日時|2026年4月25日(土)10時〜15時
場所|東京都美術館アートスタディールーム
講師|西村佳哲
内容|コミュニケーションの基本は、話している相手に本当に関心を持って「きく」ことから始まります。この回では、話を「きく力」について考えます。
・「きく」ことは「相手が“自分を表現できる”時間を一緒につくる」こと
・そのためには?
この春からとびらプロジェクトに加わったとびラー15期に向けて、第2回基礎講座が開催されました。
西村佳哲さんによる「きく力」の講座は、とびらプロジェクト発足時から基礎講座に編成されており、とびラーのコミュニケーションの基礎として、ここでの学びを大切にしています。
とびらプロジェクトは、美術館という場所や機能を生かして、市民同士が新しい活動をつくっていくための、拠点となる存在です。とびラー同士はもちろん、美術館来館者も含め、違う年齢、違う社会的役割を担ってきた人々が、一緒に活動をしていきます。
様々な背景を持つ人々が、どうやったらみんなでうまく対話をすることができるのでしょうか。
今回の講座では、3人組のグループワークを中心に、「きく」とは何かを考えていきました。ワークを通して「きく力の7ポイント」を、とびラー各々が発見していきました。
グループワークでは「話し手、きき手、観察者」のそれぞれに役割分担をして、きき手が話し手に与える影響について、実践を通して考えていきました。ワークを積み重ねながら、少しずつ手順をふんで、対話の違いをそれぞれが体感していきます。
グループをつくったら、まずは自己紹介をします。15期のみなさんは笑顔が多く、コミュニケーションに花が咲いてました。
話し手ときき手は、それぞれ西村さんの指示にしたがって対話を行っていきました。観察者はグループでの対話を客観的に観察しながら、会話を分析していきます。対話の時間が終了したら、それぞれメモをしたり、グループで感想をシェアする時間がありました。
「話し手の軸を尊重したきき方ってなんだろう」
「話している内容ではなく、相手に関心を持ちながらきくためには、どうする?」
適宜、西村さんからの問いが差し込まれながら、3人組での対話を繰り返し行っていきました。ワークを重ねる中で、ただ相手の話を「聞く」だけではなく、「きき手」として感じたことを、表情や身振り手振りなどのあらゆる手段で「話し手」へ表現をしていくとびラーの姿が印象的でした。
またこのように、実践を通じて分析をし、グループで意見をシェアして考えていくというサイクルは、とびらプロジェクトでこれから15期とびラーが行っていく活動のウォーミングアップのようでした。
ワークの途中には「きく力の7ポイント」を考えるためのヒントとして、「言葉」にまつわるいくつかのトピックが紹介されました。
とびラーがこれから活動を行っていくなかで、言葉は重要な表現媒体となります。言語はコミュニケーションツールとして優れた性格をもつ反面、特有な取扱いの困難さがあることを、西村さんの経験をもとにお話ししていただきました。言葉は単語ひとつとってみても、そこに張りついている経験や意味は人によって異なったり、伝えたい事柄と同時に言葉ならざる「気持ち」が含まれていたりと、実は非常に抽象的で認識の齟齬が生まれやすいものです。そうした「ズレ」を意識して言葉を扱うことによって、「きく人」の姿勢はきっと変化するはずです。
とびラーたちも自身の経験と照らし合わせながらうなずきつつ、熱心にメモを取りながら、聞いていました。
人にとって話すとはどのような行為なのでしょうか。少なくとも「個人で完結するような単純な動作」とは違った側面が、レクチャーから伺えました。西村さんは「人が話す」ということについて、「話しながら垂直方向に起立していく」「植物みたいに育っていく」イメージを提示していました。
「話す人がいる」ということは、そこに「きく人」がいるということです。良い「きき手」がいることによって、話す人は、考えていることを言葉にしながら整理して、より思考を深めていくことができるのでしょう。
「きく人」がいて、より豊かなコミュニケーションが育まれてこそ、とびらプロジェクトという大樹にたくさんの新芽が芽吹きます。これからも「きく」ことを大切にしながら、とびラー、スタッフともに、素敵なプロジェクトをつくっていきたいと思います。
(とびらプロジェクト アシスタント 廣木花ノ子)
2026.05.02