東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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2025.02.08

 


第7回建築実践講座|「ふりかえり」

日時|2025年2月8日(土) 13:30〜16:30
会場|東京都美術館 ASR・スタジオ


 

この回は、建築実践講座のふりかえりや年間課題から「今後アート・コミュニケータとして建築を題材にして取り組みたいことは?」を考える最終回でした。

 

今年度の建築実践講座の年間課題は2つありました。

 

年間課題① 「建築を、みる、楽しむ、伝える」

<目的>「誰かとみる」を楽しむ。
<内容>
東京都美術館以外の建築ツアーや建築関連のイベントに参加するなど、誰かと建築を楽しもう。

 

■ 年間課題②「東京都美術館を、誰かと、巡る」

<⽬的>「誰かを案内する」を楽しむ。
<内容>
家族や友達など⾝近な⼈に対して、東京都美術館を案内するツアーをしてみよう。館内の混雑状況、⾃分ひとりで対応できる⼈数(最⼤ 5 ⼈くらい)を考慮した上で、どんなツアーがよいか考えて実践してみましょう。

 

講座では、まず各々がおこなった年間課題①を思い出し「課題①をやってみてよかったこと」を考え、3つ選び、それらをグループでシェアしました。

たとえ同じツアーに参加していてもよかった観点はさまざまで、活発に語り合いました。その後はグループ内でよかったこと3つを選びました。

 

 

 

その後、第1回から6回までの講座内容をふりかえりました。

 

 

そして、課題①のよかったこと、課題②をやってみてきづいたこと、講座のふりかえりから「今後アート・コミュニケータとして建築を題材にして取り組みたいことは?」をそれぞれ考え、グループでシェアしました。

 

 

とびラーからのふりかえりを抜粋します。

 

ーーーーーーーーーー

・1年を通して、講演や実践を通して広くそして深く建築について考える機会をいただけたと感じました。特に建築ツアーはやってみてきづくことが沢山あり、これからもとびラー同士また他の施設の建築ツアーにも参加してブラッシュアップしていければと思います。また建築の人と人を繋げる役割にも気づくことができ、藝大部屋を始め、地域とのつながりをもちながら様々な人が交わる拠点にもなる可能性を感じました。

 

・建築だけではなく、どんなアートもそうですが、一人ではなく誰かと一緒に何かをみることは発見も多く、楽しいものです。建築を通して、そうした「とびラーとして当たり前」の感覚を多くの人に伝えるられるよう、今後も活動していきたいと思います。

 

・建築の使われ方はもちろんですが、その時代、その場所だからこそ生まれた建築について、土地との接続がどのように建築に表現されているのかを知り、考えることが、文化財や環境保全にもつながるのではないかと思うようになりました。

 

・専門家でなくても、その建築に対して自分がこれだけは伝えたいという思いがあれば、参加者は説明とともに建築を楽しむことができるのだなといろいろな建築ツアーに参加して強く感じました。

ーーーーーーーーーー

 

2024年度の建築実践講座の目標は「東京都美術館の建築の歴史や背景を理解し、自分の感覚を手掛かりに建築を味わう力を身につけ、美術館というパブリックな建築を介して人々をつなぐ場をデザインする」です。

 

今年度の建築実践講座は終わりますが、建築を味わうことに終わりはありません。それぞれの興味関心で建築を味わい、各々のペースで建築を楽しんでほしいなと思います。

 

そして、とびラーは3年の任期満了後それぞれのコミュニティに戻ります。この講座での学びや体験の種が、多様な人たちと「対話」を通して活動として芽吹き、広がっていくことを願っています。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 西見涼香)

 

2025.02.02

執筆:11期とびラー 曽我千文

 

ある一冊の本を読み終わり、「この本はとびラー(東京都美術館アート・コミュニケータ)なら、きっと面白がってくれるんじゃないかな」と思ったのをきっかけに、推しの本をテーマにしてラボを立ち上げました。読書会ではなく、もっと気軽に持ち寄った本を手に取り、交換しあう場を、本屋さんのイメージで形にしました。それが「とびら堂書店」です。
とびら堂書店からは、「いらない本」ではなく「仲間にすすめたい本」を、自分の本棚から選んで持ってきてくださいと呼びかけました。リサイクルではなく、とびラー仲間に渡す本のバトンです。
コンセプトを考える過程でできあがった店の看板には「Gift×Gift ~誰かのもとへ、本の旅~」という言葉を入れました。美術館という非日常の場所での「出会い」や「関わり」の中で、お互いを尊重しあい、新たな価値を生み出していく感覚を、「Gift×Gift」という言葉で、そして、手元に置いておきたいお気に入りの本を、あえて誰かに手渡していくことを、「本の旅」と表現しています。
こうして、2025年2月2日(日)に、とびら堂書店を開店しました。とびらプロジェクトの掲示板で呼びかけたあとに、活動で集まった仲間に紙のちらしを配って呼びかけたりもしましたが、交換できるだけの本が集まるのだろうかと心配でした。開いてみると、とびラーとスタッフ26人から、36冊の本が集まりました。

 

 

テーブルに平置きされた本の表紙に、マスキングテープで貼った図書カードに書かれた「おすすめポイント」からは、とびラーの本への愛、興味関心どころが伝わってきて、今日は本を持ってこれなかった人も、受け取る本を選ぶ人も、熱心に読んでいました。

 

 

ページをめくる姿も真剣です。みんな本が好きなんですね

 

 

【とびら堂書店の当日の流れ】

(ステップ1)「本を集める」

ひとり2冊まで持ってきた本を、記入した図書カードを表紙に貼って出す。

本を出したらチケットを受け取り名前を書く。(2冊なら2枚)

 

(ステップ2)「本を選ぶ」

書店に置かれた本から、欲しい本を選んで自分のチケットを貼る。

 

(ステップ3)「本を受け取る」

選んだ本に貼られたチケットが1枚なら、そのまま本を受け取る。

ふたり以上がチケットを貼っている本は、希望者同士でじゃんけんして受取者を決める。じゃんけんで負けてしまった人は、次の本を選ぶ。2冊出した人は2冊受け取る。

 

本が旅立ちました

 

 

【とびラー来店者の声】

・とびラーに譲る本を選ぶのは楽しかった。

・どんな本と、どんな想いに出会えるのか楽しみだった。

・最近電子書籍にしているので手持ちの本がない。手放せる本がなかった。

・今日は本を持ってこなかったけど、みんなのおすすめの本を見られて面白かった。

・読みたい本がたくさんあった。メモして買うつもり。

・定期的に開店して欲しい。

・書店じゃなくて図書館にしてとびラー同士の情報交換の場にできたらいいな。

・受け取った本は宝物にします。「おすすめポイント」のコメントが嬉しいです。

 

【ラボメンバー書店員の声】

・「おすすめポイント」を書くのが結構むずかしく、本屋さんのポップを見る目が変わりました。私はうまく書けなかったけど、みんなの図書カードはすてきでした。

・原田マハさんの小説のような定番もありながら、多様性に富み、かつ皆どこかとびラーっぽく、それぞれがどの本をだそうか悩んでいる姿が目に浮かぶようなラインナップでした。

・あくまで印象ですが、受け取る本は実用的な本よりも、心象に踏み込むような小説や哲学の本を希望する人が多いと感じました。

・報告用にお取り扱い本の書名リストを作っていたら、ひとつひとつの「おすすめポイント」に心打たれ、みんなにも共有したくなって、急ぎ写真から、ことばを拾いました。

・最初、ラボ掲示板に反応がなく「みんな本には関心がないのかな」と意気消沈しました。とびラーと本との親和性を信じて、図書カード付のちらしを配ったりもするなかで、じわじわと仲間が集まり、当日はとっても素敵な本たちが旅立っていきました。あきらめなくてよかった。

・書店を開きたいと妄想を話したら、速攻で看板を作ってくれた仲間に背中を押してもらいました。コンセプト、イメージカラー、ロゴマークを使うことで、訴求力が高まっていった様子から、デザインの力の大切さを感じました。大人のごっこ遊びのようですが、紺色のエプロンを身に着けることで、書店員としての気持ちも上がりました。

・絵本ラボとコラボレーションして「とびら堂書店絵本館」を開けないか考えています。誰かのもとへ、本の旅!またのご来店をお待ちしています。

 

【本日のお取り扱い書籍リスト】

 

 


執筆:11期とびラー 曽我千文

 

野鳥が好きなので、鳥に関する本は手放さずにコレクションにしています。とびラーになってからアート系の本も増えてきて部屋が大変なことに!憧れの書店員は、仲間の顔を思い浮かべて本を手に取る至福のひと時でした。

 

 

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