東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

活動紹介

【開催報告】障害のある方のための特別鑑賞会:「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」

2024.11.11


日時|2024年11月11日(月)10時〜16時
展覧会|「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」展(会期:2024年9月19日(木)~12月1日(日))


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東京都美術館で開催された「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」にて、「障害のある方のための特別鑑賞会」を実施しました。この鑑賞会は、障害のある方がより安心して鑑賞できるよう、特別展の休室日に事前申込制で開催しています。

鑑賞会当日には、障害のある方とその介助者約630名が東京都美術館を訪れ、一村の幼年期から晩年までの創作の全貌を辿りながら一つ一つの表現の巧みさに魅入っていました。

参加者を迎えるのは、アート・コミュニケータです。とびらプロジェクトで活動中の「とびラー」やとびラーの3年の任期を満了したアート・コミュニケータが数多く参加しました。アート・コミュニケータは、受付で参加者をお迎えしたり、館内のエレベータの乗り降りをサポートしたり、展示室で鑑賞体験をサポートするなど、館内の様々な場所で活動しました。

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参加者とアート・コミュニケータがともに生み出す鑑賞の空間

展示室では、一村の膨大な作品群を前に、描写の巧みさや構図の面白さ、また一村の人生に想いを馳せる参加者の姿がありました。アート・コミュニケータたちは時に参加者と言葉を交わしながら、細部まで観察するサポートを行なったり、様々な動植物の描き方に注目してコミュニケーションを行っていました。

 

iPadで作品画像を大きく拡大し、作品の細部をお見せすることもあります。車いすに乗っていて目線が低い方や、目の見えづらい方などにはとくに好評です。このiPadで拡大して鑑賞をサポートするアイデアは、アート・コミュニケータが発案し、検討と準備を重ねて実施しています。今回の特別鑑賞会では、のべ約400名の方がiPadで画像を拡大しながらアート・コミュニケータと一緒に作品を鑑賞しました。

触れて鑑賞する作品 ─「触図」の導入

今回の特別鑑賞会では、視覚に障害のある方の作品鑑賞を補助するツールである「触図(しょくず)」を新たに導入しました。これは、田中一村の作品を立体的な線や凹凸で表現したもので、手指で触れることで構図やモチーフを描写した線がわかるようになっています。

当日は、アート・コミュニケータが展示室内で触図の案内を行い、作品の特徴や色、構成などを丁寧に説明した上で、参加者と対話をしながら鑑賞しました。参加者も、触図があることで、作品に描かれている内容をより理解することができていました。

この触図は、特別鑑賞会の日に限らず会期中であればいつでも、希望する方にスタッフから説明をしながら共に作品を鑑賞するために使用していました。

 

「消しゴムハンコ」でデザインされた案内状

「障害のある方のための特別鑑賞会」への申込みは、①Webサイト申込みフォーム、②メール申込み、③はがき郵送、の3つの方法があります。

このうち、③はがき郵送でお申込みされた方には、当日の案内状を封書でお送りしています。封筒の表面には、展覧会にちなんだ絵柄のスタンプが押されています。このスタンプは全て、とびラーがオリジナルの消しゴムハンコを彫って手作りしたものです。

様々なとびラーが制作するスタンプの絵柄は、毎回20種類以上に上ります。「自分に届いたものとは違う絵柄も見たい!」という声を受けて、展覧会会場の終盤で紹介するコーナーを設けるようになりました。

絵柄を制作したとびラーたちと、デザインの工夫やみどころについて展覧会を身終えた参加者とのお話しがはずんでいました。

・「

東京都美術館は、すべての人に開かれた「アートへの入口」となることを目指しています。参加者とアート・コミュニケータがともに作品を味わい、感想を共有し合うひとときは、作品が持つ力と、人とのつながりの大切さを改めて感じさせてくれました。

次回は、2025年5月26日(月)、「ミロ展」にて開催を予定しています。

次の鑑賞会でもみなさまにお会いできるのを、アート・コミュニケータ一同楽しみにしています。

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(とびらプロジェクトコーディネータ 越川さくら)


「障害のある方のための特別鑑賞会」は、東京都美術館の特別展ごとに1回ずつ開催しています。
詳細、お申し込みはこちらからどうぞ:https://www.tobikan.jp/learn/accessprogram.html


2024鑑賞実践講座⑥|「ファシリテーションのふりかえり」

2024.11.04


 

第6回鑑賞実践講座|「ファシリテーションのふりかえり」

日時|2024年11月4日(月・休)13:00〜17:00
会場|東京都美術館 アートスタディルーム、スタジオ
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA)、ARDAコーチ5名
内容|VTSファシリテーションのふりかえりについて

 


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第6回の講座では、Visual Thinking Strategies(VTS)鑑賞のファシリテーションをどのようにふりかえるかについて、実践を交えながら考えました。

まず初めに、今年度の講座の実践の場である「スペシャル・マンデー」や「ずっとび鑑賞会」について、とびラーのファシリテーションに対する三ツ木さんのフィードバックを伺いました。

VTSを実施することがゴールではなく、鑑賞者が会場に到着してから帰るまでの体験全体をどのようにデザインするかが重要であるという視点が語られました。実践を重ねたからこそ気づく新たな視点に、とびラーたちは頷きながら話を聞いていました。

三ツ木さんからのフィードバックが終わると、今日のテーマである「VTSファシリテーションの実践とふりかえり」に移ります。実際にVTSとふりかえりを行う前に、まず、とびラー同士がクリティカルかつ協働的に議論を進めるために、どのような点に気を付けるべきかを改めて話し合いました。

その後、チームに分かれてVTS 実践とふりかえりを繰り返していきました。VTS実践では、チーム内でファシリテータ・鑑賞者・観察者・対話記録の役割に分かれ、それぞれの立場から鑑賞の場を体験し、観察しました。

ふりかえりの際には、それぞれの立場から体験・観察したことを出し合い、対話の流れを追って検証していきました。

鑑賞者の考えが深まったタイミングでは、ファシリテータがどのような働きかけをしていたのか。その逆に、深まらなかったときには何が影響していたのか。それぞれの視点から意見を出し合いながら、ふりかえる方法を体験しました。

お互いに客観的な視点を持ちながら鑑賞の場を検証し、とびラー同士でファシリテーションのスキルを高め合うことは、実は簡単なことではありません。しかし、経験を積むことで、ふりかえりの方法自体もスキルアップしていけるはずです。

今日の講座をきっかけに、実践とふりかえりのサイクルがさらに回っていくことを願っています。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)

2024建築実践講座⑥|「共在の場」の思想と実践

2024.10.26


第6回建築実践講座|「公・共・私・個を意識し,それを越えて新しい関わり方をつくる」

日時|2024年10月26日(土) 14:00〜16:00
会場|東京藝術大学 第1講義室
講師|山田あすか(東京電機大学 教授)


 

人々が集う空間の<公・共・私・個>の段階的変化や、公共の在り方について、東京電機大学 教授の山田先生にお話を伺いました。
山田先生ならではの視点で語られる国内外の場づくりやまちづくりの事例は、とびラーが任期満了後それぞれのコミュニティに戻って活動する際の大きなヒントになったのではないでしょうか。

「場をデザインする」とは、その場所(コミュニティ)を共有したい人は誰なのかを考えてフィルタを想定することというお話は、参加したとびラーの多くが印象に残ったようです。

 

とびラーからのふりかえりの一部をご紹介します。

 

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•活動内容ではなく、その場所ありきでハード面から活動内容を考えることが興味深く、話を聞くことが出来た。来る人に主体性を持たせることで、その場に責任を持つという考え方も納得できた。今までは、みんなに開かれたことが大前提だったが、フィルターを掛けることも場のデザインには必要だと知った。

 

•特に、「みんな」って誰?と言う問いかけは新鮮でした。「誰にでも」とは、少しづつフィルターを掛けて「その場を求めている人誰にでも」ということなんだ、そして「少しづ広げていく」「次」を作ることで、結果的により開かれた場となっていく、というのは腹に落ちますね。「みんな」一人一人に個性やニーズがあり、「共生型コミュニティー」を作るというのは実際にはいろいろと難しい事がある、という当たり前のことが、あらためてよく分かりました。

 

•軸となる場所や事柄は始めから完璧でなくとも関わった人達と緩やかなつながりで変化していってもいい、という考えかたがあることに気がつけました。

 

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(とびらプロジェクト コーディネータ 西見涼香)

 

【開催報告】野外彫刻を楽しむ 2024

2024.10.13

 


 

執筆者:藤原裕子

 

はじめに

東京都美術館には「野外彫刻」が10作品展示されています。 東京都美術館の貴重な常設展示ですが、 東京都美術館には何度も来ているのに、こんなに野外彫刻があると気がつかなかった」という声を時々伺います。野外彫刻は、日差しの変化により映り込む色が変わり、 季節の など移り変わる自然を背景に、日々異なる表情を感じることができる魅力的なアートです。また、東京都美術館の野外彫刻は、抽象的な形状だからこそ、鑑賞する人ごとに解釈の幅が広がります。私たちは、このような魅力的な野外彫刻について、自然光の下で風を感じながら鑑賞の発見や楽しみを分かち合いたいという思いで、このとびラボをスタートしました。

 

 

 


 

 

1、工夫したこと

鑑賞会当日まで実に6ヶ月、14回 とびラボを開き、とびラーで議論を重ねて準備してきました。

ミーティングでは、野外彫刻を鑑賞する楽しみをさまざまな来館者と共有していくために必要な工夫について考えました。そして特に以下の4つのポイントを、プログラムに落とし込んでいきました。

 

(1) 散歩を取り入れた鑑賞

野外彫刻は土や木陰、風、天気など周りの環境も含めて作品であると考えました。目の前の作品に向き合うだけではなくて、美術館の屋外空間の全体で楽しんでほしいと考えました。そのため、スタート後すぐに対象の野外彫刻に向かうのではなく、まずは散歩しながら日差しや他の野外彫刻を眺め周りの環境を楽しんで、その後に今回取り上げる野外彫刻の前に立ってじっくり鑑賞するプログラム構成にしました。

 

(2)野外彫刻を対話型鑑賞で楽しむ

おしゃべり鑑賞なのか作品解説なのか。野外彫刻の魅力をより楽しむにはどのような方法がよいか。最も効果的な鑑賞の在り方についても何度も議論しました。東京都美術館の野外彫刻は、抽象的な形状だからこそ、それぞれの解釈の幅が広がります。そこで今回は、彫刻の詳細をガイドがお伝えする形式ではなく、参加者同士で鑑賞を楽しむ対話型鑑賞(VTS)を取り入れることにしました。

(*VTS:Visual Thinking Strategiesの略。複数人の対話を通して作品により深く鑑賞する方法。)

 

(3)アイスブレイクー「小さな立体を作るゲーム」

プログラム当日、スタート時は、参加者の方々はまだ緊張しています。そこで、実際の作品を鑑賞する前に頭と心のウォーミングアップをするため、シンプルな形でさまざまな素材を組み合わせて小さな立体を作るゲームから始めます。完成したら参加者みんなでそれぞれの作品を、360°さまざまな角度から見合います。 ”いろいろな方向から見る”立体作品の楽しみ方を練習するとともに、緊張がほぐれて安心して発言できる場の雰囲気が生まれます。

 

(4)対象者

世代を超えてより幅広い鑑賞となるように“子どもと大人の視点の違いを味わってほしい”という考えから、幅広い年齢層を対象にした場づくりと時間配分を想定しました。そのため小学校低学年の子どもでも参加しやすいプログラムの所要時間を検討し、内容を精査しました。

 


 

 

 

2、実施当日の様子

2日間に分け、小学生以上を対象にそれぞれ約15名の定員で参加者を募集してプログラムを行いました。

 

 

 

(1)実施概要

2024年10月5日(土)、13日(日) 14:00〜15:30

 

 

 

(2)鑑賞会の流れ

⚫︎小さな立体を作るゲーム

まず室内で小さな立体を作るゲームを行います。アートスタディールームでグループに分かれ、それぞれのテーブルに置かれた立体物を3つ選びます。そして木材や石などさまざまな素材でできた立方体、球、円柱などを組み合わせてその人なりの“立体作品”を作ります。参加者の緊張をほぐすために、スタート時には気軽な「ゲーム」として紹介し、それぞれの立体が完成してからそれを「作品」と呼ぶことで、参加者に自然と鑑賞の意識が芽生えるように、細かな言葉使いにも注意しました。最初は緊張していた参加者の方々も、どの素材のどんな立体物を使おうか考えているうちに笑顔が出てきました。楽しみながら素材を選び、絶妙にバランスをとって積み上げようとしたり、横に並べたり、組み上がったものも逆さにしたり裏から見たり。色々な工夫を楽しんでいる様子が見られました。

完成したら、他の参加者のものを鑑賞します。同じ素材を使ったのに個々に異なる“立体作品”ができており、他の人から見た印象と制作者の作った意図が異なることに驚いたり、面白く思ったり。印象が変わったり、影も作品の一部だと気づいたり。「なるほど」「へえ~」「そう見えるんだ」などのつぶやきも出てきました。自ら選んだ素材の理由を説明しながら、自分の意図にあらためて気付いたりして、好奇心いっぱいの笑顔があふれる場となりました。「小さな立体を作るゲーム」を通して、たった3つの立体物を組み合わせるだけで多様な連想がうまれることを楽しみ、また360°さまざまな角度から観ることで新しい発見が生まれることにも気がついたところで、いよいよ野外彫刻の鑑賞へと向かいます。

 

同じ立体を反対方向からみてみると・・・。

 

 

 

 

 

⚫︎野外彫刻の鑑賞

その後、みんなで外に出て、散歩しながら野外彫刻の鑑賞を行います。今回実施した2日間は、あいにくの雨に見舞われた日と晴天の日で、それぞれまったく違う鑑賞体験となりました。散歩のように自然や建物を眺め歩くこと自体を楽しみながら、野外彫刻を観察し、対話を交えた鑑賞に入っていきます。とびラーが厳選した2作品を囲んでじっくり鑑賞しました。雨の日は、野外彫刻の表面に光る水滴や雨音、湿った匂いを楽しむことができました。雨の中で連想した野外彫刻の気持ちなど、様々な発想を共有できました。また、晴れの日には、反射する光のまぶしさや映り込む色の違いなどから、参加者同士の会話が止まらなくなるほど。反射した光が、四方に伸びていくようでありながら途中で角度を変えている様子を見て「人生のようだ」とつぶやく方もいらっしゃいました。彫刻に反射する光を人生の道筋に見立てていらっしゃるようでした。

素材が金属の彫刻は、晴れた日には青空や草花の緑、タイルの茶色が映り込みますが、曇りや雨の日はグレー一色で、見え方が全く異なります。雨の日には、《イロハ》の表面には水が溜まったり、《堰》は雨水の流れる音を見聞きすることもあります。 参加者同士の多様な発想を互いに楽しみながら、笑顔で活発な会話がつづく鑑賞をすることができました。

 

 

《イロハニホヘトチリヌルヲワカヨタレソツネ・・・・・・ン》(最上壽之、1979年)を鑑賞する参加者ととびラーたち。

 

 

《三つの立方体 A》(堀内正和、1978年)を鑑賞する参加者ととびラーたち。

 

《三本の直方体 B》(堀内正和、1978年)

 

 

 

(3)参加者同士の鑑賞体験のふりかえり

鑑賞を終えて、アートスタディルームに戻り、チームごとに鑑賞内容を共有しました。参加者の方々は笑顔いっぱいで、充実した鑑賞時間だったことが伝わってきました。これまではあまり気づかなかった野外彫刻の鑑賞が実はとても楽しいものだったと、新たな発見を嬉しそうに共有してくださる声が多く聞かれました。ご夫婦で参加された方は、お互いの発想が新鮮だったようで、鑑賞後もひとしきり会話がはずんでいらっしゃいました。

雨の日の鑑賞について参加者の方々がどう感じられたのか、とびラーたちは少し心配をしていましたが、「雨の日ならではの鑑賞ができて、楽しかった」「逆に貴重な体験だった」と、ポジティブに楽しんでいただけた様子で、参加者の方々に笑顔をいただけてほっとしました。天候に左右されてしまう屋外での活動ですが、天候の心配を抱えながらも今回の野外彫刻ラボを敢行して良かったと嬉しい気持ちになりました。

 

 

 

 

 

(4) 鑑賞後の参加者の感想 (アンケートから抜粋)

・東京都美術館には何度も来ているのに、こんなに彫刻があると気づかなかった。

・他の人と一緒に鑑賞して、そういう見方もあるのかと知り、面白かった。どんな見方をしてもいいのだと思った。

・自分から出ることのない視点や意見を聞くことができ、新鮮に感じた。

・他の参加者の方、とびラーの方との交流から、凝り固まっていた考えや視点が一気に解放されたような気がした。

・鑑賞とは個人的なものだと思っていたので、他の人の意見を伺うのは新鮮だった。

・“じっくり見る”、“他の人の見方を「きく」”は、対人間にも応用できること。あらゆる立場、年齢の方に参加してもらったら、社会がいい方向へ向かうのではないかと思った。

・「小さな立体を作るゲームは、わずか1分ほどで誰でも選べる素材でも、何かしらの作品としてのストーリー性や達成感が得られた。これは簡単なことではなく、素材選びや形が非常によく考えられていた。

 

【雨の日ならではの感想】

・雨の日に屋外で美術作品を鑑賞できることは滅多にないので、特別感があった。

・天気による(野外彫刻の)素材の変化を見ることができた。

・排水溝に流れる水の音が、水琴窟のようで良い音色だった。

 


 

 

3、まとめ

計画段階で目標としていた、「さまざまな年代の人が参加することにより生まれる視点の違いを楽しむ」「作品だけでなく屋外の環境全体で味わう」、そして「野外彫刻の楽しみ方を体験し、野外彫刻への関心を高める」という狙いは、しっかり達成されたように感じます。

 

(1)とびラーの感想

長きに渡る準備を経てついに迎えた本番当日。美術館の清掃スタッフさんがプログラム実施場所でもある東門付近で、蜘蛛の巣を取り払ったり銀杏の実を掃き集めたり、念入りに清掃してくださっている様子を目にしたメンバーは、感謝と晴れやかな気持ちでスタートを切ることができたといいます。屋外で活動し周りに向ける視野を持つと、この美術鑑賞の場は、作品だけの力だけではなく実にたくさんの人の手で作られ運営されていることに気付かされます。そうやってみると、自然の中、土の上に置かれた作品1つを取っても、見せ方が計算されていて、そしていろいろな方向から時間をかけてじっくり観察する意義を感じられるし、それを多くの人と共有したいと考えた今回の試みは意義深いものなのだと背中を押された気持ちです。とびラーが企画運営するプログラムも、美術館やとびらプロジェクトの関係者、参加してくださる一般の方、そしてとびラーの仲間たち、多くの人との関わり合いの上に成り立っていることを感じ、この時間をより深く学びと味わいのある機会にしたいと感じました。

参加したとびラーからは、「野外彫刻は館内の美術作品とは扱い方も見せ方も見方もまるで違う。自然や天気もそうだが、もっと周りの虫や花や太陽も、空間にあるあらゆるものが作品の一部、鑑賞の対象、心を豊かにする要素なのだと感じることができた。」「自分がモノを見ている位置を変えただけで、見えるものが変わること。自分の世界が広がっていくことに気づいた時のわくわく感。心を広げ視野の解像度が上がっていく満足感を知った。」という感想が聞かれました。

 

(2) 企画、ファシリテーターとしてのふりかえり・改善点

私たちは、野外彫刻を鑑賞するラボが今後も、形を変え発展しながら続いていくといいなと考えています。そのためにも改善点をはっきりさせ、次の「野外彫刻ラボ」をより充実させるべく、参加メンバーでふりかえりのミーティングを開きました。

他の鑑賞者の妨げにならないように、散歩型鑑賞のコース取りや鑑賞時の声かけ、また対話中の声量など引き続き配慮が必要だと感じました。また、秋に入っているとはいえ長時間の屋外活動では、熱中症や害虫対策については、今後も注意が必要です。雨天の活動では傘が登場するため、美術館内には持ち込めない傘を傘立てから出したり入れたりをスムーズに誘導する算段も必要です。

 


 

 

 

 

 

執筆者:13期とびラー 藤原裕子

 

 

 

それまでは全く意識していなかった野外彫刻だったのに、鑑賞体験の日に「目からウロコ」体験をしました。それからは興味関心がむくむくと湧き上がってきて、その味わい深い魅力的な世界を楽しんでいます。関心をもって調べるほど新しい発見が湧き上がってきて、世界がどんどん楽しく豊かになっていきました(進行中)。そんな素敵な体験をひとりでも多くの方と共有できたら嬉しいな。

 

 

 

 

2024建築実践講座⑤|東京藝術大学が考えるキャンパスデザインとは

2024.10.12


第5回建築実践講座|「東京藝術大学が考えるキャンパスデザインとは」

日時|2024年10月12日(土) 10:00〜15:00
会場|東京藝術大学 第1講義室
講師|君塚和香(東京藝術大学 特任助教)


 

今回の講座は2部構成で、午前は東京藝術大学 特任助教の君塚和香先生による講義でした。

君塚先生は建築士として設計の仕事に携わるかたわら、東京藝術大学キャンパスグランドデザイン室で藝大キャンパス内の建物や環境の再構成・構築を担っていらっしゃいます。

東京藝術大学と上野公園や周辺地域とのつながり、公共空間とパブリックスペースの考え方や開き方について、過去・現在・未来とお話いただきました。東京藝術大学の住所は「上野公園」であり、上野公園の一部でもあるという視点で語られるお話が印象的でした。

 

 

 

そして午後は、君塚先生が中心となって推進している、藝大と公道との間にある柵を植栽に変えるプロジェクト「藝大Hedge」を体験しました。
とびラーは、藝大上野キャンパスの芸術未来研究場と国際子ども図書館との境界約100mに700本以上(18種類)の苗木を植えました。

 

 

 

午前の講座をふまえて実際に植栽することによって、実感を持って公園の一部であり、大学と外の境界を意識し、公共空間に関わる体験になりました。

市民も参加できる「藝大Hedge」のお世話係に参加するとびラーもいて、君塚先生の主導で藝大生も一緒に植物のお手入れをしています。

 

今回植えた苗木が大きくなる頃には、とびラーは開扉していることでしょう。これからも上野に来て、この周辺環境の変化を見続け、感じてほしいなと思います。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 西見涼香)

 

2024鑑賞実践講座⑤|「ファシリテーション事前準備」

2024.09.30


 

第5回鑑賞実践講座|「ファシリテーション事前準備」

日時|2024年9月30日(月)13:00〜17:00
会場|東京都美術館 アートスタディルーム、スタジオ
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA)
内容|ファシリテーション事前準備(グループ作品研究、個人作品研究)

 


第5回の講座では、Visual Thinking Strategies鑑賞(VTS)のファシリテーションをするための事前の準備について知り、複数人のグループワークと個人ワークを通じて理解していきました。

VTS鑑賞では、まずファシリテータ自身が作品を事前によくみて、味わい、作品から立ち現れるテーマや魅力を掴んでおくことが重要です。事前の作品研究では、時間をかけて丁寧に作品をみながら、テーマや魅力を読み解いていきます。

まずはグループでの作品研究。

お互いの視点を聞き合い、それぞれの意見を主観的意見と客観的意見に分類し、作品から見つけられる根拠や主観的解釈を補完してマッピングしながら、作品研究シートを作成していきます。

つぎに、個人での作品研究です。

普段ファシリテータとして事前準備をする際は、担当する鑑賞作品をそれぞれが自分で準備する場面が増えていきます。

そのため、事前にひとりで作品の魅力やテーマに近づけるように練習することも重要になります。

こちらも、時間をかけて作品研究の練習を行いました。

今後、とびラーは多くの作品に関わっていきます。それぞれの作品に対して、観点を整理し、それぞれの観点の関わりを分析し、作品に近づく体験を積み重ねながら、鑑賞の場をデザインする視点を育ててもらえたらと思います。

 

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)

2024建築実践講座④|前川國男邸から見える前川建築

2024.09.29


第4回建築実践講座|「前川國男邸から見える前川建築」

日時|2024年9月29日(日) 9:30〜12:00
会場|江戸東京たてもの園
講師|早川典子(江戸東京たてもの園 学芸員)


 

第4回建築実践講座は、東京都小金井市にある江戸東京たてもの園で実施しました。

東京都美術館を設計した建築家・前川國男の自邸が、江戸東京たてもの園に移築されています。

 

 

前川自邸のリビングにて、江戸東京たてもの園 学芸員の早川典子さんにお話を伺いました。建築デザインのお話だけでなく、生前の前川がどのようにこの家を使っていたのか、また学芸員が、移築や保存をするにあたり行った工夫や努力など非常に多くのエピソードをお聞きすることができました。

 

たてもの園には、多くの復元建造物があります。とびラーは、30件ある建物の一つひとつを鑑賞し、それぞれが発見したことを互いにシェアしながら学びを深めていました。

 

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)

 

2024建築実践講座③|建築ツアーをやってみよう

2024.09.14


第3回建築実践講座|「建築ツアーをやってみよう」

日時|2024年9月14日(土) 10:00〜15:00
会場|東京都美術館 ASR・スタジオ
講師|峰岸優香(東京都美術館アート・コミュニケーション係 学芸員)


 

今回の講師は、東京美術館がおこなっている「とびラーによる建築ツアー」を担当している峰岸優香さん。

まず第1回の建築実践講座内容(都美の建物と歴史)をふりかえり、建築ツアーでどのようなことを大切にし、どのように来館者をお迎えしているかについてお話がありました。

 

 

その後は「15分間のMY建築ツアーをつくろう!」ということで、とびラーそれぞれがツアープランを考えました。

東京都美術館パンフレットトビカンみどころMAP、館内にある資料から読み解くだけではなく、実際に館内を巡り、一人ひとりが感じる「ここが好き!」「気になる!」をみつけてツアーを組み立てていきました。

 

お昼休憩をはさんで午後は、各々が考えたツアーを3人組になって交代で実施しました。

ツアー後はやってみた感想や思ったことをシェアし、ツアーの構成や伝えたいことが伝わったのかについて考えました。

 

「とびラーによる建築ツアー」は決まったコースがあるわけではありません。ガイド役のとびラーによって紹介するスポットはさまざまなので、参加するたびに新たな発見があるツアーです。

今回の講座の学びが建築ツアーに活かされたらいいなと思います。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 西見涼香)

 

2024鑑賞実践講座④|「展示室でまなぶ場づくり 〜スペシャル・マンデーに向けて〜」

2024.08.26

 


 

第4回鑑賞実践講座|「展示室で学ぶ場づくり 〜スペシャル・マンデーに向けて〜」

日時|2024年8月26日(月)14:30~17:30
会場|東京都美術館 アートスタディルーム、スタジオ、ギャラリーA・B・C(『大地に耳をすます 気配と手ざわり』展 会場)
講師|石丸郁乃(Museum Start あいうえの)、越川さくら(とびらプロジェクト)
内容|
・「スペシャル・マンデー」の事前〜当日〜事後の流れを学ぶ
・当日の流れを展示室で体験する
・会場を知る

 


第4回の講座では、とびラーが活動する「Museum Start あいうえの」の学校来館プログラム「スペシャル・マンデー」に向けて、展示室での鑑賞の場づくりについて考えました。

まず、「Museum Start あいうえの」のプログラム・オフィサーである石丸郁乃さんが、「スペシャル・マンデー」の映像を交えながら、プログラムの概要を説明しました。事前授業〜当日の展覧会鑑賞〜事後授業までの流れを理解することで、プログラム全体の構成を把握しました。

続いて、講座担当の越川が、作品を守りながら展示室で子どもたちの鑑賞を深めるためのポイントについてレクチャーしました。

その後、スペシャル・マンデー当日のプログラムの流れを、実際に鑑賞する展覧会会場で体験しました。

とびラーたちは、子どもたちの鑑賞体験を想像しながらグループで展示室を巡り、鑑賞を楽しみました。その上で、作品保全のために注意すべき動線や、子どもたちのグループをどのように誘導するかを確認しました。


2024年度のとびらプロジェクトには全盲のとびラーが参加しています。鑑賞実践講座では、毎回の鑑賞作品に合わせてスタッフが「触図」を制作し、構図やモチーフの形を伝えながら情報保障を行っています。

今回の講座では、実際の作品の前でグループで鑑賞を行う際に、手元にA4サイズの「触図」を用意しました。全盲のとびラーは、実際の作品の大きさについてスタッフから説明を受けながら、手元の触図で構図を確かめつつ、グループでの対話に参加していました。

作品図版のカラーコピーを用いて作成した「触図」。モチーフの輪郭線が触ってわかるようになっている。


 

グループでの鑑賞後は、スペシャル・マンデー当日に子どもたちが体験する「ひとりの時間」を、とびラー自身も体験しました。

グループで対話しながら鑑賞することで視点が広がり、作品への理解が深める回路ができた後、ひとりで作品と向き合い思索する時間です。この流れを実際に体験することで、とびラー自身も子どもたちにとっての「ひとりの時間」の豊かさを実感しました。

展示室での体験が終わった後は、「鑑賞者と作品の両方にとって、安全で安心できる鑑賞の場を作れていたか」という視点で、グループごとにふりかえりを行いました。


9月から始まる「スペシャル・マンデー」に向けて、何度も展覧会に足を運び、さらにファシリテーションのイメージを深めていきましょう。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)

【とびラボ活動報告】だれかと気軽に「ミーハー建築ラボ」

2024.08.25

◆「ミーハー建築ラボ」とは

建築をアイドルのようにちょっぴりミーハーな気持ちで眺めたり好きになってみませんか?という思いで命名。

すごい興味があるというわけではないのに、みんながイイ!というから飛びつくのカッコ悪いかな?

なんとなく佇まいが気になる建築についてみんなで話してみたい!よくわからないけど建物がステキだから、あの有名建築にランチに行ってみたい・・。
建築の思想や歴史などはわからなくても、感覚や思いを起点にとにかくコミュニケーションツールとして建築を通して何かやってみようと立ち上げたとびラボです。

 

◆活動趣旨

・建築って「楽しい」と思う気持ちをみんなで紐解きながら共有したい。

・好きなまちや建物をみんなで共有したい。その建物が持つ空気感・記憶・まちでの存在などについて語り合いたい。デザイン・資材・構造はもちろん重要だけど、まずは自分が感じたことや発見したことを大事にしたい。

・大規模建築公開イベント「東京建築祭」に向け、建物の情報も共有したい。

 

◆集まったとびラー 

「自分が建築が好きなのかはわからない」と感じていた私も、元々まちあるきは好き。歩いて楽しいまちには必ず、いいなと思える建物がある。「建物が持つ空気感・記憶・まちでの存在」といったワードに惹かれてラボに参加しました。

他にも、既に建築をみる楽しさに気づいて方々巡っている人、階段など特定のジャンルやパーツに偏愛のある人、東京建築祭を楽しみたい人。そして、まちあるきをする回に興味を持って飛び入りで参加した人。建築・まちに対して様々な興味、「好き」や「楽しみたい」気持ちを持ったとびラーが集まりました。

◆活動内容

2024年4月~8月にかけて全6回とびラボを開催しました。

ここでは主に「キックオフ」回と、そこからつながる「まちあるき」回に絞って紹介します。

 

◆キックオフ

まずはこのとびラボに参加したいと思った理由や想いを一人ずつ話し、みんなで共有しました。

・建築・建築家には特段の興味がなくても、なんだか気になる建物やまちの風景がある。

・見ていて落ち着いたり、好きだと思う建物や場所がある。

・そして、そこには生まれ育ったまちや、祖父母の仕事や昔遊びに行った家の記憶、様々な原体験があることに大人になってから気づいた。

こういった話から、互いに好きな建物やまちを記憶と共に共有し、風景を思い浮かべ、心地良い時間を過ごしました。

 

◆まちあるき(谷中編)

次は実際にとびラボを進めていく中で話が出たまちに行ってみよう!ということで、地図を片手に上野公園に隣接したまち「谷中」でまちあるきをしました。

 

谷中の住民ということで、この時は私が紹介したい場所・建物や巡り方を初めて考えてみることに。普段「いいな」と感じる風景や、誰かの想いによってリノベーションされ今も活用されている古い建物を巡ってみる案にしました。ただ、そもそも歴史的に著名な建築家が建てた建物があるわけではない、住宅街にある寺町エリアの一画のため、果たしてみんなが楽しめるのか、出発するまでは不安の方が大きい状態でした。

実際にまちに出てみると、その不安は5分でなくなりました。瓦屋根や梁から感じる日本文化。民家の玄関先や路地、お寺の境内の手入れされたお花や緑。住む人の気配が濃厚な温かいまちなみ。みんなで歩いてみると、目指す場所に向かう道すがら、私は当たり前に感じて見過ごしていたものにもたくさんの良さがあることがわかりました。
また、偶然出会い、快く境内に招き入れてくれたご住職からは、お庭の様々な植物のお話を聞くことができました。

*昭和13年築の三軒家を再生活用した店舗と工房の複合施設。(左)

*保存活動もあり守られている谷中のシンボル、ヒマラヤ杉(右)

 

このまちあるきでは、発見するものや興味を持つもの、そこから感じることは人それぞれだと知ることができる新鮮さがありました。そして建物だけではなく、植物や文化、それらを通じたコミュニケーションは楽しいと思えたことが印象に残る回でした。

その後のとびラボでは、東京建築祭に向け、まずは建築祭がどういったものか、昨年「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪(イケフェス大阪)」に参加したメンバーから体験談を聞きました。

建物をみるだけではなく、まちの人の想いを知ったり、行った先での出会いの大切さを改めて認識したり、色々な楽しみ方を共有しました。

 

◆まちあるき(東京建築祭編)

いよいよ東京建築祭。神田・京橋・築地・銀座の周辺に絞り、神田の丸石ビルディングからスタートしてまちを歩きました。

 


*建築祭では普段入ることのできない建物内部が見学可能です。今回は、混雑のため外観を見るだけに。

 

建築祭に参加している中からお目当ての建築をいくつか選び、そこを目指して自分たちで組み立てたルートを巡りました。でも一番印象的だったのは、みんなでまちを歩くと、お目当てだった建築以外にも、通りすがりに各々目に留まる建物がたくさんあることでした。

一例を挙げると、洋風な看板建築の外観が気になり思わず足を止めた日本橋本町の建物(日本橋旧テーラー堀屋)や、グラデーションがきれいなタイルが目を惹く中央区立常盤小学校別館など。また、窓にあしらわれたガラスブロックに惹かれ立ち寄った神田のビルでは、ちょうど立ち話していたまちの方々と、ビルの話をきっかけにおしゃべりをしました。

*看板建築の2階窓の両側の意匠が気になり鑑賞(左)/タイルに興味をもち撮影(右)

*路地裏に入ってみると都会の小学校ならではの景色に遭遇。復興小学校らしいレトロな常磐小学校の窓(左)

 

他にも、建築祭には参加していないけれどメンバーが好きなレトロビルに立ち寄ったりもしました。とにかく難しい事は考えずに、興味を持ったところにはまずは寄ってみて観察するところから始まり、そこから建築・まちを楽しんだ1日でした。

 

後日実施したふりかえりの場では、撮った写真を共有することで建物の細部を鑑賞する楽しさや、同じ建物を見ていても視点は人それぞれだと知ることができる楽しさがありました。また、気になった建物について調べてみることで、その建物にまつわる人々の想いも知ることができました。

 

◆ラボに参加したとびラーの声(抜粋)

これらの活動を通じ、参加したとびラーからは次のような声がありました。

・建物とまちがつながり、さらに人がつながった。

・今では、何でもないまちも好きになった。

・建物の細部を意識してみるようになった。

・「みる」に「誰かの経験・思い出・思い入れ」が加わり、丸ごと味わえるのが良い。

・みんなでみると、発見があり、感動のシェアができる。まちと建物を自分と違う視点から見直すことができる。

・自分がこれまで見ていた景色も違ってみえてくる。

*漠然と思っていた「イイね!」が、全体のふりかえりで言語化でき笑顔。

 

最初にまちあるきをした谷中は私が生まれ育った地元でもありますが、普段5分もかからず通り過ぎるだけの道を、みんなが色々発見して倍以上の時間をかけて味わう姿がすごく印象的でした。そして様々な視点を知れたおかげで、自分がこのまちが落ち着く理由や「いいな」と思う理由にも気づかせてもらえました。

 

「建物はモノではなく、その建物があるまち、そこに関わる人々の想いや記憶とつながっている」、「建物を介して他者との視点の違いを知ることができたり、誰かとコミュニケーションするのは楽しい」。みんなでミーハーに楽しむことから始めたら、最後には、そんな気づきを得られるとびラボになりました。

 


執筆:馬場 里美(12期とびラー):

普段は不動産賃貸・管理業に携わっています。とびラー活動を通じて、近すぎて当たり前に感じていた上野公園のよさにも改めて気づくことができました。

構成:染谷 都染谷 都(12期とびラー):

ラジオ番組制作ディレクター。藝大の森お世話隊でボランティア活動中。このとびラボを経てまちあるき、建築を通してのコミュニケーションを考えるきっかけに。とびらプロジェクトのこれからゼミ「『アート・コミュニケータの建築鑑賞まちあるき』を考える」「上野の森と建築を考える」の活動へつながった想いをさらに広げていきたいです。

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