2021.08.14
第2回鑑賞実践講座|「ファシリテーション基礎(1)」
日時|
A日程:7月26日(月)9:30〜16:30
B日程:8月14日(土)9:30〜16:30
会場|オンライン
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA))
内容|
・鑑賞体験
・ファシリテーションのポイント観察
・Visual Thinking Strategies ファシリテーション実践
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第2回からは、NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA)の三ツ木紀英さんを講師に迎え、Visual Thinking Strategies(ビジュアルシンキングストラテジーズ:複数の人で対話をしながら作品を鑑賞する手法)におけるファシリテーションを学びながら、作品をよりよく観察することや、アートを介したコミュニケーションの場づくりについて考えていきます。
第2回と第3回は、とびラーのみなさんから、通称「VTS*合宿」と呼ばれるほど濃密なファシリテーションの基礎を学ぶ2日間です。多くのとびラーが参加するため、A/B 2つの日程に分けてオンラインで行いました。
*VTS=Visual Thinking Strategiesの略称
講義は、レクチャーと実践を交互に行いながら進められました。
とびラーは、ファシリテータと一緒に作品を鑑賞しながら、「ファシリテータが場づくりのために何をしていたか」についてその場で気づいたことをキーワードにまとめました。
そのキーワードを元に、講師の三ツ木さんがリアルタイムでレクチャーを組み立てていくライブ感あふれる講義となりました。
後半では、前半で発見したファシリテーションのポイントをもとに、何人かのとびラーのファシリテーションでVTSの実践を行いました。
1日を通した長時間の講座でしたが、途中でリフレッシュするために休憩や体操をはさみながらとびラーの皆さんも笑顔で参加していました。
(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)
2021.07.12
第1回鑑賞実践講座|「Thinking Through Art 作品と考える-わかるとは何か」
日時|7月12日(日)13:30〜16:30
会場|オンライン
講師|稲庭彩和子(東京都美術館アート・コミュニケーション係長・とびらプロジェクトマネジャー)
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初回講座では、とびらプロジェクトマネジャーの稲庭彩和子さんから、今年度鑑賞講座を選択したとびラーのみなさんに向けてレクチャーを行いました。
「Thinking Through Art 作品と考える – わかるとは何か」と題し、参考文献や映像をもとに意見を交わしたり、ともに作品を鑑賞しながら、オンラインで双方向的に講義が進められました。
参考文献として、佐伯 胖 著『「わかり方」の探究 思索と行動の原点』から第1章の「わかるということ」のテキストを全員で読み、人の「理解」が生まれる時に、その人が文化に「参加」していくいうイメージを共有しました。
また、これまでに稲庭さんが企画・実施した鑑賞プログラムの映像では、プログラムに参加した子どもたちが作品を主体的に鑑賞することを通して、文化的な営みに参加していくプロセスを実際に見ることができました。
本日のレクチャーを通して、「作品を鑑賞する」とはどういうことか、「文化への参加」はどのように起こるか、それが起こる「美術館」とはどんな場所か、今後とびラーのみなさんが参加者とともに作っていく美術館体験の最初のイメージが共有されました。
(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)
2021.07.12
第1回鑑賞実践講座|「Thinking Through Art 作品と考える-わかるとは何か」
日時|7月12日(日)13:30〜16:30
会場|オンライン
講師|稲庭彩和子(東京都美術館学芸員・とびらプロジェクトマネジャー)
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初回講座では、とびらプロジェクトマネジャーの稲庭彩和子さんから、今年度鑑賞講座を選択したとびラーのみなさんに向けてレクチャーを行いました。
「Thinking Through Art 作品と考える – わかるとは何か」と題し、参考文献や映像をもとに意見を交わしたり、ともに作品を鑑賞しながら、オンラインで双方向的に講義が進められました。
参考文献として、佐伯 胖 著『「わかり方」の探究 思索と行動の原点』(2004年、小学館刊)から第1章の「わかるということ」のテキストを全員で読み、人の「理解」が生まれる時に、その人が文化に「参加」していくいうイメージを共有しました。
また、これまでに稲庭さんが企画・実施した鑑賞プログラムの映像では、プログラムに参加した子どもたちが作品を主体的に鑑賞することを通して、文化的な営みに参加していくプロセスを実際に見ることができました。
本日のレクチャーを通して、「作品を鑑賞する」とはどういうことか、「文化への参加」はどのように起こるか、それが起こる「美術館」とはどんな場所か、今後とびラーのみなさんが参加者とともに作っていく美術館体験の最初のイメージが共有されました。
(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)
2020.10.12
第5回鑑賞実践講座
「作品選びのグループワーク」
日時|2020年10月12日(月)13:00-17:00
場所|zoom(オンライン)
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構/ARDA)
10月12日、第5回鑑賞実践講座を行いました。講師は引き続き、三ツ木紀英さん(NPO法人 芸術資源開発機構/ARDA)です。第5回では、どんな鑑賞者と、どんな作品を鑑賞するかを考える「作品選びのグループワーク」を行いました。
2020.08.31
第4回鑑賞実践講座
「作品研究」
日時|2020年8月31日(月)13:00-17:00
場所|zoom(オンライン)
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構/ARDA)
◎概要
◎写真(講師)
今回の「作品研究」では、主に以下の3つの内容を軸に講座が進行されました。
■「作品研究」の方法 (Visual Thinking Strategies鑑賞の事前のファシリテーション)
■「作品研究」をグループワークで行う
■ 個人で行う作品研究「ひとりVTS」について
2020.07.25
第2回鑑賞実践講座
「ファシリテーション基礎(1)」
日時|(A日程)2020年6月29日(月)9:30~16:30
______(B日程)2020年7月25日(土)9:30~16:30
場所|zoom(オンライン)
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構/ARDA)
◎概要
・全とびラーに開かれた講座。朝から夕方まで1日中×2日間で「ファシリテーション基礎⑴⑵」をとびラーたちが“合宿”的に学ぶ。
・Visual Thinking Strategiesのファシリテーションの基礎を学ぶ
・講師:三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構/ARDA)2012年のとびらプロジェクトスタート当時から鑑賞実践講座を担当。今年は初のオンラインでの講座実施となった。
1日目の「ファシリテーション基礎⑴」では、主に以下の4つの内容を軸に講座が進行されました。
■講師:三ツ木紀英さんのこれまでの活動について(自己紹介として)
■鑑賞の場の観察「ファシリテーションのポイントは何か」
■観察したことをグループでディスカッション、参加している全員での共有。
■ファシリテーションの実践とふりかえり
2020.06.22
第1回鑑賞実践講座
「ミュージアム体験とは?」
日時|2020年6月22日(月)13:30~16:30
場所|zoom(オンライン)
講師|稲庭彩和子(東京都美術館)
鑑賞実践講座では「作品やモノを介して人をつなぐ場をデザインする」ことを目的とし、1年間で計7回の講義を行います。とびラーが目指したいことは次の3つです。今年は特に、これらをオンラインの講座で行っていく、初めての挑戦となります。
第1回の講師は、稲庭彩和子さんです。これからとびラーが鑑賞の場づくりを学んでいくにあたり、まずはじめに「ミュージアムでの体験とは何か」、「わかること・鑑賞することとは何か」について考えを深めていきました。
2020.01.20
鑑賞実践講座・第7回
「1年間のふりかえり」
日時|2020年1月20日(月)13:30~16:30
場所|東京都美術館アートスタディルーム
講師|稲庭彩和子さん(東京都美術館学芸員)、三ツ木紀英さん(NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA))
本年度の鑑賞実践講座で、とびラーは体験・観察・考察・実践を通して、Visual Thinking Strategiesのファシリテーションを理解してきました。またVisual Thinking Strategiesについて学ぶことで、作品を鑑賞すること、またアート・コミュニケータとしてのあり方への理解を深めてきました。
<Visual Thinking Strategiesファシリテータの“編集的”はたらき>
ファシリテータは、複数の視点から語られる鑑賞者の意見を中立的な立場で「編集」する作業をしています。編集をする際は、鑑賞者の言葉を言い換えたり、それぞれの発言を繋げるなどの整理をしたり、まだ言葉になっていない思考の部分を言語化しながら、複数の人の眼で一緒に作品をみる状態を作っていきます。
この3つの質問と編集的なはたらきが現場でどのように使われているか、実際のVisual Thinking Strategiesの活動の動画を見ながら紐解いていきました。より精緻に「言葉」に注目するため、動画の中の対話を文字に起こしたペーパーがとびラーに配布され、そのペーパーに編集された箇所を書き込んでいきます。
Q:例えば「木がある」「空がある」という発言など、鑑賞者が見つけたものが一目瞭然な場合も作品の中に根拠を聞いたり、発言を掘り下げることはできるのでしょうか。
A:さっきのワークがヒントですが、「木がある」の発言は、文脈に意味があるのでそれを言語化します。どんな発言も鑑賞者の何らかの発見が含まれています。対話の流れをよく聞いて、それを言語化してあげる。言語化していくうちに新しい発見が生まれて「作品のどこから?」と作品の中に根拠を聞けるものが出てきたりします。映像の中でも「椅子がある」と発言した子に対して、そこまでの文脈の中でその子の気づきを眺め、「形に注目したんだね」とすくいあげて他の子にも共有しています。
Q:映像では、子どもの「カビ」という発言とそこまでの話の中で出てきた「色」をひっかけて、色の問題に関連性を見出している。ライブの現場でここまで瞬間的にできるものでしょうか?
A:論理的ではなく、ビジュアルで考えています。論理的に覚えていたり思考しているわけではなく、作品を感じながら対話が進みます。みんなで感じていることをファシリテータ自身も感じている。何に着目して「カビ」という言葉になったのか、それをつないでいっています。
Q:とびラボメンバーとVTSをしたとき、Q1(作品に対する鑑賞者の解釈を促す開かれた質問)の使い方について考えました。「何が起こっていますか?」を使わず「何が描かれていますか?」と問いかけた結果、鑑賞が深まらなかった。
A:「何が見えますか?」は解釈を促すのではなく事実を見つけることを促す質問だからだと思います。ある程度時間があるなら、何が描かれているかを発言し始めたときに「見ている」という状況ができるので、その状態を作るには意味のある質問ではあると思います。かたち、描かれているもの、で発言がとどまっているなら、目に入ってきたものを鑑賞者がどんな風に感じるか、鑑賞者の解釈を促す。出てこない、と焦らず、解釈の道筋を立ててあげると良いと思います。
Q:初回の講座で「テキストではなくビジュアルを通して考える視覚的思考法」と、Visual Thinking Strategiesについて説明がありました。そのポイントについて、より詳しく知りたいです。
A:Visual Thinking Strategiesは、日本では「対話による鑑賞」「対話型鑑賞」と翻訳されているので、「対話」「言語」に意識が向かいがちです。Visualでもって考えるとは、Visualが含んでいる多くの細かな情報、Textにすると表現されずに落ちていってしまう情報を使って考えを深めていく思考法です。例えば、人の表情など、「寂しい」「切ない」「悲しい」と人によって様々な言葉で表現されるものでも、そこに実際のVisualがあれば、それを一緒にみながら理解を深めていけます。いわゆるLogical Thinking(論理的思考法)とは逆に位置する思考で、ロジカルだけではたどり着けない多様性を含んで思考できる方法ではないかと思っています。
(東京藝術大学美術学部 特任助手 越川さくら)
2019.11.11
鑑賞実践講座・第6回
「ファシリテーション実践〜スペシャル・マンデーに向けて〜」
日時|2019年11月11日(月)13:00~17:00
場所|東京都美術館アートスタディルーム
講師|三ツ木紀英さん(NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA))
次に、Visual Thinking Strategiesの実践を行います。
2019.10.21
鑑賞実践講座・第5回
「ファシリテーション事前準備」
日時|2019年10月21日(月)13:00~17:00
場所|東京都美術館アートスタディルーム
講師|三ツ木紀英さん(NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA))
Visual Thinking Strategiesのファシリテータは、事前の準備にたくさんの時間をかけます。鑑賞者について知り、鑑賞者に合わせて作品を選出します。当日の現場が始まる前からファシリテーションは始まっています。今回はその「事前」のファシリテーション準備についてみなさんで考えていきます。
<作品選びのポイント>
まず、講師の三ツ木さんから、作品の選び方についてレクチャーがありました。
「認知心理学者のアビゲイル・ハウゼンがまとめた『美的発達段階』の考え方では、アート作品の鑑賞などを通した美的体験における発達の段階が、5段階あることが示されています。この美的発達段階の考え方を元に、第一段階・第二段階の鑑賞者(美術館に来館するほとんどの人がここに含まれる)が鑑賞を深めやすい作品の選定について考えます」
「まず物語性を見出しやすいか、という視点が作品を選ぶ時に有効です。特に子どもなど、第一段階の鑑賞者は自分の知っていることに基づいて見たものを理解しようとしたり、作品の中に物語を見出そうとするという傾向があるためです。それだけではなく、多義性(1つの答えではなく、様々な見方をできる)を感じられる作品であるかどうか、興味を刺激したり、理解可能なきっかけがあるかという視点も大切です」
鑑賞者の段階に合わせた作品の内容から始まり、実際の展示室で鑑賞しやすい位置にある作品か、また1作品目と2作品目のシークエンス(連続性)などにも気を配って作品を選定することが重要とのお話もありました。作品選びのポイントを知ったところで、グループになって実際に作品を2作品選んでみました。
また、選んだ作品について全体で発表し、気づいたことを共有しました。
<事前準備:「ひとりVTS」>
「事前準備では、まずファシリテータ自身が作品をよく見て、作品の魅力を掴んでおくことが大事」と三ツ木さんは言います。
「ひとりVTS」と呼ばれる準備では、まず作品をよく見て、様々な要素を付箋に書き出していきます。なるべく多くの視点で作品を見ることが重要です。次に書き出した意見が主観的解釈なのか、客観的事実なのかで分類し、主観的解釈の意見に対しては、「作品のどこからそう思ったか」を自分自身につっこんで質問して作品の中に根拠を求めます。
その後、それぞれの意見をグループ化し、グルーブに「小見出し」をつけたり、グループごとの関係性を見たりして全体を把握します。
<Visual Thinking Strategies実践>
最後はいつもの通り、実践を行いました。
次回からは、ファシリテーションの事前準備で「ひとりVTS」を行い、作品について、より深くその魅力に迫っていくVisual Thinking Strategiesをしていければと思います。
(東京藝術大学美術学部 特任助手 越川さくら)