第1回建築実践講座|「都美の建築の楽しみ⽅」
日時|2026年6月27日(土) 14:00〜16:00
会場|東京都美術館 講堂
講師|河野佑美(東京都美術館 学芸員)、Museum Start あいうえのスタッフ
今年度の建築実践講座がスタートしました。
当日は台風の接近により、予定していた1日の講座を、午後のみの短縮プログラムに変更して実施。それでも多くのとびラーが東京都美術館に集まり、建築実践講座の第一歩を踏み出しました。
はじめに、担当スタッフより年間ガイダンスが行われました。
今年度のテーマは、「東京都美術館の建築の歴史や背景を理解し、自分の感覚を手がかりに建築を味わう力を身につけ、美術館というパブリックな建築を介して人々をつなぐ場をデザインすること」。
全7回の講座では、東京都美術館の建築や設計者・前川國男について学ぶだけでなく、建築ツアーや来館者に向けたプログラムの実践、子どもと建築を楽しむ場づくりなど、多様な活動へとつながっていきます。また、年間課題として「誰かと東京都美術館を巡ること」「建築をテーマにしたプログラムづくり」も紹介され、1年間を通して実践的に学ぶことへの期待が高まりました。
続いて、河野さんによるレクチャー「建築をたのしむ、とは?」が行われました。

河野さんは、「誰かがおすすめする場所だから良いのではなく、自分自身がなぜ好きなのかを考えることが、建築を楽しむ第一歩」と語りました。また、建築は目で見るだけでなく、光や音、匂い、手触り、空気の流れなど、五感を使って味わうことのできる存在であることを紹介してくださいました。
紹介された雑誌には、東京都美術館で働くスタッフそれぞれのお気に入りの場所の写真と、その場所を好きな理由が掲載されており、「静かな時間が流れている」「鳥の声が聞こえる」「光の入り方が美しい」など、一人ひとり異なる視点から建物の魅力が語られていました。
河野さんのお話や、雑誌で紹介されていたさまざまな視点に触れながら、専門的な知識だけではなく、自分自身の感覚を大切にすることが、建築を楽しむ入り口であることを学ぶ時間となりました。
後半は、グループに分かれて館内を巡りました。
Museum Start あいうえのスタッフと館内を歩きながら、それぞれが気になった場所で立ち止まり、素材や光、空間の広がり、音の響きなどを五感で感じ取っていきました。
普段何気なく通り過ぎている場所にも、新たな発見がたくさんあり、「こんな角度から見たことはなかった」「雨の日だからこそ見える景色がある」といった声も聞かれました。
また、東京都美術館の歴史についても河野さんから紹介がありました。
1926年に開館した旧東京府美術館から、1975年に前川國男設計による現在の東京都美術館へ建て替えられるまでの経緯や、新館建設にあたって東京都から与えられた条件、公園の景観との調和、展示環境への配慮など、多くの工夫が現在の建物に込められていることを学びました。
建物は単なる展示の器ではなく、人が集い、作品と出会い、時間を過ごす「場」として設計されていることを改めて実感する時間となりました。
本来予定していた「お気に入りの場所を紹介し合うワーク」は台風の影響で実施できませんでしたが、この活動は今後1年間の講座や建築ツアーの中でも続いていきます。
自分自身の「好き」を見つけ、その理由を言葉にし、誰かと共有すること。
今年度の建築実践講座は、建築を知識として学ぶだけではなく、自分自身の感覚を大切にしながら東京都美術館という建築を味わい、その魅力を多くの人と分かち合う一年の始まりとなりました。
(とびらプロジェクトコーディネータ 大東美穂)
2026.06.27