東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

活動紹介

2025建築実践講座④|「とびラーと見つけよう!東京都美術館のみどころポイント」の準備

2025.11.20


第4回建築実践講座|「とびラーと見つけよう!東京都美術館のみどころポイント」の準備

日時|2025年11月1日(土) 14:00〜17:00
会場|東京都美術館 ASR


オープンレクチャーvol.16「みんなのけんちく〜みる・知るからはじめよう〜」で行う、関連プログラムの「とびラーと見つけよう!東京都美術館のみどころポイント」の準備を行いました。
このプログラムでは、とびラーが3人1組になり東京都美術館のみどころポイントを参加者に紹介します。

 

今回のオープンレクチャーでは、東京都美術館の建築家である前川國男や建物の特徴について知ることや、建物を主体的に学び鑑賞することを目的としています。
登壇者や関連プログラムの目的である、建築を楽しく見て話すことについてお話したら、いよいよプログラムの準備を始めます。

 

 

東京都美術館の打ち込みタイルや野外彫刻など様々な「みどころポイント」をどのように説明するかグループごとに相談して決めていきます。
実際に足を運んで、打ち込みタイルを触ってみたり天井を見上げてみたり・・・。

 

 

説明する内容が決まったら、とびラー同士でお互いに紹介しあいフィードバックをします。

 

 

当日に向けて、グループごとに準備をして参加者を迎える準備をします。
東京都美術館をよく見て、知る時間になりました。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 大東美穂)

 

2025建築実践講座③|HAGISO 最小文化施設の取り組みについて

2025.10.02


第3回建築実践講座|「HAGISO 最小文化施設の取り組みについて」

日時|2025年9月20日(土) 14:00〜16:00
会場|東京都美術館 講堂
講師|宮崎晃吉(株式会社HAGISO 代表取締役)


谷中銀座商店街から路地を入った静かな場所に位置するHAGISOは、築68年の木造アパートを修繕し2013年3月に「最小文化施設」としてオープンしました。
カフェとギャラリーが併設されており、トークイベント、地域交流の場そして、コンサートを行うなど様々な活動をしています。
その活動と地域との繋がりやそこから生まれるコミュニティーについて、宮崎晃吉さんにお話を伺いました。

 

建築を再生することで、「人が集まり、過ごし、交わっていく場所」としての〈場〉となり、そこには新しいつながりが育まれ、地域にこれまでになかった価値が生まれていきます。
この取り組みは、ただ古い建物を残すのではなく、その土地に眠っていた価値を見つめ直し、人が関わることで未来へつなぐ試みでもあります。
HAGISO は、建物を再生することを通して、「谷中」というまちに新しい息吹と価値を与えてきました。
建築の再生から、人とまち、そしてコミュニティが生まれていく可能性を実感するきっかけとなりました。

 

 

こうした取り組みを聞いて、とびラーとして、また3年の任期満了後に自分の地域での活動につながるきっかけを考える時間になったことと思います。

 

HAGISOのホームページはこちらからご確認いただけます。

 

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 大東美穂)

 

2025建築実践講座②|建築ツアーをやってみよう

2025.08.30


第2回建築実践講座|「建築ツアーをやってみよう」

日時|2025年8月23日(土) 14:00〜17:00
会場|東京都美術館 ASR・スタジオ


 

第2回 建築実践講座では、とびラーがそれぞれ「建築ツアーを考えて、やってみる」をテーマに行いました。

第1回の建築実践講座内容(都美の建物と歴史)をふりかえり、建築ツアーの写真を用いて参加者ととびラーの間でどのような会話をしているのか、どのように来館者をお迎えしているかについて一緒に考えました。

 

 

その後は「15分間のMY建築ツアーをつくろう!」ということで、とびラーそれぞれがツアープランを考えました。

東京都美術館パンフレットトビカンみどころMAP、館内にある資料から読み解くだけではなく、実際に館内を巡り、一人ひとりが感じる「ここが好き!」「気になる!」をみつけてツアーを組み立てていきました。

それぞれがツアーを考えたあとは、3人組になって交代でツアーを実施しました。

ツアー後はやってみた感想や思ったことをシェアし、ツアーの構成や伝えたいことが伝わったのかについて考えました。

「とびラーによる建築ツアー」は決まったコースはなく、ガイド役のとびラーによって紹介するスポットはさまざまです。
ガイドによって内容が変わり、参加するたびに新たな発見があるツアーです。

今回の講座の学びが建築ツアーに活かされたらいいなと思います。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 大東美穂)

 

【開催報告】障害のある方のための特別鑑賞会:「ミロ展」

2025.07.30


日時|2025年5月26日(月)10時〜16時
展覧会|ミロ展会期:2025年3月1日(土)〜7月6日(日)]


・・

東京都美術館で開催された「ミロ展」にて、「障害のある方のための特別鑑賞会」を実施しました。この鑑賞会は、障害のある方がより安心して鑑賞できるよう、特別展の休室日に事前申込制で開催しています。

鑑賞会当日には、障害のある方とその介助者約815名が東京都美術館を訪れ、スペイン出身の20世紀を代表する巨匠ジュアン・ミロ(1893~1983)の初期から晩年までの傑作の数々をゆっくりと鑑賞されていました。

参加者を迎えるのは、アート・コミュニケータです。とびらプロジェクトで活動中の「とびラー」やとびラーの3年の任期を満了したアート・コミュニケータが数多く参加しました。アート・コミュニケータは、受付で参加者をお迎えしたり、館内のエレベータの乗り降りをサポートしたり、展示室で鑑賞体験をサポートするなど、館内の様々な場所で活動しました。

展示室では、アート・コミュニケータと来館者の間に穏やかな対話が生まれていました。来館者それぞれの鑑賞のペースを見守りながら、ときに言葉や表情を交わす場面からは、「ともに作品を楽しむ」というアート・コミュニケータが生み出す鑑賞の場の魅力が育まれていたように感じます。


ミロの作品と言えばカラフルで大胆な作風が印象的ですが、今回の大回顧展では初期作品の緻密な描写や、スペイン内戦期の作品の暗い色調など、細部に注目すべき作品も多く並びました。そうした視覚情報を補うために活躍したのが「iPadラボ」のとびラーです。作品画像を、手元のiPadで拡大表示しながら説明を加えることで、より明確に細部の特徴を伝えることができました。

この日はのべ200名以上の来館者をiPadラボとびラーが対応し、多様なニーズに合わせた丁寧な鑑賞サポートが行われました。


さらに、前回の鑑賞会から引き続いて、視覚に障害のある方の鑑賞をサポートするための触図(しょくず)を用いた鑑賞サポートも行われました。触図とは、作品の構図やモチーフを凹凸のある線や点で立体的に表わした図版です。

来館者が触図の線や点を手指でたどりながら、アート・コミュニケータとの対話を通して作品を鑑賞しました。

触図を用いた鑑賞を体験された方からは、

「ミロのやさしい線も感じられる。勢いでなく、ゆっくり描いている感じがする。」
「ミロの描く星の形がわかったのが嬉しい。」
「月は触ってみるとふくよかな感じ。スマートな三日月より余裕を感じて好き。自分は全盲で、月や星など変わらないもの、永遠のもの、そこに希望を感じる。」

といった感想が寄せられ、作品への新たな親しみや喜びが生まれていました。

今回の触図の活用にあたっては、事前に「とびラボ」の活動の中で、とびラー同士が触図を実際に使いながら、「どのようにしたらより深い鑑賞ができるか」を探る時間を持ってきました。
活動を行ったとびラーは、以下のように振り返ります。

「触図を使ってより深い鑑賞をしていただくために、事前にとびラー同士で対話をしながら、自分たち自身の作品鑑賞の質を高めておくことが大事だと感じました。その効果もあり、来館者の方に良い鑑賞の時間を過ごしていただけたと思います」

※触図は、ミロ展の会期中に常時使用し、希望する方にスタッフが説明をしながら作品を鑑賞していました。

・・


・・

次回は、2025年10月27日(月)、「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」展にて開催を予定しています。

・・

次の鑑賞会でもみなさまにお会いできるのを、アート・コミュニケータ一同楽しみにしています。

・・・
(とびらプロジェクトコーディネータ 越川さくら)


「障害のある方のための特別鑑賞会」は、東京都美術館の特別展ごとに1回ずつ開催しています。
詳細、お申し込みはこちらからどうぞ:https://www.tobikan.jp/learn/accessprogram.html


2025建築実践講座①|都美の建築と歴史と楽しみ方

2025.07.10


第1回建築実践講座|「都美の建築と歴史と楽しみ方」

日時|2025年7月5日(土) 10:00〜15:00
会場|AM:東京都美術館 講堂/PM:東京藝術大学 第3講義室
講師|河野佑美(東京都美術館 学芸員)


 

1925年に閉館した「旧館」の当時の様子や、1975年に「新館」として建設された東京都美術館の建設に至るまでの経緯など、東京都美術館の建物や歴史について、東京都美術館 学芸員の河野佑美さんにお話しいただきました。
また、建築ツアーが生まれた経緯や建築家ではない人がツアーを作り上げていくことについても、河野さんの経験を交えながら熱く語っていただきました。

「新館」建設にあたり、建築家として抜擢された前川國男。彼が東京都から与えられた、幾つものミッションを全てクリアして建てられた現在の東京都美術館にはたくさんの魅力があります。
そんな、東京都美術館の魅力を河野さんが撮影した写真を見て、お話を聞いて味わった後は、とびラー同士で東京都美術館のオススメポイントを紹介するシェアタイムを行いました。
自分のオススメポイントを他のとびラーと共有し、新たな見方や発見ができる時間となりました。
「初めて知った!」・「ここ私も好きな場所」・「同じ場所でも、時間と天気で見え方が違って見えるんです」と楽しそうにお話をしているとびラー達が印象的でした。

東京都美術館で実施している「とびラーによる建築ツアー」は、2012年のリニューアル時におこなった館内ツアーがきっかけで始まりました。
建築家が込めた想い、歴史、建物の色・デザインといった建築を楽しむポイントを切り口に、とびラーと対話しながら味わいます。
ガイドによって、ツアーの内容が変わるのも魅力の一つです。

そして午後は、「とびラーによる建築ツアー」を体験しました。
ガイド経験者のとびラーがガイドとなり、参加者のとびラーと都美館内を45分間で巡りました。
ツアーの後は、各チームごとにふりかえりをおこない、ツアーの感想や印象的だったことシェアしました。
今回、初めての建築ツアーに参加したとびラーは、「こんなに楽しいなんて!」・「45分があっという間だった」とお話ししていました。

最後に1日を通じての感想を共有して、私たちの拠点となる東京都美術館への関心を深めていきました。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 大東美穂)

 

基礎講座⑥|この指とまれ/そこに居合わせる人が全て式/解散設定

2025.07.05

 


 

【第6回基礎講座 この指とまれ/そこに居合わせる人が全て式/解散設定】
日時|2025年6月21日(土)10時~15時
場所|東京藝術大学 美術学部 中央棟2階 第3講義室
講師|西村佳哲
内容|とびラーは、自分たちの関心を寄せ合い、アイデアを共有し、プロセスを大事にしながら活動をつくります。この回では、小さく始めるプロジェクトのつくり方や、そこに集まった人みんなの力を活かした活動について学びます。また、活動のはじめ方だけではなく、終わり方のデザインについても理解を深めます。

 


 

基礎講座最終回は「とびらプロジェクトの活動の進め方」がテーマです。

 

特に、とびラーはこの後「とびラボ」というとびラー同士が自発的に開催するミーティングのことで、新しいプロジェクトの検討と発信が行われる場をつくっていきます。

 

そんな「とびラボ」の「はじめ方/すすめ方/おわり方」や「あり方」について考えました。

 

講義は西村さんと、とびらプロジェクト マネジャーの小牟田さんのクロストーク形式で進みました。

 

 

「この指とまれ式」

新しい活動のアイデアをひらめいたとびラーは掲示板で一緒に活動するとびラーを募集します。3人以上集まったら「とびラボ」のスタートです。

このはじまり方を「この指とまれ式」と呼んでいます。

 

西村さんや小牟田さんから

・適正人数(グループサイズ)を考えること

・指を立てた人、集まった人同士の想いや視点をよく確かめ合うこと

・成功を目的化しない、プロセスを大事にすること

の3つのポイントが伝えられました。

 

「人数が多いと感じたり、やりたいことが違っていたりしたら別のラボに分かれてもいい」というお話に「へえー」とうなずくとびラーもいました。

 

今回の基礎講座も講義の合間にペアで考えたことや疑問点について話し合う時間が多くあります。早速、「この指とまれ式」について活発に話し合いました。

 

 

「そこに居合わせる人が全て式」

「とびラボ」では集まった人同士の想いや視点を確かめ合ったあと、いまここで「やりたい・できる・やるべき」アイデアを生み出し育てていきます。

 

一般的な活動がやるべき事や問題点からアイデアが生まれ、必要な事を考えていくのに対して、「とびラボ」はそこにいる人からアイデアが生まれます。

 

西村さんの「今夜冷蔵庫にあるもので、なにか美味しいものをつくる」という例えに納得したとびラーも多かったのではないでしょうか。

 

 

また、「とびラボ」をすすめる上での新たな試みとして、ミーティングの最後に内容と過程についてふりかえる時間を設けることが西村さんから提案されました。

 

内容のふりかえりでは、決まったこと、重要なこと、まだ検討が要ることについてを、過程のふりかえりでは、ミーティングの進め方、進み方についてを話し合います。

 

実際に、今回の講座のここまでの過程をふりかえってみると、
「ペアで話し合う時間があることで疑問が共有できる、けど忙しい」
「1人じゃなくて2人のクロストーク形式だからわかりやすい」
など進め方について色々な意見が出ました。

 

14期にはきこえない・きこえにくいとびラーがいます。聞こえやコミュニケーションの方法はそれぞれ違うため、ミーティングの進め方も一様ではありません。全員がやりやすい方法をその場にいる全員でその都度考えることが大切であるという認識を共有しました。

 

「解散」

活動の目的を達成して成果をとびラー自身がふりかえることができたら、その「とびラボ」は解散します。

 

普段の生活で「終わらせること」を意識する機会はあまりないかもしれません。

「反省会にならないように」という小牟田さんの言葉を受け、「創造的な解散」とはどういうことか考えました。

 

 

とびラボ実践編

まず、西村さんから「アイデアとは、既にあるもののあたらしい組み合わせである」というお話があり、アイデアを紐解いてみるワークに移りました。

 

既存のアイデアは何が組み合わさったものなのか?

 

たとえば歌番組のように、それぞれ思いついた身の回りのアイデアを紐解き、自分の発見を楽しそうにシェアする様子が印象的でした。

 

 

続いて、とびらプロジェクト コーディネータの越川さんから過去の「とびラボ」の事例を聞きました。

 

アイデアが生まれ活動へとつながっていく過程を具体的にイメージすることができたのではないでしょうか。

 

 

全6回にわたる基礎講座、お疲れ様でした!

基礎講座を終えられた今、どのようなお気持ちでしょうか?

 

「よし、どんどん活動していくぞ!」という方もいれば、

「まだ全然わかんない、果たしてやっていけるのか、、、」という方もいらっしゃると思います。(こちらの方が多いかも?)

 

東京都美術館のミッションのもと、とびラー・都美スタッフ・藝大スタッフが一体となってとびらプロジェクトの活動をつくっていきましょう!

 

(とびらプロジェクト アシスタント 三原凜子)

 

基礎講座⑤|ミュージアムとウェルビーイング

2025.07.04

 

 


 

【第5回基礎講座 ミュージアムとウェルビーイング】
日時|2025年6月7日(土)10時〜15時
場所|東京藝術大学 中央棟2階 第3講義室
講師|中原淳行(東京都美術館学芸員 学芸担当課長)
   小牟田悠介(東京藝術大学 芸術未来研究場 ケア&コミュニケーション領域 特任助教)
   熊谷香寿美(東京都美術館 学芸員 アート・コミュニケーション係長)
内容|第5回目の基礎講座では、とびラーの活動拠点である東京都美術館のミッションとその背景について学芸員から話を聞きます。また、展覧会の鑑賞を通して、ミュージアムにおけるウェルビーイングについて考えます。
・東京都美術館のミッションができるまでの背景とは?
・ウェルビーイングとは何か?
・ミュージアムってどんなところ?

 


東京都美術館のきのう・今日・あした

東京都美術館は2012年のリニューアルオープンに合わせて新たなミッションを掲げ、そのミッションに基づいて様々な事業を展開してきました。

 

東京都美術館の使命(ミッション)
東京都美術館は、展覧会を鑑賞する、子供たちが訪れる、芸術家の卵が初めて出品する、障害のある方がなんのためらいもなく来館できる、すべての人に開かれた「アートへの入口」となることを目指します。
新しい価値観に触れ、自己を見つめ、世界との絆が深まる「創造と共生の場=アート・コミュニティ」を築き、「生きる糧としてのアート」と出会う場とします。そして、人びとの「心のゆたかさの拠り所」となることを目指して活動していきます。

 

基礎講座第5回目の午前の時間では、ミッションの策定に携わった学芸員の中原淳行さんから、言葉に込めた想いや、中原さんの原体験となったミュージアム体験についてとびらプロジェクト プロジェクトマネジャーの小牟田さんがきき役となってお話を伺いました。

 

 

とびラーは3人組に分かれて、感想のシェアタイム。

中原さんの当時の記憶を順を追って丁寧に言葉にして話されていく様子に魅き込まれながら、自身の忘れられないミュージアム体験や、東京都美術館のミッションを改めて読んで感じたことについての話など、盛り上がっていました。

 

 

来年に100周年を迎える東京都美術館が、これから何を目指していくのかについてもお話は展開し、中原さんからの「これからが楽しみですね」という投げかけに、大きくうなづくとびラーの姿が印象的でした。

 

 

展覧会を体験する

午後は、とびらプロジェクト マネジャーの熊谷さんから「ミュージアムってどんなところ?」というテーマで、展覧会の空間は、作品といい出会いができるようにデザインがされているというお話で始まりました。

 

その後、東京都美術館で開催中の「ミロ展」(会期:2025年3月1日(土)〜7月6日(日))を、空間構成やストーリーに注目して、鑑賞をしにいきました。本展覧会の特徴は、個展としてミロの生涯を通した作品の変遷を体感できるところにあります。

 

展覧会に行く前にとびラーには熊谷さんから、

・ミロとどんな風に出会いましたか?

・どの時期の作品に一番共感しましたか?

という2つの問いをもって、50分間じっくりと鑑賞しました。

「ミロ展」会期:2025年3月1日(土)〜7月6日(日)東京都美術館

 

鑑賞から帰ってくると、再び3人組に分かれて、印象に残った作品について共有していきます。

「私もその作品に共感した!」「なるほど、そういう視点もあるか!」とさまざまな感想が交わされました。

 

 

ミュージアムとウェルビーイング

最後に熊谷さんから、ミュージアムとウェルビーイングがどのように繋がっているのかについて、とびらプロジェクト、Museum StartあいうえのCreative Agingずっとびでの実践も題材にレクチャーがありました。

 

 

どの状態がウェルビーイングなのかは、人によって、国の文化によって、時々によって違うのではないかという問いかけに、自分にとっての「良い状態」はどんなときであるのかについて、改めて考える時間となりました。

 

活動の拠点である東京都美術館では、なぜ3つのプロジェクトを行っているのか。

東京都美術館のミッションを出発点に、ミュージアムでの市民の関わりとしてアートコミュニケータが生まれた背景とその意義について、世界的なミュージアムの潮流もふまえながら、これからの活動の拠点について考える時間となりました。

 

 

基礎講座も残すところあと1回。

今までの基礎講座での学びが積み重なって、今日の活動にも生きてきているように感じます。

次回の講座では、とびラボの特徴でもある「この指とまれ/そこにいる人が全て式/解散設定」に込められた意味について、考えていきます。

 

(とびらプロジェクト アシスタント 久保田夢加)

基礎講座④|会議が変われば社会が変わる

2025.06.15

 


 

【第4回基礎講座 会議が変われば社会が変わる】
日時|2025年5月24日(土)10時~15時
場所|東京都美術館 交流棟2階 アートスタディルーム
講師|青木将幸
内容|とびラーの自主的な活動には、直接コミュニケーションをとるミーティングの場のあり方がとても重要です。ひとりひとりが主体的に関わるミーティングの場をつくるために、ミーティングの理想的なスタイルや具体的な手法を、レクチャーやワークショップを通して学んでいきます。

 


とびらプロジェクトでは、とびラー同士が自発的に開催するミーティング「とびラボ」があります。さまざまな関心を持った多世代の人が集まってアイディアを重ねるため、とびらプロジェクトではミーティングを大切にしています。今回の講座では「グッドミーティング」(良い会議)について考えました。

 

午前中は青木さんの「好物は何ですか?」という問いかけから始まりました。

とびラーは少し戸惑いながらも自分の好きな物を絵に描いていきます。その後自分が描いた絵をもって歩き回り、お互いの好きな物をについて尋ね合いました。

 

次にジェスチャーを使っていまの状態を表現してみます。

「今日の元気は50%。昨日寝るのが遅かったから、、、」「今日は80%くらい。元気だけどマラソンは走れない!」などなど色々な声があがりました。

ジェスチャーで共有することでミーティングに参加している人全員がいまどういう状態なのかを確認することができます。

 

 

場が温まってきたところで「グッドミーティング」と「バッドミーティング」について考えていきます。

 

まずは、一人一人が思う「グッドミーティング」と「バッドミーティング」がどんなものかを紙に書き出していきます。

書き出した後、同じグループ内で回し読みをして共感するアイデアにハートマークをつけ、最後に1枚の紙に「グッドミーティング」と「バッドミーティング」についてグループごとに話し合ってまとめました。

 

 

また、今回の講座では事前に「これを持って行くとグッドミーティングになるかも!と思うものを持ってきてください」と呼びかけられていました。お菓子やぬいぐるみ、おもちゃ、お香などさまざまなアイテムが持ち寄られ、場を和ませていました。

 

 

考えやアイテムをみんなで持ち寄ることで「誰もが貢献できるミーティング」が生まれていきました。

 

午前中の最後には会議の4つの段階、「共有・拡散・混沌・収束」について青木さんからお話がありました。先ほどのミーティングを思い出しながら、4つの段階それぞれの役割や重要性について考えました。

 

 

 

午後は、実践です。みんなで話したいお題を出し合い、好きな話題を選んでミーティングをしました。

 

最後にそれぞれのミーティングで話し合った内容を全体で共有しました。

 

 

自分たちで考え、導き出した「グッドミーティング」を意識しながら進めることで、納得感を持ってミーティングを進められたのではないでしょうか。また、第2回基礎講座の「きく力」を思い出したとびラーも多かったかと思います。

 

とびラーの自主的な活動には、そこに参加する人全員が意見を出し合えるミーティングの場のあり方がとても重要です。

今回の内容を思い出して参加者全員で「グッドミーティング」をつくりあげていきましょう。

 

(とびらプロジェクト アシスタント 三原凜子)

 

基礎講座③|作品を鑑賞するとは

2025.05.14


【第3回基礎講座 作品を鑑賞するとは】
日時|2025年5月10日(土)10時~15時
場所|東京都美術館 交流棟2階 アートスタディルーム
講師|熊谷香寿美(東京都美術館 学芸員 アート・コミュニケーション係長)
内容|作品の鑑賞について理解を深めます。作品が存在することによって起こる体験とは、私たちにとってどのように意義があるのか、それらを鑑賞することの意味についても考えてみます。
・鑑賞とは何か?
・複数で鑑賞することとは?


鑑賞を知る・体験する

作品を鑑賞することは、美術館を拠点にアートを介してコミュニティを育むとびらプロジェクトの基盤となる活動です。

基礎講座3回目では、「作品を鑑賞すること」を考えるレクチャーとともに、 美術館で実際の展覧会の作品を鑑賞しながら講座を行いました。


午前の体験

午前中は、とびらプロジェクトマネージャの熊谷さんからレクチャーを聞いた後、1つの作品をじっくり鑑賞する体験をします。

 

鑑賞するのは、講座当日に東京都美術館 公募棟で開催されていた「東光展」(会期:2025年4月25日(金)〜5月10日(土))です。

とびラーは展示室を1周した後それぞれお気に入りの作品を選び、約30分間じっくり向き合いました。

 

 

 

展示室から帰ってくると、自分が選んだ作品について考えたこと・感じたこと・気がついたことをグループでシェアします。

同じグループのメンバーの気づきに対して、

「そんなこと全然気がつかなかった!」「視点が面白い!」と、驚く声が多く聞こえてきました

 


午後の内容

午後は1つの作品を複数人でみていく体験をします。

鑑賞するのは神奈川県立近代美術館所蔵、松本竣介《立てる像》の図版を使ったアートカードです。

描かれている人物の表情や身体の部分、背景などに注目してグループで作品について話し合いました。

 

同じグループのメンバーの気づきを

「ああ〜」「なるほど!」「確かに、、、」と、

きくことを通して鑑賞が育っていく様子が印象的でした。

今回の講座ではとびらプロジェクトの特徴でもあるお互いに話をききあうことのできるコミュニティでの「共同的な学び」が、複数の人で作品を鑑賞する上でも重要になることについて考えました。

 

基礎講座も折り返し地点をむかえました。

回を重ねるごとに雰囲気が和らぎ、場が盛り上がっているように感じます。

後半3回の講座では、アートを介したコミュニティのあり方・活動の作り方についてみなさんと考えていきたいと思います。

(とびらプロジェクト アシスタント 三原凜子)

基礎講座②|「きく力」を身につける

2025.05.07


 

【第2回基礎講座 「きく力」を身につける】
日時|2025年4月26日(土)10時~15時
場所|東京藝術大学 美術学部 中央棟2階 第3講義室
講師|西村佳哲
内容|コミュニケーションの基本は、上手な話し方をするのではなく、話している相手に、本当に関心を持って「きく」ことから始まります。この回では、人の話を「きく力」について考えます。
・話を〈きかない〉とはどういうことか?
・話を〈きく〉とは? また、それによって生まれるものとは?

 


 

基礎講座の第2回は「きく力」がテーマでした。
この「きく力」はとびらプロジェクトが大切にしていることのひとつで、毎年1年目とびラーはこの講座に参加します。

西村さんからレクチャーと、とびラー同士でのシェアする時間をはさみながら講座が進んでいく進め方の説明や、「きく力」についての導入がありました。

講座では3人組になる場面が多くあります。

自己紹介が終わると「はい、解散!」と、新たな3人組になり、コミュニケーションの輪が広がっていきます。

 

場が和んだところでいよいよ本題です。

まずは、西村さんと、とびらプロジェクト コーディネータ 大東さんがロールプレイを行いました。

話し手の大東さんに西村さんが様々なきき方をしていき、とびラーはきき方が話し手にどのような影響を与えているのか観察します。

 

「それぞれのきき方が話し手に与える影響は?」

「『話の内容でなく、その人に関心をもつ』ってどういうこと?」

ところどころで西村さんから問いかけがあり、とびラーは自分の考えを書き留めていきます。

午前中の最後には3人組でそれぞれが書き留めたものを回し読みした後、考えたこと・感じたことをシェアします。

「書く→読み合う」のワンクッションにより、それぞれが自分の考え・感覚を整理する時間になりました。

 

午後は新たな3人組で「話し手」「きき手」「観察者」の3役をローテーションしながら、「話の内容だけに関心を向けるきき方」「内容だけでなく話し手に関心を向けるきき方」を試していきます。

 

最後に西村さんから「お互いに表現し合える場をつくるためには、きいてくれる人がいること、そしてきき方の質が大切」という心理的安全性のお話がありました。

 

 

今回の講座で普段の自身の「きき方」を振り返ったとびラーも多かったのではないでしょうか。

皆さんの「きく力」によってこれから様々なアート・コミュニケーションが生まれることでしょう。

簡単なようでとても難しい、「きく」とはどういうことなのか、とびラーの皆さんと一緒に考えていければと思います。

 

(とびらプロジェクト アシスタント 三原凜子)

カレンダー

2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

アーカイブ

カテゴリー