東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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【開催報告】五感で楽しむ冬の都美さんぽ

「五感で楽しむ冬の都美さんぽ」とは、上野公園の緑に囲まれた東京都美術館(以後、都美)の環境と前川國男が設計した建築を視覚・聴覚・触覚・嗅覚などを使って味わいながら歩く約1時間のツアーです。

 

開催日は、土日の上野公園の喧騒を避けて、比較的静かな平日に実施しました。
開催日程は2日間です。

 

2025年12月4日(木)、11日(木)10時~11時の2回にわたり実施した、ツアーの模様を報告します。

 

 

準備段階でとびラーは、2025年8月から4か月の間、6回のとびラボミーティングを行いました。

ミーティングでは、ツアーの開催時期や、五感に意識を向けることで日常とは異なる美術館の見え方を参加者に体験してもらうにはどのようにしたらいいか、参加者ととびラーがともに楽しむためにどんなツアーを作りたいかをとびラー同士で話し合いました。

この「五感で楽しむツアー」のシリーズは、最初のアイデアが実施されてから、3年目を迎えました。継続的に行ってきた「五感で楽しむツアー」というアイデアを、今年度はどのように実践していくのかについても話し合いました。

 

 

そして迎えたツアー本番1回目は、少し気温も低く、寒さを感じながらのスタートになりました。

当日は7名の参加があり、2チームに分かれてツアーを実施しました。

 

ツアーコースは、ファシリテータがチームごとにプランを立ました。

ツアー中に立ち寄るポイントで、五感を使って美術館を楽しんでいただくための見せ方や、声掛けなどを考えたプランです。

 

 

ツアーでは、五感に意識をむけることでいつもとは違う気づきが生まれます。

 

例えば、こんな気づきです。

 

視覚:何気なくみていた美術館外壁に、よく見ると穴があることに気づく。そうすると、この穴は何のために空いているのかを考える。さらに、外壁に近寄ってみると、もっと小さな穴も見えてくる。

 

触覚:外壁を触ってみると、そこから、どのような素材でできているのか知りたくなる。

 

聴覚:野鳥の声、人の話し声、足音などに気づく。そうすると、都美の建っている公園の環境や人の流れに気がつく。

 

嗅覚:敷地に落ちているクスノキの葉を割いてみると、さわやかな香りを感じる。

 

 

 

 

そして、このツアーだけの特別感を感じられるポイントがあります。

「普段は入れないエリアへご案内します」と、とびラーが参加者にお伝えすると、参加者の「わぁ。」というお声とワクワク感が高まります。そのお声を聞くと、私たちもワクワクしてきます。

 

 

いつもは施錠してある都美の敷地の東側にある小さな門を入り、細い通路を抜けます。そうすると視界が広がり、目の前に大きな銀杏が見えてきます。

 

そこは、前川國男が設計した新館開館当時は野外彫塑展示室だった都美の北側エリアです(現在は野外彫刻の展示はありません)目の前の大きな銀杏は1945年第二次世界大戦で被災した銀杏です。

 

 

 

木の上部は焼け落ち、幹の内側も黒く焦げていますが、横に低く枝を伸ばしていて、毎年春には緑の葉が茂り、秋には黄色く色づきます。木の下に入ると、静かに佇むその姿から、長い時間を生きてきた重みや生命力が伝わってきます。参加者からは、「畏怖を感じる」との声もありました。

 

ツアーの終わりに参加者に感想を伺うと「午後から仕事だがリフレッシュして向かえる」とのお話しされていました。

 

本番2回目は、9名の参加者を迎え、3チーム編成で実施しました。

 

 

今年度の実施では、とびラボに集まったとびラーととびらプロジェクトのスタッフがみんなで準備を進めてきました。また、実施にあたっては美術館の各部署の方々のご協力も得て、2回のプログラムを無事終えることができました。

 

参加者のみなさんには、美術館に展覧会を見に来るだけではない楽しみ方を知っていただき、ツアーに参加したことで、いつもと違う時間を過ごしていただくことができたのではないかと感じています。

 


※美術館北側のエリアはプログラム開催時のみご案内しています。
通常は入室できませんのでご注意ください。


 

執筆者:重田美代子(12期とびラー)

とびラーに応募したきっかけは定年退職後も社会とつながっていたい考えたことです。美術館ボランティア活動に参加しなければ出会えなかった多様なバックグラウンドをもつ仲間との3年間は、私にとって宝物になりました。任期終了後も仲間とつながり、様々な場所での活動が続くことを嬉しく思っています。

2025.12.11

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