東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

活動紹介

ベビーと一緒にミュージアム「木々との対話」展編  

2016.09.22

「ベビーと一緒にミュージアム」とは・・・
「赤ちゃんと暮らすご家族に、美術館でゆったりした時間を過ごしてほしい」という気持ちから生まれたとびラボです。

このブログでは、先日実施した「木々との対話」展での「ベビーカーツアー」の様子をお伝えします。

 

「ベビーと一緒にミュージアム」を一緒に作っている仲間には、
お母さん経験者もいれば、ブログ筆者の私のように赤ちゃんと暮らしたことのない人もいます。女性も男性もいます。そんな色々な人たちが集まって、この日を迎えました。

 

当日は、大雨。
赤ちゃんとお出かけは結構難しいかな、という天候でした。
そんな中、参加者の皆さんが美術館にやってきてくれる姿を見て、
嬉しい気持ちと、大変だったんだろうなと申し訳ない気持ちとで胸がいっぱいになりました。

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もちろん欠席の連絡もありました。
仲間のとびラーが「来てくれたお母さんの選択も、来ないことを選んだお母さんの選択も、尊重したい」と言っていました。

 

ベビーカーで、雨の中移動したり、電車の乗り降りをすることは大変。
でも、申し込んでくれた皆さんの中には、
「美術館行きたい!」という気持ちもあったはず。

 

朝の空模様を見て、悩んで、
「行く!」と決めてくれたことも、「今日はやっぱりやめる!」と決めてくれたことも
どちらも、すごく大事なことで、どちらも尊重したいです。

 

さて、当日の様子に戻ります。

 

美術館入口でお母さんたちを迎えました。

 

目印は、このバッグです。
とびラボで何か目印を作るときは、缶バッヂを使うことが多いのですが、今回は赤ちゃんも一緒のプログラム、ということで「赤ちゃんを傷つけない」ことが大事。そんなわけでバッグを使っています。

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支度を済ませて展示室へ。

 

今回は、2組の親子と、とびラー2名以上が一緒に回る形でグループを組みました。
とびラーは、ベビーカーを押したり、作品のことをお話ししたりします。

 

生き物の目が印象的な土屋さんの作品。
赤ちゃんも、お母さんと一緒に見ています。

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大きい作品の前では、「赤ちゃんが背中に乗ったら、どこかに連れてってくれそう…!」とみんなで想像。

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佐藤慶太郎記念アートラウンジでも作品を鑑賞しました。
ここには、ゆったりしたソファとテーブルがあり、飲み物を飲むことができます。
「ちょっと座りたいけどカフェは混んでいる、という時に使えるかも」という話も。_mg_4898

 

雨の中でしたが、せっかくだし!ということで屋外の作品も鑑賞しに行きました。
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途中、赤ちゃんが泣いたり、おむつ替えをしたりして、鑑賞は一回中断!という場面もありましたが、 お母さんたちは概ねゆったり展覧会を満喫されたご様子。
プログラムを終えた後には
「子どもを産んでから足が遠のいていた美術館に、こういう機会に、子どもと一緒に来られて嬉しかった」
「普段、新しい人に出会う機会が少ないから嬉しかった」
など、嬉しい感想もいただきました。

 

全体を振り返ると、よかった点も改善点もたくさん見つかりましたが、
とにかく、お母さんと赤ちゃんと、美術を通じて一緒の時間を過ごせたことがとても嬉しかったのでした。

 

 

 

最後に私の話をさせてください。

私は、赤ちゃんと暮らした経験がありません。
これから子どもを産むかも分からないけれど、いつか赤ちゃんとの暮らしが身近なものになった時、私の好きなものを赤ちゃんと一緒に楽しめたらいいなと思っています。

 

1人で美術館や映画館に行くことも、できるのならば続けたい。
でも、赤ちゃんは1人でお留守番はできないし、突然泣いたりもする。

 

赤ちゃんと一緒にいることで誰かの迷惑になってないかな、自分たちはここに居てもいいのかな、そんなことを考えながら毎日外に出かけることになるとしたら、それは辛いな…と想像します。

 

その時に、このとびラボでの経験が、私自身の支えになればいいなあと思っています。

 

そういう私も、美術館で赤ちゃんが泣いていたら、悪意はなくともちらっと見てしまうことがあるし、お母さんは、それを厳しい視線と感じているかもしれません。

 

これからは、せめて笑顔でチラ見しよう、と意味のないようなことを考えたりしながら、
これからも、赤ちゃんと一緒の暮らしを想像し続けます。

 

今年度中に、もう一回、「ベビーと一緒にミュージアム」の企画を立てることも模索中です。

 


文:藤田琳
とびラー3年目。任期終了を控え、来年度からはどんなことをしようかと考えている毎日です。

【とびフェス】ベビーカーツアー 〜ベビーといっしょにミュージアム〜

2016.01.29

2016年1月29日 とびフェス初日の朝一番に、第64回東京藝術大学卒業・修了作品展にてベビーカーツアーが開催されました。
天気予報は雨のち雪の大荒れ。そんな中を6組の参加者の皆さんが集まってくれました。

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ベビーカーや抱っこ。赤ちゃんとママの来館スタイルはいろいろです。集まった方ととびラーは、お天気が悪いのにありがとう、お子さん何ヶ月ですか?ここまで来るの、大変だったでしょう!といった会話で皆さんが集まるのを待ちます。おむつ替えや授乳室の場所もご案内します。_MG_9434

集合場所には、ベビーカーツアーバッグを提げたとびラーが皆さんをお迎えしています。もちろんメンバーの手作りです。硬い素材でお子さんが怪我をしないようアイデアを出し合い、試行錯誤して出来上がりました。_MG_9446

親子二組に、とびラー二人が寄り添います。
まずはご挨拶。

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お子さんの年齢の近いお二人は、すぐに打ち解けていました。

授乳やおむつ替えが済んだら、それぞれのチームに分かれて展示室へ。

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エレベーターを待つ間も話が弾みます。

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いよいよ展示室内へ。

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ベビーカーも荷物もとびラーがサポートします。ママは赤ちゃんとじっくり作品を鑑賞。

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もちろん、赤ちゃんの発言にもみんなで耳を傾けます。ふむふむ、なるほど!

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おねむになった赤ちゃんを抱っこして、建築模型を鑑賞。このグループは、偶然おふたりが建築模型の作成経験者。「これつくるのに○○日くらいかかるね!」 とびラーはおふたりの話に興味津々です。もちろん抱っこの間は、とびラーがベビーカーをお預かりします。赤ちゃんはちっともぐずることなく、ママの抱っこで安心しています。

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立体作品も、みんなで囲んでそれぞれの角度から鑑賞。ひとりで見るのとは違う発見がたくさんあります。

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どうなってるんだろうね?これ、なんだろうね?なんて近づいてみます。

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少し前まで自分たちもこうだったね。

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立体作品が多くベビーカーでの移動が大変な展示室内も、とびラーがいるので大丈夫。

ベビーカーツアーでは、特にプログラムはありません。とびラーと赤ちゃんを連れた皆さんが一緒に展示室をまわりながら、作品を介しておしゃべりします。
赤ちゃんがいることでちょっと遠のいた美術館、とびラーがサポートすることで美術館をより近くに感じていただこう。そして、ちょっとでも美術館でリフレッシュしていただこう、という目的で始まりました。今回も、赤ちゃんと美術館に来るのが初めてというママがいらっしゃいました。最初は緊張していたお顔も、終わるころには満面の笑顔。そんなデビューの日にご一緒できて私たちも幸せです。ママの笑顔のおかげで、赤ちゃんたちもみんな笑顔で過ごしていました。
このベビーカーツアーをきっかけとして、お子さんとのお出かけ先に美術館も仲間入りできることを願っています。


執筆:とびラー二期生 工藤阿貴(男児二人と暮らす母ちゃん)

「キュッパのびじゅつかん」展 ベビーカーツアー 

2015.09.26

「キュッパのびじゅつかん」展 ベビーカーツアー 2015年9月29日

気持ちの良い秋晴れの日に、都美術館で初めてのベビーカーツアーが「キュッパのびじゅつかん」展で開催されました。
参加者は幼児のお子さんと保護者の方5組。1組に1人とびらーが伴走し保護者の方がゆっくり展示を鑑賞するお手伝いをします。

ツアー当日の朝、開催に向けて綿密な打ち合わせを行うアートコミュニケーター(とびラー)たち。タイムスケジュールや注意事項等を確認します。
このプログラムを担当するとびラー達の中には赤ちゃんと一緒に来館者をお迎えするメンバーもいます。

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ベビーカーで来館する参加者の方々が迷わずに集合場所にたどりつけるよう、門の前でとびらーが館内案内をします。
続々と参加者のみなさんが到着します。小さいお子さんと一緒の外出は目的地に到着するだけでも大変な中、みなさん無事到着して一安心です。
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集合場所からキュッパのびじゅつかん展へ。移動しながら館内の授乳室、おむつ替えのできるトイレの場所をお伝えします。
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展示室前で保護者の方への今日の活動案内とリーフレットの配布、その間に、お子さんたちに声をかけながら展示室へ向かいます。

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1組にとびらーが1名伴走して、ゆっくり鑑賞できるよう、混雑を避けた動線を案内したり、ベビーカーを預かる等のサポートを行いつつ、保護者の方とは作品を見て思ったこと、感じたことを対話しながら鑑賞します。導入の映像コーナーでは、少しぐずったお子さんをとびラーがあやし、保護者の方には最後までゆっくり映像を鑑賞して頂きました。

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bigdatanaを見てみなさん「わーすごい!」「楽しそう!」とテンションアップ。大人の気持ちが伝わったようで、お子さんもご機嫌な様子です。
標本箱を作るコーナーでも、保護者の方がじっくりワークショップに参加できるよう、とびラーがサポートします。

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なかには、ひとりで標本箱作りを始めるお子さんも。その間保護者の方もじっくりワークショップに参加できるよう、とびラーが見守ります。

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お子さんができあがった作品を見せてくれました!
保護者の方もお子さんの集めたものを見て「意外なものを集めていて新鮮!こどもの新たな一面を見ることができました」との感想を伝えてくださいました。

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標本箱に名札を書いて、標本箱のテーマについてとびラーと対話し思いを深めます。みなさんそれぞれ素敵な標本箱が出来上がりました。

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標本箱を棚に展示し、最後にベビーカーツアーのアンケートにご記入いただいてツアー終了です。
参加者のみなさまはこのツアーを楽しんで頂き、又お子さんたちもご機嫌斜めになったと思ったらちょっとしたきっかけですぐに笑顔に戻ったり、とかわいらしい姿で過ごしていた様子でした。お子さんと一緒の外出先にこのツアーを選んでくださった参加者のみなさまに心よりお礼申し上げます。

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ベビーカーツアーは赤ちゃんと一緒の暮らしの中で敬遠されがちな「美術館に訪れゆっくり美術鑑賞を楽しむこと」をアートコミュニケーターの活動を通じてもっと参加しやすいものにしたいというとびラー達の思いが形になったプログラムです。赤ちゃんと一緒に美術鑑賞を通じて気持ちのリフレッシュをしたいとき、育児に少々疲れを感じた時などに、何のためらいもなく美術館に安心して訪れることができるよう、ベビーカーツアーが親子のファーストミュージアムデビューのきっかけになることを願っています。

レポート・亀山麻里(とびラー)

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