2016.09.24
日時: 2016年9月24日(土)12:30~16:00
会場 :東京都美術館「木々との対話」展、アートスタディルーム
■ はじめに - ワークショップのあらまし
土曜日の午後、こどもとその保護者の方6組に参加していただいたこのワークショップは、東京都美術館で開催中の展覧会「木々との対話」の作品を見て、森を守る想像上のいきものになるために自然素材で顔(仮面)をつくり、素材との対話や見えないものを形にすることを通じて、一歩深まった展覧会体験をもち帰ってもらおうというものです。
2016.09.22
「ベビーと一緒にミュージアム」とは・・・
「赤ちゃんと暮らすご家族に、美術館でゆったりした時間を過ごしてほしい」という気持ちから生まれたとびラボです。
このブログでは、先日実施した「木々との対話」展での「ベビーカーツアー」の様子をお伝えします。
「ベビーと一緒にミュージアム」を一緒に作っている仲間には、
お母さん経験者もいれば、ブログ筆者の私のように赤ちゃんと暮らしたことのない人もいます。女性も男性もいます。そんな色々な人たちが集まって、この日を迎えました。
当日は、大雨。
赤ちゃんとお出かけは結構難しいかな、という天候でした。
そんな中、参加者の皆さんが美術館にやってきてくれる姿を見て、
嬉しい気持ちと、大変だったんだろうなと申し訳ない気持ちとで胸がいっぱいになりました。
もちろん欠席の連絡もありました。
仲間のとびラーが「来てくれたお母さんの選択も、来ないことを選んだお母さんの選択も、尊重したい」と言っていました。
ベビーカーで、雨の中移動したり、電車の乗り降りをすることは大変。
でも、申し込んでくれた皆さんの中には、
「美術館行きたい!」という気持ちもあったはず。
朝の空模様を見て、悩んで、
「行く!」と決めてくれたことも、「今日はやっぱりやめる!」と決めてくれたことも
どちらも、すごく大事なことで、どちらも尊重したいです。
さて、当日の様子に戻ります。
美術館入口でお母さんたちを迎えました。
目印は、このバッグです。
とびラボで何か目印を作るときは、缶バッヂを使うことが多いのですが、今回は赤ちゃんも一緒のプログラム、ということで「赤ちゃんを傷つけない」ことが大事。そんなわけでバッグを使っています。
支度を済ませて展示室へ。
今回は、2組の親子と、とびラー2名以上が一緒に回る形でグループを組みました。
とびラーは、ベビーカーを押したり、作品のことをお話ししたりします。
生き物の目が印象的な土屋さんの作品。
赤ちゃんも、お母さんと一緒に見ています。
大きい作品の前では、「赤ちゃんが背中に乗ったら、どこかに連れてってくれそう…!」とみんなで想像。
佐藤慶太郎記念アートラウンジでも作品を鑑賞しました。
ここには、ゆったりしたソファとテーブルがあり、飲み物を飲むことができます。
「ちょっと座りたいけどカフェは混んでいる、という時に使えるかも」という話も。
雨の中でしたが、せっかくだし!ということで屋外の作品も鑑賞しに行きました。
途中、赤ちゃんが泣いたり、おむつ替えをしたりして、鑑賞は一回中断!という場面もありましたが、 お母さんたちは概ねゆったり展覧会を満喫されたご様子。
プログラムを終えた後には
「子どもを産んでから足が遠のいていた美術館に、こういう機会に、子どもと一緒に来られて嬉しかった」
「普段、新しい人に出会う機会が少ないから嬉しかった」
など、嬉しい感想もいただきました。
全体を振り返ると、よかった点も改善点もたくさん見つかりましたが、
とにかく、お母さんと赤ちゃんと、美術を通じて一緒の時間を過ごせたことがとても嬉しかったのでした。
最後に私の話をさせてください。
私は、赤ちゃんと暮らした経験がありません。
これから子どもを産むかも分からないけれど、いつか赤ちゃんとの暮らしが身近なものになった時、私の好きなものを赤ちゃんと一緒に楽しめたらいいなと思っています。
1人で美術館や映画館に行くことも、できるのならば続けたい。
でも、赤ちゃんは1人でお留守番はできないし、突然泣いたりもする。
赤ちゃんと一緒にいることで誰かの迷惑になってないかな、自分たちはここに居てもいいのかな、そんなことを考えながら毎日外に出かけることになるとしたら、それは辛いな…と想像します。
その時に、このとびラボでの経験が、私自身の支えになればいいなあと思っています。
そういう私も、美術館で赤ちゃんが泣いていたら、悪意はなくともちらっと見てしまうことがあるし、お母さんは、それを厳しい視線と感じているかもしれません。
これからは、せめて笑顔でチラ見しよう、と意味のないようなことを考えたりしながら、
これからも、赤ちゃんと一緒の暮らしを想像し続けます。
今年度中に、もう一回、「ベビーと一緒にミュージアム」の企画を立てることも模索中です。
文:藤田琳
とびラー3年目。任期終了を控え、来年度からはどんなことをしようかと考えている毎日です。
2016.09.13
2016年9月12日(月)、今年度初めての「スペシャル・マンデー・コース」が東京都美術館で行われました。
「スペシャル・マンデー・コース」とは、展覧会の休室日に特別に学校のこどもたちのために開室してゆったりとした環境のなかで展覧会を鑑賞できる学校向けのプログラム。
参加したのは、杉並区にある小学校5年生のみなさんと、三鷹市にある私立中学校に通う2年生のみなさん。
どちらも上野公園からは少し離れたところに位置する学校ですが、貸切バスを利用したり校外学習として上野駅に集合してからやってきたりと、それぞれ美術館で過ごす一日に向けて、足を運んでくれました。
プログラムの様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)
2016.09.11
9月11日(日)、とびラボ「☆アート筆談☆で対話鑑賞~耳の聞こえない人⇔聞こえる人~」のトライアルを行いました。
《筆談でコミュニケーション中の様子》
この日は3人の耳の聞こえない方々に参加していただき、とびラーたちと『ポンピドゥー・センター傑作展』の作品鑑賞後に、さまざまな画材を使って絵や文字を模造紙に描きながら「対話鑑賞」をしました。
この企画の目的は、日常生活の中でコミュニケーションにバリアを感じている、耳の聞こえない方が、聞こえる方と一緒に美術館において、お互いの鑑賞を共有しあい、それぞれの感覚を活かしたコミュニケーション方法を探る事です。
2016.09.05
2016.9.5(月)第5回鑑賞実践講座
<展示室で学ぶ場づくり①>
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13:30〜16:30
⬛︎アートカードで導入
⬛︎展示室へ移動・散歩
⬛︎グループ鑑賞 3作品
⬛︎個別鑑賞
⬛︎グループで共有
⬛︎三ツ木さんと全体共有
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今回は、次週開催する「スペシャル・マンデー・コース」(Museum Start あいうえの・学校向けプログラム)に向けた事前準備のワークを行ないました。
スペシャル・マンデー・コースとは、学校のこどもたちが休室した展示室に来館して鑑賞の授業を行なう鑑賞プログラムです。
鑑賞実践講座を選択しているアート・コミュニケータ(とびラー)が、このスペシャル・マンデー・コースにおいてこどもたちを迎え対話型鑑賞を実践することになります。
今年度初めての機会となるスペシャル・マンデー。どういう導線・ルートで移動するのか、作品との距離感などを把握するために実際に鑑賞する予定の「木々との対話展」の展示室に行ってワークに取り組みました。
まずはアートスタディルームで導入となるワーク。
■気になるアートカードを選んで、自己紹介
このアートカードを使った活動は、実は学校の事前学習でも行なっている内容です。
とびラーにもこどもたちと同様に、このワークを体験してもらいました。
■展示室へ移動・散歩
各グループ5〜6名ずつになり、展示室へ移動します。
展示室へ移動するというのは、ただの移動時間ではなくその後の鑑賞の場を温める交流の時間となったり展示室に慣れるための大切な時間です。
■グループ鑑賞 各グループ3作品
実際に当日グループ鑑賞する予定の作品のファシリテーションを行い、みんなで鑑賞。
これまで三ツ木さんと学んだVTSファシリテーションを実践できる機会。
少し緊張しながらも、複数で対話することを自分たち自身で楽しみました。
■個別鑑賞
グループ鑑賞の後はひとりの時間。学校プログラムで実施しているのと同様に、とびラーも展示室で「ひとりの時間」を体験しました。
「つぶやきシート」という、発見したことをメモまたはスケッチできるシートを用意して、お気に入りの作品を1つ決めたらひとりでじっくり見て確認しました。
■ふりかえり
一般のお客さんがだれもいない展示室で贅沢に作品鑑賞の体験を味わったあとは、ふりかえりです。
グループごとに、<場づくり>の視点からこのスペシャル・マンデー・コースの流れについて話し合いました。
【導入・あいさつ】【展示室への移動・散歩】【グループ鑑賞】【個別鑑賞】それぞれの時間軸の中で何が起こっているのか・その時どう感じたのか、そしてそれはどこからそう思ったのか?などについてワークシートを元に話し合われました。
最後には三ツ木さんの進行のもとで、全体共有。
その時出たキーワードをご紹介します。
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◎アートカードの活動において
・アートカードで見ていたから、実際の作品をよく見るようになった
・自分たちで選ぶことで、「これから見に行くんだ」という気持ちづくりができた、主体的になった
◎展示室への移動+散歩
・移動の時間で、参加者(こども)の反応や表情を観察するようにしている
=参加者のことを知る時間
・集合場所や選んだ作品の場所、自分がいるフロア(階)の位置などを把握できるように伝える
=参加者に空間把握してもらうための時間
◎グループ鑑賞
・ファシリテーターが近づくとこどもも近づいてしまうので、立ち位置を意識する
・彫刻作品を鑑賞する時・・・
「ちがう角度から見てみましょう」を対話の途中で挟むことで、話の転換、新たな気づき、時間がもてる
◎個別鑑賞
・ひとりでほっとできる時間
・対話(グループ鑑賞)は時間はあくまできっかけ。
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以上のとびラーからの気づきのように、とびラー自身に体験することによりプログラムの骨格やそれぞれの時間の意味について理解を深めることができました。この体験をもとに、来週のスペシャル・マンデー・コースに臨みます!
鈴木智香子(東京藝術大学 美術学部 特任助手)
2016.09.05
9月4日(日)、あいうえのファミリー向けプログラム「うえの!ふしぎ発見:アニマル部」が行われました。これは上野公園の3つの文化施設(恩賜上野動物園、東京都美術館、東京藝術大学)が連携して実施するプログラムです。動物園の飼育員、美術館の学芸員、大学の教員が共にプランニングし、小学生とその保護者計26名の参加者と、参加者に伴走するとびらプロジェクトのアート・コミュニケータ(とびラー)13名が共に活動しました。
プログラムは午前・午後にわたって行われ、
はじめに、東京都美術館で動物をモチーフにした彫刻作品を‘観察’(鑑賞)し、
次に、恩賜上野動物園でホンモノの動物を観察。
その後、先の彫刻作品と同じ素材のくすの木の固まりに、想像上の「自分をまもってくれる動物」を描いてみる、という活動でした。
プログラムの様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)
2016.08.31
2016年8月30日(水)、東京都美術館で開催されている企画展「開館90周年記念展 木々との対話──再生をめぐる5つの風景」に葛飾区立葛飾小学校の4〜6年生のこどもたちがたずねてくれました。
今回来てくれたのは、夏休みに開催される学校主催の「サマープログラム 美術館へ行こう!」に参加してくれた有志のこどもたちです。
普段からよく美術館に訪れる子も多く、今日の活動をとても楽しみにしてくれていたそうです。
台風の接近が心配されましたが、お天気の心配なんてふっとんでしまうくらい、こどもたちはもちろん先生も今日のプログラムにやる気いっぱい!強い熱意のもと、無事開催されました。
プログラムの様子はこちら→
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2016.08.26
夏も盛りの8月26日、夜間開館の時間帯に、ヨリミチビジュツカンを開催しました。
金曜の夜にぶらりと美術館に足を運び、そこで出会った人たちと、作品をみながら自由にコトバを交わす時間を過ごしてもらいました。今回は7名の方にご参加いただきましたが、音楽関係者の方が多めの回となりました。
受付をすませたみなさんが徐々に集まり、簡単な自己紹介のアイスブレイクをします。今回はポンピドゥーセンターにちなんでフランス国旗のシールを用意し、みなさんにつけてもらいました。そして用意したヨリミチカードを引いてもらい、同じ色の方同士2名にとびラー1名が加わった3人一組のグループに分かれます。こうして展覧会場に出発です。
グループ毎にざっと会場をめぐって展示空間を把握し、集合場所を確認したうえで、最初は30分間の個人鑑賞の時間です。カードに書かれたテーマ「あなたにとって傑作はどれですか?」にフィットする作品をそれぞれ探してもらいます。ひとりで作品と向き合ってもらう時間です。
この展覧会は、1906年から1977年までのタイムラインにそって、1年ごとに1作家の1作品を紹介するという特徴的な構成になっています。その意味ではバラエティに富んだ作品が集まった展覧会ともいえます。また、3つのフロアの展示空間が、それぞれ異なる色や動線でデザインされていて、そこも見所です。
個人鑑賞を終えて、それぞれの傑作をメモしてカードを手にみなさんが集合場所に戻ってきました。ここからは3人のグループで話しながら、それぞれが選んだ「傑作」を順に鑑賞します。グループが一つのフロアに集中しすぎないように、全員の選んだ作品番号を聞き、順路を割り振って鑑賞に向かってもらいます。
この展覧会では、通常の作品のキャプションに加えて、それぞれの作家の言葉が書かれています。なかなか含蓄のあるものばかりで、これも話の材料になっていたようです。みなさん通常は一人で展覧会に行くことが多いそうですが、今日は感想を共有しながら見る展覧会を楽しんでもらいました。
グループ鑑賞を終えると、ASR(アートスタディルーム)に場所を移して、ヨリミチカフェの時間です。お茶とお菓子でリラックスした雰囲気の中、もういちど図録で作品を見ながら、あらためて話が弾みます。ここでは別のグループが鑑賞した作品の話も共有します。
今回のテーマであった「傑作」とは何かについて、いろいろな話が出てきました。
「その時代の中でインパクトがある作品」
「今の自分に強く訴えかけてくる作品」
「好きな作品と傑作は違う?」
などなど。
最後に、カフェの時間に伺った参加者のみなさんの感想からいくつかご紹介します。
「自分が選んだ作品を人に伝えるために言葉にすると、見えてくることがある」
「自分の今が”気になる”作品と重なるのが良かった」
「芸術には答がないので、おどおどすることなく安心して自分の意見を発信できる最強のツールなのかなと感じた」
「他の参加者の方の意見を聴いて、自分の考えが拡がっていく感覚が楽しかった」
話も尽きない中、そろそろ20時となり、ヨリミチカフェも閉店の時間になりました。
また、ときどき美術館にヨリミチしてください。
文:羽片俊夫(アートコミュニケータ)
2016.08.26
2016年8月26日金曜日、Museum Start あいうえの「ミュージアム・トリップ」が行われました。さまざまな状況にあるこどもたちにミュージアム・デビューの機会をと、今年度からスタートさせたインクルーシブ・プログラムです。
プログラムの様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)
2016.08.24
8月24日水曜日、都内のある児童養護施設のこどもたちがJR上野駅に到着し、アート・コミュニケータ(とびラー)に迎えられました。「ミュージアム・トリップ」2回目*の始まりです!
*このプログラムは全2回の構成で、1回目は先月7月22日(金)に児童養護施設内で実施され、今回の上野で実施されたのは、その2回目になります。
プログラムの様子はこちら→
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