東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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2026.05.09


 

日時|2026年5月9日(土)10時~15時
場所|東京都美術館 交流棟2階 アートスタディルーム
講師|熊谷香寿美(東京都美術館 学芸員 アート・コミュニケーション係 係長)
内容|美術館で作品を鑑賞するということを、あらためてとらえ直します。とびらプロジェクトの活動の基礎になる、アートを「みる」とはどういうことか、ほかの人と「みる」ことで何が生まれるのかを、実感とともに学ぶことを目指します。

 


 

作品をみることや、作品を介したコミュニケーションは、全とびラー共通の活動の基盤です。

第3回基礎講座はその「作品を鑑賞する」ということについて考えました。

 

東京都美術館のアート・コミュニケータになってから1ヶ月が経ったとびラーたち。多様な属性、バックグラウンドをもつみなさんも、初対面の緊張がほぐれ、朝から和気あいあいと交流を深めていました。和やかな空気のなかで講座がスタートします。

 

美術館での鑑賞体験は、自分のなかの枠組みを広げ、思考を深める契機です。

また鑑賞は作品との間で、その人なりの意味・価値を生み出す場となります。学校の図工や美術の時間が好きではなかった人も、美術館では誰もが創造的になることができるのです。

 

講師からレクチャーを受けた15期とびラーたち。次に、館内で開催中の「第92回東光展」会場に出向き、鑑賞を深める実践を体験しました。まずは一人で会場のたくさんの作品の中からひとつの作品を選び、「自分がその作品のどこを気に入ったのか」を考えながらゆっくり鑑賞します。

 

 

続いて、3人グループで各々の気づきを共有します。

 

「誰もいない廊下、放課後の学校の静けさを感じる」

「面談の前かも?」

「そう聞くと印象ががらっと変わるね」

 

 

畑の土を描いた作品を見ていたとびラーたちは、「地面を描いているけど、くもり空の色が写っているな」と話していました。

 

「話しながらだと、ずっと見ていられるね」

「みんなでみると面白い」

 

それぞれが選んだ作品を3人で話しながらみたあとは、もう一度自分が選んだ作品をじっくりと鑑賞しました。手元のシートに気づきを書き留めながら、自身と作品との対話を重ねていました。

 

 

ランチタイムで一息ついたあとは、グループで松本竣介の《立てる像》(神奈川県立近代美術館蔵)の作品図版をみながら、「じっくりみて、発見したこと、感じたこと」、「人物はどんな表情をしている?」、「人物の左手/右手はどうなっている?」など、テーマごとに意見を交換しました。

 

最後に、その《立てる像》を題材に中学生を対象として行われたワークショップの記録映像が紹介されました。ワークショップでは、中学生たちが《立てる像》について意見を交わし、実際に自分たちでポートレート撮影を行うことで、作品や自己について理解を深めていました。とびラーたちは、この事例を通して、重層的な背景をもつ美術作品を媒介に、自分たちの内面や感覚を表現することの可能性について、考えを深めました。

 

 

<講座参加後のとびラーの振り返りより>

 最後の中学生の映像をみながら、学びの本質をみたような気がした。 アートを介することで、普段自分では気付けない自分に気付いたり、他者と関わることができたり、思いを自由に表現できたりしている子供達をみて、自然と涙が出てきた。 ああ、私のやりたいことはこれなんだと改めて熱い思いが込み上げて来た。

 

 

 

ものとの対話、人との対話を行き来することで、作品との関係、人とのかかわりは車の両輪のように豊かになっていきます。

鑑賞の実践をこれからも繰り返していくとびラーたちが、ここ上野でどのような活動を展開するのか、目の当たりにするのが今から楽しみです。

 

 

(とびらプロジェクト アシスタント 平林壮太)

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