東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

活動紹介

2024建築実践講座⑤|東京藝術大学が考えるキャンパスデザインとは

2024.10.12


第5回建築実践講座|「東京藝術大学が考えるキャンパスデザインとは」

日時|2024年10月12日(土) 10:00〜15:00
会場|東京藝術大学 第1講義室
講師|君塚和香(東京藝術大学 特任助教)


 

今回の講座は2部構成で、午前は東京藝術大学 特任助教の君塚和香先生による講義でした。

君塚先生は建築士として設計の仕事に携わるかたわら、東京藝術大学キャンパスグランドデザイン室で藝大キャンパス内の建物や環境の再構成・構築を担っていらっしゃいます。

東京藝術大学と上野公園や周辺地域とのつながり、公共空間とパブリックスペースの考え方や開き方について、過去・現在・未来とお話いただきました。東京藝術大学の住所は「上野公園」であり、上野公園の一部でもあるという視点で語られるお話が印象的でした。

 

 

 

そして午後は、君塚先生が中心となって推進している、藝大と公道との間にある柵を植栽に変えるプロジェクト「藝大Hedge」を体験しました。
とびラーは、藝大上野キャンパスの芸術未来研究場と国際子ども図書館との境界約100mに700本以上(18種類)の苗木を植えました。

 

 

 

午前の講座をふまえて実際に植栽することによって、実感を持って公園の一部であり、大学と外の境界を意識し、公共空間に関わる体験になりました。

市民も参加できる「藝大Hedge」のお世話係に参加するとびラーもいて、君塚先生の主導で藝大生も一緒に植物のお手入れをしています。

 

今回植えた苗木が大きくなる頃には、とびラーは開扉していることでしょう。これからも上野に来て、この周辺環境の変化を見続け、感じてほしいなと思います。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 西見涼香)

 

2024鑑賞実践講座⑤|「ファシリテーション事前準備」

2024.09.30


 

第5回鑑賞実践講座|「ファシリテーション事前準備」

日時|2024年9月30日(月)13:00〜17:00
会場|東京都美術館 アートスタディルーム、スタジオ
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA)
内容|ファシリテーション事前準備(グループ作品研究、個人作品研究)

 


第5回の講座では、Visual Thinking Strategies鑑賞(VTS)のファシリテーションをするための事前の準備について知り、複数人のグループワークと個人ワークを通じて理解していきました。

VTS鑑賞では、まずファシリテータ自身が作品を事前によくみて、味わい、作品から立ち現れるテーマや魅力を掴んでおくことが重要です。事前の作品研究では、時間をかけて丁寧に作品をみながら、テーマや魅力を読み解いていきます。

まずはグループでの作品研究。

お互いの視点を聞き合い、それぞれの意見を主観的意見と客観的意見に分類し、作品から見つけられる根拠や主観的解釈を補完してマッピングしながら、作品研究シートを作成していきます。

つぎに、個人での作品研究です。

普段ファシリテータとして事前準備をする際は、担当する鑑賞作品をそれぞれが自分で準備する場面が増えていきます。

そのため、事前にひとりで作品の魅力やテーマに近づけるように練習することも重要になります。

こちらも、時間をかけて作品研究の練習を行いました。

今後、とびラーは多くの作品に関わっていきます。それぞれの作品に対して、観点を整理し、それぞれの観点の関わりを分析し、作品に近づく体験を積み重ねながら、鑑賞の場をデザインする視点を育ててもらえたらと思います。

 

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)

2024建築実践講座④|前川國男邸から見える前川建築

2024.09.29


第4回建築実践講座|「前川國男邸から見える前川建築」

日時|2024年9月29日(日) 9:30〜12:00
会場|江戸東京たてもの園
講師|早川典子(江戸東京たてもの園 学芸員)


 

第4回建築実践講座は、東京都小金井市にある江戸東京たてもの園で実施しました。

東京都美術館を設計した建築家・前川國男の自邸が、江戸東京たてもの園に移築されています。

 

 

前川自邸のリビングにて、江戸東京たてもの園 学芸員の早川典子さんにお話を伺いました。建築デザインのお話だけでなく、生前の前川がどのようにこの家を使っていたのか、また学芸員が、移築や保存をするにあたり行った工夫や努力など非常に多くのエピソードをお聞きすることができました。

 

たてもの園には、多くの復元建造物があります。とびラーは、30件ある建物の一つひとつを鑑賞し、それぞれが発見したことを互いにシェアしながら学びを深めていました。

 

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)

 

2024建築実践講座③|建築ツアーをやってみよう

2024.09.14


第3回建築実践講座|「建築ツアーをやってみよう」

日時|2024年9月14日(土) 10:00〜15:00
会場|東京都美術館 ASR・スタジオ
講師|峰岸優香(東京都美術館アート・コミュニケーション係 学芸員)


 

今回の講師は、東京美術館がおこなっている「とびラーによる建築ツアー」を担当している峰岸優香さん。

まず第1回の建築実践講座内容(都美の建物と歴史)をふりかえり、建築ツアーでどのようなことを大切にし、どのように来館者をお迎えしているかについてお話がありました。

 

 

その後は「15分間のMY建築ツアーをつくろう!」ということで、とびラーそれぞれがツアープランを考えました。

東京都美術館パンフレットトビカンみどころMAP、館内にある資料から読み解くだけではなく、実際に館内を巡り、一人ひとりが感じる「ここが好き!」「気になる!」をみつけてツアーを組み立てていきました。

 

お昼休憩をはさんで午後は、各々が考えたツアーを3人組になって交代で実施しました。

ツアー後はやってみた感想や思ったことをシェアし、ツアーの構成や伝えたいことが伝わったのかについて考えました。

 

「とびラーによる建築ツアー」は決まったコースがあるわけではありません。ガイド役のとびラーによって紹介するスポットはさまざまなので、参加するたびに新たな発見があるツアーです。

今回の講座の学びが建築ツアーに活かされたらいいなと思います。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 西見涼香)

 

2024鑑賞実践講座④|「展示室でまなぶ場づくり 〜スペシャル・マンデーに向けて〜」

2024.08.26

 


 

第4回鑑賞実践講座|「展示室で学ぶ場づくり 〜スペシャル・マンデーに向けて〜」

日時|2024年8月26日(月)14:30~17:30
会場|東京都美術館 アートスタディルーム、スタジオ、ギャラリーA・B・C(『大地に耳をすます 気配と手ざわり』展 会場)
講師|石丸郁乃(Museum Start あいうえの)、越川さくら(とびらプロジェクト)
内容|
・「スペシャル・マンデー」の事前〜当日〜事後の流れを学ぶ
・当日の流れを展示室で体験する
・会場を知る

 


第4回の講座では、とびラーが活動する「Museum Start あいうえの」の学校来館プログラム「スペシャル・マンデー」に向けて、展示室での鑑賞の場づくりについて考えました。

まず、「Museum Start あいうえの」のプログラム・オフィサーである石丸郁乃さんが、「スペシャル・マンデー」の映像を交えながら、プログラムの概要を説明しました。事前授業〜当日の展覧会鑑賞〜事後授業までの流れを理解することで、プログラム全体の構成を把握しました。

続いて、講座担当の越川が、作品を守りながら展示室で子どもたちの鑑賞を深めるためのポイントについてレクチャーしました。

その後、スペシャル・マンデー当日のプログラムの流れを、実際に鑑賞する展覧会会場で体験しました。

とびラーたちは、子どもたちの鑑賞体験を想像しながらグループで展示室を巡り、鑑賞を楽しみました。その上で、作品保全のために注意すべき動線や、子どもたちのグループをどのように誘導するかを確認しました。


2024年度のとびらプロジェクトには全盲のとびラーが参加しています。鑑賞実践講座では、毎回の鑑賞作品に合わせてスタッフが「触図」を制作し、構図やモチーフの形を伝えながら情報保障を行っています。

今回の講座では、実際の作品の前でグループで鑑賞を行う際に、手元にA4サイズの「触図」を用意しました。全盲のとびラーは、実際の作品の大きさについてスタッフから説明を受けながら、手元の触図で構図を確かめつつ、グループでの対話に参加していました。

作品図版のカラーコピーを用いて作成した「触図」。モチーフの輪郭線が触ってわかるようになっている。


 

グループでの鑑賞後は、スペシャル・マンデー当日に子どもたちが体験する「ひとりの時間」を、とびラー自身も体験しました。

グループで対話しながら鑑賞することで視点が広がり、作品への理解が深める回路ができた後、ひとりで作品と向き合い思索する時間です。この流れを実際に体験することで、とびラー自身も子どもたちにとっての「ひとりの時間」の豊かさを実感しました。

展示室での体験が終わった後は、「鑑賞者と作品の両方にとって、安全で安心できる鑑賞の場を作れていたか」という視点で、グループごとにふりかえりを行いました。


9月から始まる「スペシャル・マンデー」に向けて、何度も展覧会に足を運び、さらにファシリテーションのイメージを深めていきましょう。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)

2024アクセス実践講座③|Creative Ageing

2024.08.25


日時|2024年8月25日(日)13:30~16:30
場所|東京藝術大学 第1講義室
講師|藤岡勇人/東京都美術館 学芸員、金濱陽子/東京藝術大学


 

東京都美術館と東京藝術大学が取り組むプロジェクトとして「Creative Ageing ずっとび」があります。

2021年にスタートし、台東区の病院や福祉関連施設と連携しながら、アクティブシニア(元気なシニア)対象のプログラム認知症の方や、認知症が気になる方、またそのご家族へ向けたプログラムを実施してきました。

第3回では、「Creative Ageing ずっとび」を担当する、東京都美術館 学芸員の藤岡勇人さんと東京藝術大学の金濱陽子さんから、立ち上げの経緯やこれまでの取り組みの事例についてお話しいただきました。

 

 

 

ずっとびのプログラムにおいて、とびラーは参加者と一緒に作品を見たり、発言を引き出したりしながら、参加者が安心した気持ちでプログラムに臨めるような場づくりを進行しています。

今回の講座ではプログラムに参加したとびラーにも登壇してもらい、参加者の様子で印象的だったことやどんな時間だったかなど、感想も交えてお話ししてもらいました。

 


各プログラムの詳細は、それぞれの活動紹介ページや動画でご覧いただけます。

■「動く、遺影!イェイ!イェーイ!」(2024年8月7日実施)

活動紹介ページ

■「アート・コミュニケータと一緒に楽しむ おうちで印象派展」(2024年3月16日実施)

活動紹介ページ

動画

■「ずっとび鑑賞会」(2023年10月3日実施)

活動紹介ページ

動画


 

その話を受けて、とびラーは3人組になって自分たちが感じたことを話合いました。

 

 

後半は、台湾やイギリスでのCreative Ageingの活動事例について、藤岡さんからお話しを伺いました。

 

 

人は誰もが歳を重ねていきます。世間ではアンチエイジングという言葉も見受けられますが、とびらプロジェクトやずっとびは「歳をとること」をポジティブに捉え、さまざまなプログラムを通して、この価値観を発信していきたいと考えています。

講座の中での「創造的な活動は健康に良い」というお話が印象に残りました。高齢者に限らず、どの世代の人も創造的に、そして健やかに日々を過ごすことができたら、自分はもちろん他者の視点や価値観を肯定し、お互いに認め合える社会になるのではないかと、今回の講座から感じました。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 西見涼香)

2024建築実践講座②|建築を鑑賞する

2024.08.24


第2回建築実践講座|「建築を鑑賞する」

日時|2024年8月24日(土) 14:00〜17:00
会場|東京藝術大学 第1講義室
講師|倉方俊輔(大阪公立大学 教授、建築史家)


 

大阪公立大学 教授の倉方俊輔先生をお招きし、「建築を鑑賞する」をテーマにお話いただきました。

近年、精力的に取り組まれている美術作品の対話による鑑賞を建築でおこなう「建築鑑賞」を軸に講座が進んでいきました。

建物の所有者や利用者が使い続けること、一般公開し活用することによって建築の価値を捉え直したり、市民が鑑賞することで貴重な建築を保存し後世につながることについて考える時間になりました。

倉方先生が実行委員長を務めていらっしゃる東京建築祭をはじめ、最新の情報も交えてさまざまな事例を挙げてお話くださり、建築を介したコミュニケーションについて理解を深めていく講座となりました。

 

 

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 西見涼香)

 

2024鑑賞実践講座③|「ファシリテーション基礎(2)」

2024.07.15

 


 

第3回鑑賞実践講座|「ファシリテーション基礎(2)」

日時|2024年7月15日(月・祝)10:00〜17:00
会場|東京都美術館 アートスタディルーム・スタジオ
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA))、ARDAコーチ5名
内容|
・映像を使ったVisual Thinking Strategies ファシリテーション分析
・Visual Thinking Strategies ファシリテーション実践と分析

 


 

第3回は、前回に引き続き、NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA)の三ツ木紀英さんから、Visual Thinking Strategies(ビジュアルシンキングストラテジーズ:複数の人で対話をしながら作品を鑑賞する手法。以下、VTS)におけるファシリテーションの基礎を学ぶ2回目です。

午前は、まず、小学4年生の児童がVTS鑑賞をしている映像を視聴しました。映像内のファシリテータと児童の対話の内容をメモしながら、ファシリテータが行っていること、問いかけていること、また、その作用を観察しました。

特に今回は、VTSの手法の中で「Q2」と呼ばれるファシリテータの問いかけを中心に観察を行いました。

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「Q2」は、VTS鑑賞において、鑑賞者が「こんなふうに感じる」という主観的な意見を言った場合に、「(あなたに)そう感じさせるのは、作品の中の何が要因なのか」ということを、客観的に考えていくための質問です。問いかけの例としては「作品のどこからそう思いましたか?」などです。この質問をすることで、発言した児童や、一緒に鑑賞している児童にどんな変化が起こっているかという部分を中心に映像を観察しました。

(VTSのファシリテータは対話の問いかけとして3つの問いかけを用います。「Q2 」以外に「Q1」「Q3」があります。「Q1」は、対話を始めるときに参加者全員に投げかけるオープンな問いかけ。例:「この作品の中で何が起こっていますか?」など。「Q3」は、1つの意見の検討が終わった時に、再び全員に向けてする問いかけ。例:「他に発見はありますか?」などです。)

作品画像のカラーコピーを用いて制作した「触図」。スタッフがモチーフの輪郭線を触らせながら説明している様子。

午後は、グループに分かれて、VTSファシリテーションの実践とふりかえりを行いました。ここで鑑賞した作品は、実際にとびラーが来館者と鑑賞をする展覧会の作品から数点が選ばれました。

ここでも、「Q2」(作品の中に根拠をさがす質問)を、何に対して、どのように聞いていたのか。または、聞いていなかったのか。また、「Q2」を聞くことによって、鑑賞の場にどんな影響が起こっていたかということをグループで検証していきました。

今回は、VTSファシリテーションの基礎となる「問いかけ」とその作用について1日を通して考え、実践してきました。次回は、実際の来館者との鑑賞に向けて、展示室での場づくりについて学んでいきます。

 

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)

2024鑑賞実践講座②|「ファシリテーション基礎(1)」

2024.07.14

 


 

第2回 鑑賞実践講座|「ファシリテーション基礎(1)」

日時|2024年7月14日(日)10:00〜17:00
会場|東京都美術館 アートスタディルーム・スタジオ
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA))、ARDAコーチ5名
内容|
・グループ鑑賞体験
・ファシリテーションのポイント観察
・Visual Thinking Strategies ファシリテーション実践

 


 

第2回からは、NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA)の三ツ木紀英さんを講師に迎え、Visual Thinking Strategies(ビジュアルシンキングストラテジーズ:複数の人で対話をしながら作品を鑑賞する手法。以下、VTS)におけるファシリテーションを学びながら、作品をよりよくみることや、アートを介したコミュニケーションの場づくりについて考えていきます。

第2・3回は、ファシリテーションの基礎を学ぶ2日間です。

第2回の午前は、 グループに分かれ、ポスターサイズの作品画像を用いて、複数の人で作品を鑑賞する体験をしました。また、その鑑賞体験をふりかえりました。とびラーは、1人で作品をみるときとは一味違う鑑賞の深まりや複数の視点でみることの面白さについて話しあっていました。

 

 

午後は、三ツ木さんのファシリテーションで、現在の東京都美術館で開催中の展覧会出展作品より2作品を鑑賞しました。

とびラーは、作品を鑑賞する「鑑賞者」と、VTSの場を観察する「観察者」に分かれます。そして、ファシリテーションのポイントをその場で観察します。

観察のポイントは、ファシリテータが行った振る舞いや問いかけが、鑑賞の場にどのように影響するか、その「原因と結果」を読み取ることです。

ここでは、鑑賞実践講座への参加2・3年目のとびラーが中心となって、観察して発見したファシリテーションのポイントを全体でシェアしていきました。

2024年のとびらプロジェクトには、全盲のとびラーが1名参加しています。今回の講座では、情報保障として、作品のモチーフの輪郭線が触覚的にわかる作品画像(=触図)を制作しました。作品画像のカラーコピーをモチーフの輪郭ごとに重ねていく簡易的な作りです。

触図は、グループの対話で語られる視覚的な情報を、スタッフが隣について伝えながら使用しました。モチーフの位置や全体の構図を触って理解できることで、構図についての説明が伝わりやすくなります。また、グループの対話の内容も理解しやすくなるというメリットがありました。それにより、全盲のとびラーも鑑賞の流れを掴みやすくなり、自分の意見や質問を発言することができていました。

鑑賞実践講座への全盲のとびラーの参加を考えることを通して、見えない人との鑑賞についてもとびラーと一緒に考えていきます。

 

作品画像のカラーコピーを用いて制作した「触図」

 

また、講座の最後には、小さな作品画像を使って、全員がVTSファシリテーションにトライする時間も設けました。

いよいよ、VTSファシリテーションの実践的なレクチャーと体験が始まりました。実際の来館者との鑑賞に向けて、座学だけでなく実践を積み重ねながら学んでいきましょう。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)

2024アクセス実践講座②|ろう文化

2024.07.07


日時|2024年7月7日(日)14:00〜16:15
場所|東京藝術大学 第3・4講義室
講師|小野広祐/明晴学園 教頭


 

第2回は、明晴学園教頭でありNHK手話ニュースキャスターでもある小野広祐先生をお招きし、ろう文化について伺いました。

聞こえない人といっても、音声言語を身につけた後に聞こえなくなった中途失聴者、音がある程度識別できる難聴者、生まれつき聞こえなかったり、音声言語を獲得する前に失聴したろう者とさまざまであり、手話にも日本手話と手指日本語があるとお話がありました。

小野先生は普段、日本手話を使ってコミュニケーションを取っていらっしゃるとのこと。顔の動きやうなずきによって、意味やニュアンスが変わることを学びました。そして「日本手話は、音声の代わりとなる補助的なものではなく、言語のひとつ」という言葉が印象に残りました。

 

 

言語が違えば、表現も異なります。手話では相手を指差すことが多々あります。聴者が日常生活で同じことをすると失礼という考えもありますが、指差しは手話にとって大事な表現です。ゲームによって指を差すこと/指されることに慣れたり、実際に手話をやってみたりして、手話の表現やろう文化について学びを深めていきました。

 

 

とびラーの中には、ろう・難聴のとびラーもいます。

また、とびらプロジェクトと連動する「Museum Start あいうえの」では、2年にわたって聴者・ろう者・難聴者が参加するプログラム「みるラボ」を開催し、さまざまな「きこえ」の状況にあるティーン世代の参加者ととびラーが一緒に作品を鑑賞し、手話、口話、筆談、通訳、身体表現などの手段を通して「伝える、共有する」ことへの試行錯誤を重ねてきました。

とびラーには今回の学びや感じたことを色々な機会で思い出し、ろう者や難聴者とのコミュニケーションに活かしてくれたらと思います。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 西見涼香)

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