東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

活動紹介

2023アクセス実践講座②|障害とはなにか、差別とはなにか

2023.07.30

 


日時|2023年7月30日(日)14:00〜16:00
場所|東京藝術大学 第1講義室
講師|又村あおい(全国手をつなぐ連合会 常務理事 兼 事務局長)


 

全国手をつなぐ連合会の常務理事兼事務局長である又村先生より、オンラインにてお話を伺いました。

障害とは何なのか、社会モデルや医療モデルについて、また、合理的配慮の具体的な事例をわかりやすくお話しいただきました。

 

 

 

とびラーからのふりかえりを抜粋します。

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・障害の理解と差別の解消に向けて法整備が進むことは喜ばしいことですが、人々の心の中の差別意識は、この法の施行によってどう変わるのだろうか?という興味も湧きました。

 

・まずは自分の内にある「心理的バリア」をなくしていく努力をしていきたいと思います。その先に「物理的バリア」をなくしていく合理的配慮の知恵が生まれてくるのかなと感じました。

 

・この講座はアクセス参加者だけではなくとびラー全員、いや、社会を構成する人たち全員が知っておくべき大切なことだと思いましたが、浸透が課題なのだとも感じました。

 

・「障害理解とは数年後の自分を理解すること」「他人事ではなく我が事」、まさにその通りで最初は絶句しましたが、講座が進んでいくうちに、「できないことは求めず、その場でできる事が中心」「できるできないだけで判断せず建設的対話を深めることが重要」なのだとわかってくると、少しホッとします。

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東京都美術館では、普段は混雑している特別展の休室日を利用した「障害のある方のための特別鑑賞会」などの取り組みを行っており、様々な当事者と出逢いながら実践のかたちを日々考えています。

とびラーの活動に限らず、日常生活にひろげて合理的配慮とは何かを見直すことができる、具体的な行動をイメージしやすいお話でした。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 工藤阿貴)

2023建築実践講座②|「これからの公共空間のデザインとは?」

2023.07.29

第2回建築実践講座|「これからの公共空間のデザインとは?」

日時|2023年7月29日(土) 14:00~16:00
会場|東京都美術館 ロビー階第3公募展示室(AC展会場)
講師|森純平 / たいけん美じゅつ場VIVA基本設計・ディレクター
小金丸信光 / アーキテクチャデザイナー
熊谷香寿美 / 東京都美術館 学芸員

この回は、『アート・コミュニケーション事業を体験する 2023』を開催中の公募棟内で行われました。

来場者も立ち止まったり、座って聴講する方も。

 

 

まず初めに、講義の会場となった『アート・コミュニケーション事業を体験する 2023』や、同時期に開催されていた「うえののそこから「はじまり、はじまり」荒木珠奈 展」の会場づくりに携わった小金丸信光さんより、

「アートと建築設計」というテーマでお話しいただき、

 

たいけん美じゅつ場VIVAの基本設計や八戸市美術館の共同設計を担当した森純平さんより、

「建築の前後左右」というテーマで、これまで森さんが携わった様々な事例や、コミュニケーションを生む建築設計についてお話しいただきました。

 

とびラーからのふりかえりの一部をご紹介します。

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・新しいことを始めるには、既存のルールや常識と衝突することも多いですが、既存のルールを古くさい、としてしまわず、どのようにしたら合理的に変化させることができるのかも考えたいと思いました。

 

・建築や場の方から人々の日常に歩み寄る設計がこれから必要と感じた。
また、同じ空間でいろんなことが同時進行していてそれを分けずに聞かせる見させるというのも、ASRでとびラボが複数おこなわれている時のなんとも言えないワクワクを実感していたので、なるほど!と思った。

 

・都美の『アート・コミュニケーション事業を体験する 2023』展、会期中に活動が積み重なり育っていく、時間の流れを考慮した空間デザインに共感です。特に、公募棟天井下2メートルがどのように使われるのか、謎だし楽しみです。

 

・VIVAのお話の中では、勉強目的で来ている高校生にも聞こえるようにスピーカーを向ける、というのが素敵だな、と思い、今アートに興味がなくても、今後興味がわくかもしれないきっかけを作っていて、ちょっと新聞や紙の辞書を思い出しました。

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(とびらプロジェクト コーディネータ 工藤阿貴)

2023鑑賞実践講座①|ミュージアム体験とは?

2023.07.17

 


 

第1回鑑賞実践講座|「ミュージアム体験とは?」

日時|2023年7月17日(月・祝)13:30〜16:30
会場|東京都美術館 講堂
講師|峰岸優香(東京都美術館アート・コミュニケーション係学芸員)、越川さくら(東京藝術大学 美術学部 特任助手)

 


 

初回講座では、今年度鑑賞実践講座の目標について、実際に作品を媒介にしてコミュニケーションの場を開くことで考えていきました。

 

講座
目標
・自分自身の眼で自分の感じ方を大切にしながら、作品をよく「みる」方法を身につける。

・作品を媒介にして複数の人がコミュニケーションをするための場づくりができるようになる。

・視覚的イメージを媒介にして、共同的かつクリティカルに複数の人が思考する場をデザインできるようになる。

 

 


自分自身の眼で、自分の感じ方を大切にしながら作品を「みる」とはどういうことか。

作品を媒介にして複数の人がコミュニケーションをする場とは?

東京都美術館の所蔵作品である野外彫刻等をグループでともにみる体験をしながら、美術館での体験について理解を深めていく初回講座となりました。

 

 

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)

2023アクセス実践講座①|ろう文化について

2023.07.16


日時|2023年7月16日(土)13:30~16:00
場所|東京藝術大学 第1講義室

内容|アクセス実践講座とは
講師|小牟田悠介(東京藝術大学)

内容|ろう文化とは
講師|小野広祐(明晴学園 教頭)


2023年度初回のアクセス実践講座では、

最初にとびらプロジェクトマネージャの小牟田悠介より講座の趣旨と意義についてお話しし、

次に、明晴学園教頭であり、NHK手話ニュースのキャスターでもある小野広祐先生に、ろう文化についてのお話を伺いました。

日本手話は、音声の代わりとなる補助的なものではなく、

日本語とは違う、一つの独立した言語です。

手話とは何か、ろう者と聴者のズレはなぜ起こるのかを伺いました。

 

手話では、相手を指差すことが多くありますが、聴者が日常生活で同じことをすると失礼だという考えもあり、躊躇することも。

指差しは手話にとって大切な表現。ゲームに取り入れることで、指差すこと、指されることに慣れることができます。

 

また、簡単な手話表現も習いました。

 

 

手話が一つの言語であることを初めて知ったとびラーも多く、真剣に小野先生の手話に見入っていました。

 

とびラーからのふりかえりを抜粋します。

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・「日本語が第二言語」ということ自体、初めて知ることだった。これまで自分の中での『手話』は本来の意味で「言語」ではなかったということも驚いた。

 

・聾者だからろう文化だけを話すのではなく聴文化と比較しながら話しつつ、相互理解が必要であるということを伝えると非常に理解しやすいと改めて感じた。今後の自分の活動の参考にもなれた。

 

・今まではろう者に対する認識として、病理的な障害を持っているという面でしか捉えていなかったことに気づかされました。

 

・文化や思考スタイルの違いを理解することで、使う言語は異なってもコミュニケーションすることができるのではないかと感じました。逆に単語や文法だけ理解していても、違いを分かろうとしなければ関係は作れないと思いました。

ーーーーーーーーーー

 

とびラーの中には、ろう・難聴のとびラーもいます。

また、この夏、Museum Start あいうえののプログラムでは、聴者・ろう者・難聴者が参加するプログラム、

みるラボ」が実施される予定です。

 

今回の講座ではろう者にとっての手話という言語や、ろう文化について学ぶことができました。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 工藤阿貴)

『アート・コミュニケーション事業を体験する 2023』って?

2023.07.13

 

東京都美術館のアート・コミュニケーション事業が始まり、とびらプロジェクトがスタートして今年で12年目を迎えます。この夏、ロビー階の公募棟第3展示室を会場に、これまでの活動の歩みを振り返り、とびラーと一緒にさまざまなアート・コミュニケーションが体験できる13日間の特別企画を開催します。

 

「とびラボ」から生まれた多彩な資料が発掘できるアーカイブルームや、同時期に開催予定の「うえののそこから「はじまり、はじまり」荒木珠奈 展」に関連する資料、メキシコのレニャテーロス工房で作られたアート・ブックや紙版画、また版画の道具材料なども展示されます。とびラーと一緒に展示を見ながら、「アート・コミュニケーション」の世界を体感してみませんか?会場ではワークショップ、建築ツアーとびラボ体験、レクチャーなど連日盛りだくさんのプログラムも実施します。

 

会期 | 2023年7月29日(土)~8月11日(金・祝)

休室日 | 8月7日(月)のみ

開室時間 | 9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)

場所 | 東京都美術館 ロビー階 第3公募展示室

主催 | 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都美術館

 

<会場で開催されるプログラム>


7月30日(日)14:00-14:30、15:00-15:30(終了しました)
ワールドカフェ―みんなで語り合おう「美術館ってどんな場所?」
テーマ:美術館が認知症の方やその家族も楽しめる場所になるために?
進行:藤岡勇人(アート・コミュニケーション係学芸員)
対象:どなたでも


7月31日(月)11:00-11:45(受付開始10:45)(終了しました)
とびラーによる建築ツアー①
対象:どなたでも
詳細・申込はコチラ|https://tobira-project.info/blog/event/ac-architour.html


8月1日(火)10:00-11:30(終了しました)
「うえののそこかから「はじまり、はじまり」荒木珠奈 展」アーティスト・トーク
テーマ:メキシコの暮らしとアート
ゲスト:長屋美穂(ライター。ラテンアメリカ文化に魅せられ、2007年よりメキシコシティ在住)
対象:どなたでも
詳細・申込はコチラ|https://www.tobikan.jp/hajimarihajimari/event05.html


8月1日(火)14:00-16:00(終了しました)
とびラボ体験①
対象:どなたでも
詳細はコチラ|https://tobira-project.info/blog/event/ac-tobi-labo.html


8月2日(水)10:00-13:00(終了しました)
とびラボ体験②
対象:どなたでも


8月2日(水)14:00-14:30、15:00-15:30(終了しました)
ワールドカフェ―みんなで語り合おう「美術館ってどんな場所?」②
テーマ:あなたは、どんなときに「美術館にでかけたい」と思いますか?
進行:峰岸優香(アート・コミュニケーション係学芸員)
対象:どなたでも


8月3日(木)13:30-16:30(終了しました)
とびラボ体験③
対象:どなたでも
詳細はコチラ|https://tobira-project.info/blog/event/ac-tobi-labo.html


8月4日(金)10:00-11:30(終了しました)
「うえののそこかから「はじまり、はじまり」荒木珠奈 展」アーティスト・トーク
テーマ:台東区の外国にルーツのある子供たちについて
ゲスト:山藤弘子氏(日本語教師)
対象:どなたでも
詳細・申込はコチラ|https://www.tobikan.jp/hajimarihajimari/event05.html


8月4日(金)15:00-15:45(受付開始14:45)(終了しました)
とびラーによる建築ツアー②
対象:どなたでも
詳細・申込はコチラ|https://tobira-project.info/blog/event/ac-architour.html


8月5日(土)10:30-12:00(終了しました)
「共生社会」をつくるアートコミュニケーション共創拠点 座談会
テーマ:地域のつながりから芽生える文化的処方の実践例
台東区社会福祉協議会×東京都美術館
登壇者:台東区社会福祉協議会 渡辺大輔、千ヶ﨑賀子
独立行政法人国立美術館 国立アートリサーチセンター 稲庭彩和子
東京都美術館 藤岡勇人
東京藝術大学 伊藤達矢
対象:どなたでも


8月6日(日)10:30-11:15(受付開始10:15)(終了しました)
とびラーによる建築ツアー③
対象:どなたでも
詳細・申込はコチラ|https://tobira-project.info/blog/event/ac-architour.html


8月6日(日)14:00-14:30、15:00-15:30(終了しました)
ワールドカフェ―みんなで語り合おう「美術館ってどんな場所?」③
テーマ:あなたにとって、美術館とはどんな場所ですか?
進行:峰岸優香(アート・コミュニケーション係学芸員)
対象:どなたでも


8月8日(火)10:00-13:00(終了しました)
とびラボ体験④
対象:どなたでも
詳細はコチラ|https://tobira-project.info/blog/event/ac-tobi-labo.html


8月9日(水)10:00-13:00(終了しました)
とびラボ体験⑤
対象:どなたでも
詳細はコチラ|https://tobira-project.info/blog/event/ac-tobi-labo.html


8月9日(水)14:00-14:30、15:00-15:30(終了しました)
ワールドカフェ―みんなで語り合おう「美術館ってどんな場所?」④
テーマ:近日中に公開予定
進行:峰岸優香(アート・コミュニケーション係学芸員)
対象:どなたでも


8月10日(木)10:00-13:00(終了しました)
とびラボ体験⑥
対象:どなたでも
詳細はコチラ|https://tobira-project.info/blog/event/ac-tobi-labo.html


8月10日(木)14:00-14:30、15:00-15:30(終了しました)
ワールドカフェ―みんなで語り合おう「美術館ってどんな場所?」⑤
テーマ:あなたが歳を重ねた未来に、通ってみたい思える美術館はどんな場所?
進行:藤岡勇人(アート・コミュニケーション係学芸員)
対象:どなたでも


8月11日(金・祝)10:00-12:00(終了しました)
「うえののそこかから「はじまり、はじまり」荒木珠奈 展」関連プログラム
みんなでつくろうレッツ「ケエジン」
対象:小学4~6年生またはその年齢の方+保護者の2名1組
詳細・申込はコチラ|https://www.tobikan.jp/hajimarihajimari/event03.html

2023建築実践講座①|都美の建築と歴史 / 東京都美術館に活きる、前川建築の3つのキーワード

2023.07.01

第1回建築実践講座|「都美の建築と歴史 / 東京都美術館に活きる、前川建築の3つのキーワード」

日時|2023年7月1日(土) 13:30〜16:45
会場|東京都美術館 講堂
講師|松隈洋 (神奈川大学 教授)
河野佑美(東京都美術館学芸員 アート・コミュニケーション係)

 

前半は、東京都美術館の学芸員の河野佑美さんより東京都美術館の今と昔についてのレクチャー、

それから、神奈川大学教授の松隈洋先生より、東京都美術館を設計した前川國男の魅力や見どころについて、3つのキーワードをもとに熱く語っていただきました。

松隈先生は実際に前川國男事務所でご本人といっしょに働いた経験のある方です。

松隈先生ならではの視点で語られる前川國男は、本や資料から知るよりも、リアルで親しみのある存在となりました。

そして、市民が建築について関心をもって関わることがどのような意味を持つのかを深く考えさせられる内容でした。

 

参加したとびラーのふりかえりを一部引用します。

建築の見た目の美しさも素敵で好きなのですが、その見た目の奥にある建築家の信念を知ることをもっと深めてみたいと思いました。

 

前川國男の建築物をただ鑑賞するだけではなく、前川建築に共通する回路を発見すること、前川建築を介して多くの方々とのコミュニケーションを生み・育むことが、とびラーの役割であると改めて感じました。

(とびらプロジェクト コーディネータ 工藤阿貴)

基礎講座⑥|この指とまれ/ そこにいる人が全て式/ 解散設定

2023.06.24

 

 


 

【第6回基礎講座 この指とまれ/ そこにいる人が全て式/ 解散設定】
日時|2023年6月24日(土)10時〜15時(昼休憩1h)
場所|東京藝術大学 第3講義室
講師|西村佳哲
内容|とびラーが自主的に活動して行くためには、自分たちでチームをつくり、アイディアを共有し、お互いの力を上手に出し合って、成果を求めなくてはなりません。そこで、この回では、小さなチームのつくり方や、そこに集まった人たち全員の力を活かした活動のつくり方について学びます。また、活動のはじめ方だけではなく、終わり方のデザインについても理解を深めます。

 


 

 

基礎講座最終回は、2・3年目のとびラーも加わって、とびラーの自主的な活動である「とびラボ」の、はじめ方/すすめ方/おわり方について考えました。

 

★「とびラボ」とは

 

この指とまれ/そこにいる人が全て式/解散設定は、とびラーが「とびラボ」をする上での大原則となっている考え方です。あるコミュニティの中で、ちいさなチームが結成と解散を繰り返しながらフラットな関係性でアイデアを形にしていくには、この3つの原則をみんなが確認しながらプロジェクトを進めることが大切です。この考え方は、12年間のとびらプロジェクトの根幹を支えてきました。

 

「そこにいる人が全て式」は、大阪にあるgrafの立ち上げメンバーである豊嶋秀樹さんから西村佳哲さんがきいたお話がベースになっています。西村さんは、毎年の基礎講座の中で、豊嶋さんとのエピソードを伝えながら、この考え方の秘訣をレクチャーしてくれています。とびラーは、ふだんの仕事のすすめ方との前提の違いに驚きながらも、実践を通して「そこにいる人が全て式」で進んでいくプロジェクトの楽しさを理解していきます。

 


“ ミッションより、その場に居合わせた人がすべて式 ”
ー 豊嶋秀樹(2009)


 

 

 

午前中は、西村さんとマネージャーの小牟田さんのトークで「とびラボ」の仕組みをひも解いていきました。そして、実際に「3人」の組み合わせでプロジェクトのアイデアを話し合い、「その場に居合わせた人がすべて式」を体感するワークを行いました。

 

 

午後は、スパゲッティを使って構造物をつくり、その長さを競う「スパゲッティ・キャンティレバー」のワークを行い、チームでプロジェクトをすすめるときのヒントを理解していきました。

 

 

2023年度の基礎講座全6回を終了し、12期とびラーがとびらプロジェクトでの活動を本格的にスタートさせていきます。

 

(とびらプロジェクトコーディネータ 越川さくら)

【開催報告】障害のある方のための特別鑑賞会:「マティス展」

2023.06.12

日時|2023年6月12日(月)10時〜16時
展覧会|マティス展(会期:2023年4月27日(木)~8月20日(日))


 

2023年6月12日(月)、東京都美術館で現在開催中の「マティス展」にて「障害のある方のための特別鑑賞会」を開催しました。この鑑賞会は、障害のある方がより安心して鑑賞できるよう、特別展の休室日に事前申込制で開催しています。当日は、小雨の降る中、多くの方がマティス展を観るために来場されました。アート・コミュニケータは受付や展示室内など、館内の様々な場所で来場者のサポートをしました。

写真とともに、当日の様子をお伝えします。

 


 

 

普段は混雑することもある展示室。

この日は、事前申込・定員制のため、障害のある方にも、より安全にゆったりと展覧会をご覧いただくことができます。

 

 

時にはお互いに言葉を交わしながら、みなさんゆっくりと鑑賞されています。

 

 

来場者のみなさんとアート・コミュニケータがともに作品を鑑賞する姿も見られました。

 

 


 

アート・コミュニケータは、お車でお越しの方の入館時のお出迎えや、受付、車いすのお貸し出しなど、館内の様々な場所で来館者をサポートしました。

 

 


 

来館者を安全・安心に迎えるために、アート・コミュニケータは事前の打ち合わせをして当日に備えています。

 

 

また、当日を楽しみに来館していただけるように、参加証を郵送する封筒のデザインにもひと工夫。アート・コミュニケータが、毎回の展覧会に合わせて「消しゴムハンコ」でデザインを制作しています。毎回好評をいただく封筒を、今回は特別に休憩スペースにて紹介しました。

 

次回は、2023年10月10日(月)、「永遠の都ローマ展」にて開催を予定しています。
(とびらプロジェクトコーディネータ 越川さくら)


「障害のある方のための特別鑑賞会」は、東京都美術館の特別展ごとに1回ずつ開催しています。
詳細、お申し込みはこちらからどうぞ:https://www.tobikan.jp/learn/accessprogram.html


基礎講座⑤|ミュージアムとウェルビーイング

2023.06.10

 

 


 

【第5回基礎講座 ミュージアムとウェルビーイング】
日時|2023年6月10日(土)10時〜15時(昼休憩1h)
場所|東京都美術館アートスタディルーム
講師|小牟田悠介、越川さくら(とびらプロジェクト)、石丸郁乃(Museum Start あいうえの)
内容|過去の展覧会にまつわるアート・コミュニケーションや、MuseumStart あいうえのの取り組みを題材にミュージアムにおけるウェルビーイングについて考えます。

 


 

 

 

基礎講座も残すところあと2回となりました。この期間を通して、アート・コミュニケータとしての「きく」「みる」ことの感度をさらに磨いている12期とびラーのみなさん。第5回となる今回は、「もの」をみる楽しさを体験しながら、ミュージアムにおけるウェルビーイングについて考えました。

 

 


 

午前中は、2015年に開催された「キュッパのびじゅつかん」展を題材に、今ここにある「もの」を虚心坦懐にみつめて、あつめて、ならべて、箱の中に小さな“ミュージアム”をつくるワークを行いました。

 

 

 

午後は、午前中のワークを振り返りながら、「ウェルビーイング」な状態とはなにか、ミュージアムでできることはどんなことかを考えました。

 

 

また、MuseumStart あいうえのの取り組みについて、プログラムオフィサーの石丸郁乃さんからお話を聞き、プログラムなどでこどもたちが使うアイテム「ミュージアム・スタート・パック」に入っている「冒険ノート」を実際に書いてみるワークを行いました。

 

 

(とびらプロジェクトコーディネータ 越川さくら)

【活動報告】とびラボ「さんぽdeアート」

2023.06.04

美術館でアートを鑑賞するのではなく、美術館でおさんぽして発見したことを自分たちなりのアート作品として表現してみよう、というラボを6月4日(日)におこないました。

 

目的は、美術館の魅力を伝えること。とびラーが市民の一人として東京都美術館の中で自分が良い(好き)と思うモノを見つけて作品で伝えようというものです。伝える相手は同じとびラー。まずはとびラーが美術館の魅力を知ることで、他の機会に来館者にも伝えるきっかけになればと考えました。

 

初回のミーティングで、どんなラボにしたいかをみんなで話し合いました。そこで共有したことは、目的をあえて意識しすぎないで気ままな「おさんぽ」感を大事にすること。なるべく気楽にフラットな視線で歩くことで、新たな魅力の発見と表現という結果につながるのでは?という仮説を立てました。

 

 

実施日はお天気にも恵まれて意気揚々とおさんぽに出発。東京都美術館の敷地内を3人グループに分かれておしゃべりしながら歩きました。そこで各々が見つけたことを声に出したり他の人の声もよく聴いたりして発見を共有しました。「土色の床タイルにそそぐ温かな木漏れ日」「建物の間からのぞく広い空」「休憩室の静かな時間」「美術館で働く人の姿」など、ゆったりおさんぽだから見つかったコトやモノがたくさんありました。

 

 

次に制作。交流棟2階にあるアートスタディルームに戻って、おさんぽで発見したことをそれぞれ造形活動を通して表現することに。材料はみんなで持ち寄った段ボールや折り紙・粘土・毛糸・布などなどを手に取って素材とも対話しながら発想を広げてみました。

 

 

そうして出来上がったのは多種多様なテーマと表現方法で作られた名作ぞろい。都美の風景を描いた油絵や水彩画もあれば、俳句と写真の組み合わせ、布で立体的に作った電話機や休憩室のリアルミニチュアなど、どれも個性的な作品ばかりでした。中には手で動かすアニメーションや動画作品もあって、まるで現代アートの祭典のようでした。

 

そうしてみんなで鑑賞会。作品を観たり触ったり動かしたり撮影したり。作者がさんぽで見つけた都美の魅力やそれをどうやって表現したかを聞くのも楽しくて、ワイワイ盛り上がって鑑賞しました。

 

 

そのあとみんなでラボ全体を振り返り。実施してみて気がついたことは、さんぽをしながら美術館を「見る」ことで、ゆるく自由な視点でこれまで気づかなかったモノやコトに気づくことができたこと。しかも3人で一緒にさんぽすることで、互いの視点の違いに驚き、影響し合って発見がふくらみました。

 

また、見つけたことを造形的に表現することで、対象についてより深く考えることにつながったというとびラーもいました。

 

さらに出来上がった作品をみんなで鑑賞することで、いろんな視点でも見ることができたり、作者自身が考えていなかった見方やおもしろいことを他の人が言ってくれて気がついたりしたことがとても刺激的で楽しかったです。

 

 

今回「さんぽ」と「アート」を組み合わせることで、いろんな美術館の魅力を発見することができました。参加したとびラーの中には、発見したことを都美の建築ツアーで参加者に伝えたよ、という人もいました。このラボがきっかけで一般の方にも伝えることができて良かったです。この経験を他の美術館や博物館、図書館などいろんな文化施設でも活かせたら良いなと思いました。

 


 

10期とびラー 池田智雄
美術館・博物館・郷土資料館や音楽ホールなど、人が文化の楽しさを求めて集まる場所が好き。そこがもっと楽しくて親しみやすい場所になるようなことを自分たちでできたらうれしいです。

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