2018.06.02
アートの作品はたくさんありますが、はたして「作品を鑑賞する」とは、どのような活動なのでしょうか?
ただ何かを「見る」だけではなく、自分の目と頭を使って、そこにある表現に迫ること。
美術館での体験や学びとはどのようなものか、今回の講座では「鑑賞」について、理論と実践の両面からそのあり方を考えていきます。
今回の講師を務めるのは東京都美術館学芸員 アート・コミュニケーション係長の稲庭彩和子さん。
講座の前半は3つの映像を見て、気づいたことをひもときながら話し合います。
(3)「Museum Start あいうえの スペシャル・マンデー・コース」
この3つの映像を順番に視聴しながら、それぞれ気づいたことや疑問に感じたことをシェアしあい、稲庭さんがコメントバックする形で午前の講座はすすんでいきました。ここではそれぞれの動画のポイントを簡単に紹介します。
(1)「美術館の展示室で物語をつむぐ」
メトロポリタン美術館の館長である、トーマス・キャンベル氏のプレゼンテーション。作品を知識によって見ていくのではなく、個人の発見や気づきから、共感をもって見ていく、鑑賞者が中心となる美術館での体験について語られています。
映像のスクリプトも読みつつ、気になった部分についてグループで話し合い、いくつかの論点を全体でも共有しました。
たとえば「どの作品も当時は現代美術だった」、「リアリティをもって作品に出会う」、「美術館での体験とはどうあるか」・・・など。
アートや作品が好きで美術館を訪れる人も、普段はなかなか美術館に来る機会がない人もいるなかで、「作品を見て考える体験」について俯瞰した視点から考えていきます。
(2)「Thinking Through Arts」
次に視聴したのは、イザベラ・ガードナー・スチュアート美術館で行なわれている対話による鑑賞を使った手法(Visual Thinking Strategies)の取り組み。こどもたちが作品について、素直な視点で発言していく様子が紹介されています。
人間には、言葉を使って思考を構築していく習慣があります。視覚情報が豊かであればあるほど、言葉で伝えるのが難しかったりするもの。だからこそ豊かな解釈が生まれ、言語表現はより発達したものへと変容していきます。
また、多様な考え方や価値観を保持しながら「対話」をすすめていくうえで重要なのが「ファシリテーター」という役割。中立的に場を進行する人がいる状態が、異なる考えを持つ人たちが共存することを可能にしていることに注目しました。
(3)「Museum Start あいうえの スペシャル・マンデー・コース」
実際にとびらプロジェクトで取り組んでいる、スクールプログラムの様子です。
展示室のなかで、アート・コミュニケータがこどもたちに伴走する事例が紹介されており、展示室での活動が子どもと大人の「学び合い」の場であることについて見ていきました。
現代のアクティヴ・ラーニングに必要なのは、こどもに教え諭すだけではなく、ともに議論しながら考えていく姿勢。個人の年齢や背景が異なるからこそ、違う意見や価値観があり、多様な解釈が生まれるもの。ミュージアムにあるたくさんの「もの」や「作品」を、それぞれの視点から考え、共有していく取り組みが、いま世界の各地で起こっています。
様々な人のまなざしを知ることは、互いの背景を重んじあい、共存を認めあう、文化的な理解を深めるプラクティスでもあるのです。
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午後は実際に自分の目と頭をつかって作品を見るワークから、「対話による作品鑑賞」を体験していきます。ここから進行は、各グループの進行役「ファシリテータ」が担います。
まずは作品を使ったアートカードで「なっとく!ゲーム」を行いました。
たくさんの作品を見比べながら並べ、絵の中の共通点を探し、伝え合うコミュニケーション・ツールです。
ここからは実際に、展示室にある作品を見に行きます。
訪れたのは公募展示室で開催中の「第84回 旺玄展」。会場には見応えのある作品が所狭しと並びますが、今日は各グループにつき2作品ずつを、集中して鑑賞します。
1作品あたりの鑑賞時間は約20分。
「1枚の絵の前でそんなに立ち止まるの!?」と始めは驚かれる方もいらっしゃいましたが、絵をよく見て、話し始めてみたら「あっという間だった!」「もっと見て話してみたい」との声も。
講座の終盤では展示室から戻り、今日の体験を振り返ってみます。
「自分では気づかなかったことに気づいた」
「作品について話したり、聞いたりするうちに、絵がどんどん変わって見えた」
「話している人の人柄も見えてくるようだった」
一つの作品を見て、それぞれの気づきを共有していくことで、「誰かの気づきを自分がどう思うか?」という相対的な視点をいつのまにか獲得していることに気がつきます。
講座の最後には、参加したとびラーからこんな発言が。
そう、これこそが「複数人で話しながら作品を見る」醍醐味であり、ポイントなのです!(・・・と、進行していた学芸員の河野さん。)
どんなに解釈が違っても、同じ作品をみて、同じことを捉えた延長にそれぞれの思考があります。意見の正誤を問うのではなく、「異なる視点を共有する」体験が、対話による鑑賞で得られるもの。全く同じ観点ではなくても、自然とまなざしが重なり、自分とは違う他者の在り方を確認することができるのです。
見ること、考えること、言葉にすること、他の人とやりとりすること。
作品や人と対話し、交流を深めていくと、新しい視野が開けるような体験に出会うことがあります。そんな機会にふれ、また次の誰かに届けていくためのきっかけに、今日の講座がなっていたらいいなと思います。
(とびらプロジェクト・アシスタント 峰岸優香)
2018.05.28
2018年5月28日、「プーシキン美術館展ー旅するフランス風景画」障害のある方のための特別鑑賞会で、「iPad@プーシキン美術館展」を開催しました。
iPadを使ったプログラムはこれまでの「障害のある方のための特別鑑賞会」でも、「視覚に障害のある方も車椅子の方も、作品を見ることを楽しんでもらいたい」という思いで、とびラボとして企画、実施されてきました。
作品の画像データを取り込んだ東京都美術館のiPadを持ったアート・コミュニケーター(以下とびラー)がそれぞれの階の展示室内に2名程度滞在し、iPadの画面上で画像を拡大したり、手元で見せることで、より鑑賞を楽しんでいただけるようにする鑑賞サポートプログラムです。
「この絵のこの色が良く見たかったの」と具体的に見たいものをとびラーにお伝えしてくださる方や、「杖をついていると絵の近くまで寄りづらいから、こうして見せてもらえるのはありがたい」との言葉や、「これは何が描かれてるの?」とiPadで拡大した画像と本物の絵を見比べながら、それぞれ思っていたものとの違いを楽しんだり、絵について話しているうちに、美術館へ来ることへの思いを話してくださったり。さまざまなコミュニケーションがうまれる場となりました。
今回、このプログラムに参加したとびラーは25名。「喜んでもらえたのが嬉しかった」「お話し出来たのが楽しかった」と、とびラー自身も楽しんでいました。
絵画を鑑賞することは個人的な経験になりがちですが、iPadという道具を介して、作品×人のコミュニケーションがたくさん生まれる機会となったことは、とびラーにとっても発見でした。
障害がある、ないに関わらず、「心のゆたかさの拠り所」を目指す東京都美術館で、このような場があることが改めて素敵に感じました。
次回の障害のある方のための特別鑑賞会では、どんな出会いがあり、どんなコミュニケーションが生まれるのか、ワクワクしています。
執筆:今村 昭浩(アート・コミュニケータ「とびラー」)
アート×福祉×地域を探求すべく、とびラーとなって、早3年目。アートを通じて、人がつながる機会があちこちで生まれることを目指して、奮闘中です!
2018.05.28
2018年5月28日、「プーシキン美術館展ー旅するフランス風景画」で障害のある方のための特別鑑賞会が行われ、1,111名の来館者をお迎えしました。休室日の展示室を、障害のある方のために開室する特別な1日。この日に関わったアート・コミュニケータは、現役とびラーと、3年の任期を満了した元とびラー、あわせて総勢62名。総出で、朝から準備に取り掛かります。
展示室の中では、「車椅子の方や視覚に障害のある方にも、作品の細部を近くで見てもらいたい」という思いから生まれた“とびラボ”(とびラー発の企画)「iPad@プーシキン美術館展」が実施されました。アート・コミュニケータが来館者に、iPadに取り込んだ作品画像の細部を拡大してお見せすると、それをきっかけにコミュニケーションが生まれていました。
展示室入口のホワイエでは、学芸員による「ワンポイント・トーク」が行われ、展示のみどころなどが紹介されます。「ワンポイント・トーク」には、手話通訳が付いています。
より多くの方に、トークの内容が伝わりやすくなるように、トークの要点をスライドで表示する“とびラボ”(とびラー発の企画)「文字表示プロジェクト」も実施しました。文字表示のスライド作成は、とびラーの手によるものです。
視覚障害のある方といっしょに展示を鑑賞しているアート・コミュニケータもいます。当日ご要望があった場合には、お話をしながら鑑賞をご一緒させていただくこともあります。
この日に東京都美術館に足を運んでくださった方が、安全かつ有意義に展覧会を楽しんでいただけるよう、アート・コミュニケータひとりひとりが考え、心を配る、「障害のある方のための特別鑑賞会」。今回も無事、終了しました。
またのご参加をお待ちしております。
(東京藝術大学美術学部特任助手 越川さくら)
2018.05.12
第3回目となる基礎講座。今回の舞台は、ずばり上野公園。
ホームである東京都美術館だけではなく、上野公園内の文化施設をグループごとにリサーチに行きます。
◯1日の流れ
くじをひき、行き先を決める(グループ作成)
10:00-10:40 本日の課題発表、活動の説明
10:40-13:20 グループワーク 各所に出かけ、リサーチを行う
案をまとめる
13:20-15:00 プレゼン・講評・まとめ
くじをひき、グループが決まったら講座スタートです。
東京都美術館(以下:都美)学芸員の稲庭さんからアクセシビリティの基本的な考え方や様々なプログラムの事例についてお話しを聞きます。
そもそもアクセシビリティとは?
一般的にアクセシビリティ(accessibility)とは「近づきやすさ」「得やすさ」などと訳される言葉です。
高齢者や障害を持った方などいわゆる社会的弱者と言われる方々を含め、どんな状況におかれた人でも支障なくサービスを利用できることが大切です。
アクセシビリティを阻害する原因は、身体的なこと、心理的なこと、あるいは物理的、社会構造的なことなど様々ありますが、何よりまずその原因に気づくことが大変だったりします。自分が支障なくできている事柄に対して、その人の状況をよく想像し、アクセシビリティを高めていこうとすることは簡単なことではありません。自分の思わぬところが人によってはとても苦労するということもあるからです。
そういった問題に、海外のミュージアムが取り組むアクセシビリティにまつわるいくつかのプログラム事例があげられました。また、とびラーもかかわる東京都美術館の「障害のある方のための特別鑑賞会」についても紹介がありました。
そしていよいよ講師の日比野克彦さんと森司さんから本日のテーマと課題の発表です。
本日のテーマ:「上野公園のアクセシビリティを考えよう」
課題:「あなたは2050年の未来から2018年に来てしまいました。2050年にはあって、2018年の世界にはない、美術館・博物館・上野公園についてのアクセシビリティに関連する知恵、ソフトコンテンツ、コミュニティ、技術があれば教えてください。」
数十年先の未来に予想されている、超高齢化社会など、いろいろな問題を抱える日本の姿・状況。そういった未来で必要されるアクセシビリティのあり方とはどのようなものなのでしょうか。
日比野さん、森さんからお二人が考えるアクセシビリティについてお話がありました。
日比野さんから出たキーワードとして「質量0のアクセシビリティ」という話がありました。重さのある物理的な移動・アクセス以前に、まず考えたり想像することが大切だということです。
すべての始まりはイメージをすること。イメージが世界を作り上げている。視野を広げて、拡張できるだけする。
自分自身が開拓者になったつもりで様々なことに興味を持つ。そしてその中で違和感や、やりにくさを感じたら、そこに答えが隠れている。まずは柔軟な姿勢で考えてみることが大切です。
日比野さんと森さんからリサーチのポイントやヒントをもらい、いよいよフィールドに出発です。
今回みなさんが出かけるミュージアムは5つです。
●東京国立博物館
●恩賜上野動物園
●国立西洋美術館
●国際こども図書館
●国立科学博物館
こちらは科学博物館に行くグループ。
「科学博物館ってどこにあるの?」
駅から向かうと少し奥に隠れている科博。
そんなところも2050年のアクセシビリティを考えるヒントになるのかもしれません。
こちらは西洋美術館にでかけたグループです。
常設展を観に行く模様。
東京国立博物館のグループは観るものが多くて楽しそうです。
建物の内の造りや収蔵品、2050年に果たしてどのようなかたちで残っているのでしょうか…。
各自外でのリサーチが終わったら、昼食を取りながら午後の発表について打ち合わせを行います。
感じたこと、考えたことを食事を取りながらだと気軽に話せます。
皆さん和やかな雰囲気です。
各グループ模造紙に今回の課題、2050年の未来図をまとめていきます。
まとめていく段階でそれぞれの個性がみられました。まとめ方も様々で、ポストイットを貼り付けいくグループや町の構造を絵で表したグループなど、同じ場所に行ったグループでも全然違う意見が出ていました。
最後に、各グループまとめを発表します。
2050年にはもう美術館は存在しない、というグループや恩賜上野動物園では、動物の生態系が展示されるというものも。
各グループに日比野克彦さんと森司さんによるコメントがあります。
全体を通して物理的な面を取り上げたグループも多かった今回。
公園内の移動も自動車椅子ならそれほど苦労しなくてもいけるね、などすでに2018年にあるものも多く、それほどにテクノロジーはすでに発達していると改めて実感できたのではないでしょうか。
AI文化が進んだ今、果たして人ができることはなんなのか。質量の0のアクセシビリティとは人間のコミュニケーション。気楽に意見を言い合える空気感。
実践的な体験を受けて新しい考え方を見つけるヒントになったのではないでしょうか。
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とびらプロジェクトアシスタント下澤希望
2018.04.28
4月28日(土)、第2回目の基礎講座『「きく力」を身につける』を行いました。
講師は、とびらプロジェクトアドバイザーの西村佳哲さんです。
とびらプロジェクトの始まった2012年から、その礎となる考え方として大切にされている「きく力」。今年度の新しいとびラー・7期のみなさんも、アート・コミュニケータとしてのチューンアップをここから始めていきます。講座を通して「きく」という行為の「力」を実感していく、7期とびラーの様子をリポートします。
「きく力」の講座は、「きき手」と「話し手」の役割を入れ替えつつ、午前午後を通したワーク形式で行われます。この中で、会場の空気がワークごとに大きく変化していくのが特徴的です。
午前の「きかない」ワークでは、普段何気なくしてしまっているかもしれない「きけていない」状態(無視・横取り・否定・介入)を意図的に作り出し、話し手がどのような変化を起こすかを実験します。この時、会場の空気は時間が経つごとに冷えていき、とびラーの声が途絶えがちになっていきます。
*
では、どのようにきけばいいのか。
西村さんのヒントを元に、午後の「きく」ワークに入ると、会場の様子は再び熱を帯びていきます。ワーク終了を報せる鐘の音が鳴っても、対話が終わらないほどです。「話をしている時、人が本当にきいてくれていれば、その考えは成長を始める。周囲からあるエネルギーを受け取りながら。それはまるで植物のようです」と西村さんは言います。
話の「内容」を知的に理解するきき方と、
その人の「気持ち」を感じてそこについて行くきき方の違い。
どちらもきけているようですが、内容を頭で理解しようとする時点で、すでに話す人の側ではなく、自分の世界に入ってしまっているのではないか。話す人の気持ちに寄り添い、その思考の少しあとからついて行くことで、その人の思考が育って行くようなきき方とは?
気持ちにフォーカスした「きかれ方」で話した時の思考の進み方、開き方を身をもって体験すると、「発信する側に力があるのではなく、本当は「きく」側が力を持っているんですよ」という西村さんの言葉が腑に落ちます。
聴覚障害のあるとびラーも加わった今年度のとびらプロジェクト。基礎講座では、手話通訳も交えて講座を進行をします。手話通訳者が通訳をする際に心がけていることを教えてくれました。「表情も使って、なんとか伝えようとします。伝わりきらないと思ったら、お話にはなかった単語を加えることもします。常に勉強です」
単語のつながりだけでは表せない「気持ち」を伝えるために、間に「人」が介在する可能性の一端にも触れることができました。
これから始まるとびラーとしての活動で、互いに想いを受け取り合い、育て合って活動が広がっていくような関係が、たくさん生まれてくると素敵ですね。
(東京藝術大学美術学部特任助手 越川さくら)
2018.04.14
4月14日(土)、第1回目の基礎講座が行われ、とびラー全員が芸大の講義室に集合しました。
新たに53人の第7期とびラーを迎え、総勢140名以上のメンバーで7年目のとびらプロジェクトがスタートです。
まずはスタッフから自己紹介。
とびらプロジェクトとMuseum Startあいうえのを運営する、東京藝術大学のチームです。
続いて、東京都美術館チームから一言ずつ紹介がありました。
全員でのオリエンテーションは、まず最初にプロジェクトマネージャの伊藤さんから、とびらプロジェクトが目指す方向や考え方、またとびラーの活動への関わり方について話されました。
各講座やとびラボ、そしてMuseum Startあいうえののプログラム…1年通して様々なプログラムとともに展開されるとびラーの活動ですが、関わり方や動き方はとびラーそれぞれ。プロジェクトの1年のながれを共有しながら、今年の活動をイメージしていきます。
今年の夏は、東京都美術館のアート・コミュニケーション事業による企画展「BENTO
おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン」が開催されます。コミュニケーションデザインもテーマとするこの展覧会。とびラーの活動の舞台としても重要なものとなります。
展覧会について、担当学芸員の熊谷さんよりお話いただきました。
全員でのオリエンテーションの後は、新とびラーと2,3年目のとびラーにわかれてのガイダンスにうつります。
新とびラーのみなさんとは活動する上での約束や講座のスケジュールなどを確認。数時間で沢山の情報を取り込む1日でしたが、互いに確認し合いながら、わからないことも少しずつクリアにしていきます。
ガイダンスの後半は、活動の拠点となる都美と藝大の歴史や特徴をご紹介。
都美学芸員の河野さんからは、レンガ色の建物が特徴的な現在の建物になるまでの歴史をお話いただきました。
2012年のリニューアルをきっかけに始動したとびらプロジェクトの現在にも繋がるお話です。
最後は、5,6期とびラーによるガイドのもと、都美の館内探検にでかけます。
グループごとに藝大を出発!
ラウンジや美術情報室など、館内には展示室の他にも様々な場所があります。
5,6期とびラーによる案内には、自身の経験から「こんなことも知っておくと活動するに生かせるよ!」といった工夫も加えられていました。
今回の館内探検では、バックヤードの一部も見学。美術館の舞台裏を垣間見る貴重な機会となりました。
活動拠点となる「アートスタディルーム」がゴールとなり、ここで解散・ガイダンス終了です。
7期のみなさんは5,6期とびラーが準備していたカフェを楽しみつつ、早速ミーティングに参加したり、この場で初めて会う人との交流を楽しんだり、解散後も賑やかな時間が続きました。
今後は6月まで隔週で行われる基礎講座に参加しながら、他の様々な活動にも徐々に加わっていきます。
7期のみなさんが加わり、今年はどんな活動が生まれていくのでしょうか。
とびラーのみなさん、本年度もよろしくお願いします!
(東京藝術大学美術学部特任助手 大谷郁)
2018.03.28
2018年3月28日(水)の夜、先生向けのプログラム「ティーチャーズ・カフェ(先生のための特別研修会)」が開催されました。
このプログラムの対象となるのは「美術館での授業が未経験の幼保小中高等学校の教員」のみなさん。先生の、ミュージアムでの授業づくりのデビューを応援するプログラムとして開催しました。
プログラムの様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)
2018.03.25
春休みに入った最初の日曜日の2018年3月25日、4組8名のファミリーのみなさんが東京都美術館に来館しました。
迎えたのは7名のアート・コミュニケータ(愛称:とびラー)のみなさん。
この日に行われたプログラムは「ミュージアム・トリップ」。さまざまな状況にあるこどもたちをミュージアムへ招待するインクルーシヴ・プログラムです。経済的に困難な家庭のこどもたちを支援する団体や、海外にルーツのあるこどもたちを支援する団体などの各専門機関と連携して実施しています。
今回は養育家庭(養育里親)を支援するNPO法人 東京養育家庭の会の中の一つの支部より申込みがあり、プログラムが実現しました。
プログラムの様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)
2018.03.24
「とにかく作品を鑑賞して対話したい!」という思いから始まった、かけだしの作品鑑賞企画「おしゃべり花さんぽ」。鑑賞した「第85回 池坊東京連合支部 いけばな池坊展」は、いけばなの固定概念を覆すような(少なくともいけばな鑑賞のビギナーにとっては!)バラエティに富んだ作品も数多く出展されており、参加とびラーたちは興津々!で展覧会をめぐりました。
今回はとびラーだけでの試験的な実施となりましたが、鑑賞の視点を共有するためのアイデアをたくさん交わし、どんなプログラムが「アートへの入口」となりうるのかをあらためて考える有意義なトライアルとなりました。
このプログラムを企画していた当初は、ちょうど「ブリューゲル展」の期間中でもあり、展覧会には多くの花を題材にした作品があったことから、花を鑑賞のテーマに考えました。さらに「限られた時間の中でどの作品にフォーカスするか?」「より多くの人たちに関心を持ってもらえるには?」などと議論するうち、絵画に描かれた花ではなく、同時期に開催される公募展「第85回 池坊東京連合支部 いけばな池坊展」で活けられた、本物の花を扱う作品を鑑賞してみよう!ということに。
正直なところ「いけばな」は、とびラーたちにとっても馴染みの薄いものです。しかし「いけばなへの入口」をどう楽しむかは、まさに「アートへの入口」を広げる私たちとびラーに与えられたチャレンジでもありました。
いけばなという作品について、それぞれが感じた鑑賞の体験を共有するために、あれやこれやの議論の末、今回のプログラムでは2つの方法をトライしてみることに。
(1)参加者それぞれの印象に残ったいけばなの作品を、感想や見どころ伝えるためにイラストに描く
(2)もともとタイトルのない作品に、自分なりのタイトルをつける。それを和紙に筆で書く!
こうして、いけばな作品の魅力を共有し、話し合うことにしました。
いけばな池坊展には多くの人が出品するため、会場がとても混み合います。つまり「おしゃべり花さんぽ」の参加者たちが、作品の前を占拠しておしゃべりしながら作品を見るのは望ましくない状況です。しかし、気に入った作品をただ単に写真に撮って見せ合うだけでは楽しくない。そこで(1)(2)のような工夫が生まれました。
こうした工夫を通して各参加とびラーから紹介されたのは、枝ぶりやフォルム、花材のユニークさ、細部への気づき、作品の世界観、そこから連想される物語など、実にさまざまな視点でした。
同じいけばな展を見ても、ピックアップする作品も違えば、目の付け所もまったく違う。いけばなについて特別な知識はなくても自由に作品を味わい、感想や発見を交換し共有できる楽しみ!──そんなことを肌で感じることができました。
今回のプログラムはとびラー内部での実験的な実施となりましたが、美術や美術館に馴染みのない人たちとも、きっと楽しい交流ができるはず。とびらプロジェクトではこれからも、たくさんの「アートへの入口」を作る工夫を発信していきます。(機会があれば、ぜひ参加して体験してみてくださいね!)
執筆:北田郭時(アート・コミュニケータ「とびラー」)
作品を見ながら「あーでもない、こーでもない」と話している人たちを見ているのが好きでとびラーに。
普段は人見知りだけど、役割を見つけると元気になります(笑)
執筆:濱野かほる(アート・コミュニケータ「とびラー」)
美術館と来館者を楽しくおもしろくつなぐ架け橋になりたい!と作品鑑賞のプログラムを中心に活動中の3年目。来館者の笑顔を目指して様々なコミュニケーションを模索しています。アウトドアと動物大好きとびラー。
2018.03.22
「うえの!ふしぎ発見」は、上野公園に集まる複数のミュージアムによるコラボレーションプログラム。年間を通して6種類のコラボレーションプログラムが行われます。
今回の「うえの!ふしぎ発見:コレクター部」は、上野の森美術館、東京都美術館、東京藝術大学によるコラボレーションプログラムでした。2つの美術館の学芸員と大学の研究員が協力してプログラムを企画し、当日は、アート・コミュニケータ(とびラー)も共に活動しました。
プログラムの様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)