東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

活動紹介

第62回 東京藝術大学 卒業・修了作品展

2013.01.31

◉前日準備

◉会期スタート!

<見楽会>

<卒展さんぽ>

<東京都美術館 ミュージアムショップ「藝大生のスケッチブック」>

<弾丸ツアー>

<とびラー×日比野克彦 座談会>

<コンシェルジュ>

第61回 東京藝術大学卒業修了作品展 とびラー大活躍

2013.01.31

1月26日(土)から31日(木)にかけて第61回東京藝術大学卒業修了作品展(以下:卒修展)が開催されました。今年の卒修展は東京都美術館と東京藝術大学を一つのコミュニティーとして捉え、藝大生ととびラー候補生(以下:とびコー)のみなさんが力を合わせて取り組みました。東京都美術館(以下:都美)のロビー階入り口正面には、東京都美術館のロゴと東京藝術大学のロゴのオブジェがついたコンシェルジュタワーが設置されました。さわやかな藝大生二人が来館者をご案内しています。

 

都美のことなら熟知しているとびコーの大阪さん。力強い身方です。

 

今年の卒修展は2年ぶり(改修工事が2年間行なわれた)に都美で開催される卒修展です。リニューアルしたのは外観だけではなく、アート・コミュニティー形成事業(とびらプロジェクト)のもと、卒修展でもさまざまな試みがなされました。写真はミュージアム・ショップでライブペインティングを行なう先端芸術表現科修士2年生の林友深さん。

 

卒修展期間中のミージアム・ショップでは「スケッチブック」と題して、藝大生のドローイングが販売されました。卒業修了作品を鑑賞するだけではなく、ご来館されたみなさまに作品を持つ喜びを伝えたい、そんな藝大生の気持ちから生まれ企画です。こうした企画は、今年から卒修展を盛り上げて行こうとする藝大生によるプロジェクトチーム「PandA」によって進められています。「PandA」は卒業生修了生だけでなく藝大生なら誰でも参加できます。そして、「PandA」と「とびらプロジェクト」が連携することで、東京藝大の卒修展は、卒業修了生だけではなく、より多くの人々が参加できるプロジェクトとなって行きます。

 

こちらは、藝大生が自分の「作品を語る60分」と題したトークイベントの様子。ゲストは藝大生、モデレータは僕(伊藤)ととびコーさん(日替わり)。卒修展会期中5日間毎日13時~14時の間行なわれました。登壇して頂く藝大生は日本画、油画、彫刻、デザイン、工芸、芸術学、建築、先端芸術表現と日替わりでさまざま。同じ藝大にいても考えていることや、制作している作品などはそれぞれ異なるので、僕もモデレーターを勤めながらとても勉強になりました。今の藝大生は僕が学生のころよりもしっかりしている様に思い、思わす関心して聞いてしまいました。

 

会場からの質問も多く、和やかなお昼休みのひと時を演出するトークの時間となりました。

 

トークが終わると、初日限定で僕「伊藤達矢の卒修展弾丸ツアー」が行なわれました。卒修展は都美に加え、敷地が隣りあった東京藝大の校内全域を使った展覧会となっています。そのため、会場も広く順路も分かり難いため、1時間で効率よく一気に僕が案内してまわるという強行ツアーです。お客様は少ないだろうな~と予想していたところ、25名(スタッフいれたら30弱)もの方々にお集り頂きました。

 

藝大のことならだいたい分かっているはずの僕が、相当な急ぎ足で(脱落するお客様も気にせず)凡そ300点を超える作品を全て見てまわったのですが、結局2時間かかってしまいました。すみませんでした。。。そして、みなさん大変お疲れさまでした。最後は拍手で終わらせて頂き恐縮です。

 

卒修展期間中に毎日開催されていた企画の一つに先端芸術表現科の学生たちが企画した「午後ラウンジ」があります。毎日外部からゲスト講師を招き、卒修展の会場で自ら作品のプレゼンを行い、ゲストとともにアートについて語り合うという企画です。なんとそのゲスト講師にとびコーのみなさんが招かれました。アートのプロフェッショナルではありませんが、率直な意見や感想で藝大生と語り合っていました。

 

今回の卒修展のさまざまな企画のアイディアを出してくれたり、ミュージアム・ショップでのドローイング販売を成功に導いてくれた藝大生による卒修展企画チーム「PandA」のみなさんと、日比野克彦教授とのトークも開催されました。

 

都美のラウンジはいつのまにか大勢の来場者でいっぱいになりました。少し控えめに設えたのですが、さすがは日比野先生。これまでの卒修展では学科をまたいでの交流はありませんでしたし、教授と学生とが話をする機会などもありませんでした。今回の卒修展では、大学の教員、学生、美術館の学芸員、一般から集まったアート・コミュニケータ(とびコーさんたち)、それにその日たまたま居合わせた来場者が一体となっる様子が度々伺えました。

 

卒修展ではとびコーさんたちから発案された企画も実行されました。これまでの「とびらプロジェクト」で培ってきたノウハウを活かしながら、藝大生の作品を題材に、来場者へ向けてVTS(ビジュアル・シンキング・ストラテジー)が行なわれました。

 

来場者との対話を大切にしながた、大勢のまなざしを共有する時間ができました。こうした企画が自発的に出来上がってゆくのはとても素晴らしいことだと思いました。さすがアート・コミュニケータです。

日比野先生のトークは日を変えて第2段「レストランでトーク」が開催されました。会場は都美の2階にあるイタリアンレストラン「ミュージアムテラス」。日比野先生ととびコーのみなさんで卒修展を語りました。途中でレストランの店長田中さんも登場。「店をつくることはまちをつくること」素晴らしい。都美はさまざまな志のある方々で出来ていますね。

 

トークは夕方の閉店まで続きました。そして卒修展も無事に6日間の会期を終えることができました。ご来場頂いたみなさま、本当にありがとうございました。これほどまでに遊び尽くした卒修展はなかったかと思います。東京都美術館と東京藝術大学とが年に1度だけ共同で行なう展覧会「東京藝術大学卒業修了作品展」は、より多くの方々ととにもつくって行く展覧会です。来年こそは一緒に卒修展に関わりたいと思った方、是非来年は一緒にやりましょう。
(とびらプロジェクトマネージャ 伊藤達矢)

東京藝術大学 アトリエ・工房ツアー

2012.10.12

とびらプロジェクト・アシスタントの大谷郁です。
1月末に開催される東京藝術大学卒業修了作品展(以下:藝大卒展)が藝大上野校地と東京都美術館(以下:都美)の2会場で行われます。今年はとびらプロジェクトも藝大卒展と連携することから、とびラー候補生(以下:とびコー)限定「東京藝術大学アトリエ・工房の見学ツアー」が行われました。ツアーガイドはとびらプロジェクト・マネージャの伊藤とコーディネータの近藤、それに美術学部教務係長の田野邊さん、同じく教務係卒業修了制作展担当の萬代さんです。
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年度末の藝大卒展はとびコーさんが活躍する次なる大舞台となりますが、お隣にある藝大生の実態を実はあまり知りません・・・。藝大生は普段どのようなところで制作しているのでしょうか?どんなキャンパスライフを送っているのでしょうか?・・・知りたい! そこで、作品の生まれる現場を見に行こう!そして、藝大卒展の魅力を発進するきっかけを掴もう!という試みです。普段は教員・学生でなければなかなか入ることの出来ない場所であり、プロジェクト・マネージャの伊藤(助教)ですら自分の学科以外の授業中のアトリエには入ったことが無いというまさに聖域です。しかし、今回は美術学部の特別の計らいでツアーが実現しました。さー、いざ藝大のアトリエ・工房へ!

まずは日本画専攻のアトリエ。静かで落ち着いた雰囲気の中、大学院生が古典作品(国宝)の模本の制作をしていました。テーブルにはたくさんの資料と、色見本などが置いてあります。

 

実物の複写を見ながら丁寧に描き込んでいきます。学校で実物を見ながら制作することは出来ませんが、所蔵場所まで脚を運び色などの細かな調整も行うそうです。デスクに収まる程のサイズでも、完成までに1~2年要するとのこと。本当に緻密な作業で、緊張感のあるアトリエの雰囲気が印象的でした。

 

次に油画専攻のアトリエへ。油画専攻は日本画専攻と同じ絵画棟にあります。アトリエへ入るとまず目に入るのが白壁に飾られた沢山の絵。アトリエを共有する数人の学生たちがここで制作をしています。このように大きな作品を学校で制作する学生もいれば、学校以外の自宅などで制作する学生もいるそうです。アトリエを共有しながらも、画材を広げ、資料を広げ、それぞれがそれぞれのスタイルを持っている様子でした。

 

次は版画専攻を見学。油画専攻の学部3年生から選択し所属することができます。版画は、木版や銅版をはじめ様々な技法があり、実習を通して基礎的な技術を習得します。こちらは木版の制作風景、鮮やかな色合いが素敵です。

 

次は彫刻科の工房。金属や石や木材を加工する機械の大きな音が響き渡ります。石を研磨したり、金属を繋いだり、大きな木を彫ったりと作業も様々。私には何に使用するのか一見わからない機材や工具で溢れる工房でした。
学生たちの格好も危険を伴う作業に適したものになっています。ちなみにお昼休みは、制作の合間を縫って作業着のまま学食に来る工事現場のお兄さんのような学生も大勢います。一般大学には見られない少し変わった光景です。

 

次に工芸科へ。こちらもまた彫金をはじめ漆芸、陶芸などの細かい分野に分かれ伝統技法を学びます。写真は鍛金専攻の工房、大きな機械が立ち並びます。講師の方からどのような加工に使われるのかを説明をしていただきました。彫刻科と扱う素材は近いですが、工芸科では伝統的な工芸技術の継承を主体とした教育の取り組みがなされているそうです。

 

学生作品を資料として見せていただきました。一枚の金属板が壷や動物へと形を変えるのだから不思議です。「例えば金属を叩いて形をつくるとき、失敗すると1からやり直しなのですか?」と質問すると、「直しが利くようにまずはざっくりと大きく形をとっていき、徐々に細かく手を入れて行きます。動物の目鼻のように一発で決めなければならないポイントもあります。」とのことでした。出来上がった作品と扱ったことがなければ想定しづらい制作の過程とを見比べることができ、とびコーのみなさんも驚いた様子でした。

 

最後はデザイン科のアトリエへ。機材、工具が多く置かれていた彫刻科、工芸科からは一転、とてもスタイリッシュな空間です。
ちょうど授業内で制作した作品の展示が行われていました。チョコレートメーカーのロゴやポスター、パッケージの様々なアイディアがずらっと並んでいます。このような課題や実習を積み重ね、卒業時には学生それぞれが自らの表現を作品として発表します。
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今回は2時間程のツアーの中で多くのアトリエや工房を見学しましたが、残念ながら全ての学科を見学できた訳ではありません。まだまだ藝大には魅力的な学科がたくさんあります。1月の藝大卒展はそんな藝大の魅力を一度に見ることのできる、たまと無い機会です。今からとても楽しみです。
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とびらプロジェクトでは今回のツアーをきっかけに、藝大卒展に向けて卒業作品を制作している学生を取材し、随時ブログにて公開していきます。出来上がった作品だけではなく制作の過程や作者の顔を追うことで、これまでよりもさらに藝大卒展を身近に、また藝大そのものを魅力的に感じて頂ける様にしたいと思います。最後に、各学科の教育研究助手のみなさま講師の皆様、懇切丁寧に学科内の案内と説明をして下さり、誠にありがとうございました!(とびらプロジェクト・アシスタント 大谷郁)

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