東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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2022.06.27

ベビーとゆったり美術館とは、「赤ちゃんを育てている保護者の方に、美術館でゆったりした時間を過ごしてほしい」「⾚ちゃんと保護者が、いつでも安⼼して美術館へお出かけできるように、最初の⼀歩をお⼿伝いしたい」という気持ちから生まれたとびラボです。

 

このブログでは、6月27日(月)に実施した「都美セレクショングループ展2022」でのプログラムの様子をお伝えします。

 

「ベビーとゆったり美術館」を企画するとびラーは、未就学児、小中高校生、社会人のお母さん、長年保育士として活躍していた方など、自然と子育て経験者が集まりました。自分たちが赤ちゃんを育てていた時に感じた、美術館から遠ざかってしまった寂しさや、大人と会話ができない日が続く辛さなどを、毎日赤ちゃんと向き合って奮闘している保護者の方も感じているのではないか…。それをこのプログラムで少しでも和らげられたらという思いがあったからです。そして何より、毎日大変な保護者の方に笑顔になってもらいたいという気持ちがありました。

 

記録的な暑さが続くなか、本番の日がやってきました。大人だけでも外出をためらうような暑さです。赤ちゃんとのお出かけは難しいかもしれないと考えていました。

 

しかし申し込みをしてくださった3組全ての皆さんが、美術館にご来館されたのです。熱中症に注意しながらのお出かけは、保冷剤に扇風機に水分補給に…と、とても大変だったことでしょう。そのような中でこのプログラムに足を運んでくださったことをとてもありがたく思いました。

 

今回は、参加された3組のファミリーそれぞれ1組につき、とびラー1名がご一緒することになりました。赤ちゃんと美術館に来た時に利用できる設備の説明を確認したり、作品についておしゃべりをしたりして、とびラーとゆったり美術館で過ごします。

 

とびラーは緑のバンダナを巻いて準備万端。

 

まずは参加者の皆さんとごあいさつ。一緒に楽しみましょう!

 

ギャラリーに行く前に、今回の展示の簡単な説明や、展示室でのお約束などを簡単にシェアします。

 

東京都美術館の自慢できる設備の一つ、授乳室。どこにあるのか、どうやったら使えるのかをお伝えしています。(小さなお子様連れの方へのバリアフリー情報はこちらからご覧ください)

 

授乳室やおむつ替えスペース、ベビーカーの借り方などをインターネットで一生懸命調べてから来ても、実際に使うとなると戸惑ってしまいますよね。このプログラムではそのような不安も解消したいと考え、場所や利用方法を直接お伝えしています。

 

いよいよ、今回の展示「都美セレクショングループ展2022」へ。
ここでは3つのアーティストグループが、それぞれのテーマで絵画、立体、映像、インスタレーションなど様々なジャンルの作品展示を繰り広げています。

 

気になるものがたくさん並ぶ展示に、赤ちゃんも興味津々。

 

展示についてお話ししていたら、もうすぐ赤ちゃんのお誕生日とのこと!

おめでとうございます。とても嬉しいことですね。

 

実際に手を触れながら鑑賞することができる人の形をした作品の前では、赤ちゃんの顔にそっくり!とお話ししながら作品を味わいました。

 

一緒にじっくり見て味わいます。

 

ある組では、参加されたご夫婦から「美術館やアートの楽しみ方が夫婦ともによくわからなくて・・そのあたりも教えてもらいたくて参加しました」というお話を伺いました。

 

とびラーからは、

「難しく考えず、自由に見ていただいて大丈夫ですよ!」

「家に飾るならどの作品?」みたいなテーマをもって鑑賞することで、またちょっと違う視点を持てたり、共有する楽しさも生まれますよ!」

とお伝えしました。

 

ご夫婦ともに驚かれて「そんな気軽な楽しみ方をしてもいいんですね〜!」と喜んでいただけました。ぜひ、いろんな楽しみ方を試して欲しいと思います。

 

昼下がりということもあり、赤ちゃんたちは割と落ち着いていて、抱っこされて安心して展示室をまわる子、ベビーカーでお昼寝をする子もいました。

 

鑑賞が終わったあとは、ちょうど赤ちゃんのお腹がすく時間ということで、授乳室を利用する参加者もいました。私たちとびラーが普段活動の拠点としている東京都美術館 交流棟内にあるアートスタディールームで、アンケートを記入をしたり、おしゃべりで一息つくファミリーも。

 

プログラムを終えた後には

「元々美術館が好きだったが、子供が生まれてからは来る機会がなかった。子連れでのハードルが下がり、また来たいと思えた。」

 

「(とびラーの)サポートがありがたく、安心して見ることができました。」

「美術館を家族と楽しめるイメージが持てた。」
などの感想もいただきました。

 

参加した皆さんと、美術館を楽しみながら、一緒にゆったりした時間を過ごすことができたのではないかと思います。

鑑賞を終えた後、「ここなら、午前中は動物園で遊んで、ベビーカーで昼寝をしてる間に美術館に来れるんじゃない!?」と、今後のイメージをお話しされている参加者のお声を耳にして、とても嬉しくなりました。

 

東京都美術館のある上野公園には、子どもと一緒に楽しめる施設がたくさんあります。お隣の上野動物園や、国立科学博物館、児童公園は、幼児から大人まで大人気です。東京都美術館をはじめ、上野公園でたくさんのホッとできる場所、楽しめる場所を見つけてみてください。

 

 

私は今、4歳の子供を育てています。自分の好きな時に、好きなように出かけていた生活が、子供が生まれてから一変しました。特に、あれほど好きだった美術館になかなか足が向きませんでした。泣いたらどうしよう…自分の都合で子供を連れ回していいのかな…。不安で一歩を踏み出せなかったのです。

 

 もし、その時の私と同じような気持ちの人がいたら、このプログラムで「大丈夫ですよ」と、背中を押せたらと思っています。自分の目で一度、赤ちゃんのための設備を確認しておけば安心だし、もし赤ちゃんがぐずったりひどく泣いてしまったら一度退出して、野外に展示している彫刻をみたり、上野公園の緑を眺めたりして、可能ならまた展示室へ戻ってもいい。

 

自分ひとりの時とはまた違った「赤ちゃんと一緒の楽しみ方」も、結構いいものです。

 

いつもの公園、児童館、お家から少し離れて、心がホッと落ち着く時間を、美術館で一緒に過ごせたら、とても嬉しく思います。

 

 


 

文:郷美潮

とびラー10期、2年目。工芸の仕事をしています。子育て・仕事・とびらプロジェクトを楽しんでいます。

 

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