東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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【これからゼミ活動報告】「アート・コミュニケータの建築鑑賞まちあるき」を考える

この「これからゼミ」では、アート・コミュニケータならではの視点で、街なかの建築を鑑賞。みんなで歩いて、みんなで見る建築鑑賞ツアープランを考えました。

 

 

みんなで名建築をみるのが楽しい!

 

とびラーは、建築実践講座(※)で学んだり、建築ツアーガイドを経験したりするうちに、「建築沼」にはまってしまう人が少なくありません。建築の魅力に取り憑かれたとびラーたちは、常日頃から誘い合って、街なかの名建築を見にいっています。

 

そして私は、気づいてしまいました。一人で見るよりも、みんなで対話しながらのほうが、何倍も楽しく、鑑賞の「解像度」がぐぐっと高まることを。

もしかすると、アート・コミュニケータとしての視点が、建築鑑賞にも生きているのかもしれない……。だとしたら、私たちの建築鑑賞まちあるきは巷の建築ツアーとは一味違うものであるはず。

 

そんな仮説を立て、任期満了後の活動を見据えた「これからゼミ」として、「アート・コミュニケータの建築鑑賞まちあるき」の可能性を考えてみることにしました。

 


建築実践講座:東京都美術館の建築の歴史や背景を理解し、自分の感覚を手掛かりに建築を味わう力を身につけ、美術館というパブリックな建築を介して人々をつなぐ場をデザインする」ことを目的に、とびラーに向けて毎年開催されている講座。


 

 

キックオフミーティングは、

#アートコミュニケータ

#建築

#鑑賞

#まちあるき

というモリモリのキーワードに惹かれた9人のとびラーが集結。

  • これらを全部組み合わせたら何ができるのか
  • 「まちあるきツアー」への関心で集まったコミュニティには、どんな可能性がある?
  • 建築の専門家ではなく、アート・コミュニケータがツアーガイドをする建築鑑賞ツアーとは
  • 有名な建築だけでなく、なんてことない地域のまちあるきについても考えてみたい

と、大風呂敷を広げてざっくばらんに話し合いました。

 

 

六本木界隈をあるいてみた!

 

まずは実践。さっそくみんなで街に出てみることにしました。行き先は、前川國男のファンなら一度は訪れたい「国際文化会館」がある六本木エリアです。各自が気になる建築をリサーチして、記念すべき最初のツアーが完成しました。教会建築から、昭和初期のアパートメント、愛すべきモダニズム建築……と時代を超えて、大都会六本木の心意気を感じられる贅沢なラインナップに。

 

テーマ:

六本木の名建築を歩く

ルート:

▶︎神谷町駅

▶︎聖オルバン教会・聖アンデレ教会

▶︎ノアビル

▶︎和朗フラット

▶︎AXISビル

▶︎国際文化会館(お茶)

▶︎全日本海員組合本部会館

(国際文化会館以外は、外観をじっくり見学)

 

ツアー気分を盛り上げるため、しおりを作成。鑑賞する建築ごとに「自分が注目したいポイント」を記入する欄をつくり、見る準備を整えて当日を迎えました。

 

 

当日は10人のメンバーが参加し、六本木の名建築を心ゆくまで鑑賞しました。面白かったのは、コースに組み込んでいなくても、気になる建物があれば立ち止まり、みんなで鑑賞が始まってしまうこと。いっときも対話が途切れることなく、あっという間の3時間でした。

 

 

後日実施したふりかえりミーティングでは、「建築鑑賞まちあるき」の意義についてさらに深い発見がありました。

「いろいろな時代の建築を通して街の歴史を感じたり、地形を体感したりして、街の全体像を知ることができた」という手応えに加え、メンバーからはこんな意見も。

 

「地域の人に話を伺ったら、もっと面白くなるはず」

「ツアーをつくること自体が、ひとつのコミュニケーションだね」

 

「人がいてこそ、まち」。 

単なる見学ツアーを超えて、「コミュニケーションの場づくり」としてのツアーという、私たちの目指す方向性がはっきりと見えてきた気がします。

 

 

白熱のツアープランプレゼン大会

 

次のゼミでは、各自ツアープランを作成して、みんなに発表しました。メンバーの「好き」が詰まったツアーの数々に「こんな建築があるとは!」「早く行きたい!」と盛り上がり、あっという間に時間が過ぎました。

 

みんなが考えたツアー案のほんの一例

・馬車道・日本大通り レトロ・モダニズム建築さんぽ

・白金・高輪名建築さんぽ〜ゴシックからクマケンゴ〜

・上野の山を下って、東上野〜浅草下町さんぽ

・日本橋界隈ツアー

・山形市内 みどころ建築満載涙ものツアー

・北区王子周辺の文化財を歩く

・文京区本郷界隈ツアー

 

実際にツアープランを作ってみると、時間配分やトイレ休憩の確保など、実践的な課題も見えてきました。検討すべきことがたくさん! 誰もが安心して参加できるツアーを作るのは、そう簡単ではありません。

 

 

「まちと建築 みるみる隊」始動!

 

そうこうするうちに、開扉(3年の任期が満了すること)が迫ってきたので、開扉後に自主的に活動を続けていくための任意団体を作りました。

その名も「まちと建築 みるみる隊」。

目的は、まちあるきと建築鑑賞を通したコミュニケーションの場を通じて、人と人、人と建築、人とまちをつなげること。対話を通して、「まちと建築」をよ〜くみて、その魅力を多くの人と共有したい。そして、まちが受け継いできた文化や名建築を次世代に引き継ぐ一助になれたらと考えています。

 

まずは、メンバー内でまちあるきと建築鑑賞を実践しながら、自分たちの考えや思いを言語化、研究することからスタート。私たちのペースでじっくりと「まちと建築」に向き合っていきます。

 

 

 


執筆:後藤 麻木(12期 とびラー)

編集制作会社で働いています。名建築に身を置き、建築家の思いを知ることに夢中。とびらプロジェクトで学んだことを生かして、身近な場所にみんなが居心地の良い場所をつくることを目指しています。

2026.03.14

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