東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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2024鑑賞実践講座⑧|「ファシリテーション研究」「1年間のふりかえり」


第8回鑑賞実践講座|「ファシリテーション研究」「1年間のふりかえり」

日時|2025年1月7日(火)10:00〜15:00
会場|東京都美術館 アートスタディルーム、スタジオ
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA)、熊谷香寿美(東京都美術館アート・コミュニケーション係長 とびらプロジェクトマネジャー)、越川さくら(東京藝術大学 芸術未来研究場 ケア&コミュニケーション領域 特任助手 とびらプロジェクトコーディネータ)
内容|ファシリテーションの言葉の編集作業について/1年間のふりかえり


第8回の講座では、ファシリテーションにおける「言葉の編集作業」について理解を深めました。また、1年間のまなびをふりかえり、今感じている疑問や気づきを全体で共有する時間を持ちました。

午前中は、子どもたちとの鑑賞プログラムの様子を収録した映像を視聴しました。特に「ファシリテータが、鑑賞者の対話の流れをどのように編んでいくのか」に注目し、繰り返し見取りながら分析しました。

午後は、1年間の講座と並行してとびラーが参加してきた鑑賞プログラムをふりかえり、実践を重ねてきたからこそ生まれた疑問や新たな気づきを全体でシェアしました。

この全体シェアは、事前にとびラーから集めた質問をもとに、講師の三ツ木さんと熊谷さんが答えるQ&A方式で進められました。

 


今年度は、全盲のとびラーが仲間に加わったことで、「見えない人と鑑賞体験をどのように共有するのか」を考えながら講座を進めてきました。毎回の講座では、スタッフが制作した「触図」(触ることで、モチーフの輪郭や全体の構図がわかるもの)を使って、情報を補足しながら鑑賞を補助しました。「触図」を制作する際には、どこまで・どのように触れる部分を作るとわかりやすいのか、フィードバックをもらいながら検討しました。

後日、全盲のとびラーがファシリテータとなり、作品画像を鑑賞する会をとびラーとスタッフで実施しました。

鑑賞会とは別の事前準備の日には、複数のとびラーが集まり、作品選びと、作品研究を行いました。選んだ作品を細部まで観察し、想定される意見を出し合いながら、全盲のとびラーの「脳内マップ」に作品の視覚的な情報をマッピングする作業を行いました。また、ファシリテーション時の立ち位置などについても検討しました。

鑑賞会当日には、モニターに投影した作品画像を使って鑑賞会を行いました。ここで初めてファシリテーションを担当した全盲のとびラーは、講座でのまなびを最大限に活かし、鑑賞者の新たな視点や対話を引き出していました。

また、ここで鑑賞者の役割をしていたとびラーが、次の鑑賞会を自主的に企画するなど、次の動きにもつながっています。


2024年度の鑑賞実践講座がすべて終了しました。今年度もとびラーは、小さなお子さんから高齢者まで、また、様々な文化的背景を持った方々と作品との出会いの場を作ってきました。

3年目の11期とびラーは、とびらプロジェクトを任期満了し、それぞれの道へ。

1・2年目の12・13期とびラーは、2025年度のまなびと実践の場へと進みます。

7月からの半年間をともにした三ツ木さんから、激励とともに挨拶がありました。

「VTSのファシリテーションには、これでOKという完成はありません。常に模索しながら、一緒にアート・コミュニケーションの活動を作っていきましょう。またお会いしましょう!」

みなさんのこれからの活躍を期待しています!


 

(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)

2025.01.07

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