東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

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2026.03.21

 

とびラーは、東京都美術館の特別展や企画展に何回も足を運びます。それは、自分たち自身が展覧会をじっくりと鑑賞し、作品と出会うことを大切にしながら、プログラムの準備をしたり、とびラボの検討をするためです。一方で、公募展に訪れるのはつい自分の好みの展覧会に偏りがちなのではないかという思いがありました。「とびラーである私たち、いろいろな分野の扉を開けてみよう!」という思いのもとに始まったとびラボです。

 

そもそも公募棟で開催される展覧会には、どんな展覧会があるのでしょう。毎回、このとびラボに集まったとびラーで鑑賞に行く前には、「公募展カレンダー」を確認します。公募展とは、作品を広く一般から募集し、応募された作品や、審査を経た入選作品を展示する展覧会のことです。東京都美術館では、1年間に200を超える団体が公募展を開催します。東京都美術館が1926年に開館した頃から活動している歴史の古い団体から、新たに活動を始めたばかりの団体もあります。全国規模の大きな団体や小規模の市民団体の展覧会もあります。学校や教育団体の展覧会や美術大学・芸術大学の卒業製作展もあります。分野も、絵画だけでなく、工芸、書、手芸、写真、盆栽、生け花など多岐にわたります。

 

しかし、とびラーの中でも、「一人で入るには勇気がいる」「知らない表現分野の展示が多いので、展示を見に行くきっかけが欲しい」という声もありました。そこで、とびラボとしてみんなで鑑賞しに行きましょう!というのがレッツ!コウ!ボトーです。2025年4月から2026年3月までの1年間活動を行いました。多くのとびラーが参加できるように、1か月の中で平日1回、土日1回の2度の活動日を設け、毎回5、6人で鑑賞をしてきました。

 

 

初めてみんなで訪れたのは、モダンアートを作品のテーマにしている展覧会でした。展示室には大きな作品が並んでいました。その次に訪れたパステル画の展覧会会場では、小さめの作品が並んでいました。2つの公募展に行ったことで、展覧会によって作品の大きさにも違いがあることに気付くことが出来ました。

 

公募展に出品される作品の多くには、詳細な解説文などはありません。その為、「これは油彩なのかパステル画なのか」など素材を考えたり、「この作品から作者は何を伝えたいのだろうか」など想像したり、作品をじっくりと鑑賞するとびラーの姿がありました。

 

何回か活動していると想定外の嬉しい出来事が起きてきました。それは、作家さんとの出会いです。展示室内では作品を鑑賞するだけでなく、作家さんから作品についてお話を伺う時があるのです。とても興味深い時間です。

 

 

 

書の公募展を鑑賞しているときのことでした。その日参加したとびラーには書道の経験者が居なかったため、鑑賞のポイントが分かりません。展示室には、作家の方が在室していることがあるのですが、たまたまそこにいらした方が、私たちの為に書について詳しく解説をしてくださったのです。墨の濃淡の意味や、題材の選び方、筆運びの難しさなど、お聞きする話は初めて聞くことばかりなので、みんなとても感心していました。

 

また、和紙絵画展で出会った作家の方は、お弟子さんとの活動の楽しさをお話してくださいました。和紙をどのように重ねるか、遠近感の表現が難しいことを教えてくださいました。

 

漆の公募展では、漆工芸歴60年という作家の方からレクチャーを受けました。

 

 

いずれも、とにかく作家の皆さんのお話がとても興味深く、参加したとびラーは濃厚な鑑賞時間を持つことが出来ました。公募展に行ってみることには、作品との出会いがあるだけではないのです。人とも出会える魅力を持っています。



もうひとつ、作品以外に私たちが感心したことに、活動内で出会った作家の方に80代半ばの方が何人もいらしたことです。姿勢も良く、外見ではそれほど高齢とは思えません。お話もしっかりされとても健康的でした。遠方のご自宅から東京都美術館までいらして、一日展示室で過ごし、仲間と話し、半年先の次回の展覧会の予定も決まっていて制作意欲も持たれています。そのお姿に、私たちはアートの力を感じたのです。

 

 

とびラボ活動をした際には、活動内容をとびラーのみんなに報告をします。すると、嬉しいコメントが入るようになりました。それは、「活動報告を読んでその公募展に行ってみました!」といった内容のものでした。また「一人でも公募展に入りやすくなった」「面白かったから次の機会にも行ってみようと思います」という話も聞きました。

 

公募展に行くことは、新しい分野の作品に出会い、その後の鑑賞活動の幅を広げる効果もあるようです。


レッツ!コウ!ボトー 皆さん一緒に レッツ GO!公募棟!

 


12期 猪狩麻里子

都内小学校の情緒固定特別支援学級講師。アート鑑賞では、みんなで作品を見ながら語り合う時間を楽しんでいます。また、街歩きでは素敵な建築にときめき、その土地の地形や歴史にも興味が尽きません。

 

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