東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

活動紹介

【藝祭2018】「とびラーによる御輿制作インタビュー②」

2018.08.16

こんにちは。とびラーの松原です。今日は『先端・彫刻・ピアノ・管楽・音環』チームが作っている御輿の制作現場をレポートします。伊藤さん(彫刻)、西山さん(先端)の両隊長にインタビューしました。このチームのイメージはエジプトという事で、アヌビス神を作成していました。

 

 

 

他のテーマ候補として『能』も挙がったそうですが、和のテーマは他チームに譲る事にして、音楽、踊りとコラボしやすそうなエジプト(アヌビス神)に軍配が上がった様です。この決め方は多数決だったとのこと。科をまたぐコラボが売りなので、御輿を中心とした、当日の連携パフォーマンスを、どうかお楽しみにとのコメントでした。

 

 

 

 

 

 

取材の最後に、隊長に立候補した、やる気満々のお二人に「意見が合わない事は無いですか?」と、とびラーからチョット意地悪な質問をしたら、間髪入れず「全然無いよねー」と答えが返って来ました。過去の様々なノウハウ(資料)が伝授され、毎日の様に暑い作業現場に差し入れに来てくれるという先輩方の暖かい応援の声が聞こえてくる様でした。

息のピッタリ合った、ピアスがお似合いのお二人でした。

 

 

取材・執筆:松原誠一(アート・コミュニケータ「とびラー」)

…「美術館はライブハウスだと思ってとびラー活動してます。御輿づくりのライブ感を熱くお伝えしまーす!

 

 


★藝大生やとびラーが活躍する「藝祭2018」を一緒に楽しみませんか?

公式サイト→(http://geisai.geidai.ac.jp/2018/index.html)

開催期間:9/7(金)8(土)9(日)9:00〜20:00  / 東京藝術大学上野校地にて

【藝祭2018】「とびラーによる御輿制作インタビュー」が始まります!①

2018.08.16

暑い、今年は特に暑い。でも、もっと暑くて、もっと熱いところがあります。東京藝術大学(以下、藝大)の敷地に建てられたテントの中です。そこでは今年藝大に入学した学生が、9月7日から9日に開催される藝大の学園祭「藝祭」に向けて、御輿づくりの真最中です。

藝大に興味があり、毎年の藝祭も楽しみにしている、とびらプロジェクトのアート・コミュニケータ(愛称「とびラー」)の有志は、今年も、藝祭まで待てずに、御輿づくりの現場に突撃取材しようということになりました。学園祭を学生だけが楽しむのは勿体無い、周りの大人も楽しんじゃおうというノリです。改めましてみなさんこんにちは、とびラーの鈴木です。

昨年までは、藝祭では8基の御輿を制作していましたが、今年は、諸々の事情で4基になったということで、パワーが倍増するのか、はたまた大勢の船頭が御輿を山に登らせてしまうのか、興味津々です。

今年第一回の御輿取材は、8月10日に行いました。ここからは、そこで取材させていただいた、『日本画・工芸・邦楽・楽理』チームが制作している御輿「烏天狗」に関するレポートになります。

「烏天狗」は、音校(※音楽校地)をちょっと入った所で、大きなテントの中で制作されていました。台風13号が通過した後の取材日の東京はすごく暑かったのですが、このテントは西日があたり特に暑く感じられます。こんな中で、どんな人が御輿を作っているのだろうと興味が湧いてきた所で、「隊長さんいますか」と声をかけます。すると、御輿の本体を制作中のテントではなく、その近くにある小さなテントから、裸足の女性が飛び出して来てくれました。彼女が、隊長の一人、日本画の山本さんでした。そこに、もう一人の隊長、工芸の中川さんも加わって、お二人から話を聞くことができました。

テントの中では、もう発泡スチロールのブロックが積み上がって本体の制作が進んでいたので、「もう始めてからどのくらい経ったんですか?」と聞くと、2週間くらいとのこと。2週間でテントを建て、ここまでできるんですね。驚きます。でも、藝祭までもう30日をきっていますから、このくらいできていないと、順調とは言えないのかもしれません。大変だなと思います。

このチームの今年のモチーフは「烏天狗」だと公式藝祭Webサイトに発表されていました。今回の「烏天狗」はどのように決まったんですか?」と伺うと、チームの中から出て来たアイデアの中で、最後に残ったのが「龍」と「烏天狗」で、その2つで競った結果、最後に「烏天狗」になったそうです。でも、後日談があり、よく調べてみると、天狗の元は仏法を守る八部衆の中の迦楼羅(カルラ)で、その迦楼羅はもともと龍を常食としていたということが分かったので、そこで再び龍が登場して、烏天狗と龍が対峙する図柄になったということです。このチームは、日本画、工芸、邦楽、楽理の混合編成ということで、御輿のモチーフも日本の伝統を意識しているようです。

日本画と工芸が一緒のチームで御輿づくりをするのは、今年が初めてということなので、「二科の混成チームでうまくいっていますか?」と、ちょっと意地悪な質問。すると答えは、最初は、作品に対するアプローチなど合わないところもあって、工芸の方が大きく形を取るところから始めようというのに対し、日本画の方は細部へのこだわりがあったなど、対立もあったそうです。けれど、共同作業を進めるなかで、いまではお互いのことがわかるようになり、立体は造形、色は日本画というように、お互いの良いところを出し合って進めているようです。よかった。

お二人にどうして隊長になったのですかという質問をすると、お二人とも自らの立候補だということでした。工芸の中川さんは、高校2年生の頃から、藝祭御輿の隊長をやりたいと思っていたそうです。すばらしい意気込みですね。

作業台の上には接着剤と並んで、栄養ドリンクの空き瓶が転がっています。柱にかかっている温度計は42度になったこともあるそうです。素晴らしい御輿も、こんな過酷な環境から生まれると考えると、感慨に打たれます。

 

今はまだ、嘴や羽は別の場所で作成中であり、本体は発泡スチロールの塊の中から頭の丸みが出て来ているだけの段階なので、最終形は想像するしかできません。でも、この御輿の見所はそのポーズにあるという隊長の話もあり、これからどんな姿を現してくるのか楽しみです。また、9月7日の御輿アピールのパフォーマンスでは、邦楽と楽理の得意分野の「烏天狗」を題材とする邦楽を使うということなので、それも見逃せません、いや聞き逃せません。

取材でお邪魔した後、帰ろうとすると、トンボが一匹飛び去って行きました。11日からは学校も夏季休日で御輿作業も中断。少しお休みして、また9月に向けて頑張ってねと思う、取材とびラーでした。

 

 

執筆:鈴木重保(アート・コミュニケータ「とびラー」)

…「過ぎ去る夏に突如現れる藝祭御輿、これからもフォローします。

 

 

 

写真:藤田まり(アート・コミュニケータ「とびラー」)、峰岸優香(とびらプロジェクト アシスタント)


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開催期間:9/7(金)8(土)9(日)9:00〜20:00  / 東京藝術大学上野校地にて

 

【あいうえの連携】ミュージアム・トリップ:NPO法人キッズドア[中学生](2018.8.2)

2018.08.02

「ふだん行けないところに行けて、とても楽しかった。」
シンプルな、でも実感のこもった感想を伝えてくれたのは、2018年8月2日に行われたミュージアム・トリップの参加者のひとり。
そう、世界はひろく、たくさんのおもしろいものや人がいるのに、わたしたちはふだん、決まったところで生活をし、なかなかその外へ出ることができません。ひとりで出掛けるのが難しい、新しいことに挑戦する機会が少ないこどもたちなら、なおのこと。
だからこそ、出会いの宝庫であるミュージアムにこどもたちを招待し、世界がひろがるきっかけをプレゼントしたい。こんな思いから、さまざまな環境にあるこどもたちにミュージアム・デビューの機会を提供するインクルーシブ・プログラム、ミュージアム・トリップははじまりました。
これまで、児童養護施設や、経済的に困難な家庭のこどもを支援している団体、海外にルーツを持ちカルチャー・ギャップなどの困難を抱えるこどもを支援している団体など、各分野の機関と連携して実施しています。

昨年度、一昨年度に続き「NPO法人キッズドア」(以下、キッズドア)という、こどもたちに無料で学習支援を行なう団体と連携して実施しました。

プログラムの様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)

【あいうえの連携】あいうえの日和(2018.7.24,25)

2018.07.26

夏休みの上野公園、今年度最初のプログラム「あいうえの日和」が開催されました。
「あいうえの日和」は、45分間でミュージアム冒険のコツをマスターする、ファミリー向けプログラム。7月24日・25日の2日間で125組250名のこどもと保護者が参加しました。

 

プログラムの様子はこちら→
(「Museum Start あいうえの」ブログに移動します。)

 

オープン・レクチャーvol.9 「食べる・集う・つながるデザイン ーおべんとう展から考えるコミュニケーション」

2018.07.21

「とびらプロジェクト」では、美術館を拠点にアートを介して「人の関わりの回路」を豊かにしていくことを目指し、さまざまな活動に取り組んできました。この活動から生まれた関心や私たちが目指す社会の姿について、広く一般の方々と考える機会を設けたいと考え、毎年「とびらプロジェクト オープン・レクチャー」を開催しています。


◯食べる・集う・つながるデザインとは?
第9回目となる今回は東京都美術館で7月21日より開催の「BENTO おべんとう展」にちなみ、コミュニティや人と人のつながりに関心を抱いてきた二人の現代アーティストが登場。おべんとう展で「おすそわけ横丁」と名づけられた異空間を作り出した北澤潤、そして「食べることをデザインする」イーティング・デザイナーとして国際的に活躍し、新作《intangible bento》を発表したマライエ・フォーゲルサング。それぞれの方法で、人と人のつながりをつくりだす作品制作の舞台裏を語ってくれました。とびらプロジェクトからは、展覧会とともに結成されたファシリテータチーム「Froshikii (フロシキー)」を紹介しました。

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開催日|2018年7月21日(土)15:00~16:30(14:30開場)
会場|東京都美術館 講堂
定員|220名(事前申込制・先着順 ※定員になり次第締め切ります。)
参加費|無料
レクチャラー|北澤潤(美術家)、マライエ・フォーゲルサング(オランダ デザインアカデミー・アイントホーフェン教授)
ファシリテータ|稲庭彩和子(東京都美術館 学芸員)
その他|同時通訳あり
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鑑賞実践講座③|ファシリテーション基礎(2)

2018.07.15

アクセス実践講座②|「多文化コミュニティとミュージアム的機能」

2018.07.15

テーマ:「多文化コミュニティーとミュージアム的機能」
講師:岩井成昭(秋田公立美術大学)

建築実践講座②|「建築からはじまるコミュニケーション」

2018.07.08

テーマ:「建築からはじまるコミュニケーション」
ゲスト講師:伊藤香織(東京理科大学教授)

鑑賞実践講座②|ファシリテーション基礎(1)

2018.07.07

【開催報告】ヨリミチビジュツカンでBon Voyage!『プーシキン美術館展―旅するフランス風景画』

2018.07.06

2018年7月6日、『プーシキン美術館展ー旅するフランス風景画』にて、ヨリミチビジュツカンを開催しました。事前申込制で、11人の方にご参加いただきました。

 

ヨリミチビジュツカンは、2013年にはじめて開催され、仕事や学校帰りに、気軽にふらっと、美術館に寄り道してほしいという思いから、金曜夜に不定期に開催されてきました。とびラーと来館者が対話をしながら展示室をめぐり、人と人、人と作品が出逢う素敵なプログラムです。今回は、約1年ぶりの開催です。

 

プーシキン美術館展は、65点の風景画が展示され、美しい風景をめぐる『旅』がテーマです。ヨリミチビジュツカンでも、『旅』をテーマに3つのグループで展示室をめぐりました。

 

3つのグループ名は、こちらです。

1.藤田観光

2.ツール・ド・ヤス

3.クラブKHM

ご一緒するとびラーメンバーの名前をつけて、旅行会社のような名前にしました。

 

まず最初に、各グループごとに旅をともにする仲間と出逢います。自己紹介を兼ねて「最近行った、または印象に残っている旅先」について紹介し合いました。

自己紹介が終わったら、さぁ、いよいよ、旅の始まりです。

Bon Voyage、良い旅を。行ってらっしゃいませ。

ツアーの構成は、3部構成になっていて、序盤はグループで作品をみる時間、中盤は1人で作品をみる時間、終盤はカフェタイムです。

 

まず、序盤のグループで作品をみる時間です。

3つのグループで違う作品をみました。それぞれのグループでどんな旅になったのでしょうか。

 

藤田観光 コンスタン・トロワイヨン《牧草地の牛》(1850年代)を鑑賞中です。

「牛たちが平和そう。」

「柵が描かれているけれど、満たされているように見えるので絶対に逃げなそう。」

という発言がある一方で、

「空の一部分が曇っているから、平和な時間も長くは続かなそう。」という気づきも。

 

こちらは、ツール・ド・ヤス。 モーリス・ド・ヴラマンク《小川》(1912年)を鑑賞中です。

「手前の木々は、何か暗くて、不気味で、人の気配が感じられない。」

「遠景には、明るい色彩で家が描かれていて、救われる。」

「風が吹いているみたい。ざわざわとした音が聞こえるよう。」

など、いくつもの作品の見方が積み重なっていました。

写真には鑑賞している作品が写っていませんが、どんな作品をみているか、想像してみてくださいね。

 

クラブKHM  アンドレ・ドラン《港に並ぶヨット》(1905年頃)を鑑賞中です。

「描かれている人たちが何をしているのか気になる。」

「網かな。」「何か干しているのかな。」「赤と青で表現されているのは魚かな。」

時には旅のアイテム、アートカードでも確認しながら、一緒に想像を巡らせています。

 

ここでは、一作品ずつのご紹介ですが、各グループで違う作品を3作品ずつみました。

 

旅の中盤は、1人で作品をみる時間です。

「あなたにとっての旅の風景画」をテーマに1作品を選んできてもらいます。

選んだ作品番号やタイトルだけではなく、感じたことをメモしてくれている方もいました。

また1作品だけではなく、たくさん選んできてくれた方もいました。

 

そして、旅もいよいよ終盤。旅の仲間と再会して、カフェへと向かいます。

旅の道中も各々がみてきた景色に話がつきません。

お茶とお菓子で旅の疲れを癒しながら、カフェタイムの始まりです。

図録で作品を確認しながら、1人1人が選んできた「あなたにとっての旅の風景画」について話しました。

「自分も英雄となってこの絵の中に入りたい。」

「この絵の中で、お弁当を広げて、ピックニックがしたい。」

「自分が実際に行った旅を思い出した。」

等々、「あなたにとっての旅の風景画」を選んだ理由は様々です。

全体での共有の時間では、グループでみた作品の話題にもなり、他のグループがみた作品も気になるというコメントも。

最後は、1人1人が選んできた「あなたにとっての旅の風景画」をグループだけではなく、全体で紹介し合って終わりました。

 

「モネの時代の作品はよくみてきたけれど、それより昔の作品は、教科書でもあまり見たことがなくて、新鮮だった。」と、作品との新しい出逢いについてや、

「『あなたにとっての旅の風景画』をテーマに、作品を見る時間が新鮮だった。好きな作品をみがちだけれど、テーマがあるとそれに合うようなものを探す。好き嫌いとは、また違う軸で見るというのが新鮮だった。」

等、ヨリミチビジュツカンのプログラムについての感想もいただきました。

旅のお土産、ラベンダーの良い香りで、余韻にひたるなか、旅は終わります。

皆様のおかげで、私たちもたくさんの発見と出逢いがあり、とても楽しい旅ができました。

ご参加いただいた方々、参加はできなかったけれど、応援してくれた方々、誠にありがとうございました。皆様の次の寄り道を心よりお待ちしております。


執筆:有泉由佳子(アート・コミュニケータ「とびラー」)

とびラーから海外とびラーへ。もうすぐベトナム!Hẹn gặp lại nhé!!

執筆協力:北田郭時、藤田まり、鈴木康裕、木村仁美、大谷聡子

 

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