2016.8.1(月)第3回鑑賞実践講座<ファシリテーション基礎①>
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(午前)9:30~12:30
⬛︎アートカード体験(神経衰弱ゲームとものがたりづくりゲーム)
⬛︎対話型鑑賞体験 2作品(鑑賞者と観察者に分かれて体験)
⬛︎ファシリテーターの仕組みを考える
(午後)13:30~16:30
⬛︎ファシリテーターの3つの質問と7つの要素をふりかえる
⬛︎ミニ・ファシリテーション実践
⬛︎レクチャー:美的発達段階とアーツダイアローグの意義
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いよいよ実践のためのファシリテーションの基礎を学ぶ連続講座、長い1日のはじまりです。
VTSファシリテーションを学ぶこの講座で講師となっていただくのは、三ツ木紀英さん(NPO法人芸術資源開発機構ARDA)です。
前回までの講座で出ていた、大事なキーワードって何だったでしょうか?
前の席の方から聞こえたのは「場づくり」という声。
そう、今年の講座で繰り返し伝えているのは「どうやって場をつくるか」。
この場づくりの仕方について、ノウハウやルールはありません。
場所や時間に応じて、形成していくものなので、学んだことを現場に応じて実践していってください、と三ツ木さんからの導入がありました。
■最初にアートカード体験
3つのテーブルに分かれて、今日はARDAのファシリテーターの3名の方(コッシー・ペコ・キャサリン)とご一緒に行います。
テーブル内で、体験者と観察者とで分かれます。体験者は楽しそうにアートカード・ゲームに参加。観察者はどんな場が起こっているのか、<場をつくる視点>で観察をします。
1つ目のゲームは「神経衰弱」。
ランダムに引いた3枚の共通点をみんなで探します。このカードとこのカード、本当に共通点あるの?
よく見ます。
「黒っぽい」「雨が降っている」「あ、縦の線が一緒?」「人がいるよ」など、どんどん出てくる気づきに対して、ファシリテーターがたずねます。
「どこにいますか?」「あ、絵のこのあたりを指しているんですね」「わ~そんなところに気づいたんですね」
どんどん盛り上がって、時間内に終わらないほどでした!
ゲームのあとは、前回のアートカード体験との違いをふりかえり。
ファシリテーターの存在は、その場にどんな意味があったのか?
次の発言につながるための問いかけがあったり、その人の意見を肯定的に受け止めてくれる感覚があったり、話しやすい環境づくりのためにどんな工夫がされているのかについて、話し合われました。
一つ一つの発言をファシリテーターが丁寧に拾い上げることによって場が変わっていく、ということを実感する時間となりました。
2つ目のゲームは「ものがたりづくり」。
ランダムに配られた3枚のアートカードを使って、ものがたりを作ります。
体験者と観察者が入れ替わって、ゲームがはじまります。
最後にふりかえりで出てきた意見では、ゲームの構造の違いやファシリテーターが参加者のことをよく観察していたことで、話しやすくなったり発言の引き出し方が変わっていた、ということがありました。
⬛︎対話型鑑賞体験 2作品
午前中の後半は、実際にプロジェクション投影でみんなで対話型鑑賞を体験。
2つの作品を30分ずつ、じっくり対話を重ねながら見ていきます。
⬛︎ファシリテーターの仕組みを考える
そのあとに、3人組でふりかえり。
「どんなことが起こっていた?ファシリテーターはどんなことをしていた?」
アートカードと同様に発言が繰り返されたことについての意見も出ましたが、さらに体の動きで指し示していることやどのようにして話しやすい場づくりができていたか、という発言が出ていました。
特に議論が巻き起こったのは、1点目と2点目の最初の問いかけの違い。
1点目は「この絵の中で何が起こっていますか?」
2点目は「この絵を見て、どう思いますか?」
その違いは、絵によって変えているのか、質問によって鑑賞者の見え方・発言の仕方が変わるのでは、ということについて盛り上がりました。
もう一つ議論があったのは、理由をたずねられる質問について。
ただの思いつきで話したかもしれない発言について、自分でもう一度深く考えられるきっかけになったそう。その時のファシリテーターの問いかけは、「なぜそう思ったの?」ではなく、「絵のどこからそう思ったの?」でした。単純に理由を問うのではなく、絵に戻す質問にすることで根拠づけができるようになるということです。
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⬛︎ファシリテーターの3つの質問と7つの要素をふりかえる
午後の活動は、午前中のファシリテーターが実践していた10個のポイントをふりかえるところからスタート。
3つの質問と7つの要素について、三ツ木さんが整理して伝えてくださいました。
⬛︎ミニ・ファシリテーション実践
そのあとは、いよいよ本日参加しているとびラー全員が体験するミニ・ファシリテーション!
4人組で、A4サイズのアートカードを使っていきます。
午前中のことと、今学んだ要素を実際に活用してみる体験です。
8分間の対話+5分間のふりかえり+7分間の全体共有を4ラウンド、繰り返します。
対話も盛り上がる一方で、感じるもやもやや気づきもたくさん・・・
人生で初めての作品を鑑賞するファシリテーションを体験してみて、
自分自身が緊張しすぎて一人一人の発言を聞けなかったり、沈黙に耐えられなくなって話しかけてしまったり、うまく質問をはさめなかったり、なかなか苦労が多いようです・・・。
一番最初の講座で稲庭さんが話していた中にもあった通り、場をつくる目的は「安心感を生む」こと。
この「安心感」を生むには、ファシリテーター自身が集中して、リラックスしていることが何より大事です。
鑑賞者の発言に集中し、「どんなことを言ってくれるんだろう」ということを楽しみながら実践してみよう、という三ツ木さんからのメッセージがありました。
その他にも、「最初の問いかけの質問の仕方」や「作品から大きくはずれて空想の世界に入ってしまい、勘違いしたまま終わってしまわないのか?ファシリテーターは何もしなくて良いのか?」という疑問について、全体で考えながら話し合いました。
まさに、三ツ木さんがファシリテーターとなりながら、出てきた発言についてみんなで取り組み、その意見を言い換えながら、ファシリテーションに関する議論が進んでいきます。
⬛︎レクチャー:美的発達段階とアーツダイアローグの意義
最後に、三ツ木さんからのレクチャーでは、こどもの美的発達段階に応じて「VTS(ヴィジュアル・シンキング・ストラテジー)」がどのように活かされるか、歴史的背景とともに話されました。
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たっぷり体験→対話でふりかえり→体験と、とても集中力の高い状態を6時間続けていました!
次回は後半戦。ミニワークも引き続き取り組みながら、より実践的なワークを行っていきます。
外の暑さに負けず、鑑賞実践講座も熱く盛り上がっていきます!
鈴木智香子(東京藝術大学 美術学部特任助手)
2016.08.01