東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

活動紹介

企画展恒例イベント誕生?! およそ440 人が参加~「お絵かきボードでGO!」

2012.08.31

マウリッツハイス美術館展では、小学生以下の子供を対象に、夏休み期間にお絵かきボードを貸し出していました。この磁気ボードに描いた絵をデジカメ写真に撮り、ハガキサイズのカードに印刷してプレゼントする企画「お絵かきボードでGO!」をとびラー候補生(以下、とびコー)が企画しました。開催は、8 月29 日から31 日までの3日間。新学期へのカウントダウンが始まるこの時期、美術館に来る余裕のある子はどれ位いるのでしょうか?はるか昔の自分を振り返れば、見て見ぬふりをしていた宿題に追い詰められ、過ぎ行く夏を惜しむ余裕なんてなかったけれど…。

入場待ちの長い列の中に…いるいる!日に焼けた子供たち! 入口の手前で、とびコーがフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」と同じ、青いターバンをかぶって子供たちに声をかけます。パパとママについてきただけ、という子も、青いターバン姿と「お絵かき」という言葉に「なんだかおもしろそう」と思ってくれたようです。展示会場前で磁気ボードを手に立っていると、子供達の方から近づいてきてくれました。手を動かしながらボードの使い方を覚えて、さあ出発。今日の混み具合だと、大人の背中の間から作品を覗くことになるかも…。

 

会場が混んでいて描きづらいのではないか、という心配は杞憂に過ぎませんでした。子供たちは絵画にじっくりと向き合い、真剣に、つぶさに、絵をみていました。

 

磁気ボードに描いたとは思えない繊細な筆致、迷いのないまっすぐな輪郭、彼らは実にのびのびと、自分の目で見たものをストレートに表現しています。背景を黒くするなど、磁気ボード独特の表現技法を見つけた子もいました。

では、さっそく印刷してみましょう。額縁が更に絵を引き立てます。そのまま自宅で飾るのもよし、白黒で印刷することで「ぬり絵」になるので、展示作品を思い出しながら色鉛筆などで色を塗る楽しみもあります。

女の子は「椅子の傍らの少女」、男の子は「ヴァニタスの静物」が人気でした。
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お絵かきボードに絵を描くことは、観るだけの鑑賞と比べ、作品とじっくり向きあうこができます。ただ、残念ながら、磁気ボードに描いた絵は、持って帰ることができません。美術館で本物の作品と向き合うという貴重な体験を何とかカタチに残したい…。その答えが、今回の企画でした。描いた絵を部屋に飾る。おじいちゃんおばあちゃんに描いた絵を見せて、美術館で何をしたのか伝える。作品を思い出しながら色を塗る。鑑賞を美術館で終わらせず、家に帰ってからも自分で、そして家族と一緒に、作品を味わうことができます。

「子供が夢中になって、描き終わるまで親が待つはめになりました」、「小さい子供を連れてくるのが不安だったのですが、この企画のおかげで助かりました」お父さんやお母さんにとっても、子供たちの反応は想像以上だったようです。何よりも嬉しかったのは、カードに印刷された自分の絵を見た時の、子供たちの照れたような、でも嬉しそうな笑顔でした。もっとやりたい、と会場に戻って別の作品を描いて持ってきた女の子、お絵かきボードとカードに印刷された絵を何度も何度も見比べていた男の子。彼らにとって、美術館は「混んでいて退屈な場所」にはならないことでしょう。また、絵の正面のスペースを子供たちに空けてくださったり、ボードに描かれた子供たちの絵を観ながら、改めて作品の感想を語り合う大人のお客様の姿も印象的でした。

ずっと観てみたかった名画に美術館で会えるだけで確かに満足できます。でも、その名画の前で絵を描く子供がいたり、その子の絵をみて話しかける大人、カタログを手に1 枚の絵をじっと見つめる人など、美術館で思い思いに作品を楽しむ人々の姿があったら、そこで過ごす時間はさらに豊かに、心に残るものになるのではないでしょうか。この3 日間で「お絵かきボードでGO!」を体験した子供たちはおよそ440 名。この子たちは次に東京都美術館に来た時も、きっとお絵かきボードを探すことでしょう。「大人はお絵かきが出来ないのですか?」という声も沢山いただきました。この企画を終わらせることなく、さらに工夫を重ねて、またいつかみなさんをお迎えしたいです。

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とびラー候補生:筆者:山本明日香(やまもと あすか)
千駄木で夫と2人暮らし。15 年勤めた民放テレビ局を数年前に退職。会社の仕事にかまけて出来なかったことに少しずつ挑戦中。美術以外で気になるテーマは、うつわ、テキスタイル、リフォーム、ニュージーランド、そして食。食べて鍛える「舌の筋トレ」歴10 年。

とびラボ:とびラーのコミュニケーションデザインを考える

2012.05.20

5月20日(日)のとびラボは僕(伊藤達矢)の呼びかけによる「とびラーのコミュニケーションデザインを考える」でした。どうしたら、もっととびラー候補生とスタッフ含め100人以上の大所帯のコミュニケーションをスムーズにできるか、とびラー候補生にとって都美がさらに刺激的な場になるためにはどうしたら良いかを主題にミーティングを行いました。そこで、僭越ながら僕から一つ提案させて頂いたのが「とびら楽団」の設立です。きっとこれだけいれば、楽器が出来る人が必ずいるのではないかと思い、呼びかけをさせて頂きました。早速ご賛同いただき、一気に設立の運びとなりました。とびら楽団は、曲を演奏する人たちだけでなく、とびらプロジェクトに関わる皆さん全ての心を音楽で動かして行けるような、そんな楽団になればなと願っております。その他にも、メールやブログなどの情報共有の方法から、「基礎講座が終わってしまうととびラー候補生が全員でそろう場所がない。是非定期的に全員でそろう場をつくりたい」などの具体的なご意見が出た他、アートスタディルームの壁を使って、共通の話題に付せんでコメントを足して行くアナログなコミュニケーションも進めてはどうかなどたくさん意見が交わされました。基礎講座も前半戦を過ぎました。とびラー候補生にとっての基礎は知識だけでなく、横のネットワークも大事な基礎になるのです。(伊藤)

とびラボ:「綴プロジェクト」ミーティング

2012.05.19

隔週で行われている基礎講座の間の週の金土日は、ゆるやかに刺激的な活動をつくるための研究会の日(通称とびラボ)です。5月19日(土)に行われたとびラボは学芸員の稲庭彩和子さんを中心に「綴プロジェクト」について考える会でした。「綴プロジェクト」とは、キヤノンから寄贈頂くことを予定している高精細複製品の6曲1双の屏風2双を使ったプロジェクトです。<「桜図屏風:さくらずびょうぶ」(伝俵屋宗達筆)、「群鶴図屏風:ぐんかくずびょうぶ」(尾形光琳筆)の高精細複製品>複製品といってもキヤノンの技術をつくした一品で、金箔は本物、貴重な資料です。「綴プロジェクト」では、この屏風を使ってどんなことができるか、現在とびラー候補生ともども考えを巡らせています。本物と違って、ガラスケースにいれて鑑賞する必要はなく、弱視の方により近距離で鑑賞頂くこともできます。また、展示室ではなく、例えばロウソクの明かりで屏風をみるなど、日常の生活空間の中で屏風の存在を感じる試みも可能です。「綴プロジェクト」面白くなりそうです。(伊藤)

佐藤悠の一枚話

2012.04.22

初回基礎講座や、リニューアル開館記念式典などを無事に乗り越え、とびらプロジェクトも少しずつ波に乗ってきました。4月22日の「とびラボ」では、東京藝術大学 先端芸術表現科の博士課程に在籍している佐藤悠君に講師として来て頂き、ワークショップを通してとびラー候補生同士の交流が行われました。佐藤悠君のワークショップは、「いちまいばなし」→「いちまいはた」→「いちまいがたり」とワークショップ連鎖の3段組。3時間の長丁場でしたが、さすがはとびラー候補生たち、なかなかの仕上がりです。

この「とびラボ」とは、90名を超えるの大所帯のとびらプロジェクトでは、なかなかとびラー候補生同士がゆっくり話しあう時間がつくれません。そこで、よりとびラー候補生同士が深く知り合えるために、自由にとびラー候補生同士が使える「時間」と「場所」をつくりました。

4月〜6月までのとびラボは、基礎講座の無い週の週末(金土日)の午後に、アートスタディールームやプロジェクトルームを解放しています。いつ来ていつ帰っても自由。ふらっと来ると誰かがいて、お話するもよし、展示を一緒にみるもよし。自由なコミュニケーションの場として利用して頂き、とびラー同士のネットワークをつくっていただければと思います。アートコミュニケータなので、まずは一番身近な同期生同士のコミニュケーションからスタートです。(伊藤)

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