東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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アクセス実践講座②|ろう文化 〜 ようこそ ろうの世界へ 〜

 

 


第2回アクセス実践講座|「ろう文化 〜 ようこそ ろうの世界へ 〜」 

日時|2026年7月18日(土)13:30〜15:30
場所|東京都美術館 講堂
講師|小野広祐/明晴学園 校長


 

私立ろう学校(特別支援学校)明晴学園の校長・小野広祐先生をお招きし、ろう文化についてお話を伺いました。

明晴学園は日本で唯一、日本手話と日本語、ろう文化と聴文化によるバイリンガル・バイカルチュラルろう教育をおこなっている学校です。

 

また小野先生は明晴学園で校長を務めながら、毎週月曜日、NHK手話ニュース845でキャスターもされています。

 

 

とびらプロジェクトでは現在、複数のろう・難聴の方が活動しています。

 

きこえない人、きこえにくい人、きこえる人が一緒に活動するなかで、私たちはどのようにかかわりあっていけばよいのか。

これはとびらプロジェクトにかかわる全員が考え続けてきた問題で、「とびラボ」での実践にもつながっています。

 

小野先生によると、ろう者が第一言語とする日本手話は少数言語のひとつで、日本語やそれをもとにした日本語対応手話とは異なるものです。

日本手話は視覚情報を伝えあうために、表情やからだの動きの大小もことばの一部になっています。また、助詞のかわりにうなずきのタイミングによって単語どうしの修飾関係を表現するなど、日本語にはない独自の文法体系をもちます。

 

こうした小野先生のお話は、これまでろう者とかかわる機会が少なかった聴者にとっては新鮮なものです。

日本手話による小野先生の丁寧なレクチャーを前にして、とびラーのみなさんは真剣な表情で思考を深めていました。

 

 

 

ほかにも、日本手話のコミュニケーションにおいて相手を指差すことは重要なことですが、聴者には馴染みのないことです。

 

指を差すこと、差されることに慣れるべく、とびラーは「ゾウさんゲーム」を体験しました。

「ゾウさんゲーム」とは、参加者が輪を作り、中心に立つ親からの指差しに素早く対応するゲームです。

静かだった講堂は和やかな空気に包まれました。

 

 

 


 

講座後半では、聴者とろう者の思考スタイル、言語文化の違いについてお話がありました。

 

聴者は聞こえてくる音から周囲の状況を把握しますが、環境を主に視覚で捉えるろう者にとって、みえないものは認識されません。そのため、現在の状況やその後どうするのか、その場で決まったことも、その都度「確認」することがろう者のコミュニケーションの特徴です。この文化の違いによって、聴者とろう者のあいだでは誤解やすれ違いが起こることがあります。小野先生自身が生活のなかで体験したできごとも紹介されました。この違いをあらかじめ知っていることで、お互いを尊重したコミュニケーションをとることができます。

 


 

きこえない人、きこえにくい人が在籍するとびらプロジェクトでのコミュニケーションのあり方について、講座を通してじっくりと考えなおすことができました。

 

とびラーからは、

 

「日本語の語順に沿って手指で表現する手指日本語と、独自の文法や表現をもつ視覚言語である日本手話が、異なるものであることも初めて知りました。ろう者がどのように世界を捉え、考え、表現しているのかを理解するためには、日本手話を単なるコミュニケーションの手段ではなく、一つの言語として捉える必要があります。その人が見ているものや思考のあり方に目を向け、理解しようとすることが、ろう文化を知る第一歩なのだと思いました。」

 

「「聞こえない」人が途中で失聴したのか、難聴なのか、生まれつき聞こえないのかの違いがある。聴覚障害といってもそこに多様な経緯があるということを、もっと個々の事象において分解して受け止めなくてはならないと思った。」

 

「可哀想とか、気の毒とか、そういうふうに思ったことはないけれど、「サポートが必要な対象」みたいな感覚は正直あったと思う。だから今回、「手話という言語を持つ言語的少数者」や「話す言葉が違うだけ」「目で情報を得る」という文化的視点という違いを知った。」

 

などの感想が聞かれました。

 


 

小野先生の講座の後には、とびラーが自発的に開催する「とびラボ」として、ろう、難聴者のとびラーそれぞれの「きこえ」の違いについて、これから一緒に活動していくとびラーへ共有する会が開かれました。

 

講座とあわせて理解が深まり、いっしょに活動をする仲間のことをしっかりと確認できる時間となりました。

 

多様な背景をもつとびラーたちは対等に意見を交わしながら、美術館のアクセシビリティについて考え続けます。

 

(とびらプロジェクト アシスタント 平林壮太)

2026.07.18

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