2023.05.27
【第4回基礎講座 会議が変われば社会が変わる】
日時|2023年5月27日(土)10時〜15時(昼休憩1h)
場所|東京都美術館アートスタディルーム
講師|青木将幸
内容|とびラーの自主的な活動には、とびラー同士が直接コミュニケーションをとるミーティングの場のあり方がとても重要です。ひとりひとりが主体的に関わるミーティングの場をつくるために、ミーティングの理想的なスタイルや具体的な手法を、レクチャーやワークショップを通して学んでいきます。
とびらプロジェクトでは、とびラーが集まってとびラボを行います。その話し合いの場のあり方について、まずはそれぞれが考え、体感していく1日となりました。
まずはアイスブレイクです。青木さんからの問いは「好物は何ですか?」
ボードに手書きでイラストを描き、近くの人と紹介しあいます。
誰にとっても答えやすい問いであればあるほど、参加する人たちの心は打ち解けていきます。
青木さんからの2つ目の問いは、「良い会議とは?イマイチな会議とは?」
まずはそれぞれが書き出していき、3人組になって全員が合意できるものを話し合いました。
良い会議には、おやつも重要なアイテムです。
「地元のお菓子なんです」「これ懐かしい!」「おいしいものを食べながら話すって大事かも」
ちょっとした場面転換があることで雰囲気が変わり、リラックスして話しやすい空気がうまれました。
午後からは、「良い会議」を意識してミーティングを実践してみます。
話し合いたいテーマに分かれ、午前中にとびラーが考えた「良い会議」を意識しながら進めていきます。
講師からのレクチャーだけではなく、
自ら考え、とびラー同士で話し合い、選んだ「良い会議」のキーワード。自分たちで見つけ出すことによって、より自分ごととして捉えることができたのではないでしょうか。
これから開扉まで、今日この日に体感した「良い会議」の感覚を大切に過ごしていきましょう。
(とびらプロジェクトコーディネータ 工藤 阿貴)
2023.05.25
ライトアップされた東京都美術館を散策する金曜夜限定の30分ツアーです。
夜ならではの建物のみどころをとびラー(アート・コミュニケータ)がご案内します!
美術館全体が、まるで宝石箱のような輝きを放つ夜。昼とは違うその表情を一緒に楽しみませんか?
※東京都美術館の夜間開館日に合わせて実施いたします。事前申込が必要です。
日時|
① 2023年6月 9日(金) 19:15 – 19:45(受付開始19:00)
② 2023年6月16日(金) 19:15 – 19:45(受付開始19:00)
③ 2023年6月30日(金) 19:15 – 19:45(受付開始19:00)
会場|東京都美術館
集合|東京都美術館 LB階(ロビー階)中庭 正面玄関右手/雨天時は講堂前
対象|どなたでも
定員|各回20名(先着順・定員に達し次第受付終了)
参加費|無料
参加方法|事前申込制。以下の専用フォームよりお申し込みください。
※小学生以下のお子様が参加される場合は、その他連絡事項欄に年齢のご記入をお願いします。
※特別に配慮が必要な方はお知らせください。
① 6月9日(金)のご参加
② 6月16日(金)のご参加
③ 6月30日(金)のご参加
※本フォームでのお申し込みが完了すると、「返信先Eメールアドレス」宛にメールが届きます。必ずご確認ください。
※お申込み前に「迷惑メール」などの設定を確認し、「@tobira-project.info」からの申込受付メールを受信できるようにしてください。申込完了の自動返信メールが届かない場合は、お申込みされたお名前と電話番号を明記のうえ、p-tobira@tobira-project.info(とびらプロジェクト)宛にメールをお送りください。
※広報や記録用に撮影・録音を行います。ご了承ください。
※定員に達し次第、申し込み受付を終了します。
2023.05.20
日時 |2023年5月20日(土) 14時00分~14時45分(ツアー実施)
場所 |東京都美術館
参加者(事前申込)26名、とびラー12名
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爽やかな新緑の季節、「とびラーによる建築ツアー」が実施されました。
このツアーは、決まったコースはなく、それぞれのとびラーのオリジナルツアーです。
新型コロナウイルス感染症対策として閉鎖されていた東京都美術館の東門が開くようになり、
その間見ることができなかった屋外彫刻も、ツアーの中に盛り込まれました。
外からは入ることができなかった南口も開き、ツアーの自由度が増しました。
とびラーとの会話は、建物を「よく見る」きっかけになります。
普段通り過ぎていたこの壁も、これまでとは違って見えてきます。
この建築ツアーには、決められた台本や、必ず伝えなくてはならないことはありません。
自分の推しポイントを熱く語るとびラーもいれば、その空間を参加者とじっくり味わうとびラーもいます。
何度参加しても新しい発見が必ずある、そんなツアーです。
参加者の方からは、
「自分だけでは気づかないような視点を皆さんと共有し、見方が変わりました」
「コミュニケーションをとりながらのツアーが新鮮!」
「とびラーの都美愛が伝わってきました」
といった感想をいただきました。
2023.05.14
「東京都美術館の昨日・今日・明日」と題し、都美の学芸員である中原淳行さんから、「とびらプロジェクト」スタートの契機ともなった東京都美術館のミッション誕生の舞台裏と、そこにかけた想いをきく会を開催しました。
2006年の開館80周年から、2026年の100周年へと向かう節目の中で、あらためて、アートを介して人と人が交わし合うことの可能性と、アート・コミュニケータがかかわることの大切さを感じることのできた時間でした。
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とびらプロジェクト2023スペシャル
中原さんにきく
「東京都美術館の昨日・今日・明日」
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◯話し手:中原淳行(東京都美術館 企画調整課調整担当課長 兼 事業係長)
◯きき手:西村佳哲、とびラー、とびらスタッフ
*日時|5/14(日)10時〜12時30分
*場所|東京藝術大学 中央棟 1F 第1講義室
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【東京都美術館の使命(ミッション)】
東京都美術館は、展覧会を鑑賞する、子供たちが訪れる、芸術家の卵が初めて出品する、障害のある方が何のためらいもなく来館できる、すべての人に開かれた「アートへの入口」となることを目指します。
新しい価値観に触れ、自己を見つめ、世界との絆が深まる「創造と共生の場=アート・コミュニティ」を築き、「生きる糧としてのアート」と出会う場とします。そして、人びとの「心のゆたかさの拠り所」となることを目指して活動していきます。
◎東京都美術館HP「使命と4つの役割」:
https://www.tobikan.jp/outline/mission.html
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2023.05.13
【第3回基礎講座 「きく力」を身につける】
日時|2023年5月13日(土)10時〜15時(昼休憩1h)
場所|東京都美術館アートスタディルーム
講師|西村佳哲
内容|コミュニケーションの基本は、上手な話し方をするのではなく、話している相手に本当に関心を持って「きく」ことから始まります。この回では、話を「きく力」について考えます。
・話を〈きかない〉とはどういうことか?
・話を〈きく〉とは? また、それによって生まれるものとは?
5月13日(土)の第3回基礎講座は、とびらプロジェクトで大事にしているコミュニケーションの基本「きく力」とはどんなことか、体験を通して考えました。
「きいてくれる人がいるから、はなすことができる。」西村佳哲さんがとびラーに向けて語りかけるその時間が、とびらプロジェクトのコミュニティの基礎になっています。
午前中はとくに、「言葉」の抽象性、つまり、同じ「言葉」を使っていても人それぞれイメージしていることが違うことに気がついていく時間になりました。
言葉中心の社会のなかで、「言葉」の先にあるはなし手の本当のイメージにたどりつかないまま「安易にわかったような気になる」会話に慣れていたことに、ハッとした12期とびラーも多かったようです。
はなし手の「言葉」や「話の内容」だけを受け取ることで、「安易にわかったような気になる」受け手の状態が、はなし手にあたえる影響も実際の体験や観察をとおして実感していきました。
午後は、目の前の人に関心をむけ、その人のはなしぶりを含めて内容以上のものを受けとりながら話をきくことで、その人の「いま・ここ」が新鮮に立ち上がる瞬間を全員で体験しました。
とびらプロジェクトは、ひとがはなすことができる場をつくりだす、「きく力」をもっている人が多くいることが、コミュニティが育つための土壌になると考えています。
「きく力」で培われた文化圏が、またここから一つ広がっていくように感じた第3回基礎講座の1日でした。
(とびらプロジェクトコーディネータ 越川さくら)
2023.05.07
2023.04.29
【第2回基礎講座 作品を「みる」とは】
日時|2023年4月29日(土)10時〜15時(昼休憩1h)
場所|東京藝術大学美術学部 中央棟2階 第3講義室・東京藝術大学大学美術館
講師|熊谷香寿美 ファシリテータ|10期・11期とびラー
内容|作品の鑑賞について理解を深めます。
4月29日(土)の第2回基礎講座は、作品を「みる」ことについて体験をもとに学びました。
午前中は、グループで意見を交わしながら作品を鑑賞し、共同的な学びとしてのアートを介したコミュニケーションについて考えました。
鑑賞した展覧会は、東京藝術大学大学美術館で開催中の「買上展」です。
(会期:2023年3月31日(金) – 2023年5月7日(日))
午後は、ひとと作品の出会いをデザインする場所である「美術館」にフォーカスし、さらに議論を深めていきました。
「美術館で作品をみること」に対する意識の解像度がぐんと上がった、
第2回『作品を「みる」とは』の講座でした。
(とびらプロジェクトコーディネータ 越川さくら)
2023.04.15
【第1回基礎講座 オリエンテーション】
日時|2023年4月15日(土)10時〜15時(昼休憩1h)
場所|東京藝術大学 美術学部 中央棟2階 第3・4講義室
45名の新しいとびラーを迎え、12年目のとびらプロジェクトがスタートしました。
4月15日(土)の基礎講座初回は、1~3年目のとびラーとスタッフ全員が集まり、ガイダンスを行いました。
午前中は春の雨の中、東京藝大の樹々の緑や、東京都美術館の壁面の美しさを眺めながら活動の拠点を散策。
講座後には、とびラーの「とびラボ」による、12期とびラーウェルカムパフォーマンスが行われ、あたたかな雰囲気の中初回を終了しました。
12期とびラーのみなさん、これから3年間よろしくお願いします!
(とびらプロジェクトコーディネータ 越川さくら)
2023.02.20
・「美術館でおしゃべりしましょう」「作品を誰かといっしょにみるって楽しい」そんな体験をお届けするプログラムを考えました。カジュアルで遊び心があって、自由で楽しい、素敵なひとときになるといいな。そうやって、はじめましての誰かと3人組になっての「おしゃべり鑑賞」という、新しい鑑賞のかたちが生まれました。
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【目的としたこと】
・その日に偶然出会った人とおしゃべりしながら鑑賞する出会いの体験や、一人で鑑賞するときとは違った他者の視点も味わって楽しんでもらうこと。さらに参加した方は、今度は誰かを誘って対話しながらの鑑賞を楽しむようになることを目的にしました。
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【プログラムの内容】
・その日出会った人(参加者)2名+とびラー1名が、3人1組になり、おしゃべりを楽しみながら作品を鑑賞します。参加者はプログラム前にくじにより分かれます。プログラムの時間は35分間です。
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・鑑賞する展覧会は、「上野アーティストプロジェクト2023 いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間」展(会期:2023年11月16日(木)~2024年1月8日(月・祝) 会場:ギャラリーA・C)。
・実施日は、11月24日(金)18時半~、12月15日(金)・20日(水)14時~、計3回を設定しました。
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【とびラーのファシリテーション】
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・初対面の方とおしゃべりしながら作品を楽しく鑑賞するにあたって、次のような工夫をしました。
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・・ファシリテータとなるとびラーは、参加者同士が安心して話せる場と対話できるようにきっかけを提供します。
・・作品選びは、とびラー自身がビビッときた作品、話のきっかけがたくさんある作品を、何回か展示室に足を運んで数点を選びます。
・・当日の出会いは、なごやかなおしゃべりから始めて、感じたこと、気がついたことを安心して話せるような雰囲気を心掛けます。一人一人の話をじっくり聞き、参加者同士がコミュニケーションを楽しめるような場を作るのがとびラーの役目です。
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・例えば、「今回参加したきっかけ」や「普段のアートとの関わり」など、参加者同士の身近な話題からおしゃべりをしました。場の雰囲気が和むことによって互いにコミュニケーションを取りやすくなり、作品鑑賞での会話もスムーズにできるようになります。
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・作品を見ることから出発して、おしゃべりの広がりを楽しみながらも、参加者のみんながそのポイントの鑑賞体験を共有できるように、いつも作品を見ることに戻る、そんな工夫も心がけました。
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・その一例として、作品を見た感想の言葉から「どこからそう思いました?」と問いかけて、作品の中のそのポイントをみんなで確認することで他の人にもその気づきを伝えます。そして「ここから何を感じますか?」と問いかけることで、同じところを見ても違う感じ方があることを発見します。
・また、「他にはいかがですか?」と他の発言を促したり、話題を変えたりすることで、参加者がより作品に近づき会話がはずむように工夫しました。
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【初日:11月24日(金)18時半~、参加者12名】
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・9月のキックオフから、メンバーのアイデアを結集しながらミーティング&トライアルを経てようやく形になったプログラム。待望の第1回を6チームで実施しました。参加者は最初にくじを引きます。偶然の出会いの演出にドキドキワクワクのひと時も、次第に打ち解けます。
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・展示室のあちこちで、さまざまな楽しいおしゃべりが生まれました。
・
・作家・内山春雄氏のバードカービング(野鳥彫刻)の作品をよく見て、羽毛のやわらかな質感をイメージしたあと、同氏のタッチカービング(触れる野鳥彫刻)に触ってみると、想像と違って「固い!」ということに驚いて「彫刻だから当然ですよね」と3人で大笑い。そのことがきっかけで作品にグッと近づくことができたチーム。
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・馬を被写体とした写真を撮影する今井壽恵氏のコーナーでは、人気の競走馬の《オグリキャップ黄色い光の中で》などの写真に足が止まる方が多く、予定していなかった作品の前でもおしゃべりが弾みました。
・参加者が作品の背景の描き方に興味を持っていることがわかると、作家・阿部知暁氏のゴリラが描かれた絵画のコーナーに移動して、特徴的な背景の話題に花を咲かせるチームもありました。
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・みなさん、とてもリラックスして鑑賞しました。
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【中日:12月15日(金)14時~、参加者10名】
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・12月15日(金)第2回を5チームで実施しました。
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・この日はキャンセルの方がいたため、当日参加の呼び込みをしました。チームが決まるまでの間にもとびラーからの展示についての問いかけから、参加者同士ので話が盛り上がり終始なごやな会話か進みました。
・
・作家・富田美穂氏のコーナーでは、実物大の牛の細密な絵に、「ゴツゴツしている」「生を感じる」と近寄ってみての驚きで盛り上がるチーム。
・
・バードカービングを鑑賞して、「ヤイロチョウの巣はどこにあるの?」「どうして巣をつくるの?」と巣の話題で盛り上がるチーム。
・「ヤンバルクイナって鳥なのに飛べないの?」「淡い首筋の色が不思議」と食い入るように作品に迫るチームなど、それぞれのチームで話に花が咲き、プログラム終了後に参加者同士でさらに鑑賞を続ける様子が見受けられました。
・
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【千秋楽:12月20日(水)14時~、参加12名】
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・ついに千秋楽、最終回の第3回を5チームで実施しました。
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・この日は、東京都美術館年内最後の開館日であったので、公募棟の展示は全て14時で終了。館内も展示室内も静かでゆったりとした空間で、参加者の皆さんと作品を囲んで楽しくお話しできました。
・今回もいろんなエピソードが生まれました。
・最初は緊張していた参加者も鑑賞前の会話に時間をかけると、作品を前にしたときにワクワク感が発露して、参加者同士での会話がとても深まりました。
・会話が弾むのは、生き物の多彩なリアルな表現に触れたときです。写真にはありませんが、作家・辻永氏の花の写生のコーナーや作家・小林路子氏によるきのこを描いた作品のコーナーも、おしゃべりが弾みました。
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・3歳のお孫さんを連れて来られた参加者は、お孫さんを中心におしゃべり鑑賞をしたところ、大人では気づかないような様々な視点から意見を教えてくれました。また内山春雄氏のタッチカービング(触れる野鳥彫刻)のコーナーでは鳥の鳴き声を全部聞いて回りました。高周波の鳥の鳴き声は、お孫さんだけが聞き取れて、みんなでびっくりしました。
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【参加した方々の感想など】
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〜参加者アンケート(11月24日・12月15日・12月20日実施、回答数33名)の結果から〜
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・自由記述欄に参加された方の全員が感想を書いてくださり、たくさんの前向きな感想がありました。それらの一部を紹介します。
・
・
・そして、アンケートの結果では、「プログラムの満足度」、「初対面の方とのおしゃべり鑑賞」、「プログラムで鑑賞した作品」の項目で「とても良かった」「良かった」の回答が9割を越えて、総じて好評価を得られました。
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・上野アーティストプロジェクト2023「いのちをうつすー菌類、植物、動物、人間ー」展は、身近な題材で老若男女誰でも親しむことができ、多様な表現が鑑賞できる展覧会であり、このプログラムとの相性がとても良いと企画段階から想定していました。
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・ファシリテータは、プログラム前に何回も会場に足を運んで鑑賞する作品を選びました。また、選んだ作品を徹底的にして観察して、鑑賞の話題づくりなどの準備を行いました。
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・プログラムの設計としては、特に「初対面の人」とおしゃべりしながら鑑賞する、というコンセプトも功を奏したと言えるでしょう。知らない人同士だからこそ率直に言葉にすることができるのかもしれません。
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・作品の前で語り合っていると、そこにあたたかい空間が生まれ、作品も生き生きとして見えてきます。人も作品も美術館も「いきている」「いのち」を感じる、そんなプログラムだったのではないでしょうか。
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【実施までをふりかえって】
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・コロナ禍が一定程度収束して、複数でおしゃべりしながら鑑賞することができるようになりました。とびらプロジェクトでも、鑑賞実践講座の「鑑賞ピクニック」という複数人で美術館をたずねる課題や、夏には「ダイアローグ・ナイト with とびラー」という複数人で対話しながら鑑賞するプログラムが実施されました。こうした楽しさをぜひ多くの方に味わっていただきたいし自分たちも楽しみたい、との思いで2023年8月29日(火)に「このゆびとまれ」と呼びかけました。呼びかけに23人が集まってスタートしました。
・秋は、とびラボが目白押しで、複数のとびラボにそれぞれ関わっているとびラーの予定を調整し、ミーティングやリハーサル、さらには本番の日程を決めるのに一苦労でした。企画内容もオンラインのミーティングツールを使うなど集まれる人で検討を進めました。その甲斐もあって、いたってシンプルでわかりやすい企画になったと思います。ミーティングは6回、リハーサルは2回、そして本番へ。ふりかえりの会は、12月20日(金)プログラム最終回の後に行いました。
・
・このラボは、良い意味での「いいかげん」さがあって、メンバー各自の裁量に委ねる部分が多く、自由でおおらかに進みました。その分、当日の急なキャンセルにも呼び込みをしたり、コースを柔軟に変更したりなど臨機応変に動くことができました。ラボメンバーの皆さんからはやって良かった、とても楽しかったとの声が寄せられました。
・
・プログラムにご参加いただいた方々、いっしょに駆け抜けてくださったスタッフの皆さま、そしてラボメンバーみんなに感謝します。
・
・解散! また、お会いできる日を!
執筆:
藤牧功太郎(とびラー10期)
新しいこと、楽しいことが大好き。ARTの自由さを愛しています。「つながり」を「つなげる」ことに興味あり。社会教育の仕事にも活かしたいです。
2023.01.27
上野キャンパスと取手キャンパスを忙しく行き来しながら卒業制作に打ち込んでいる亀岡さんにお会いできたのは、暮も押し詰まる12月28日。上野アメ横商店街の賑わいをよそに、学生もまばらで静かな上野キャンパスでした。東京藝術大学の正門で出迎えてくれた亀岡さんは、はにかむような笑顔が印象的で、物腰が柔らかな青年でした。
通された工芸科の鋳金(ちゅうきん)研究室のガラス越しに広がる鋳造実習室。初めて目にする土間の様子に私たちはまず驚きました。天井が高く、「真土(まね)」と呼ぶ砂を敷き詰めた伝統の土間に、いくつもの大きな窯や炉が設置されています。年の暮で学生がいなかったので、とても大きな空間に思えましたが、普段ここで学生は所狭しと作品を制作しているのでしょう。
―普段はどんな格好で作業をしているんですか?
汚れるのでつなぎ服を着て、安全靴(※1)を履き、石膏と土で汚れるので帽子をかぶって作業しています。
※1…金属などが足に落ちても怪我をしないよう、つま先の部分に芯が入っている靴。
―亀岡さんはどうして鋳金を選んだのですか?
子どものころ印籠(※2)や煙草入れ、根付(※3)が好きでした。それで漆や彫金に興味があって藝大へ入学しましたが、1年生の時に様々な技法を経験して、悩んだ末鋳金に決めました。とにかく立体をつくることが好きなので、鋳金が好きというより立体を作れることに喜びがあります。だから鋳金のたくさんの工程の中でも、一番ワクワクするのは、原型を作り、金属に置き換わった物をタガネなどを使って仕上げをしている時です。卒業制作をしながらも、たくさんのことを学びました。
※2…印籠(いんろう)。薬などを携帯するための小さな容器のこと。
※3…根付(ねつけ)。武士や町人たちが、巾着や煙草入れ、印籠などを帯に吊るす時につけた滑り止めのための留め具。
さっそく卒業制作の作品を見せていただきました。
亀岡さんの作品はコウモリをモチーフにした上部の鋳金と、下部のガラス細工が組み合わさった立体作品です。鋳金の素材は刀装具に用いられる合金の質感と色合いに魅力を感じ、何度も試作を繰り返し辿り着いたテクスチャーだそうです。下部のガラスは、ディティールにこだわった細工で、またそれを覆うのはガラスで表現された鍾乳石です。
そっと私たちの手にコウモリの立体作品をのせてくださいました。
「触ってもいいんですか?ありがとうございます。」
「両手の手のひらにおさまる大きさですね。目で見た印象より、ずっしりと重さを感じます。」
「よくみると、コウモリの胸の部分がふわふわしてるよ。」
「ほんとだー。とても繊細で緻密。妖しく黒い光沢感のある金属、これはどんな金属なんだろう。翼もすっごい薄い。」
「コウモリの瞳が真っ直ぐこちらを見つめているみたい。」
―コウモリの素材は何ですか?
四分一(しぶいち)」という金属で、昔は刀の刀装具に使われていた合金です。 その名の通り四分の一、銀が入っています。これを硫酸銅+緑青+水を混ぜた煮色液(にいろえき)で煮るとこんな感じに金属そのものの地色が出るんです。
―上部のコウモリは鋳金素材ですが、下部はガラス素材ですか?
はい。ちょうどコウモリの鋳金部分がガラス瓶の栓になっていて取りはずせます。工芸品なので「使うもの」にこだわっています。
―ガラス瓶の外側の、この凸凹したところは?
コウモリがいる鍾乳洞をイメージしています。ガラス工芸家であるエミール・ガレやドーム兄弟の作品と同じ、エナメル彩という技法です。鋳金専攻ですが、ガラスの部分も自分で制作しています。ガラス本体よりも低温で溶ける色ガラスの粉を塗りつけて何回も焼くとこうなります。現時点で3回焼きましたがもっと焼くつもりです。赤色の定着に苦労しています。一般には550℃~590℃ぐらいで色が定着するのですが、赤を出そうとするとガラスが溶けるので、温度との兼ね合いが難しいです。
―卒業制作は完成に近づいているようですね。
作品完成まであと少しですね。ガラス瓶の下方に鍾乳石に見立てたものを付けます。水滴が落ちると、下からも伸びる鍾乳石を表現してみようと思っています。
彫金は純銅と純銀で作りますが、鋳金は金属を流さないといけないので他の金属も混ぜたり、ブロンズ(銅合金)と純銀で作る場合などがあります。ブロンズは銅に亜鉛や錫(すず)が 入っているので流れやすいんです。上野公園にある《西郷隆盛像》も、西洋美術館にある《考える人》もブロンズ像です。でも僕は色をきれいに出すためにブロンズを混ぜたくなかったんです。もともとガラス瓶の下には鍾乳石を付けるつもりはなかったのですが、ブロンズを混ぜずに制作したら、穴が空いちゃったので、ふさぐために思いつきました。
―苦労した点はどんなところですか?
鋳金でありながら彫金などで使用される色合いを目指したため、金属の配合があまり向いていなかったのか「す」が入ったり大きな穴が開いてしまったところです。コウモリの顔の表面の細かい「す」などはタガネという道具で細かく叩いて整え、この形にしました。叩き過ぎると金属疲労をおこして割れるので、塩梅が難しかったです。
それと、羽と体の格パーツのつなぐところもです。ロウ付けしてみたり、ロウ付けで金属本体が溶けてしまう所はハンダや漆で止めてみたり、試行錯誤を繰り返しました。
ガラス部分のエナメル彩の焼き付けにも苦労しました。思う色が出るまで温度やエナメル顔料の配合や塗り方を何度も工夫してやり直しています。
これ、最初に作ったコウモリの失敗作なんですけど、1回目での失敗が、再度作成した際に生きました。コウモリの胸部の毛の表現方法を発見しました。翼もたくさんテストピースを作って、自分の出したい色を探るために、実験を繰り返しました。
―コウモリの形状はどうやって探ったのですか?
去年、いわゆる観光鍾乳洞ではない鍾乳洞に 3ヶ所くらい行って野生のコウモリを見てきました。1人じゃ危険なのでガイドさんとつなぎ服を着て穴を這ってきました。
精密鋳造室・鋳造実習室を案内してもらう
卒業制作作品を見せていただいたのち、普段学生達が作業している場所を案内してもらいました。一つは亀岡さんのように精密な作品を制作するための機械が並ぶ精密鋳造室、
もう一つはインタビュー冒頭で私たちが驚いた鋳造実習室(土間)。ここでは一面に敷き詰めている真土(まね)と呼ばれる砂に型を埋めて、その型の中に金属を流します。
この砂場はヒトが入るくらいの深さがあるのだとか。一角には古来の送風装置である鞴(ふいご)が祀られています。毎年11月に鞴祭(ふいごさい)があり、学生が祝詞をあげて安全を祈願するそうです。亀岡さんが3年生の時に神主の役を務めたとのこと。張られている4つのしめ縄はすべて鞴祭の時に、学生たちが作ったそうです。
―皆で共同作業すると、チームワークも生まれてきそうですね。
そうですね。鞴祭は鍛金、彫金、鋳金合同で行いますが、鋳金はみんなでレンガを積んだ窯を作ってピザを焼くんです。鍛金はマグロの頭を焼いたり、彫金は豚の丸焼きを作ったり。でもコロナ禍でずっとできなくて・・僕は1年生の時にピザを食べたことはあるけど、窯の作り方とか知らないんですよ。
今年こそはこうした伝統が復活しますようにと祈りながら、若々しい学生生活にも思いを馳せました。
土間から今度は金属の色サンプルが置かれている部屋に案内されました。私たちは100以上ある色サンプルの中から亀岡さんが今回の作品に使った「四分一」を探し出しました。
―あった!!うーん、でもこの色から亀岡さんのコウモリの色を想像できないです。
そうですね。同じ「四分一」でも配合の割合を少し変えた「黒(くろ)四分一」「白(しろ)四分 一」「上(じょう)四分一」など様々あります。コウモリは上四分一といって銀の配合を多めにして白っぽくしてあり、羽は黒四分一、目の部分は赤銅で色を出しています。 配合は自分で買ってきた銅板を切って、銀を加えて炉で溶かすんですが、サンプルどおりに色が出ないことが多いですね。
亀岡さんの作品の魅力
幼い頃に、どんな物に関心があったか、ということについて亀岡さんに尋ねてみると、印籠の根付に格好よさと魅力を感じていたと言います。根付とは、江戸時代に印籠などに使われた留め具で、その機能性とともに細かな彫刻が施されるなど装飾性が重視され、多彩なデザインで収集の対象にもなったアイテムです。そんな日本古来に発明された道具に魅力を感じていた幼少期こそが、亀岡さんの関心の原点であったと私たちは感じました。しかしながら、実際これまでに制作してきた作品をみると、どれも洋的な印象を受ける作品たちばかりです。またそれらはインテリアとしての単なる装飾的なモノではなく、機能をも兼ね備えていた「瓶」が 殆どです。亀岡さんは子供の頃より、根付けだけではなく西洋のアンティークをはじめ、他の国の古い美術工芸品にも興味があったと言います。幼い頃は海外の美術館に連れて行ってもらうこともあり、子供ながらにものすごく感動したそうです。そうした亀岡さんに刷り込まれた物がミックスして作品に反映されているのかもしれません。
作品を制作する上では、使える道具であること、また動物をモチーフにし、色々な国や時代を越えた物語を作品の中に込めることを考えているそうです。今回の卒業制作であるコウモリをはじめ、ハゲワシ、イボ猪など嫌われがちな動物たちをモチーフにしているのも亀岡さんの作品のユニークなところです。そして、いざ作ってみると不思議と和的であり洋的な作品になってしまうとのことでした。そんな和と洋が入り混じるエキゾチックな雰囲気こそが、亀岡さんの作品の魅力ではないでしょうか。
冒頭で触れた卒業制作はガラス細工の施された物の上に、合金で作られたコウモリがのっている作品でした。それにもかかわらず、私たちは不思議と重量感を感じませんでした。 むしろ、とても軽やかで、どこかに飛んでいってしまうかのような浮遊感からか、夢心地にもなりました。このコウモリの表現を支えているのは、極限まで薄くした翼です。翼もまた、手で丁寧に制作し、指の指紋すらも翼の表現へと変化し、昇華させています。大量生産品とは異なる、手だからこそできる歪みや温かみ、そして一点物にしかできない工芸分野の味わいをひしひしと感じました。
最後に
どんな質問にも1つ1つ丁寧に答えてくださった姿に亀岡さんの誠実なお人柄がにじみ出ていました。作品はまだ完成ではなく、今は卒業制作展に向けて取手キャンパスで石を削って台座を制作中です。ガラス瓶に赤と金が色付けされると、どんな雰囲気を醸し出すのか、東京藝術大学卒業・修了作品展が楽しみです。展示場所は東京都美術館地下2階ギャラリーCです。
ぜひ、いらしてください。
取材・執筆 堀内裕子 長尾純子 千葉裕輔
【インタビュー編集後記】
堀内裕子
直接作家さんに話を伺うのが初めて、鋳金という工芸もドキドキしながら始まったインタビュー。炉や窯が置かれた土間などダイナミックな作業場で作品完成までの試行錯誤や探求心を知れて好奇心が途切れませんでした。気心しれた同期3人で聞けたのも楽しい思い出です。
長尾純子
亀岡さんのきれいな指先から生まれる、緻密で美しくミステリアスな作品に魅了されました。本物の蜂を使った消失模型鋳造の作品を見せていただいた時の、少年のような目の輝きが素敵でした。亀岡さんの今後のご活躍が楽しみです。
千葉裕輔
鋳金、んん、なんて読むんだ?漢字が読めん。よく知っている身近なあの像も鋳金の作品だとか・・・。とっても丁寧にやさしく教えていただきありがとうございます。また一つ世界の秘密を発見してしまった気分です。今後の活躍が楽しみです!