東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

活動紹介

【あいうえの連携】ミュージアム・トリップ:NPO法人キッズドア(中高生コース)

2016.08.09

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2016年8月9日(火)に実施された、Museum Start あいうえのの「ミュージアム・トリップ」。NPO法人キッズドアと連携して実施したインクルーシブ・プログラムで、中高生13名と、とびラー13名がマンツーマンで活動しました。

プログラムの様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)

第4回鑑賞実践講座<ファシリテーション基礎②>

2016.08.08

2016.8.8(月)第4回鑑賞実践講座<ファシリテーション基礎②>

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(午前)9:30~12:50
⬛︎(復習)レクチャー:美的発達段階とアーツダイアローグの意義
⬛︎きく・応答するワークショップ
⬛︎対話型鑑賞体験 1作品
⬛︎ミニ・ファシリテーション実践(前半)
(午後)13:40~14:30
⬛︎ミニ・ファシリテーション実践(後半)
⬛︎対話とリフレクション:彫刻作品で実践
⬛︎グループ作品研究
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本日も真夏の朝から始まりました、第4回鑑賞実践講座。
いよいよファシリテーション基礎を学ぶ後半戦の内容となります。
講師の三ツ木紀英さんの元気な挨拶から一日が始まります!

 

⬛︎(復習)レクチャー:美的発達段階とアーツダイアローグの意義

まずは前回の復習から:ヴィジュアル・シンキング・ストラテジーが生まれた背景に、美的発達段階を参照にしていること。その発達段階に合わせて、この対話による鑑賞を活用している、という学術的な背景をレクチャーしていただきました。

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⬛︎きく・応答するワークショップ

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次に、とびらプロジェクトでも大切な力:きく力を発揮するワーク「聴く・応答するワーク」を実践します。
3人1組になり、2人が対話し、1人はその様子を観察します。

テーマを元にお話しし、聞き手は話し手が話したことを自分の言葉に置き換えて、確認します。その人が本当に言いたかったことは何なのか?コミュニケーションとはどんなことなのか?ということをこのワークで考えます。

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ふりかえりのときに出てきた重要なキーワードとして、「話し手の動きや聞き手の在り方」によってコミュニケーションが変わってくる、というのがありました。話す内容やテクニックではなく、聞き手の態度が相手の気持ちに寄り添っているかどうかによって、相手の言いたいことを引き出せるようになるのでは、という意見が出てきました。

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⬛︎対話型鑑賞体験 1作品

少し休憩を経て三ツ木さんによるファシリテートを元に、大人数での対話型鑑賞を体験。

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⬛︎ミニ・ファシリテーション実践(前半)

それを体験したうえで、今度は自分たちでアートカードを使ったミニ・ファシリテーションを実践します。4人組になって、一人ずつ順番にファシリテーションを体験します。

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見るのとやるのとでは大きく違う・・・苦労もあるけれど、前回よりは楽しもうとしたり安心感をつくるためにリラックスしながら実践したり、2回目の体験でだいぶ意識できているようでした。

 

ーーーーーーー

 

⬛︎ミニ・ファシリテーション実践(後半)

お昼を挟んでこのワークを続けたのですが、毎回ふりかえりも行います。

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そのふりかえりの中で出てきたのは、「ファシリテーターの在り方」に関する疑問・質問でした。どれだけ中立的であればいいのか、個人的な意見を言わずに個性をどのように出したら良いのか、という疑問はファシリテーションを行なっていくにあたり必ずぶつかる壁だと思います。
三ツ木さんは、「中立的」であることは「無個性」であることとは異なると、説いていました。個々人の「間」や「視線・表情」によって場づくりも大きく異なります。自分自身にできるファシリテーションというのを身につけていきながら、形を探っていくしかないのだと思います。

 

⬛︎対話とリフレクション:彫刻作品で実践

その、ブラッシュアップを具体的に行う「対話とリフレクション」のワークを行います。ずっとアートカードを使っていたので、今度は屋外や美術館内に設置されている本物の彫刻作品を活用しました。

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各作品に1名ずつのファシリテーターを選出し、実際の作品で挑戦してみます。
一人1作品15分間の鑑賞の後に、10分間のふりかえり。

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屋外彫刻で実践するからこその場づくりの難しさ、また絵画作品でやるときとの違いなど、実践ならでは得られる一言がありました。作品について「事前に知っていることの重要性」「場当たり・下見の大切さ」などの意見も出ていました。

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そして、このワークで大切なのはとびラー同士でも言い合えること。とびラー同士で、お互いに批判的になることで、お互いのファシリテーションがブラッシュアップされていきます。

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⬛︎グループ作品研究

最後のワークは作品研究です。
一つの作品について、みんなで話し合い、言葉出しをします。出てきた言葉を元に分類・分析していきます。

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これは対話型鑑賞を実践する事前準備として有効なワークです。
一つの作品について多角的な視点で見て、どんな対話の言葉が出てくるのかを事前に準備することができます。また、出て来た言葉たちを分類することで「色」「形」「構図」など、別の言葉に言い換えるためのキーワードを打ち出すことができるようになります。

出てきたワークの様子を少しだけ、ご紹介。

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長く充実した学びの2日間を終えたあと、いよいよこれからはそれを実践していくことになります。

学んだことを活かし、実践の経験を重ねてこそ、アート・コミュニケータとしてのファシリテーション力が磨かれていくことと思います。

たくさんの方々との対話が生まれるような、作品と人をつなげる活動が活発になっていく様子を、これからご期待ください!

 

 

鈴木智香子(東京藝術大学 美術学部特任助手)

【とびラボ】ことばりあふりー(マルカルミュージアム)トライアル実施

2016.08.07

美術館という場所でことばや文化の違いがあっても一緒に、鑑賞やワークショップを楽しんでもらいたい!という思いの元、「ことばりあふりー」の企画は生まれました。

「異なることばや文化などの違い、そこから生まれる考え方の多様性を楽しみ、それぞれ思ったことや感じたことを表現し合ってもらいたい!
そんな思いを持ったとびラーが取り組んだ「ことばりあふりー」トライアル企画の1日の様子をお伝え致します!

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今回は、東京都美術館で開催されている「木々との対話展」を、日本の文化に興味を持っていらっしゃる外国語を話す方を招待して鑑賞を行うプログラムです。
とびラーの紹介により、アメリカ・中国・韓国の地域国出身で、日本に在住されている方々6名に来て頂きました。美術館でこうした多様な国籍の方々とお会いするというあまり普段体験しない光景に私も最初は少し緊張気味でした。

全員揃ったところでとびラーからご挨拶。
まずは自己紹介がてらに、参加者の方々に1枚の用紙をお配りいたしました。この紙に、皆さんが抱いている「木のイメージ」を言葉や絵で表現していただきます。
改めて考える木のイメージ。一言で「木」と言っても、樹木そのものであったり、木材な
どの材質であったりと考えれば考えるほど浮かび上がってきますよね。
それぞれ考えてもらった案は、発表をしてもらいました。

発表してもらった木のイメージの中には「木」からできるものとして「紙」を連想する方や、「木」とは地球を形成するものとったイメージ、小さい頃「木陰」で涼んだ思い出など生活の一部であるイメージなどが挙げられました。
(ちなみに私は夏休みに、クヌギの樹に昆虫が集まるイメージを表現しました。元虫取り少年です)

それぞれが自分の中で「木」というものを1度考えて、他の方の木のイメージにも耳を傾けたところで、いよいよアーティストらによる「木々との対話展」の鑑賞に移ります。

6名の参加者の方は、それぞれ2人ずつ3つのグループに分かれ、とびラーと共に作品を鑑賞しました。木々のアトリエを抜け、ギャラリーへ。部屋の一角を利用したスケールの大きな作品や、まるで表面に吸い込まれるような精緻な作品の数々を、じっくりと鑑賞しました。

作品を見てどのような印象を受けたか、自由に話し合います。そして、それぞれが自分なりのタイトルを付けてどうしてそう思ったのかを共有しました。
1つの作品からいろいろイメージや言葉が生まれて、「そういう見方もあるんだ!」という発見の楽しみがありました。

鑑賞を終えると、再び集合場所でもあった木々のアトリエに戻ってきました。最初の時よりも打ち解けたような柔らかい空気で、皆さんそれぞれの感想を話されている様子です。

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実は、グループごとに共通して鑑賞していただくという作品がいくつかありました。
その作品を見て、「もしも、感じたことを元にあなたが自由にタイトルをつけるなら?」と鑑賞前に用意したお題。鑑賞者が同じ作品に違う視点からつけたそれぞれのタイトルを見比べています。

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盛り上がる鑑賞後の最中、気づけば、机の上には何やら木の枝が…。一体なんでしょうか??
実はこの木の枝、これから行うワークショップで使用するものなのです。
ズバリ!「木をやする体験ワークショップ」!!

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今さっきまで鑑賞していただいた「木」。
見て終わるのではなく、実際に自らの手で木と触れ合い、紙でやすって形を変えることでより「木」というものを五感で感じてもらいたい!という趣旨のワークショップでございます。
(ちなみに木の枝は、上野公園近辺のものを使用しております。)

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枝を前に最初は困惑気味(?)だった皆さんも、自分の好きな枝を一本手に取り、やすっていくうちにだんだんと夢中になってきている様子。

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やすることで、徐々に変化していく木の表面の色、質感、匂い。
手に取った枝によって、その変化も様々です。

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談笑しながらも、不思議と集中した15分間。
あっと言う間に時間になり、作業が終わりました。
目の前にあるのは、さっきまでの木の枝ではなくまさに自分が手がけた作品です。
やすっていくうちに、目の前の木の様子の変化を見続けて打ち込む姿は…まさに、木との対話!?

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普段あまり体験しないようなことでしたが、木に自ら手を加えたことでより木というもの性質を感じてもらうことに成効しました!
先程鑑賞したアーティストの方々も、もしかしたら同じような過程を経て作品を作り上げているのかもしれませんね。

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最後に、参加していただいた皆様と記念撮影!鑑賞やワークショップを通じて多様性を感じることのできる素敵な1日でした。第2回も企画中ですので皆様これからもご注目ください!

 



執筆:三木星悟(アート・コミュニケータ「とびラー」)
最近は、訪れた展示会のチラシにラミネート加工をして部屋に飾ることにハマっております。

【あいうえの連携】夏のあいうえのスペシャル

2016.08.06

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2016年度第一回目の「あいうえのスペシャル(旧ホームカミングデイ)」が、8月6日(土)に開催されました。

 

プログラムの様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)

【とびラボ】「樹の街」を開催しました!

2016.08.06

「樹の街」は、東京都美術館で7月26日(火)~10月2日(日)に開催された開館90周年記念展「木々との対話──再生をめぐる5つの風景」を鑑賞した後に、本物の木に触れ合い、木の魅力を体感できる、2日間だけ出現した“6つめ”の街です。

 

とびラー作成の看板に誘われて赤い壁の会場に入ってみると、広い会場には木にまつわる個性的な「樹の街」が広がります。

 

赤い壁には大きな花がお出迎え。さて、これは・・・?
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とびラー作成の看板。どんな街が広がっているのか、ワクワクします。
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会場に足を踏み入れ、まず目を引くのは会場の中央に積み上げられた1万個のつみき。

ここは「つみきの森」。沢山の同じ形をしたつみきから、イメージを膨らませ形をつくっていきます。

 

1万個のつみき!
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大人も子供も、つみきに夢中。

 

とびラーと力を合わせて。5

 

高く積み上げたね!
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みんなで作りました!
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「木々との対話」展では、木を使った様々な作品が並んでいます。「妖精の棲む村」では、様々な手触りの木や、色々な形をした森から運ばれてきた素材を使って、自分だけの妖精を作りました。

 

沢山の素材の中から、自分の妖精にぴったりな物を選びます。
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どういう妖精にしようか、とびラーに相談。
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だんだんと妖精が姿を現します。
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生まれてきた妖精は会場内に展示して並べます。
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会場に、沢山の妖精が並びました!
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木は、姿を変えて「紙」になって私たちの身近にあります。「花咲く広場」では、木から生まれた紙を使って、大輪の花を咲きます。

 

作り方をとびラーがレクチャーします。一緒に作ってみよう。
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みんな真剣。
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出来上がりを想像しながら…チョキン
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できた〜!
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「絵本の丘」では、「木」にまつわる絵本とついついゴロゴロしたくなるクッションスペースで、ゆっくり・のんびりと「木」と自分の時間を過ごせます。

 

並べられた「木」の絵本。
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音に合わせて絵本の世界へ!
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どんな「木」に出会えたかな?
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2日間だけの「樹の街」。短い期間ですが、多くの方にご来場いただきました。
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2日間とも遊びに来てくれた子、家に帰ってから留守番をしていた妹を連れてもう一度きてくれたファミリー、子供より真剣になって積み木を作ったパパ、素敵なお花を作ったママ、あちらこちらで明るい声が聞こえる素敵な街が生まれました。

 

とびラーの私たちにとっても初めての大きな会場でしたが、沢山の方に出会い、そして木を使ったオリジナリティ溢れる作品には感動しました。「木々との対話」そして「樹の街」から「木」の魅力と可能性を改めて感じていただけたら、嬉しいと思っています。

 


執筆:アート・コミュニケータ(とびラー) 並木 百合

アートがコミュニケーションになる楽しさを感じている、とびラー2年目。
” 一語一笑 ”人との出会いに笑顔を忘れずに、これからもアートの楽しさを届けます。

【あいうえの連携】平日開館コース:台東区ハートラボ高校合同授業

2016.08.04

2016年8月3日、今年度初めての学校向けプログラムとして平日開館コースが行なわれました。

夏の強い日差しの中上野公園に集った高校生のみなさん。今回は台東区内の4つの高校の合同授業で、生徒たちは有志で参加するという夏休みならではのプログラムとなりました。参加してくれたのは東京都立浅草高等学校、都立荒川工業高等学校、都立小石川中等教育学校、私立岩倉高等学校の4校です。

高校生23名に、各学校の引率の先生方7名、そして彼らを迎えるアート・コミュニケータ(以下、愛称:とびラー)12名と運営スタッフ5名とで、活動を行いました。

<span style=”color: #008000;”><strong><a style=”color: #008000;” href=”https://museum-start.jp/report/detail/SPjkF0mk” target=”_blank” rel=”noopener”>プログラムの様子はこちら→</a></strong></span>

(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)

第3回鑑賞実践講座<ファシリテーション基礎①>

2016.08.01

2016.8.1(月)第3回鑑賞実践講座<ファシリテーション基礎①>

 

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(午前)9:30~12:30
⬛︎アートカード体験(神経衰弱ゲームとものがたりづくりゲーム)
⬛︎対話型鑑賞体験 2作品(鑑賞者と観察者に分かれて体験)
⬛︎ファシリテーターの仕組みを考える
(午後)13:30~16:30
⬛︎ファシリテーターの3つの質問と7つの要素をふりかえる
⬛︎ミニ・ファシリテーション実践
⬛︎レクチャー:美的発達段階とアーツダイアローグの意義
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いよいよ実践のためのファシリテーションの基礎を学ぶ連続講座、長い1日のはじまりです。
VTSファシリテーションを学ぶこの講座で講師となっていただくのは、三ツ木紀英さん(NPO法人芸術資源開発機構ARDA)です。

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前回までの講座で出ていた、大事なキーワードって何だったでしょうか?
前の席の方から聞こえたのは「場づくり」という声。

 

そう、今年の講座で繰り返し伝えているのは「どうやって場をつくるか」。
この場づくりの仕方について、ノウハウやルールはありません。
場所や時間に応じて、形成していくものなので、学んだことを現場に応じて実践していってください、と三ツ木さんからの導入がありました。

 

■最初にアートカード体験

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3つのテーブルに分かれて、今日はARDAのファシリテーターの3名の方(コッシー・ペコ・キャサリン)とご一緒に行います。

テーブル内で、体験者と観察者とで分かれます。体験者は楽しそうにアートカード・ゲームに参加。観察者はどんな場が起こっているのか、<場をつくる視点>で観察をします。

 

1つ目のゲームは「神経衰弱」。
ランダムに引いた3枚の共通点をみんなで探します。このカードとこのカード、本当に共通点あるの?
よく見ます。
「黒っぽい」「雨が降っている」「あ、縦の線が一緒?」「人がいるよ」など、どんどん出てくる気づきに対して、ファシリテーターがたずねます。
「どこにいますか?」「あ、絵のこのあたりを指しているんですね」「わ~そんなところに気づいたんですね」
どんどん盛り上がって、時間内に終わらないほどでした!

ゲームのあとは、前回のアートカード体験との違いをふりかえり。
ファシリテーターの存在は、その場にどんな意味があったのか?

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次の発言につながるための問いかけがあったり、その人の意見を肯定的に受け止めてくれる感覚があったり、話しやすい環境づくりのためにどんな工夫がされているのかについて、話し合われました。
一つ一つの発言をファシリテーターが丁寧に拾い上げることによって場が変わっていく、ということを実感する時間となりました。

 

2つ目のゲームは「ものがたりづくり」。
ランダムに配られた3枚のアートカードを使って、ものがたりを作ります。
体験者と観察者が入れ替わって、ゲームがはじまります。

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最後にふりかえりで出てきた意見では、ゲームの構造の違いやファシリテーターが参加者のことをよく観察していたことで、話しやすくなったり発言の引き出し方が変わっていた、ということがありました。

 

⬛︎対話型鑑賞体験 2作品

午前中の後半は、実際にプロジェクション投影でみんなで対話型鑑賞を体験。
2つの作品を30分ずつ、じっくり対話を重ねながら見ていきます。

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⬛︎ファシリテーターの仕組みを考える

そのあとに、3人組でふりかえり。
「どんなことが起こっていた?ファシリテーターはどんなことをしていた?」

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アートカードと同様に発言が繰り返されたことについての意見も出ましたが、さらに体の動きで指し示していることやどのようにして話しやすい場づくりができていたか、という発言が出ていました。

特に議論が巻き起こったのは、1点目と2点目の最初の問いかけの違い。
1点目は「この絵の中で何が起こっていますか?」
2点目は「この絵を見て、どう思いますか?」
その違いは、絵によって変えているのか、質問によって鑑賞者の見え方・発言の仕方が変わるのでは、ということについて盛り上がりました。
もう一つ議論があったのは、理由をたずねられる質問について。
ただの思いつきで話したかもしれない発言について、自分でもう一度深く考えられるきっかけになったそう。その時のファシリテーターの問いかけは、「なぜそう思ったの?」ではなく、「絵のどこからそう思ったの?」でした。単純に理由を問うのではなく、絵に戻す質問にすることで根拠づけができるようになるということです。

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⬛︎ファシリテーターの3つの質問と7つの要素をふりかえる

午後の活動は、午前中のファシリテーターが実践していた10個のポイントをふりかえるところからスタート。
3つの質問と7つの要素について、三ツ木さんが整理して伝えてくださいました。

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⬛︎ミニ・ファシリテーション実践

そのあとは、いよいよ本日参加しているとびラー全員が体験するミニ・ファシリテーション!
4人組で、A4サイズのアートカードを使っていきます。
午前中のことと、今学んだ要素を実際に活用してみる体験です。

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8分間の対話+5分間のふりかえり+7分間の全体共有を4ラウンド、繰り返します。
対話も盛り上がる一方で、感じるもやもやや気づきもたくさん・・・

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人生で初めての作品を鑑賞するファシリテーションを体験してみて、
自分自身が緊張しすぎて一人一人の発言を聞けなかったり、沈黙に耐えられなくなって話しかけてしまったり、うまく質問をはさめなかったり、なかなか苦労が多いようです・・・。

 

一番最初の講座で稲庭さんが話していた中にもあった通り、場をつくる目的は「安心感を生む」こと。
この「安心感」を生むには、ファシリテーター自身が集中して、リラックスしていることが何より大事です。
鑑賞者の発言に集中し、「どんなことを言ってくれるんだろう」ということを楽しみながら実践してみよう、という三ツ木さんからのメッセージがありました。

 

その他にも、「最初の問いかけの質問の仕方」や「作品から大きくはずれて空想の世界に入ってしまい、勘違いしたまま終わってしまわないのか?ファシリテーターは何もしなくて良いのか?」という疑問について、全体で考えながら話し合いました。
まさに、三ツ木さんがファシリテーターとなりながら、出てきた発言についてみんなで取り組み、その意見を言い換えながら、ファシリテーションに関する議論が進んでいきます。

 

⬛︎レクチャー:美的発達段階とアーツダイアローグの意義

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最後に、三ツ木さんからのレクチャーでは、こどもの美的発達段階に応じて「VTS(ヴィジュアル・シンキング・ストラテジー)」がどのように活かされるか、歴史的背景とともに話されました。

 

ーーーーーーーーーー

 

たっぷり体験→対話でふりかえり→体験と、とても集中力の高い状態を6時間続けていました!
次回は後半戦。ミニワークも引き続き取り組みながら、より実践的なワークを行っていきます。
外の暑さに負けず、鑑賞実践講座も熱く盛り上がっていきます!

 

 

鈴木智香子(東京藝術大学 美術学部特任助手)

第2回鑑賞実践講座「実践する場(フィールド)について」

2016.07.25

7月25日(月)、鑑賞実践講座の2回目が行なわれました。テーマは「実践する場(フィールド)について」。これからさまざまな鑑賞者と関わっていくとびラーたち。美術館のなかで、作品と人に向き合う心構えを作ります。

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初めに美術館で行なう「対話」の意味について、前回のおさらいも含めて、稲庭さんからの導入。
なぜ美術館で「対話」を行なうのでしょう?作家たちの「何かを伝えたい」というエネルギーを持つものが、アート作品や文化財であり、これらは対話を促進するものだと考えられています。

では、この美術館というフィールドで、人々はどのように社会に関わっていけるのでしょうか?

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【あいうえの連携】うえの!ふしぎ発見:絵本部

2016.07.24

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2016年7月24日(日)に実施された、Museum Start あいうえのの「うえの!ふしぎ発見:絵本部」。上野公園の文化施設が連携して実施するプログラムで、参加者33名と、とびラー13名が共に活動しました。

プログラムの様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)

建築実践講座②:公開講座(オープン・レクチャーvol.6)

2016.07.23

建築実践講座の第2回目は公開講座として開催しました。
当日の様子はこちら→
オープン・レクチャーvol.6「青木淳が語る前川國男-中心のない建築:彼の目指したデザインとは?」
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