東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

活動紹介

アクセス実践講座④⑤|「ワークショップメイキング入門」

2019.10.06

アクセス実践講座・第4/5回
「ワークショップメイキング入門」
日時|2019年10月6日(日)10:00~16:00
場所|東京藝術大学第3講義室
講師|舘野泰一(立教大学経営学部)


毎年恒例となり、たくさんのとびラーが受講する舘野泰一さんの講義が今年もアクセス実践講座に登場です。「ワークショップ」とは、どのような学びの形態か、どのようにプログラムメイキングをするのか。その基本を一日の講義で学びます。

 

 

ワークショップメイキングのポイントは「『遊び』と『学び』、両方の要素が上手にブレンドされていること」と舘野さんは言います。

 

講義全体にも、『遊び』と『学び』がブレンドされて、とびラーも生き生きとワークに取り組み、レクチャー部分では「なるほど!」と理解を深めていく様子が印象的でした。

 

 

ワークショップの「構造」について理解するために、とびラーは事前課題に取り組んでからこの講義に参加しています。事前課題は、舘野さんが設計したワークショップの詳細を書籍で読み、その「構造」がどうなっているかを他の人に説明できるように準備すること。いくつかのワークショップについて、とびラーがそれぞれ分担して、他のとびラーに要点を説明します。その要点が統合されていくことで、全体の学びが深まっていく効果もあります。

 

 

学習者は「白紙ではない」と、舘野さんは言います。

 

白紙に大量印刷をするように知識を一様に伝えていた時代の教育から、学習者が主体的に考えることで学習していく教育の時代に、現代の学びはシフトしています。学習者が、もともと持っている考えと、新しく学ぼうとする知識を関連づけて考えることで、知識を自分なりに作る形で学習が行われていきます。

 

 

事前課題で見えてきたワークショップの基本構造や、ワークショップを設計するときのポイントについて、これまでのワークとレクチャーを通してなんとなく見えてきたことを、チームで整理していきます。

 

とびラーの気づきを元に、舘野さんからのレクチャーがあり、前半は終了です。

 

前半のポイントは、

・ワークショップの基本構造

・「遊び」と「学び」のサンドイッチ。学びで遊びをサンドする構造を作る。

・ゴールに直接行かないずらし(遊び)を作る。

 

お昼休憩をはさんで、後半は実際にワークショップを体験しレクチャーを聞いて、ワークショップデザインのコツの理解をさらに深めていきました。また記録や、ワークショップの伝え方など、より実践的な内容についても学んでいきました。

 

 

講座はいくつかのワークを実際に体験しながら楽しく進行していきました。

 

実際にワークショップを設計するときに意外と難しいのが、「遊び」をどのようにデザインするかという部分です。それについて、舘野さんはこんな風に説明します。

 

「例えばこのゴミを、そこにあるゴミ箱に捨てるとします。最短ルートでこの目的を達成するためにはまっすぐ歩いていてって捨てるわけですよね。これを遊びにしようと思ったら、この最短ルートを禁止してみます。例えばゴミ箱に行く前の手前に線を引いて『この線から入れてください』と言ったら遊びになるんですよね。

 

一番早いルートで目的を達成できてしまうことを禁止して、新しいルールを足す。そうすると遊びが見えてきます」

 


 

とびラーがプログラムメイキングをするために必要となる実践的な知識を吸収できた一日でした。実際の「とびラボ」での活動を通して、今日の学びがきっと活きてくることと思います。

 

(東京藝術大学美術学部 特任助手 越川さくら)

【あいうえの連携】オープンデイ キュッパ・チャンネル②(2019.10.5)

2019.10.05

今回で2回目を迎えるオープンデイ「キュッパ・チャンネル」!あいうえのに初めて参加する人向けのデビュー・プログラム、これまでにあいうえのに参加した人向けのリピーター・プログラム、年間通じて参加するムービー部が実施され、計5種類ものプログラムが同時開催しました。この日だけであつまった人の数は、なんと377名!!台風が近づいていて、天気に不安をかかえていましたが、当日は最高気温が31度の真夏日になりました。それぞれが迎えた”あつい”プログラムの様子をお伝えします。

撮影:中島佑輔

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【あいうえの連携】スペシャル・マンデー・コース@伊庭靖子展 まなざしのあわい
足立区立高野小学校(2019.9.30)

2019.09.30

9月30日(月)、厳しい残暑の中、今年度2回目となる学校向けプログラム「スペシャル・マンデー・コース」が実施されました。

展覧会の休室日に、学校のために特別に開室して行われるこのプログラムは、貸し切り状態でじっくり本物の作品と出会える特別な機会です。この日の午後に参加してくれたのは、2校。そのうちの1校である、足立区立高野小学校の様子をご紹介します。

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【あいうえの連携】スペシャル・マンデー・コース@伊庭靖子展 まなざしのあわい ゆうかり教室(2019.9.30)

2019.09.30

「こんにちは!」
「東京都美術館にようこそ!」

東京都美術館のアートスタディルーム(以下、ASR)に入ってきたこどもたちに、美術館の学芸員やスタッフ、アート・コミュニケータ(愛称:とびラー)たちが声をかけます。
やってきたのは、多摩市立教育センター ゆうかり教室の、小学生6名、中学生7名、保護者7名、引率7名の計27名。
そこに、プログラムの伴走役を担う9名のとびラーと、スタッフが加わります。
今日は、学校向けプログラム「スペシャル・マンデー・コース」の日。展覧会の休室日(月曜日)の東京都美術館を舞台に、特別な鑑賞授業が行われます。

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【あいうえの連携】スペシャル・マンデー・コース@伊庭靖子展 まなざしのあわい
町田市立鶴川第三小学校4年(2019.9.30)

2019.09.30

ここは、上野恩賜公園の竹の台広場の前。
こどもたちの到着を待っている大人たちがいます。彼らは、東京都美術館を拠点に活動する、アート・コミュニケータ(愛称:とびラー)たち。
「もうすぐかな」
「あ、来た!」
この日行われるのは、学校向けプログラム「スペシャル・マンデー・コース」。
展覧会の休室日(月曜日)の東京都美術館を舞台に、特別な鑑賞授業が行われます。
バスに乗ってやってきたのは、町田市立鶴川第三小学校(以下、鶴川第三小学校)の、小学4年生76名、保護者7名、引率4名の計88名。そこに、プログラムの伴走役を担う22 名のとびラーと、スタッフが加わります。

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アクセス実践講座③「認知症に対応した鑑賞プログラム」

2019.09.29

アクセス実践講座・第3回
「認知症に対応した鑑賞プログラム」
日時|2019年9月29日(日)13:30~16:30
場所|東京藝術大学第3講義室
講師|林容子(一般社団法人アーツアライブ)


全8回で構成されるアクセス実践講座の第3回目を行いました。第3回目は、一般社団法人アーツアライブの林容子さんを迎え、認知症に対応した鑑賞プログラムに携わる経緯と、現在のご研究、また、超高齢化社会が抱える課題に対しアートができることについてお話を伺いました。

日本の現在の状況について林さんはこのように説明します。

 

「日本は世界一の超高齢化社会です。65歳以上の人口が今年度の6月で全体の28%、すなわち4人に1人以上が65歳以上。これが2060年までには33.9%、3人に1人が65歳以上という、超超高齢化社会を迎えるっていう現実があります。今のままでは立ち行かないということがよくわかると思います。

 

現在認知症を患う高齢者数が500万人。さらに大きい問題は、都心部においては特に独居高齢者が多い。独居高齢者が700万人います。財政負担も非常に大きい。GDPの30%が社会保障でそのうちのなんと78%が高齢者向けになっています」

 

このような社会的課題に対し、これまでの林さんの活動の経緯とこれからをお聞きしました。

 

アートマネジメントの道へ
大学で美術史を専攻していた林さん。卒業後は、美術の仕事に想いを残しながらも貿易を扱う仕事につかれたそうです。「ペッパーミル」や、ホテルのポーターが使う機能性が高くエレガントな「ワゴン」など、当時はまだ日本に存在しなかった海外の文化を輸入し一般に広めていく仕事に心血を注がれた時期がありました。ビジネスの現場で様々なご経験を積まれた林さんは、アメリカの大学院で「アートマネジメント」という分野に出会います。アートマネジメントについて学ぶため、ニューヨークに渡った林さん。講義は、林さんがどのように「アートと福祉」の出会いに立ち会ったかというお話に続いていきます。

 

アートと福祉との出会い
海外で様々なアートプロジェクトに立会い、特に欧米の企業や社会全体が「アート」に大きな価値を見出す文化に驚いた林さん。1999年にイギリスで行われた国際シンポジウムに出席し、病院や施設を視察したことが、アートと福祉に関わるきっかけだったそうです。
「入院している方、高齢の方、リハビリ中の方、外出することができない方々にとって、アートがものすごく必要なものなのだということに気づかされました」
当時の日本では病院や施設は、アートとまったく無関係な世界だったと、林さんは言います。そんな中、林さんはどのようにアートと福祉を繋げていったのでしょうか。

 

福祉の現場にアートを持ち込む
「一番大変なのは、活動の許可を取るということなんですね。アートが健康に寄与するという意識が浸透していないので、アーティストが来てとんでもないことをされては困るという不安が施設側にあるのです」と、林さんは回想します。
そこで、ある高齢者施設を訪れた際、林さんはまず「何か困っていることはないですか」と聞いてみたのだそう。
すると、
「利用者が部屋にこもったきり出てこない」
「同じような作りの部屋ばかりで、自分の部屋がわからなくなってしまう」
という“困りごと”が見えてきました。
そこで林さんは、教え子である武蔵野美術大学の学生とともに各部屋の障子に絵を描くプロジェクトを始めます。その部屋の利用者の楽しかった思い出を聞き、その様子を学生が絵にしていく中で、「着物はこんな柄だった」、「今の私もここに入れて」と様々なコミュニケーションの中で、利用者と学生が一緒に作品を制作していったのだそうです。

 

この活動を始め、認知症の方のための施設などでも活動の場を続けていた林さん。2009年には、一般社団法人アーツアライブを設立します。
アーツアライブでは「アートリップ」というプログラムを行なっています。アートリップは、認知症の方と美術作品を鑑賞するプログラムです。アーツアライブでは、アートコンダクターと呼ばれるファシリテータを育成し、プログラムを実施しています。

 

認知症の方との美術鑑賞について、林さんは次のように語ります。

 

「日本の高齢者のレジャー白書では、一番やりたいことは旅行なんですね。それから、ハイキング。その次にくるのがこの美術鑑賞なんです」

 

実際にプログラムを行うと、これまで笑わなかった方がニコニコとお話をしながら楽しそうに鑑賞する様子が見られることもよくあるそうです。

 

認知症で認知の機能が低下しても、「感情」が最後に残ることに着目し、「感情」の部分に直接作用するアートの効果をを認知症予防に取り入れることを提唱されています。

 

 

国際シンポジウムの成果
2018年10月、国立新美術館にて「アート・記憶・高齢化:アートを通した“認知症フレンドリー社会”の構築」というシンポジウムを開催されます。このシンポジウムでは、欧米で美術館や劇場といった芸術団体が認知症当事者と家族の為のプログラムを企画実施し、介護の現場でも芸術が認知症当事者の症状の緩和や、QOL(生活の質)を向上させることに注目し、米国、英国、オーストラリアという同分野の先進国より第一線の研究者、実践者を迎えて国内外の先端事例を紹介し、芸術、アートの力は“認知症フレンドリー社会”の構築にどう寄与することができるのか、その実現に向けての課題について考察が行われました。国内外から、医療関係者、美術館館関係者など約230名が参加したそうです。

 

認知症に処方されるアート
海外では、認知症に効果があるとして、美術鑑賞が処方されるというニュースが報道され記憶に新しいところです。人々のwell-being(心身ともに病気ではない、虚弱ではないというだけでなく、肉体的・精神的・社会的にすべてが快適で幸せな状態)にとって、アートに触れる機会を持つのは、ヒューマンライツ(人権)として尊重されるべきという考え方が広まりつつあります。

 

林さんは力強く語ります。
「私の夢としては、日本は今はアートがリハビリ療法の対象にしかなりませんが、将来は音楽やアートとか、そういった活動が介護保険や医療保険の一部でまかなわれていくべきだと思っています。ずっとアートリップのプログラムを始めた2012年の頃からそう思って活動しています。最終的にアートというものが医療に組み入れられていくということに繋がっていくために、もっともっと、説得力を持ってそれを証明していく必要があります」

 

アートを介して社会課題に立ち向かう1人のアクティビストとしての林さんの信念と力強さに胸を打たれた林容子さんの講義でした。

 

(東京藝術大学美術学部 特任助手 越川さくら)

【あいうえの連携】スペシャル・マンデー・コース@伊庭靖子展 まなざしのあわい
墨田区立第四吾嬬小学校5・6年(2019.9.17)

2019.09.17

9月17日(火)、今年度最初の「スペシャル・マンデー・コース」が行われました。晴れ空のもと上野公園にやってきたのは、墨田区立第四吾嬬小学校に通う5年生・6年生・たんぽぽ学級のみなさんです。こども62名、9名の引率の先生、4名の保護者の方を迎えて行われたプログラムの様子をお伝えします。

スペシャル・マンデー・コースは、休室日の展示室を学校のために特別開室し、ゆったりとした空間の中で行われます。こどもたちが本物の作品と出会い、アート・コミュニケータ(愛称:とびラー)と共にじっくり鑑賞することができるとあって、毎年多くの学校から申し込みをいただいている好評のプログラムです。

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【あいうえの連携】スペシャル・マンデー・コース@伊庭靖子展 まなざしのあわい
足立区立足立入谷小学校5年(2019.9.17)

2019.09.17

9月17日(火)、秋のはじまりの晴れ間のもと「スペシャル・マンデー・コース(学校向けプログラム)」が行われました。

午後は、北区立田端小学校の6年生と足立区立足立入谷小学校の5年生が来館しました。

「スペシャル・マンデー・コース」は、お休みの美術館の展示室を学校のために特別に開室する日です。普段の展示室とは違い、ゆったりとした環境の中でこどもたちが本物の作品と出会い、アート・コミュニケータ(愛称:とびラー)と共に鑑賞できるプログラムです。

このブログでは、足立区立足立入谷小学校の様子を紹介していきます。

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【あいうえの連携】スペシャル・マンデー・コース@伊庭靖子展 まなざしのあわい
北区立田端小学校6年(2019.9.17)

2019.09.17

9月17日(火)、学校向けプログラム「スペシャル・マンデー・コース」が行われました。秋晴れのなか上野公園にやってきたのは、北区立田端小学校6年生の皆さんです。

「スペシャル・マンデー・コース」とは、休室日に学校のために特別に開室し、ゆったりとした環境の中でこどもたちが本物の作品と出会い、アート・コミュニケータ(愛称:とびラー)と共に対話をしながら鑑賞する特別なプログラムです。

田端小の児童69名、引率の先生4名をお迎えしてスペシャルな午後が始まりました。

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建築実践講座③|「ワークショッププランニング1:都美の建築に関する資料・素材を知る」

2019.09.14

建築実践講座第3回を行いました。

今回、次回と、2回連続の内容となっている「ワークショッププランニング」では、建築空間を活かすプログラムづくりについて考えていきます。

1回目のテーマは、「都美の建築に関する資料を知る」。これまでの建築ツアーなどでの経験の蓄積をもとにつくられた資料をヒントに、一人ずつがミニツアーを作ってみます。

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