2016.08.07
美術館という場所でことばや文化の違いがあっても一緒に、鑑賞やワークショップを楽しんでもらいたい!という思いの元、「ことばりあふりー」の企画は生まれました。
「異なることばや文化などの違い、そこから生まれる考え方の多様性を楽しみ、それぞれ思ったことや感じたことを表現し合ってもらいたい!
そんな思いを持ったとびラーが取り組んだ「ことばりあふりー」トライアル企画の1日の様子をお伝え致します!
今回は、東京都美術館で開催されている「木々との対話展」を、日本の文化に興味を持っていらっしゃる外国語を話す方を招待して鑑賞を行うプログラムです。
とびラーの紹介により、アメリカ・中国・韓国の地域国出身で、日本に在住されている方々6名に来て頂きました。美術館でこうした多様な国籍の方々とお会いするというあまり普段体験しない光景に私も最初は少し緊張気味でした。
全員揃ったところでとびラーからご挨拶。
まずは自己紹介がてらに、参加者の方々に1枚の用紙をお配りいたしました。この紙に、皆さんが抱いている「木のイメージ」を言葉や絵で表現していただきます。
改めて考える木のイメージ。一言で「木」と言っても、樹木そのものであったり、木材な
どの材質であったりと考えれば考えるほど浮かび上がってきますよね。
それぞれ考えてもらった案は、発表をしてもらいました。
発表してもらった木のイメージの中には「木」からできるものとして「紙」を連想する方や、「木」とは地球を形成するものとったイメージ、小さい頃「木陰」で涼んだ思い出など生活の一部であるイメージなどが挙げられました。
(ちなみに私は夏休みに、クヌギの樹に昆虫が集まるイメージを表現しました。元虫取り少年です)
それぞれが自分の中で「木」というものを1度考えて、他の方の木のイメージにも耳を傾けたところで、いよいよアーティストらによる「木々との対話展」の鑑賞に移ります。
6名の参加者の方は、それぞれ2人ずつ3つのグループに分かれ、とびラーと共に作品を鑑賞しました。木々のアトリエを抜け、ギャラリーへ。部屋の一角を利用したスケールの大きな作品や、まるで表面に吸い込まれるような精緻な作品の数々を、じっくりと鑑賞しました。
作品を見てどのような印象を受けたか、自由に話し合います。そして、それぞれが自分なりのタイトルを付けてどうしてそう思ったのかを共有しました。
1つの作品からいろいろイメージや言葉が生まれて、「そういう見方もあるんだ!」という発見の楽しみがありました。
鑑賞を終えると、再び集合場所でもあった木々のアトリエに戻ってきました。最初の時よりも打ち解けたような柔らかい空気で、皆さんそれぞれの感想を話されている様子です。
実は、グループごとに共通して鑑賞していただくという作品がいくつかありました。
その作品を見て、「もしも、感じたことを元にあなたが自由にタイトルをつけるなら?」と鑑賞前に用意したお題。鑑賞者が同じ作品に違う視点からつけたそれぞれのタイトルを見比べています。
盛り上がる鑑賞後の最中、気づけば、机の上には何やら木の枝が…。一体なんでしょうか??
実はこの木の枝、これから行うワークショップで使用するものなのです。
ズバリ!「木をやする体験ワークショップ」!!
今さっきまで鑑賞していただいた「木」。
見て終わるのではなく、実際に自らの手で木と触れ合い、紙でやすって形を変えることでより「木」というものを五感で感じてもらいたい!という趣旨のワークショップでございます。
(ちなみに木の枝は、上野公園近辺のものを使用しております。)
枝を前に最初は困惑気味(?)だった皆さんも、自分の好きな枝を一本手に取り、やすっていくうちにだんだんと夢中になってきている様子。
やすることで、徐々に変化していく木の表面の色、質感、匂い。
手に取った枝によって、その変化も様々です。
談笑しながらも、不思議と集中した15分間。
あっと言う間に時間になり、作業が終わりました。
目の前にあるのは、さっきまでの木の枝ではなくまさに自分が手がけた作品です。
やすっていくうちに、目の前の木の様子の変化を見続けて打ち込む姿は…まさに、木との対話!?
普段あまり体験しないようなことでしたが、木に自ら手を加えたことでより木というもの性質を感じてもらうことに成効しました!
先程鑑賞したアーティストの方々も、もしかしたら同じような過程を経て作品を作り上げているのかもしれませんね。
最後に、参加していただいた皆様と記念撮影!鑑賞やワークショップを通じて多様性を感じることのできる素敵な1日でした。第2回も企画中ですので皆様これからもご注目ください!
執筆:三木星悟(アート・コミュニケータ「とびラー」)
最近は、訪れた展示会のチラシにラミネート加工をして部屋に飾ることにハマっております。