2024.05.25
【第4回基礎講座 会議が変われば社会が変わる】
日時|2024年5月25日(土)10時~15時
場所|東京都美術館 交流棟2階 アートスタディルーム
講師|青木将幸
内容|とびラーの自主的な活動には、直接コミュニケーションをとるミーティングの場のあり方がとても重要です。ひとりひとりが主体的に関わるミーティングの場をつくるために、ミーティングの理想的なスタイルや具体的な手法を、レクチャーやワークショップを通して学んでいきます。
とびらプロジェクトでは、とびラー同士が自発的に開催するミーティング「とびラボ」があります。さまざまな関心を持った多世代の人が集まってアイディアを重ねるため、とびらプロジェクトではミーティングを大切にしています。
アイスブレイクの「ご近所さんこんにちは!(自己紹介)」でみんなの緊張がすっかりとけた後、本題に入っていきました。
「ミーティングをうまくやるコツとして、五感を使ってみる方法があります」と青木さんから語られ、【聴覚】【視覚】【触覚】【嗅覚】【味覚】それぞれの感覚に着目しながら、ミーティングについて考えていきました。
まず聴覚については、第2回基礎講座「聞く力」を思い出し、相手に関心を持って聞くことの大切さを改めて意識しながら、3人組でミーティングをしました。
これはミーティングのファースト・ステップで、安心して話せる場がうまれることを体感しました。
視覚では「お好きなものは何ですか」をお題にグループで話をし、1人がみんなに見えるように書き留めました。ミーティング後、みんなで書かれたものを見ることで、再び情報を得られることを学びました。
触覚は、各自が持参したお気に入りの小物を、他のとびラーは目をつぶって手で触って味わうというミーティング。
目をつぶって触ったとびラーが「ん?なんだ、これは?」とつぶやくと、その様子を見ている小物を持ってきた本人が「この辺りを触るとわかるかも」とヒントを出しながら、会話が進みます。
触ってどんな感じがするかを語り合ったり、持ってきた理由を話したりすることでミーティングの場がどんな様子で進むかを体感しました。
「会議は言語で進みがちですが、ミーティングに変化をもたらしたいとき、触覚を使うことで脳がひらいて新しいアイディアが出やすくなります」と青木さんから語られました。
嗅覚では「人は香りによる意識がかわる。ミーティング進行者の中は、みんなにこの場をどんな気持ちで進めてほしいを考えて、室内にお香を焚いて迎えたりする」という事例のお話がありました。とびラーからは「あ~」という感嘆の声がもれていました。
そして、青木さんがスプレー出してプシュッとすると、淡路島の檜の香りに包まれました。嗅覚による気持ちの変化を体感しました。
そして味覚は、お菓子を食べながら。なぜ自分がこのお菓子を持ってきたのかを語りながら、ミーティングを進めて行きました。味覚を共有すると繋がりが深まることに気づきました。
五感を丁寧に使うと、ミーティングの質がよくなってくることを実感したのではないでしょうか。
そして、午前中の最後は「とびラー流のよい会議『グッド・ミーティング』って?」を、7~8人で語り合いました。それぞれの考えをホワイトボードに書き出すことで、参加する全員が同じものを見ながら考えを共有していきます。
午後は、実践です。みんなで話したいお題を出し合い、好きな話題を選んでミーティングをしました。その後はそれらをみんなで共有です。
自分たちで考え、導き出した『グッド・ミーティング』の要素を意識しながら進めることで、納得感を持ってミーティングを進められたことでしょう。
とびラーの本当の実践はこれからです。今回感じたこと・発見したことを忘れずに過ごしていただけたらなと思います。
(とびらプロジェクト コーディネータ 西見涼香)
2024.05.18
「アートを介してコミュニティを育む」という、とびらプロジェクトの取り組みが参照され、少しずつ、日本全国に広がっています。
各地域で、それぞれのアート・コミュニケータが、それぞれのやり方で、「人と人」「人と作品」「人と場所」をつないでいく活動を展開しています。
詳細はそれぞれのWEBサイトをご覧ください。
● 札幌アートコミュニケーターズ(北海道札幌市)
・※札幌アートコミュニケーターズはSCARTS アートコミュニケーター「ひらく」のメンバー ・・が立ち上げた団体です。
● 八戸市美術館 アートファーマープロジェクト (青森県八戸市)
● 長野県立美術館 アート・コミュニケータ (長野県長野市)
● たいけん美じゅつ場 VIVA アート・コミュニケータ「トリばァ」 (茨城県取手市)
● 東京都庭園美術館 (東京都港区)
・※プログラムの一部で「アート・コミュニケータ」が活躍しています。
● こと!こと?かわさき アートコミュニケータ「ことラー」(神奈川県川崎市)
● アート・コミュニケータ東京(東京都)
(NPO法人アート・コミュニケーション推進機構(PARC))
● 岐阜県美術館 アートコミュニケータ「〜ながラー」 (岐阜県岐阜市)
● 愛媛県×東京藝大 アートベンチャーエヒメ アートコミュニケータ「ひめラー」(愛媛県)
● 宇部市 うーばー・プロジェクト (山口県宇部市)
2024.05.11
・
・
【第3回基礎講座 作品を鑑賞するとは】
日時|2024年5月11日(土)10時~15時
場所|東京藝術大学美術学部 中央棟2階 第3講義室、東京藝術大学大学美術館
講師|熊谷香寿美(東京都美術館 学芸員 アート・コミュニケーション係 係長)
内容|作品の鑑賞について理解を深めます。作品が存在することによって起こる体験とは、私たちにとってどのように意義があるのか、それらを鑑賞することの意味についても考えてみます。
・美術館体験とは何か?
・鑑賞とは何か?
・
・
とびらプロジェクトの鑑賞を体験する・知る
・
作品を鑑賞することは、美術館を拠点にアートを介してコミュニティを育むとびらプロジェクトの基盤となる活動です。基礎講座3回目では、「作品を鑑賞すること」を考えるレクチャーとともに、 美術館で実際の展覧会の作品を鑑賞しながら講座を行いました。
・
・
・
・
午前の体験
・
午前中は、とびらプロジェクトマネージャの熊谷さんからレクチャーを聞いた後、昨年の鑑賞実践講座に参加していたとびラーのファシリテーションで複数の人がともに作品を鑑賞する体験をしました。鑑賞するのは、講座当日に東京藝術大学 大学美術館で開催されていた「大吉原展」(会期:2024年3月26日(火)~5月19日(日))です。
・
実際の展示室に行く前に、まずは作品図版をじっくりと観察し、気づいたことをグループ話し合いました。
・
そのあと展覧会場に移動し、本物の作品を鑑賞しました。
・
・
・
・
午後の内容
・
・
午前の体験も交え、作品を鑑賞することを、単なる「受容」ではなく、その人なりの「意味・価値の創造が行われる時間」であるということを、映像やテキストも丁寧に見ながら理解していきました。
・
また、とびらプロジェクトの特徴でもあるお互いに話をききあうことのできるコミュニティでの「共同的な学び」が、複数の人で作品を鑑賞する上でも重要になることについて考えました。
・
・
・・
今年度のとびらプロジェクトには、全盲の方が1名、13期とびラーとして参加しています。視覚情報のない方と一緒に講座の中で映像・画像・作品を見ることについて考えることで、関わる人みんなにより伝わりやすく講座の内容がブラッシュアップされていきます。
・
・
基礎講座は折り返し地点となりました。
・
後半あと3回の講座では、アートを介したコミュニティのあり方・活動の作り方についてみなさんと考えていきたいと思います。
・
・
(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)