2023.12.08
◆はじめに
夜間開館日にライトアップされた東京都美術館の美しさ・建築の魅力をともに味わいたい、そんな思いでツアーを開催してきました。12年目を迎えるこのラボ、今までの良さを受け継ぎつつも、刷新してきたこの1年の様子をお届けします。
夜の公募棟。ヤカンツアー参加者だけが入ることができる。
◆実施概要
・開催年月:2023年6月・9月・12月(計7回)
・参加人数(延べ人数):参加者124名 とびラー59名
・開催時間:19:15-19:45(6月)19:05-19:45(9月~)
・テーマ及びコース:ガイドを担当するとびラーがおススメをご案内
◆ツアーの様子
ツアーでは、夜ならではの建築や空間の見どころを30~40分で紹介しました。ここでは、2023年12月に2回開催した「トビカン・ヤカン・カイカン・ツアー@ローマ展」の様子をお届けします。
夜の空気感や光はもちろん、発見やまなざしをともにしているシーンなど、参加者の皆さんととびラー20名の一期一会のステキなひとときをご覧ください。
<開始前>
本番前の事前準備風景。コースの共有やチームごとの最終打合せも入念に
準備を整え、さあお迎え!
ぞくぞくとお客様がいらっしゃる。受付後に、各チームへご案内
<ツアー>
ツアーのテーマ・コースはガイドによってまちまち。ちなみに、ローマ展2回目で各ガイドが用意したテーマは
「夜のおしゃべり都美散歩/光に照らし出された都美空間を楽しむ/夜ならではのトビカンの陰影を楽しむ/100年保つ建物とその夜景/夜の都美をみんなでみてみよう!/色と光の調和」と多彩です。
ツアーテーマを伝えてスタート
反射する光を堪能
エスプラナードを散策
天井やライトを愛でる
椅子も愛でる
素材をジェスチャーで説明
通称おむすび階段にて何やら楽しそうな様子
公募棟より何やら発見
お話もはずむ!
素敵なツアーを終えて控室へ
撮影班もお疲れさま!
◆過去から受け継いできたこと
11年続いているラボの良さを継承する、特に①シンプルな運営②ツアーの知見を貯めていくことを改めて大事にしようと話し合い、スタートしました。
①シンプルな運営
とびラーも家庭に仕事に忙しい人が多いので「金曜夜に2時間だけぱっと集まって集中して準備→ツアー→振り返り→解散」という流れができていました。この流れをよりブラッシュUPして、短い時間で楽しめるようにしました。
②ツアーの知見を貯めていく
ツアー実施には、ガイドやサポートはもちろん、受付や撮影など各役割の連携が欠かせません。過去の実施例を集めて知見集をつくりました。自分たちの知見も加えつつ、秘伝のタレ化を目指して更新中です。
◆今年のメンバーで変えてみたこと
よりツアーを手軽に楽しんでいただくために、①アンケート廃止②ツアー時間延長③当日呼び込み、この3点を刷新。アフターコロナも追い風になりました。
①アンケート廃止+②ツアー時間延長
ツアー時間を10分延長。参加者から「もう少し長いと嬉しい」とお声をいただくことが多く、我々ももう少しご案内したいという想いがありました。そこで、準備時間を短縮し、アンケートもツアー後に感想をいただくことで代用。ゆったりと夜の散策を楽しむことに繋がりました。
③当日呼び込み
アフターコロナでツアー人数などの安全対策が緩和され、キャンセルされた枠を当日呼び込むことにしました。たまたま通りかかって、たまたま一緒になった人と楽しむ、そんな偶然のめぐり合いもデザインできました。
◆予行演習
今年は新たに8人のガイドがデビュー。本番により良い状態でお客様を迎えられるように、とびラーが参加者役となり模擬ツアーを実施しました。
6月の大雨の中、練習会に集まったメンバー
雨の夜も、地面に光が反射してとてもキレイ
模擬ツアー終了後に、本番に向け温かく愛あるフィードバック
◆終わりに
毎回終了後に、良い点・改善点を皆で共有し、次にきちんと活かす。よりよいチーム・ツアーにするために、密度濃い振り返りを繰り返しました。その積み重ね、のべ59名のとびラーで作ってきた2023年のヤカンツアーでした。
次年度以降も、メンバーや環境の変化に合わせて進化し続けるラボになりそうです。今後もこのヤカンツアーは続いていくことと思います。ぜひ、ご参加をお待ちしています。
ランチMTGで振り返り。ヤカンツアー@マティス展の解散回
新しいメンバーも増えました。ヤカンツアー@荒木珠奈展の解散回
毎年恒例のクリスマスコスチューム。ヤカンツアー@ローマ展2回目終了後
◆おまけ
一緒に建築を見ることが楽しすぎて、今年からラボメンバー限定「オマケツアー」を打ち上げとセットで開催。マティス展では神田駅~東京駅、荒木展では東京駅~有楽町駅の近代建築を巡りました。発見して、伝え合って。建築って楽しい。
オマケツアーの様子
10期とびラー 橋本啓子
2023.12.03
◆はじめに
家庭や職場で忙しい大人を対象に、日常から少し離れ、美術館で心が豊かになる時間「大人のOFF」を一緒に楽しんでほしい。1回限りではなく2回会うことで、より繋がりを深めてほしい。この企画は、そんな願いを込めてスタートしました。
同じく家庭や職場で忙しいとびラーも、緩急つけて楽しみながら準備を進め、開催当日は参加者の皆さんと一緒に、美術館での「大人のOFF」を存分に味わい、繋がりを深めることもできました。準備~本番までの3か月の道のりをお届けします。
◆開催概要
◎日程・内容
STEP1:2023年11月26日(日)「とびラーお薦めのアート鑑賞」
STEP2:2023年12月3日(日)「前川國男設計のモダニズム建築ツアー」
◎参加人数
STEP1:参加者13人 とびラー19人
STEP2:参加者14人 とびラー17人
◆準備~本番までの3か月
1.どんな人に、どんなふうになって欲しいのか?
9月中旬、22名のとびラーが集い、方向性をすり合わせることからスタート。密度濃い話し合いを経て、目指すゴールは「忙しい大人に、美術館での楽しみ方を広げ心地よさや解放感を味わい、新しい発見や出会いを持ち帰ってほしい。そうすることで元気になって、また東京都美術館に来たいと思ってほしい。」となりました。
2.どんな内容にするか?
「忙しい大人」が参加したくなる内容とは?目指すゴールに到達するために、どんな経験をしていただくと良いのか?またもや、考えることが山積み。笑いながら考え、走りながら形を整えていきました。最終的には、「アート・建築を介して、いつもと違う体験や交流を」をテーマに、その機会を2日間で提供することにしました。
3.トライアルで内容を最終確認
用意した内容で、本当に参加者に楽しんで頂けるのか、不安と期待を抱えつつ、11月19日(日)にとびラー向けのトライアルを実施。参加者役のとびラーのおかげで、たくさんの改善点が見つかりました。
4.そして、本番
<STEP1>
①アイスブレイク(アートカードで関係探しゲーム)
オープニングで我々が「大人のOFF」を企画した想いを伝え、いよいよスタート。ゲームが始まるとあちらこちらから笑い声が。あっという間に皆さん打ち解けられ、また、作品をよく観るウォーミングアップにもなりました。
②「上野アーティストプロジェクト2023 いのちをうつす ─菌類、植物、動物、人間」展を鑑賞
いよいよ鑑賞へ。まずはグループで鑑賞、その後、個人で鑑賞しました。グループ鑑賞では、作品を介して感じたことや考えたことを伝え合い、作品をより深く味わう様子が見られました。
③感想共有
鑑賞から戻ってきて、心に残った作品の共有をしました。「ひとりで見るより、みんなで見る方が何倍もよく見られた」「とにかく感動!」「細かい描写がすごい」「今年見た展覧会で一番良かった」「もう一度行きたい」など、熱量高く語られていました。
終了後、ご希望の方と一緒にランチをしました。お弁当組5名はアートスタディールームで、レストラン組5名はMUSEへ。とびラーも一緒に、和気あいあいと色々な話に花が咲き、楽しいひとときでした。
<STEP2>
紅葉が美しく快晴の翌日曜日。リラックスしながらのお迎え準備。参加者の皆さんも前回と同じグループなので「久しぶり~」「あの後、展覧会行ってきましたよ」など、開始前から盛り上がっていました。そして、全員が揃ったことを拍手で喜びつつスタートしました。
①建築系カードで都美ツアーの準備
「都美カード」(各チームで用意した東京都美術館のイチ押し写真)で気になるカードを1枚選び、その理由を伝えあいました。また、「どこだろうカード」(建築部材等の写真、大吉くじ入り)もくじ引き形式で用意。ツアー前の準備も整いました。
②都美ツアー
選んだ「都美カード」と引いた「どこだろうカード」を手に、いざ70分の都美ツアーへ。上野公園にとけこむ前川建築で、まなざしを共有し、発見しあい、大人のOFFを満喫しました。
③感想共有&ティータイム→2日間を振り返る
ティータイムでほっと一息。ツアーの余韻を残しつつ感想を共有。「何度も来ていたが建物の良さを始めて知った」「前川建築の奥深さにハマった」「カードを持って美術館を歩き回り写真を撮るのが楽しかった」など、楽しそうにお話されていました。
エンディングは、この2日間の様子をムービーにして全員で鑑賞。皆さんとてもいい表情でご覧になり、誰からともなく大きな拍手で終了しました。終了後もしばらく歓談タイムが続き、集合写真を撮ることになりました。それが、冒頭の1枚です。
◆終わりに
参加者の皆さんがとびラーと一緒に良い場を作ってくださり、目指したゴールに到達できたように思います。アンケートも全員から「とても満足」を頂きました。2日間実施したことで、人と人、人と東京都美術館の繋がりがより深くなったとのお声も多く挙がりました。
最後に、少しだけ手前味噌ですが、我々22名はみんながフラットに持てる力を発揮するとても良いチームでした。
参加者の皆さんもとびラーも、家庭や仕事から少し離れて、東京都美術館で「大人のOFF」を一緒に楽しめたことを感謝いたします。また来てくださいね!
10期とびラー 橋本啓子
2023.12.02
第6回建築実践講座|「ワークショップメイキング・2」
日時|2023年12月2日(土)10:00〜15:00
会場|ASR・スタジオ
講師|工藤阿貴/ とびらプロジェクト コーディネータ
前回のワークショップメイキング・1では、15分間のMY建築ツアーを考え、実施しました。
ワークショップメイキング・2では、「対象の人(たち)が、東京都美術館の建築に注目できる・したくなる方法を新しく考える」というテーマで、
ある特定の対象者に対し、東京都美術館の建築に興味をもってもらえるには、とびラーがどのように振る舞えば良いのか?をグループに分かれて考えました。
まずは東京都美術館に来館されている対象の方がどのような方々なのか、実際に館内を歩き、観察し、プランを考えました。
その後、同じ対象者に向けて方法を考えたグループ同士で、お互いのプランを体験しました。
それぞれのプランを体験した後、お互いにフィードバックをし、
参加してみてどうだったか、こうしたらもっとよくなりそう!などを話し合いました。
実際に対象者を相手にトライアルを実施することによって、変化したり、追加されることも出てきます。
その内容をチームごとにプランシートに書き込みました。
最後に、この日一日をふりかえって終了しました。
とびラーからのふりかえりを抜粋します。
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・観察すること、視点をかえること、しかけてみるということ等が、建築への注目の方法を考えるため大事と、あらためて感じ、印象に残りました。
・まずは観察ありき。どんな人が何をしているのか。自分が建築の中でどう感じるか、何が面白いと思うかをその人にどう伝えればいいのか、その人の気づきを私も共有するプランは何があるか。大切なのは、プランナー自身が楽しむことだと感じた。
・「何をしに来ているのか」
「じゃあどういう気持ちだろうか」
「その人たちにとって都美はどう見えているのか」
「どんな気持ちになるとその人たちも嬉しいだろうか」
といったことを、自分たちの経験も元に詳しく考えいくと、自然とその人たちに合った無理のない関わり方が見えてきました。
・建築のプログラムを通じて「どうなってほしいのか」を想像するだけではなく、観察することで、一人ひとりに合わせたアプローチの仕方も変わり、結果、満足度が変化するように思います。
ーーーーーーーーーー
いよいよ次回は最終回です。
(とびらプロジェクト コーディネータ 工藤阿貴)
2023.11.25
第5回建築実践講座|「ワークショップメイキング・1」
日時|2023年11月25日(土)13:00〜16:00
会場|東京藝術大学 第3・4講義室
講師|峰岸優香/ 東京都美術館学芸員
東京都美術館の学芸員である峰岸より、東京都美術館の「とびラーによる建築ツアー」についてお伝えし、
「15分間のMY建築ツアー」を考えるワークを行いました。
その後、3人組になって交代でそれぞれのツアーを体験しました。
とびラーからのふりかえりを抜粋します。
ーーーーーーーーーー
・他のとびラーの「伝えたい」という気持ちが伝わり、 参加した私が、新たな発見をして、他の人に伝えたくなる気持ちを体感することに繋がった。(大変充実した時間だった。) 普段から自分だけでなく他の方の「気づき」に関心を持つことも大切だと思う。 講座内で体験したような新鮮な気持ちで、東京都美術館を発見する楽しさ、誰かに伝えることのできるわくわく感を実感しながらガイドが出来るよう今日の経験を大切にしたいと思っている。
・都美や建築に詳しい人がやっているというイメージがあったが、それよりも好きなポイントを伝えたい!という気持ちや、居心地の良さが大事なのだと改めて感じた。
ーーーーーーーーーー
講座の中で伝えたことは、「とびラーによる建築ツアー」で大切なのは、参加者が安心して参加できるということ。
今回の講座で興味を持って調べたことを語るとびラーは、みんな魅力的でした。魅力的に語られる内容は参加者を魅了します。
中には「24時間建築ツアーをやりたい!」とコメントをくれたとびラーも。
これからの「とびラーによる建築ツアー」も楽しみです。
(とびらプロジェクト コーディネータ 工藤阿貴)
2023.11.13
ライトアップされた東京都美術館を散策する金曜夜限定の40分ツアーです。
夜ならではの建物のみどころをとびラー(アート・コミュニケータ)がご案内します!
美術館全体が、まるで宝石箱のような輝きを放つ夜。昼とは違うその表情を一緒に楽しみませんか?
※東京都美術館の夜間開館日に合わせて実施いたします。事前申込が必要です。
日時|
① 2023年12月 1日(金) 19:05 – 19:45(受付開始18:50)
② 2023年12月 8日(金) 19:05 – 19:45(受付開始18:50)
会場|東京都美術館
集合|東京都美術館 LB階(ロビー階)中庭 正面玄関右手/雨天時は講堂前
対象|どなたでも
定員|各回20名(先着順・定員に達し次第受付終了)
参加費|無料
参加方法|事前申込制。以下の専用フォームよりお申し込みください。
① 12月1日(金)のご参加
② 12月8日(金)のご参加
【申込の際にお願い】
1)参加される方のお名前でお申込みください。
2)複数名での参加を希望の場合、参加希望のそれぞれ1人ずつの申込が必要です。
※小学生以下のお子様が参加される場合は、その他連絡事項欄に年齢のご記入をお願いします。
※特別に配慮が必要な方はお知らせください。
※定員に達し次第、申込み受付を終了いたします。
※本フォームでのお申し込みが完了すると、「返信先Eメールアドレス」宛にメールが届きます。必ずご確認ください。
※お申し込み前に「迷惑メール」などの設定を確認し、「@tobikan.jp」からのメールを受信できるようにしてください。申込受付完了の自動返信メールが届かない場合は、お申込みされたお名前と電話番号を明記のうえ、p-tobira@tobira-project.info(とびらプロジェクト)宛にメールをお送りください。
※広報や記録用に撮影を行います。ご了承ください。
2023.10.23
第6回鑑賞実践講座|「ファシリテーション実践 ふりかえりの仕方(コーチング)について」
日時|2023年10月23日(月)13:00〜17:00
会場|東京都美術館 アートスタディルーム、スタジオ
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA)、ARDAコーチ5名
内容|グループ鑑賞の実践と、ふりかえりの仕方(コーチング)について
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第6回の講座では、Visual Thinking Strategies(VTS)鑑賞のファシリテーションをふりかえって次の実践に生かしていくための「コーチング」の方法を知り、実践しました。
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コーチンングのデモンストレーションをしてくれたのは、ARDA(NPO法人芸術資源開発機構)の5人のコーチのみなさん。第3回から2ヶ月ぶりの登場です。「個人的に最近ハマっていること」を紹介してもらいながら、コーチたちの日常も垣間見つつなごやかなスタートになりました。
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・
とびラーがクリテイカルな視点を持ち、よい観察とよい振り返りを行いながら、ファシリテーションした鑑賞の場をブラッシュアップしていくことは、とても重要です。
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ですが、「敬意を持って、忌憚なく、建設的に」お互いが振り返りの意見を出し合いながら解決策を見つけていくのは、実は結構難しいこと。その振り返り自体も共同構築的なまなび場としてつくっていく必要があります。
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今回の講座では、そもそも「敬意を持って、忌憚なく、建設的に」行われる振り返りの場とはどんなものか、まずはそのことをグループで話し合いました。
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そのあとは、グループに分かれてVTS鑑賞の実践を行い、ARDAコーチのコーチングデモンストレーションを経て、それぞれのチームがコーチ役を立てて振り返りの場づくりを実践していきました。
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今後も、今日の観察と振り返りの方法をファシリテーションのブラッシュアップに活かしていってもらえたらと思います。
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(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)
2023.10.22
日時|10月22日(日)13:30〜15:30
場所|東京都美術館 講堂
講師|松見幸太郎(NPO法人 キッズドア)
テーマ|「経済格差とこどもたちの文化的状況」
MuseumStartあいうえの ダイバーシティ・プログラム「ミュージアム・トリップ」にて、数年にわたり連携を続けているNPO法人キッズドアの松見幸太郎さんからお話をお聞きしました。(キッズドアとの連携プログラムの様子はこちら。)
プログラムで子どもたちと活動するとびラーが、キッズドアの学習支援等とつながる子どもたちの文化的状況やその社会的背景について知る貴重な機会です。
「体験格差」を生み出す貧困という社会的課題の現在を知ることで、とびラーが、アート・コミュニケータや美術館・文化施設のあらたな役割にも目を向けていく時間になりました。
今後も、MuseumStartあいうえのと様々な機関との連携の中で、とびラーが子どもたちをミュージアムでの体験へとつないでいきます。
(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)
2023.10.14
第4回建築実践講座|「1階革命
――私設公民館「喫茶ランドリー」とまちづくり」
日時|2023年10月14日(日) 14:00~17:00
会場|東京都美術館 講堂
講師|田中元子 / 株式会社グランドレベル代表取締役
田中元子さんより、海外で出会った様々な事例から喫茶ランドリーを開店するまでのいきさつを伺い、
とびラーたちが東京都美術館の中に、パブリックとプライベートの交差点である「マイパブリック」を探しに出かけました。
マイパブリックは多種多様。私はどこで、何をしたいのか。
とびラーそれぞれが見つけてきた東京都美術館の中の「マイパブリック」を発表しました。
とびラーのふりかえりを抜粋します。
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・「マイパブリック」は視座が180℃ひっくり返る破壊力だった。公共をつくるのは自分一人でも始められる。そうか、フリーコーヒーは「私が」街の人に声をかける自由を得るものなのか。
・自分の好きな事をするのは、持続可能にする事だと、改めて気がつきました。「誰かのため」ではなくて「自分がやりたいからやる」。そういうマインドを大切にしたいです。
・「マイパブリック」という観点で考えること、が、だれかの居場所を作れるのかもしれないと思い、自分の思いや考えを大切にしようと思った。
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(とびらプロジェクト コーディネータ 工藤阿貴)
2023.10.10
日時|2023年10月10日(火)10時〜16時
展覧会|永遠の都ローマ展(会期:2023年9月16日(土)~12月10日(日))
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2023年10月10日(火)、東京都美術館で現在開催中の「永遠の都ローマ展」にて「障害のある方のための特別鑑賞会」を開催しました。この鑑賞会は、障害のある方がより安心して鑑賞できるよう、特別展の休室日に事前申込制で開催しています。
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当日はお天気にも恵まれ、たくさんの方が「永遠の都ローマ展」に来場し、ローマをめぐり生み出された壮大な美の歴史に触れていました。
アート・コミュニケータは受付や展示室内など、館内の様々な場所で来場者のサポートをしました。
写真とともに、当日の様子をお伝えします。
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普段は混雑することもある展示室。
この日は、事前申込・定員制のため、障害のある方にも、より安全にゆったりと展覧会をご覧いただくことができます。
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来場者のみなさんは、同行した介助者や当日会場でお迎えしているアート・コミュニケータとのお話も楽しみながら、世界的にもっとも歴史の古い美術館の一つに数えらるカピトリーノ美術館のコレクションのなかから選りすぐりの名品に目を凝らしていました。
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アート・コミュニケータは、お車でお越しの方の入館時のお出迎えや、受付、エレベータやエスカレータの見守りなど、館内の様々な場所でも来館者をサポートしました。
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当日を楽しみに来館していただけるように、事前の参加証を郵送する封筒のデザインにも、とびラー(アート・コミュニケータ)がひと工夫しています。今回の展覧会に合わせて「消しゴムハンコ」でデザインをした封筒のバリエーションを、展示室出口の休憩スペースにて紹介しました。
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・・
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次の鑑賞会でもみなさまにお会いできるのを、アート・コミュニケータ一同楽しみにしています。
2023.10.09
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第5回鑑賞実践講座|「ファシリテーション事前準備」
日時|2023年10月9日(月)13:00〜17:00
会場|東京都美術館 アートスタディルーム、スタジオ
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA)
内容|作品に近づく事前準備(グループ作品研究、個人作品研究「ひとりVTS」)
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第5回の講座では、Visual Thinking Strategies鑑賞(VTS)のファシリテーションをするための事前の準備について知り、複数人のグループワークと個人ワークを通じて理解していきました。
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VTS鑑賞では、まずファシリテータ自身が作品を事前によくみて、味わい、作品のテーマや魅力を掴んでおくことが重要です。事前の作品研究では、時間をかけて丁寧に作品をみながら、テーマや魅力を読み解いていきます。
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まずはグループでの作品研究。
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お互いの視点を聞き合い、それぞれの意見を主観的意見と客観的意見に分類し、作品から見つけられる根拠や主観的解釈を補完してマッピングしながら、作品研究シートを作成していきます。
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つぎに、個人での作品研究です。
普段ファシリテータとして事前準備をする際は、担当する鑑賞作品をそれぞれが自分で準備する場面が増えていきます。
そのため、事前にひとりで作品の魅力やテーマに近づけるように練習することも重要になります。
こちらも、時間をかけて作品研究の練習を行いました。
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これまで以上にじっくりと考える作業が続いた第5回鑑賞実践講座。
参加したとびラーやDOOR受講生・藝大生からは、講座後に「頭を使いすぎてグッタリと疲れた」という声も聞かれました。
VTS鑑賞の体験をかけがえのない時間にしていくために、どれだけ事前の準備ができるかが実際の鑑賞の鍵を握ります。ファシリテーションの事前準備、今後もしっかりと身につけていってもらえたらと思います。
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(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)