととびラーが直接コミュニケーションを取りづらい状況でした。そのため、「展示室ではお話できなくても、ウエルカムの気持ちを伝えて音声コンテンツを楽しんでいただき、とびラーについても知っていただく」ことを目的に、「とびラジオ」を制作しました。
5グループに分かれたとびラーが、「The UKIYO-E 2020」展からそれぞれ作品を選択。グループで鑑賞しながらその作品世界に思いを巡らせ、独自のシナリオを作って5つのショートストーリーを収録し、それらを合わせて1つの番組に編集する作業まで、全てオンラインでの作業となりました。
制作では、とびラー同士の相互チェックはもちろんのこと、とびらプロジェクトスタッフや展覧会担当学芸員の方にもご協力いただき、台本の内容や言葉遣い、演じ方、録音方法など聞きやすさを追求しました。
台本を作り演じた各グループからの感想です。
◇渓斎英泉《雪中の三美人》(太田記念美術館蔵)は、雪の降る中、着飾った3人の女性が川辺に立つ姿を描いた作品です。まるで3人が立ち止まって話をしているような場面から、女性たちの会話を想像してシナリオを作りました。
「《雪中の三美人》ならぬ四美人とびラーが集まったAグループ。お洒落で楽しげな登場人物に感情移入できるこの作品を、題材にすることに決定しました。
今も昔も変わらない乙女心や女子トークをグループで鑑賞しながら想像することはとても楽しく、時代を超えて、登場人物を身近に生き生きと感じました。
コロナ禍で1度もリアルに会ったことがないメンバーとのオンライン収録。最初は堅さも取れず、何十回とやり直したことも懐かしいです。」
◇葛飾北斎《百物語 お岩さん》(日本浮世絵博物館蔵)は、破れた提灯を四谷怪談のお岩の口に見立てた作品。恨めし気な表情の中にも、どことなくユーモラスな雰囲気が伝わってきます。展覧会会場で、異なる国の見知らぬ二人が作品を前に語り合うスタイルでシナリオを考えました。
「インパクトが強く北斎作の馴染み深い画題であることから、多くの人が作品のタイトルだけで作品を思い浮かべることができ、台本が作りやすいと思い選びました。
グループ内に中国からの留学生がいたこともあり、日本人のおばちゃんと中国人の女の子という等身大の設定が生まれ、実際に絵を見ながら話している感覚でアイディアが次々と出てくるのが楽しかったです。
別々に収録した音声を合成したので、間のとり方や臨場感の出し方などに戸惑いがあり、無事終了したときはほっとしました。」
◇歌川国芳《蛸の入道五拾三次 品川/川崎》(日本浮世絵博物館蔵)は、街道沿いのお茶屋がある品川の情景と、川崎の乗客でいっぱいの渡し舟を描いた作品です。旅番組の生中継で、それぞれの場所からレポーターがインタビューするシナリオができ上りました。
「タコを擬人化して描いているユニークな作品から、私たちとびラーが感じたことを来館者に聞いていただき、面白がってもらえたらと選びました。
旅番組でレポーターが品川と川崎から中継するスタイルを思いついたところから、タコに名前がつき、生き生きとした会話が生まれていきました。Zoom上でのやり取りがとても楽しかった半面、聞く側の立場になった台本を作ることは難しくもありました。
録音がライブ感のあるものになっていて、嬉しかったです。」
◇葛飾北斎《冨嶽三十六景 五百らかん寺さゞゐどう》(太田記念美術館蔵)は、見晴らしの良いお堂から、遠くに望む富士山を眺める人々を描いた作品。描かれた人々が「どんなことを言っているのか」を想像して、1つのショートストーリーにしました。
「候補作品を出し合って検討した結果、さまざまな人がいてセリフが聞こえてくるような、女性1名、男性2名のグループの特徴を活かせるこの作品に決まりました。
セリフを直しながら繰り返し録音するうち、いつのまにか江戸時代にタイムトリップし、絵の中の人になりきる。そんな特別な体験でした。協力し合って、ひとつの作品を作り上げるのが楽しかったです。
演者2人で複数の役を受け持ったので演じ分けが難しく、俳優さん、声優さんの偉大さがよくわかりました。」
◇歌川広重《名所江戸百景 深川万年橋》(日本浮世絵博物館蔵)は、まず、手桶の持ち手に紐で吊るされた亀が目を引きます。手桶越しには川を行き交う舟や夕焼けの富士山などが描かれていて、江戸の日常が伝わってくるようです。夕方のんびりと、おじいちゃんと孫が散歩をしている光景を想像して、シナリオを作りました。
「カメがぶら下げられている図が不思議で興味が湧きました。調べると『放生会』という習わしだと分かり、その情景を伝えるためのセリフをグループで考えました。
演者2名の設定になったため、カメのセリフを削らざるを得なかったことが心残りです。
生活音が入らないように違う時間帯で何度も録音にトライするも、救急車のサイレンの音が入ったり、ネットが落ちたり。そんなハプニングすらも大笑いしながら楽しく収録できました。」
各グループのコンテンツ作りと並行して、お配りするチラシのデザイン作成、音声編集や配信方法の検討、パーソナリティによる番組全体の台本作りも行われました。
◇チラシ原案デザイン
「夜な夜なZoom上で眠い頭を絞りながら、掲載文章やレイアウトを考えカタチにしていくアイディアを、色々出していく過程が楽しかったです。
チラシを手に取ってとびラジオを聞いてくださる方を考え、作品がハッキリ見やすい画像の大きさと文章のレイアウトを工夫しました。」
実はラボには、音声編集や配信に詳しいメンバーがひとりもいませんでした。配信日が迫る中、とびらプロジェクト内の掲示板を使って、音声編集アプリや著作権フリー音源、配信方法などを紹介してくれたとびラーがいます。そのとびラーの感想です。
「サンプルの音声を聴いたときに、一気に江戸時代にタイムスリップしたのを覚えています。ちょっとだけBGMの著作権チェックなどをお手伝いさせてもらっただけですが、完成版を聴いて作品の中にダイブする感覚に感激しました。」
とびラジオパーソナリティは、実際にラジオパーソナリティとして活躍しているラボメンバーが担当。
◇パーソナリティ
「 各グループのショートストーリーと音楽、語りが三位一体となって、少しずつ「とびラジオ」が完成していくのを間近で見ることができました。途中でつっかえないように、笑わないように、何回も練習!練習しすぎて本番では声が枯れてしまいました(笑)試行錯誤しながら作ったジングルが土壇場で不採用になったのがちょっと残念です…
印刷されたチラシを手にしたときはとびらプロジェクトスタッフのサポートも実感し、感無量!」
バラバラだった5グループのショートストーリー・パーソナリティの語り・BGMと効果音のすべてを”合体”させた「とびラジオ」が完成したのは、なんと公開2日前。
◇音声編集
「浮世絵の様々な楽しみ方を伝えるには?を考え、BGMを選び流し方を工夫するのが楽しかったです。実際のラジオを聞いて,ラジオっぽい音楽の入れ方を研究しました。
各グループ収録をZoom上で行ったため音量の差や音声の途切れがありましたが、複数の音源を提出してもらい、途切れ等を編集して聞きやすさを追求しました。」
「とびラジオ」は、会話がはばかられコミュニケーションがとりにくい展示室内で、「誰かと一緒に鑑賞している気持ちになりたい」という思いで始まった「とびラー音声鑑賞ガイドラボ」から生まれました。
「障害のある方のための特別鑑賞会」向けにシフトしたことで、鑑賞後楽しむラジオ形式に変わりましたが、リアルでは難しいコミュニケーションを補うことはできたのではないかと思います。
とびラー同士でも同じです。リアルでは一度も会ったことがないとびラーもいる中、協力しながらオンラインで全ての作業を完結させたことで、オンラインでもリアルと同等のコミュニケーションが取れることがわかり可能性の広がりを感じることができました。
熱い夏を駆け抜けた「とびラジオ」。お聞きになった方から、「こんな絵の楽しみ方があるのか」「それぞれのストーリーがユニークで面白い」「ラジオ形式の導入も自然にいろいろなシチュエーションが作れて成程と思った」などの感想を頂き、参加とびラー一同感激しております。
それでは皆様、次回の「とびラジオ」をお楽しみに!
執筆:中嶋弘子、細谷リノ
中嶋弘子:とびラー2年目。素敵なとびラーたちとアートを介したコミュニケーションをガチで楽しんでいます。作品との出会いを大切に活動を続けていきたいです。
細谷リノ:とびラー活動を通じて得たモノやコトは数知れず。面白い(興味深い)日々が続いています。ここでのご縁を大事に「アートの楽しみ」をもっと広げていきたいです。
2020.09.13
今年の新しいファミリープログラム「上野でGO!」は、Web会議サービスZoomを使った作品鑑賞と、実際にミュージアムで作品に出会うことを組み合わせた、2ステップのプログラムです。
オンラインとリアルの両方の良いところを組み合わせた「ブレンディット・ラーニング」という新しい学びの形をデザインしています。
9月13日日曜日、午前10時。8月1・2日に実施されたステップ1から約1ヶ月が経ち、いよいよ実際に上野公園にこどもたちが訪れる日がやってきました。集合場所は東京都美術館のアートスタディルーム。出迎えたのはあいうえのスタッフの渡邊祐子さんです。
プログラムの様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)
2020.08.31
第4回鑑賞実践講座
「作品研究」
日時|2020年8月31日(月)13:00-17:00
場所|zoom(オンライン)
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構/ARDA)
◎概要
◎写真(講師)
今回の「作品研究」では、主に以下の3つの内容を軸に講座が進行されました。
■「作品研究」の方法 (Visual Thinking Strategies鑑賞の事前のファシリテーション)
■「作品研究」をグループワークで行う
■ 個人で行う作品研究「ひとりVTS」について
2020.08.30
第4回アクセス実践講座
テクノロジーで拓く社会参加の回路 〜分身ロボット「OriHime」の事例をもとに考える〜
日時|2020年8月30日(日)13:30~15:30
場所|zoom(オンライン)
2020.08.01
第3回建築実践講座「都美建築を味わうワーク」
日時|8月1日(土)13:00〜15:00
場所|zoom(オンライン)
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8月1日、第3回目となる建築実践講座が開催されました。これまでの講座では、講師によるレクチャーなどを通じて東京都美術館(以下、都美)建築の基本的な事項を受動的に学んできました。今回はその次のステップとして、都美建築の魅力を味わいながら伝えるためのコンテンツ作りについて主体的に考えるワークに取り組みました。
はじめに「都美建築のどんなところに関心がある?」というテーマのもと、それぞれの考える建築の魅力を3人組でふりかえりつつ共有します。ワークに関する説明がなされたのち、5、6名のチームにわかれ、ひとりひとりの関心を持ち寄りながら「都美建築を味わうワーク」に取り組みます。グループワークの前半では、チームごとに企画案を作成し、後半では、ほかのチームの企画やコメントをふまえ、内容をブラッシュアップしていきました。
○山崎日希さん(とびらプロジェクト)によるワークの説明|これまで実施された建築に関連する活動の紹介などを通じ、物理的に建築を味わうことができない現在できることは何か?といった問題提起がなされました。
○「都美建築を味わうワーク」のタイムテーブル|
○東京都美術館プロジェクトルームからの配信の様子|建築実践講座では、音声をテキスト化する情報保証ツール「UDトーク」が活用されています。
○ブレイクアウトルームごとに作成されたスプレッドシートの企画書(部分)|このグループでは、「都美やその周辺にある色、自然、彫刻の魅力を伝えたい!」という思いをもとに企画が練られました。そして、他のチームの作成した企画やもらったアドバイスを参考に、さらに企画をみがいていきました。
これまでの建築実践講座では、初回で都美の「建築と歴史」、続く第二回で都美建築に関する「資料・素材」について学んできました。そして今回は講義ではなく参加者同士でのワークが中心に据えられたことで、それぞれのいだく関心をきっかけにとびラーとしていかに都美の魅力を伝えられるのか、実際に考えてみる機会となりました。
「都美建築を味わうワーク」では、まず各メンバーのもつ関心をグループ内で共有します。色、彫刻、自然、周辺環境、前川國男、などなど。一見何のつながりもないような意見同士でも、おたがいのもつ考えを掘り下げるうちに、共通する事項が見つかることも。
いつ(開催時期)、だれに(受取手)、なにを(内容)、そして、どういうふうに(伝達方法)?グループで具体的な企画を組みたてていこうと話し合いを進めるうちに、ボンヤリ思い浮かべるにとどまっていたアイデアの輪郭がくっきりと浮かび上がったり、メンバーによる発見や発想で彩られたり、はたまた今まで見えなかった障壁にぶつかったり。これまで建築に関するプログラムに関わってきた方もこれから都美建築をみにいくという方も、その場のメンバーと関心を持ち寄って企画をカタチにしていくことの豊かさややりがいを味わえる回となったのではないでしょうか。
次回の講座は9月26日に開催予定。講師として佐藤慎也先生(日本大学)にお越しいただき、「美術館建築の歴史的変遷と公共性」について学んでいきます。
(東京都美術館 インターン 久光真央)
2020.08.01
今年初めてのファミリープログラムが8月1日から始まりました!
春先から感染症が拡大する中、美術館・博物館の運営も困難に直面しています。
しかし「そんな中でもできることがあるはず!」とMuseum Start の運営チームは考え、新しいスタイルで、当初の予定通り8月1日から今年度のプログラムがスタートしました。
その名も
ファミリープログラム「上野へGO!オンライン&リアル」。
学べて楽しいデジタル・ネイティブ世代のためのファミリープログラムです。
「上野へGO!」は2つのステップからなります。
STEP1がインターネットを活用したオンライン・プログラム。
STEP2が実際のミュージアムへ出かける全2回のプログラムです。
スタッフもドキドキの初日8月1日。
午前・午後と合わせて58組109名の家族が参加しました。
プログラムの様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)
2020.07.25
第2回鑑賞実践講座
「ファシリテーション基礎(1)」
日時|(A日程)2020年6月29日(月)9:30~16:30
______(B日程)2020年7月25日(土)9:30~16:30
場所|zoom(オンライン)
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構/ARDA)
◎概要
・全とびラーに開かれた講座。朝から夕方まで1日中×2日間で「ファシリテーション基礎⑴⑵」をとびラーたちが“合宿”的に学ぶ。
・Visual Thinking Strategiesのファシリテーションの基礎を学ぶ
・講師:三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構/ARDA)2012年のとびらプロジェクトスタート当時から鑑賞実践講座を担当。今年は初のオンラインでの講座実施となった。
1日目の「ファシリテーション基礎⑴」では、主に以下の4つの内容を軸に講座が進行されました。
■講師:三ツ木紀英さんのこれまでの活動について(自己紹介として)
■鑑賞の場の観察「ファシリテーションのポイントは何か」
■観察したことをグループでディスカッション、参加している全員での共有。
■ファシリテーションの実践とふりかえり
2020.07.18
第2回建築実践講座「都美の建築に関する資料・素材をしる」
日時|7月18日(土)10:00〜12:00
場所|zoom(オンライン)
講師|NPO法人アート・コミュニケーション推進機構/PARC
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7月18日の昼下がり、本年度2回目の建築実践講座が開催されました。前回に引き続き、東京都美術館からzoomでのオンライン配信です。今回のテーマは「都美の建築に関する資料・素材をしる」。講師として、アート・コミュニケータの小野寺伸二さん、小松一世さん、篠原久美子さん、平野文千さん、山田美佐緒さん(NPO法人アート・コミュニケーション推進機構/PARC)にお越しいただきました。
まずは、山﨑日希さん(とびらプロジェクト)から、これまで実施されてきた建築プログラムのご紹介。つづいて、PARCによる建築ツアーの生配信をじっくり観察しました。休憩をはさんで、とびラー1期から3期生でもある講師の方々による座談会。これまでの建築資料のアーカイヴや、ツアーでの体験や工夫などについてお話しいただきました。そして講座の最後には、「あなたの思う”とびら”らしいツアーとは?」というテーマのもと、少人数のグループにわかれ、それぞれの考えを共有しました。
〇建築プログラムの紹介|山﨑さんは「建築×〇〇(人、表現など)」という切り口から、建築にまつわるアート・コミュニケータの活動の数々を、これまでの記録写真とともにご紹介くださいました。
〇PARCによる建築ツアー|この模擬ツアーに参加したのは、9期のとびラー3名。PARC小野口さんのファシリテートのもと、「はつりコンクリート」をじっくり眺め、抱いたイメージをその場の人たちに共有しています。
〇PARC座談会|PARCの方々がカメラに向けているファイルは、これまでのとびラーによる個別の建築資料を整理しなおしたアーカイヴ。みんなで使える系統だった基礎資料として活用してもらいたいという、先輩とびラーPARCの思いがこもっています。
〇グループワーク|今回もオンラインでの開催でしたが、当日の午後から開催された定期プログラム「建築ツアー」のメンバーであるとびラーたちは、アート・スタディー・ルームから講座に参加しました。オンラインの講座参加者のみなさんに向けて手を振っています。
まとめ:アーカイヴを活用して建築ツアーを組み立てる
とびらプロジェクトの建築ツアーに台本はありません。とびラーひとりひとりが自分の興味や関心に合わせ、オリジナルのトビカン資料とそれを活用したプログラムを生み出しています。
今回の講師をはじめとするPARCのアート・コミュニケータは、時間をかけて集められた数多の資料が、それぞれ制作者本人にしか使えない状況を残念に思い、みんなで使えるアーカイヴの作成に取りかかったそうです。このアーカイヴは、今年度から現役とびラーを対象に公開されており、いつでも内容を閲覧することができます。
PARCのアーカイヴに掲載されているのは、スポットの基本情報や特色といったような、ツアーの一部となる「素材」。決してそのまま暗記して読み上げればい事足りるようなテンプレートではありません。この素材から何をどのように作るのか、そしてそれを誰に届けたいのか。これを考えるのはこれから活動するとびラー自身。
今回の講座で学んだ、これまでの活動の数々、先輩とびラーの建築ツアー、そしてアーカイヴ。そこに込められた先人の知恵やおもいが、よりふかく建築を味わうためのヒントとして、これからの建築ツアーにつながっていくことを願います。
(東京都美術館インターン 久光 真央)