東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

ブログ

Archive for 8月, 2023

2023.08.28

 


 

第3回鑑賞実践講座|「ファシリテーション基礎(2)」

日時|2023年8月28日(日)10:00〜17:00
会場|東京都美術館 アートスタディルーム・スタジオ
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA)、ARDAコーチ5名
内容|
・Visual Thinking Strategies ファシリテーション分析
・Visual Thinking Strategies ファシリテーション実践

 


 

第3回は、前回に引き続き、NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA)の三ツ木紀英さんから、Visual Thinking Strategies(ビジュアルシンキングストラテジーズ:複数の人で対話をしながら作品を鑑賞する手法。略称:VTS)におけるファシリテーションの基礎を学ぶ2回目です。

午前は、前回の講座でとびラーが見つけたファシリテーションのポイントを思い出しながら、少人数のグループで全員がファシリテーションを実践してみました。

 

 

 

 

午後は、ARDAコーチによる鑑賞プログラムのファシリテーションを体験し、作品を豊かに鑑賞するための場(プログラム)のデザインを観察・分析をしました。

 

 

 

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)

2023.08.27

第3回建築実践講座|「建築の見方・楽しみ方を知る」

日時|2023年8月27日(日) 14:00~16:00
会場|東京都美術館 講堂
講師|倉方俊輔 / 大阪公立大学 教授

 

建築の素材や建築家、年代などの情報からではなく、
「建築を鑑賞する」という新しい観点について、倉方先生からお話を伺いました。
また、美術作品と建築との違いや共通点、建築を保護・保存するために私たちが何をできるのか。視野の広いお話を伺いました。

 

 

とびラーのふりかえりを抜粋します。

ーーーーーーーーーー

・現地まで赴き、空間を体験し、思考を巡らせるお話から(五感で)空間を感じることが本物の「建築鑑賞」ではないかと思った。

 

・建築と空間という概念が結びついていることがとても印象的で、現地への移動、建築とその周辺を含めた空間を体験すること、そこで思考を巡らせることが建築鑑賞にあたることを意識できた。

 

・お話を聞くことで私のような非建築関係者でも建築鑑賞を自由に楽しんでいいこと、またそのような人が増えていることを聞くことができてとても良かったです。とびラーとして、同じように感覚的に建築を楽しむことをこれからいろんな人と共有できる機会があればいいなと思いました。

ーーーーーーーーーー

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 工藤阿貴)

2023.08.19

 


 

執筆者:藤牧功太郎

 

 

⚫はじめに

「とびら575句会ラボ」はとびラー同士が集まり俳句・川柳を詠むとびラボです。2022年の秋から4回句会を開催してきました。「美術館と俳句や川柳?」と思われるでしょう。その意外な関係をご紹介します。


オンラインを交えた句会の様子

 

 

 

感動と笑い、涙とともに

「とびら575句会ラボ」はオンラインで参加できます。参加者は顔を出さずに、俳号(芭蕉や一茶のような俳句のペンネーム)で登場するので、参加者の正体は本人にしか分かりません。

コロナ渦で直接対面してとびラー活動をすることができなかったとき、何か作品をつくったり鑑賞したりする機会を生み出せないか、そしてとびラー同士のつながりを保ち続けたいという思いから、このラボは生まれました。

句会では、持ち寄った句の選評を語り合います。句を詠んだ当時の涙ぐましいエピソードを聞いて思わずもらい泣きしたり、ユーモラスな句や意外な解釈の選評にみんなで笑い合ったり、コロナ渦にあってもオンラインを駆使して心温まるときを共にすることができました。

 

 


 

句をつくることはART

575(俳句・川柳)と美術館の関係とは、なんでしょうか。

とびら575の句会に参加したメンバーから、日常のさまざま場面で情景や物事をよく観察するようになったという感想が聞かれました。自然と指を折り、575を数えていたりして、ささいなことへの感性が向くようになったと言うのです。ほかにも、メールの結びに一句付け加えたり、SNSの写真に一句を添えたりなど、ちょっとした心の贈り物を楽しむようになったそうです。

思慮深く言葉を選び精査し発信する、そのプロセスは、アートを創ることにも通じるのではないでしょうか。自分が感じたことを、限られた字数の小気味良いリズムにまとめ表現できた時は、痛快な心地よさが味わえます。

ものを観察したり考え感じたりしたことを言葉にする、その言葉を誰かに贈る、そして人からまた贈られる。この言葉の贈り合いは、美術鑑賞で人と対話するときにも、作品や人を思って言葉を紡ぐことに似ているのでしょう。

 

 

とびら575

このとびラボの活動の流れは、まず東京都美術館や企画展、季節などにちなんだ兼題(俳句のテーマ)を用意します。事前に投句し、選句・選評され句会を迎えます。句会では投句作品と選評が披露されます。

たとえば、兼題「東京都美術館にて」では、

「灯る色宝石の如し夜時雨」(ともるいろほうせきのごとしよるしぐれ)

という作品が詠まれました。


作品で詠まれた情景

 

この作品に対する選評には、「雨に濡れて、より一層きらめく夜の公募棟の風景が浮かんできて、とても素敵な句だと感じました」とありました。公募棟の4つに分かれたカラフルな色が、エスプラナードの地面のタイルに照り映えます。これは、夜間開館の時だけ、さらに雨の夜だけ見られる特別な光景です。他にも、「ヤカンツアー*で体験したことがあるので共感しました。雨も素敵です!」、「雨に映り込む公募棟の色の鮮やかさや濡れた質感まで、句から感じられました」、「雨をマイナスに受け止めていない。かえって魅力を増した情景を感じられる句」と絶賛の声が聞かれました。作者の弾Deanさんは、「夜時雨」という季語に惹かれてこの句を発想したそうです。

 

*ヤカンツアーとは?
夜間開館日にライトアップされた東京都美術館の美しさや建築の魅力をともに味わう、とびラボ発のプログラム。参考:トビカン・ヤカン・カイカン・ツアー2023

 


選句の様子

 

 


⚫ 終わりに

句会は、句を楽しむだけでなく、グループの一つのコミュニケーションツールとしても楽しむことができます。それは美術鑑賞にも通じることでしょう。美術館の作品鑑賞も、複数人で対話しながら行うと、一人では気づくことができなかったモノの見方を知ることができたり、自らの意見を肯定される喜びを感じる機会になったり、新たな発見や感動が生まれます。自然の風景や日常の一コマ、そして美術作品に触れながら、自分の感じたことを575で表す活動を、皆さんもぜひ試してみてはいかがでしょうか。

 


 

 

執筆者:10期とびラー 藤牧功太郎

マシンガン・ホワイトボード・ライターを目指しています。Artを語るにも、言葉のセンスって大事だなと思います。句会や吟行は、人と人、人と作品、人と場所をつなげる、一生ものの、とても素敵なツールだと思います。

 

 

2023.08.14

 


 

第2回鑑賞実践講座|「ファシリテーション基礎(1)」

日時|2023年8月14日(月)10:00〜17:00
会場|東京都美術館 アートスタディルーム・スタジオ
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA))、ARDAコーチ5名
内容|
・鑑賞体験
・ファシリテーションのポイント観察
・Visual Thinking Strategies ファシリテーション実践

 


 

第2回からは、NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA)の三ツ木紀英さんを講師に迎え、Visual Thinking Strategies(ビジュアルシンキングストラテジーズ:複数の人で対話をしながら作品を鑑賞する手法)におけるファシリテーションを学びながら、作品をよりよくみることや、アートを介したコミュニケーションの場づくりについて考えていきます。

第2・3回は、ファシリテーションの基礎を学ぶ2日間です。

第2回の午前は、三ツ木さんがなぜアートを介した人々のコミュニケーションの場を生み出す活動をしているのか、そのはじまりを伺いながら、とびラー自身がこの講座を通して学び、活動を作っていく目的について考えを巡らせました。

また、三ツ木さんがファシリテーションする鑑賞の場を観察し、三ツ木さんの振る舞いや声かけやその意図について、とびラーが見つけたことをもとに議論をしながら理解を深めていきました。

 

 


 

午後は、グループに分かれ、ARDAのコーチの皆さんのファシリテーションを観察し、とびラーも実践を行いました。

 

 

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)

2023.08.14

 トビカン・ヤカン・カイカン・ツアー  

 

ライトアップされた東京都美術館を散策する金曜夜限定の40分ツアーです。
夜ならではの建物のみどころをとびラー(アート・コミュニケータ)がご案内します!
美術館全体が、まるで宝石箱のような輝きを放つ夜。昼とは違うその表情を一緒に楽しみませんか?
※東京都美術館の夜間開館日に合わせて実施いたします。事前申込が必要です。


日時|
① 2023年9月  8日(金)   19:05 – 19:45(受付開始18:50)
② 2023年9月22日(金)   19:05 – 19:45(受付開始18:50)

会場|東京都美術館
集合|東京都美術館 LB階(ロビー階)中庭 正面玄関右手/雨天時は講堂前
対象|どなたでも
定員|各回20名(先着順・定員に達し次第受付終了)
参加費|無料

参加方法|事前申込制。以下の専用フォームよりお申し込みください。

 

9月8日(金)のご参加


② 9月22日(金)のご参加


【申込の際にお願い】
1)参加される方のお名前でお申込みください。
2)複数名での参加を希望の場合、参加希望のそれぞれ1人ずつの申込が必要です。

※小学生以下のお子様が参加される場合は、その他連絡事項欄に年齢のご記入をお願いします。
※特別に配慮が必要な方はお知らせください。
※定員に達し次第、申込み受付を終了いたします。
※本フォームでのお申し込みが完了すると、「返信先Eメールアドレス」宛にメールが届きます。必ずご確認ください。
※お申し込み前に「迷惑メール」などの設定を確認し、「@tobikan.jp」からのメールを受信できるようにしてください。申込受付完了の自動返信メールが届かない場合は、お申込みされたお名前と電話番号を明記のうえ、p-tobira@tobira-project.info(とびらプロジェクト)宛にメールをお送りください。
※広報や記録用に撮影を行います。ご了承ください。

2023.08.05

 


日時|2023年8月5日(土)14:30~17:00
場所|東京都美術館 ロビー階第3公募展示室(「アート・コミュニケーション事業を体験する 2023」会場内)
講師|西智弘(川崎市立井田病院かわさき総合ケアセンター腫瘍内科/緩和ケア内科、一般社団法人プラスケア)


 

 

アート・コミュニケーション事業を体験する 2023」の会場となった東京都美術館の公募棟展示室にて、川崎市立井田病院の医師であり、一般社団法人プラスケアで「暮らしの保健室」などの運営に携わる西智弘さんからお話を伺いました。

 

医療の現場で注目され始めた、「社会的孤立」という現代の病に対して、薬ではなく「地域での人のつながり」 を処方する「社会的処方」について、また、人と地域とのつながりをうみだす「リンクワーカー」というはたらきについて共有していただきました。

 

 

 

 

会場では、「アート・コミュニケーション事業を体験する 2023」にいらした来場者や任期満了したアート・コミュニケータも西さんのお話に耳を傾け、議論に参加しました。

 

「暮らしの保健室」がある川崎では、2024年春から川崎市と東京藝術大学が連携したアートコミュニティを育むプロジェクト「こと!こと?かわさき」がはじまります。西さんもプロジェクトに関わっており、川崎の街でもアートコミュニケータと活動をつくられていくそうです。

 

これからもますますアートを介したコミュニティの輪が広がっていくことが期待できるアクセス実践講座第3回でした。

 

(とびらプロジェクトコーディネータ 越川さくら)

 


川崎市のアート・コミュニケータ始動!
「こと!こと?かわさき」では、今年度からあらたにアートコミュニケータ「ことラー」を募集しています。

詳しくはこちら→https://kotokoto-kawasaki.com/


 

カレンダー

2023年8月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

アーカイブ

カテゴリー