2024.11.23
執筆:11期とびラー 曽我千文
2024年9月19日から12月1日まで、東京都美術館で「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」が開催されました。
田中一村(たなか いっそん)は、昭和を代表する日本画家で、幼少期から絵の才能を発揮し神童と呼ばれていました。東京美術学校(現在の東京藝術大学)を中退した後も、生涯にわたって多くの名作を生み出しました。田中一村の画家人生のうち、前半生の千葉時代には、関東地方の郊外や農村で見られる身近な風景や自然を、後半生は鹿児島県の奄美大島に移住し、そこで見た奄美特有の自然を描きました。本展覧会で紹介された生涯を通じた作品の多くに、生き生きとした植物や昆虫、魚、そして鳥たちが描かれています。
野鳥が好きで、奄美大島にも野鳥の観察に訪れている私は、会場に幾度となく足を運びながら、バードウォッチングの気分で、作品の世界に野鳥の姿を探していました。出展作品数が300点以上ととても多い中でも、延53点とおよそ6分の1の作品に野鳥が描かれているのを見つけることができました。体がはちきれんばかりに声高らかに歌うアカヒゲ。ひっそりと森の奥で薄目を開けるトラフズク。岩の上で凛と佇む炎の鳥アカショウビン。かつて出会った野鳥たちの姿を想い、いつの間にか奄美の湿度の高い空気に包まれて、時がゆっくりと流れていく気がしました。
絵の中の鳥たちについて、名前や、どこに棲んで何を食べているか、どのように子育てをしているのかなど、その姿や暮らしぶりが分かると、一村の作品世界が現実味を帯び、生命の躍動が伝わることで鑑賞がぐっと深まるのではないか。そう考えて、東京都美術館のアート・コミュニケータ「とびラー」たちと、野鳥を通して一村世界を楽しもうと「一村展でバードウォッチング」というラボを、会期中に2回行いました。
こちらの展覧会に伺いました。
田中一村展 奄美の光 魂の絵画 (会期:2024年9月19日(木)~12月1日(日))
延53点の作品に見つけた24種の野鳥を「身近な鳥」「山の鳥」「旅先の鳥」「奄美の鳥」に分けて、図録を使ってみんなで一緒に作品を見ながら、それぞれの野鳥の特徴、文化とのかかわり、行動などのエピソード、ほかの鳥との見分けのポイントや鳴き声などを紹介していきました。自然と話題は、モチーフである鳥たちに対する一村の造詣の深さ、観察の鋭さを深掘りする場になっていったことは言うまでもありません。
本当なら実際に展覧会場で作品の森を歩き、双眼鏡で野鳥を探しながら話をしたらおもしろいだろうと考えたのですが、一村展の人気はすさまじく、連日混雑している会場内では、さすがにそれは叶わず、館内のアートスタディルームで、スライドを使ったインドア・バードウォッチングとなりました。そこで出たいくつかの話題をご紹介します。
※(P、№)は「田中一村展 奄美の光」図録掲載ページと作品番号です。
■風景の中に鳥の姿を探す
『秋晴』(P101、№132)という大きな作品は、農家の母屋と納屋、ケヤキの巨木の枝に真っ白なダイコンが干してある秋の夕暮れの風景です。黄金色の空には小さく、飛んでいる3羽の鳥が描かれています。これを私はヒヨドリではないかと考えました。そう思った理由は、まずヒヨドリは人里の環境でよく見られる鳥であること。描かれた翼の幅や、長めの尾のスタイルがヒヨドリに近いこと。何より3羽のうちの一番下を飛ぶ鳥が、翼を畳んだ細長い「かつおぶし」のような形で描かれていることです。ヒヨドリやセキレイ、キツツキの仲間は「波状飛行」といって、羽ばたきと翼を閉じることを繰り返して、波形を描いて飛びます。この3羽目の鳥は、まさにヒヨドリの飛んでいる姿を表していると思いました。この謎解きを、とびラーたちも大変おもしろがって聞いてくれました。
■ぬえの鳴く夜を聞く
本展の中でも代表的な作品『白い花』(P98、№131)で、満開のヤマボウシの下に止まるトラツグミ。黄色と黒のトラのような斑模様からその名があります。一見派手に見える姿ですが、ひとたび地面に降りると、落ち葉に姿が溶け込んで、どこにいるのかわからなくなります。夜に鳴く、鳥とは思えないその声から、その昔『平家物語』にも、顔は猿、体は狸、脚は虎、尾は蛇の「鵺(ぬえ)」という妖怪として登場します。トラツグミの声の録音を聞き、「ヒョーッ」という、消え入るような声にみんなで耳をすませながら、闇に包まれた森で鳴く姿を思い浮かべました。
■種と亜種
島のように地理的に隔てられた環境で、独自の進化を遂げた野鳥の中には、同じ種の中でも、少しずつ異なる特徴を持つ「亜種」というグループに分けられたものや、かつては同じと考えられていた種が異なる種、別種であることが明らかになったものがいます。
奄美で見られるオオアカゲラ(P221、№296)は、オーストンオオアカゲラというオオアカゲラの亜種で、本州などに棲むオオアカゲラに比べて全体に黒っぽく、翼の白い班も目立ちません。
また、一村が描いた、声高らかにさえずる奄美のアカヒゲには、同じ南の島である沖縄本島に、ホントウアカヒゲという、そっくりの別種がいます。奄美のアカヒゲには、脇腹に漆黒の班があるので、違いが分かります。(P194、№246ほか)
そのような島の鳥独自の特徴、色の違いも、一村はひとつひとつ正確に描いています。
ちなみに、本展で見られるトラツグミの作品(P132、№167ほか)は、一村が1958年に奄美に渡る前に描かれているので、本州のトラツグミだと思われますが、もしも一村が奄美でトラツグミを描いていたとすれば、それはミナミトラツグミという、トラツグミとそっくりの別種の鳥だったはずです。
■情熱の赤い鳥
田中一村の絵といえば、鮮やかな朱色の鳥、アカショウビンを思い浮かべる方も多いでしょう(P198、№249ほか)。録音で「キョロロロー」という物悲しい声を聴いてみると、真っ赤な羽色、がっちりとした嘴の情熱的な姿態から感じていた印象がちょっと変わります。その声が、「雨ふれふれふれー」と歌っているように聞こえることから、「ある日、火事で焼けて赤くなったアカショウビンは、体を冷やすために悲しげな声で鳴いては雨降れと天に乞うている」という言い伝えがあること、鮮やかな体も、陽の当たらない森の中では、深い緑色の木々に姿が溶け込んでしまうことにも、みな納得してくれたようです。
いかにも南国の雰囲気漂うアカショウビンですが、実は夏に日本に渡ってくる鳥として、北海道から沖縄まで広く生息しています。奄美や沖縄にいるのは、これもまたリュウキュウアカショウビンという亜種で、本州などにいるアカショウビンよりも、背中に紫色の光沢が目立ちます。
■驚くべき観察眼
一村による野鳥の描写を追いながら感嘆するのは、その観察の鋭さです。スケッチブックの素描には、ひとつの鳥の多様な姿勢をさまざまな角度で、羽根の一枚、一枚まで描き分けています。(P88、№112ほか)たくさんの鳥を飼っていたとも聞きます。
今回、お借りしたカケスの翼の羽根を、一村の「かけすの羽」のスケッチ(P89、№116)と、みんなで見比べてみると、羽根の一枚一枚まで正確に描写していることが分かりました。
一村は野鳥の体の細かいパーツまでも克明に描写しています。本展ではアカゲラ(P130、№164)と、オオアカゲラ(P221、№296)の2つのキツツキ類が登場していますが、キツツキの行動には木の幹に垂直に止まるという特徴があります。野鳥の趾(あしゆび)は、前に3本、後ろに1本あるものが多いのですが、キツツキは前2本、後2本の指で、しっかり体を支えて幹に止まります。加えて2本の脚だけでなく、羽軸の硬い尾羽を幹に付けて体を支えています。クライミングの基礎、3点支持の技法ですね。趾の数、幹に当てた尾羽のどちらの特徴も一村は正確に捉えて描いています。
また、アカショウビンやカワセミは、2本の前趾(まえあしゆび)がくっついています。脚をスコップのように使って、土に巣穴を掘るのに都合がいい形になったと言われていますが、アカショウビンを描いたスケッチブックのすみに、鉛筆で小さく描かれた趾も、しっかりその形態を写し取っているのを見つけた時には、本当に驚きました。(P205、№259)図録の写真ではそこまではっきりとは見えないのが残念です。
■羽根を顕微鏡で見てみる
鳥の光沢のある羽根の色は、色素によるとは違い、光の波長によって、見える色が変化する「構造色」と呼ばれるものです。お借りしたアカショウビンやカワセミの翼を実体顕微鏡で拡大して見て、その輝く美しさの秘密を楽しみました。リュウキュウアカショウビンの体は、色素による朱色をしていますが、光の当たり具合で、構造色による赤紫色の光沢が現れます。
また、実物の野鳥の翼を手にしてみると、想像していたものよりかなり小さいことにも、多くのとびラーが驚いていました。
下の写真でお分かりになるでしょうか、アカショウビンの腰には鮮やかな水色の羽根があります。本展で展示には、アカショウビンの腰が見える作品はありませんでしたが、一村作品の中にも、例えば『白花と赤翡翠』(岡田美術館所蔵)のように、しっかりアカショウビンの腰の水色が描かれているものもありますので、機会があればぜひ観察してみてください。
一村の心身には、自然の中で生きる野鳥の輝きが鮮やかに刻まれ、常に創作意欲を掻き立てられていたのではないでしょうか。私たちも野鳥の姿やその生態を知り、感動の追体験をすることで、正確で細やかな描写による一村の作品世界に深く入っていくことができました。最初はラボで、鳥好きのオタク話なんて関心を持ってもらえるだろうかとも思いましたが、とびラーたちの知的好奇心の豊かさで、話題を引き出してもらい、自然の美しさを想う感性溢れる場になったと思います。参加したとびラーからは、
「まさに格闘するようなスケッチ」
「神童と言われた一村は、天才というよりは努力の人」
「鳥によって声が違うのもおもしろい」
「もう一度一村の鳥を鑑賞しに行かなくては」
などの声が聞かれました。次にみんなが、一村の絵の前に立った時には、きっと葉の影から鳥たちの声が聞こえてくることでしょう。
その後も、
「ラボ以降、見た鳥の名前を図鑑で調べるようになりました」
「関心を持つと街中にもこんなに鳥がいたのかと驚いています」
などの嬉しい報告もいただいています。一村の深い観察、魂の絵画は私たちに、美術への感動を与えてくれるだけでなく、自然に関心を寄せる気持ちや行動を誘う力があると確信しました。これからもアート・コミュニケータとして、野鳥というひとつの扉から、人とアートと自然をつなげることができればと思います。
最後になりましたが、ラボを行うにあたり貴重な資料である野鳥の羽根をお貸しいただいた(公財)日本野鳥の会参事の安西英明様、生き生きとした野鳥の写真をご提供くださった奄美観光大使の樋口公平様、奄美大島の鳥飼久裕様に心からお礼申し上げます。みなさま野鳥の暮らす大切な自然の保護に日々ご尽力されている方々です。どうもありがとうございました。
(参考)樋口公平さんのYouTubeで奄美の野鳥の声を聴くことができます
アカヒゲ
https://youtu.be/2_XRdDkRyCU
亜種リュウキュウアカショウビン
https://youtu.be/3tslWjD08x8
奄美の森 野鳥たちのオーケストラ
https://youtu.be/BtrWw5eNB70?feature=shared
(表)とびラーが見つけた「田中一村展」のなかの野鳥たち一覧
執筆:11期とびラー 曽我千文
野山でふらふら鳥を見ていた子どもを、鳥好きのよその大人がかわいがってくれたおかげで、鳥が好きなまま50年が経ちました。誰かと一緒に楽しむことで、アートも自然も守り伝えることができるかもしれない。とびラーとして学んだことのひとつです。
2024.10.13
執筆者:藤原裕子
東京都美術館には「野外彫刻」が10作品展示されています。 東京都美術館の貴重な常設展示ですが、 東京都美術館には何度も来ているのに、こんなに野外彫刻があると気がつかなかった」という声を時々伺います。野外彫刻は、日差しの変化により映り込む色が変わり、 季節の など移り変わる自然を背景に、日々異なる表情を感じることができる魅力的なアートです。また、東京都美術館の野外彫刻は、抽象的な形状だからこそ、鑑賞する人ごとに解釈の幅が広がります。私たちは、このような魅力的な野外彫刻について、自然光の下で風を感じながら鑑賞の発見や楽しみを分かち合いたいという思いで、このとびラボをスタートしました。


鑑賞会当日まで実に6ヶ月、14回 とびラボを開き、とびラーで議論を重ねて準備してきました。
ミーティングでは、野外彫刻を鑑賞する楽しみをさまざまな来館者と共有していくために必要な工夫について考えました。そして特に以下の4つのポイントを、プログラムに落とし込んでいきました。
(1) 散歩を取り入れた鑑賞
野外彫刻は土や木陰、風、天気など周りの環境も含めて作品であると考えました。目の前の作品に向き合うだけではなくて、美術館の屋外空間の全体で楽しんでほしいと考えました。そのため、スタート後すぐに対象の野外彫刻に向かうのではなく、まずは散歩しながら日差しや他の野外彫刻を眺め周りの環境を楽しんで、その後に今回取り上げる野外彫刻の前に立ってじっくり鑑賞するプログラム構成にしました。
(2)野外彫刻を対話型鑑賞で楽しむ
おしゃべり鑑賞なのか作品解説なのか。野外彫刻の魅力をより楽しむにはどのような方法がよいか。最も効果的な鑑賞の在り方についても何度も議論しました。東京都美術館の野外彫刻は、抽象的な形状だからこそ、それぞれの解釈の幅が広がります。そこで今回は、彫刻の詳細をガイドがお伝えする形式ではなく、参加者同士で鑑賞を楽しむ対話型鑑賞(VTS)を取り入れることにしました。
(*VTS:Visual Thinking Strategiesの略。複数人の対話を通して作品により深く鑑賞する方法。)
(3)アイスブレイクー「小さな立体を作るゲーム」
プログラム当日、スタート時は、参加者の方々はまだ緊張しています。そこで、実際の作品を鑑賞する前に頭と心のウォーミングアップをするため、シンプルな形でさまざまな素材を組み合わせて小さな立体を作るゲームから始めます。完成したら参加者みんなでそれぞれの作品を、360°さまざまな角度から見合います。 ”いろいろな方向から見る”立体作品の楽しみ方を練習するとともに、緊張がほぐれて安心して発言できる場の雰囲気が生まれます。
(4)対象者
世代を超えてより幅広い鑑賞となるように“子どもと大人の視点の違いを味わってほしい”という考えから、幅広い年齢層を対象にした場づくりと時間配分を想定しました。そのため小学校低学年の子どもでも参加しやすいプログラムの所要時間を検討し、内容を精査しました。
2日間に分け、小学生以上を対象にそれぞれ約15名の定員で参加者を募集してプログラムを行いました。
(1)実施概要
2024年10月5日(土)、13日(日) 14:00〜15:30
(2)鑑賞会の流れ
⚫︎小さな立体を作るゲーム
まず室内で小さな立体を作るゲームを行います。アートスタディールームでグループに分かれ、それぞれのテーブルに置かれた立体物を3つ選びます。そして木材や石などさまざまな素材でできた立方体、球、円柱などを組み合わせてその人なりの“立体作品”を作ります。参加者の緊張をほぐすために、スタート時には気軽な「ゲーム」として紹介し、それぞれの立体が完成してからそれを「作品」と呼ぶことで、参加者に自然と鑑賞の意識が芽生えるように、細かな言葉使いにも注意しました。最初は緊張していた参加者の方々も、どの素材のどんな立体物を使おうか考えているうちに笑顔が出てきました。楽しみながら素材を選び、絶妙にバランスをとって積み上げようとしたり、横に並べたり、組み上がったものも逆さにしたり裏から見たり。色々な工夫を楽しんでいる様子が見られました。
完成したら、他の参加者のものを鑑賞します。同じ素材を使ったのに個々に異なる“立体作品”ができており、他の人から見た印象と制作者の作った意図が異なることに驚いたり、面白く思ったり。印象が変わったり、影も作品の一部だと気づいたり。「なるほど」「へえ~」「そう見えるんだ」などのつぶやきも出てきました。自ら選んだ素材の理由を説明しながら、自分の意図にあらためて気付いたりして、好奇心いっぱいの笑顔があふれる場となりました。「小さな立体を作るゲーム」を通して、たった3つの立体物を組み合わせるだけで多様な連想がうまれることを楽しみ、また360°さまざまな角度から観ることで新しい発見が生まれることにも気がついたところで、いよいよ野外彫刻の鑑賞へと向かいます。

同じ立体を反対方向からみてみると・・・。




⚫︎野外彫刻の鑑賞
その後、みんなで外に出て、散歩しながら野外彫刻の鑑賞を行います。今回実施した2日間は、あいにくの雨に見舞われた日と晴天の日で、それぞれまったく違う鑑賞体験となりました。散歩のように自然や建物を眺め歩くこと自体を楽しみながら、野外彫刻を観察し、対話を交えた鑑賞に入っていきます。とびラーが厳選した2作品を囲んでじっくり鑑賞しました。雨の日は、野外彫刻の表面に光る水滴や雨音、湿った匂いを楽しむことができました。雨の中で連想した野外彫刻の気持ちなど、様々な発想を共有できました。また、晴れの日には、反射する光のまぶしさや映り込む色の違いなどから、参加者同士の会話が止まらなくなるほど。反射した光が、四方に伸びていくようでありながら途中で角度を変えている様子を見て「人生のようだ」とつぶやく方もいらっしゃいました。彫刻に反射する光を人生の道筋に見立てていらっしゃるようでした。
素材が金属の彫刻は、晴れた日には青空や草花の緑、タイルの茶色が映り込みますが、曇りや雨の日はグレー一色で、見え方が全く異なります。雨の日には、《イロハ》の表面には水が溜まったり、《堰》は雨水の流れる音を見聞きすることもあります。 参加者同士の多様な発想を互いに楽しみながら、笑顔で活発な会話がつづく鑑賞をすることができました。


《イロハニホヘトチリヌルヲワカヨタレソツネ・・・・・・ン》(最上壽之、1979年)を鑑賞する参加者ととびラーたち。


《三つの立方体 A》(堀内正和、1978年)を鑑賞する参加者ととびラーたち。

《三本の直方体 B》(堀内正和、1978年)
(3)参加者同士の鑑賞体験のふりかえり
鑑賞を終えて、アートスタディルームに戻り、チームごとに鑑賞内容を共有しました。参加者の方々は笑顔いっぱいで、充実した鑑賞時間だったことが伝わってきました。これまではあまり気づかなかった野外彫刻の鑑賞が実はとても楽しいものだったと、新たな発見を嬉しそうに共有してくださる声が多く聞かれました。ご夫婦で参加された方は、お互いの発想が新鮮だったようで、鑑賞後もひとしきり会話がはずんでいらっしゃいました。
雨の日の鑑賞について参加者の方々がどう感じられたのか、とびラーたちは少し心配をしていましたが、「雨の日ならではの鑑賞ができて、楽しかった」「逆に貴重な体験だった」と、ポジティブに楽しんでいただけた様子で、参加者の方々に笑顔をいただけてほっとしました。天候に左右されてしまう屋外での活動ですが、天候の心配を抱えながらも今回の野外彫刻ラボを敢行して良かったと嬉しい気持ちになりました。

(4) 鑑賞後の参加者の感想 (アンケートから抜粋)
・東京都美術館には何度も来ているのに、こんなに彫刻があると気づかなかった。
・他の人と一緒に鑑賞して、そういう見方もあるのかと知り、面白かった。どんな見方をしてもいいのだと思った。
・自分から出ることのない視点や意見を聞くことができ、新鮮に感じた。
・他の参加者の方、とびラーの方との交流から、凝り固まっていた考えや視点が一気に解放されたような気がした。
・鑑賞とは個人的なものだと思っていたので、他の人の意見を伺うのは新鮮だった。
・“じっくり見る”、“他の人の見方を「きく」”は、対人間にも応用できること。あらゆる立場、年齢の方に参加してもらったら、社会がいい方向へ向かうのではないかと思った。
・「小さな立体を作るゲームは、わずか1分ほどで誰でも選べる素材でも、何かしらの作品としてのストーリー性や達成感が得られた。これは簡単なことではなく、素材選びや形が非常によく考えられていた。
【雨の日ならではの感想】
・雨の日に屋外で美術作品を鑑賞できることは滅多にないので、特別感があった。
・天気による(野外彫刻の)素材の変化を見ることができた。
・排水溝に流れる水の音が、水琴窟のようで良い音色だった。
計画段階で目標としていた、「さまざまな年代の人が参加することにより生まれる視点の違いを楽しむ」「作品だけでなく屋外の環境全体で味わう」、そして「野外彫刻の楽しみ方を体験し、野外彫刻への関心を高める」という狙いは、しっかり達成されたように感じます。
(1)とびラーの感想
長きに渡る準備を経てついに迎えた本番当日。美術館の清掃スタッフさんがプログラム実施場所でもある東門付近で、蜘蛛の巣を取り払ったり銀杏の実を掃き集めたり、念入りに清掃してくださっている様子を目にしたメンバーは、感謝と晴れやかな気持ちでスタートを切ることができたといいます。屋外で活動し周りに向ける視野を持つと、この美術鑑賞の場は、作品だけの力だけではなく実にたくさんの人の手で作られ運営されていることに気付かされます。そうやってみると、自然の中、土の上に置かれた作品1つを取っても、見せ方が計算されていて、そしていろいろな方向から時間をかけてじっくり観察する意義を感じられるし、それを多くの人と共有したいと考えた今回の試みは意義深いものなのだと背中を押された気持ちです。とびラーが企画運営するプログラムも、美術館やとびらプロジェクトの関係者、参加してくださる一般の方、そしてとびラーの仲間たち、多くの人との関わり合いの上に成り立っていることを感じ、この時間をより深く学びと味わいのある機会にしたいと感じました。
参加したとびラーからは、「野外彫刻は館内の美術作品とは扱い方も見せ方も見方もまるで違う。自然や天気もそうだが、もっと周りの虫や花や太陽も、空間にあるあらゆるものが作品の一部、鑑賞の対象、心を豊かにする要素なのだと感じることができた。」「自分がモノを見ている位置を変えただけで、見えるものが変わること。自分の世界が広がっていくことに気づいた時のわくわく感。心を広げ視野の解像度が上がっていく満足感を知った。」という感想が聞かれました。
(2) 企画、ファシリテーターとしてのふりかえり・改善点
私たちは、野外彫刻を鑑賞するラボが今後も、形を変え発展しながら続いていくといいなと考えています。そのためにも改善点をはっきりさせ、次の「野外彫刻ラボ」をより充実させるべく、参加メンバーでふりかえりのミーティングを開きました。
他の鑑賞者の妨げにならないように、散歩型鑑賞のコース取りや鑑賞時の声かけ、また対話中の声量など引き続き配慮が必要だと感じました。また、秋に入っているとはいえ長時間の屋外活動では、熱中症や害虫対策については、今後も注意が必要です。雨天の活動では傘が登場するため、美術館内には持ち込めない傘を傘立てから出したり入れたりをスムーズに誘導する算段も必要です。
執筆者:13期とびラー 藤原裕子
それまでは全く意識していなかった野外彫刻だったのに、鑑賞体験の日に「目からウロコ」体験をしました。それからは興味関心がむくむくと湧き上がってきて、その味わい深い魅力的な世界を楽しんでいます。関心をもって調べるほど新しい発見が湧き上がってきて、世界がどんどん楽しく豊かになっていきました(進行中)。そんな素敵な体験をひとりでも多くの方と共有できたら嬉しいな。
2024.08.30
◆ミーハー建築ラボとは?
・建築って「楽しい」と思う気持ちをみんなで紐解きながら共有したい。
・好きなまちや建物をみんなで共有したい。その建物が持つ空気感・記憶・まちでの存在などについて語り合いたい。デザイン・資材・構造はもちろん重要だけど、まずは自分が感じたことや発見したことを大事にしたい。
・大規模建築公開イベント「東京建築祭」に向け、建物の情報も共有したい。
このラボは、そういった「知識量に囚われず、難しく考えず、まずは気軽に(=ミーハーに)建築を楽しんでみよう」という立ち上げ者の想いから始まりました。
◆集まったとびラー
「自分が建築が好きなのかはわからない」と感じていた私も、元々まちあるきは好き。歩いて楽しいまちには必ず、いいなと思える建物がある。「建物が持つ空気感・記憶・まちでの存在」といったワードに惹かれてラボに参加しました。
他にも、既に建築をみる楽しさに気づいて方々巡っている人、階段など特定のジャンルやパーツに偏愛のある人、東京建築祭を楽しみたい人。そして、まちあるきをする回に興味を持って飛び入りで参加した人。建築・まちに対して様々な興味、「好き」や「楽しみたい」気持ちを持ったとびラーが集まりました。
◆活動内容
2024年4月~8月にかけて全6回とびラボを開催しました。
ここでは主に「キックオフ」回と、そこからつながる「まちあるき」回に絞って紹介します。
◆キックオフ
まずはこのとびラボに参加したいと思った理由や想いを一人ずつ話し、みんなで共有しました。
・建築・建築家には特段の興味がなくても、なんだか気になる建物やまちの風景がある。
・見ていて落ち着いたり、好きだと思う建物や場所がある。
・そして、そこには生まれ育ったまちや、祖父母の仕事や昔遊びに行った家の記憶、様々な原体験があることに大人になってから気づいた。
こういった話から、互いに好きな建物やまちを記憶と共に共有し、風景を思い浮かべ、心地良い時間を過ごしました。
◆まちあるき(谷中編)
次は実際にとびラボを進めていく中で話が出たまちに行ってみよう!ということで、地図を片手に上野公園に隣接したまち「谷中」でまちあるきをしました。
谷中の住民ということで、この時は私が紹介したい場所・建物や巡り方を初めて考えてみることに。普段「いいな」と感じる風景や、誰かの想いによってリノベーションされ今も活用されている古い建物を巡ってみる案にしました。ただ、そもそも歴史的に著名な建築家が建てた建物があるわけではない、住宅街にある寺町エリアの一画のため、果たしてみんなが楽しめるのか、出発するまでは不安の方が大きい状態でした。
実際にまちに出てみると、その不安は5分でなくなりました。瓦屋根や梁から感じる日本文化。民家の玄関先や路地、お寺の境内の手入れされたお花や緑。住む人の気配が濃厚な温かいまちなみ。みんなで歩いてみると、目指す場所に向かう道すがら、私は当たり前に感じて見過ごしていたものにもたくさんの良さがあることがわかりました。
また、偶然出会い、快く境内に招き入れてくれたご住職からは、お庭の様々な植物のお話を聞くことができました。
*昭和13年築の三軒家を再生活用した店舗と工房の複合施設。
*保存活動もあり守られている谷中のシンボル、ヒマラヤ杉(左)
このまちあるきでは、発見するものや興味を持つもの、そこから感じることは人それぞれだと知ることができる新鮮さがありました。そして建物だけではなく、植物や文化、それらを通じたコミュニケーションは楽しいと思えたことが印象に残る回でした。
その後のとびラボでは、東京建築祭に向け、まずは建築祭がどういったものか、昨年「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪(イケフェス大阪)」に参加したメンバーから体験談を聞きました。
建物をみるだけではなく、まちの人の想いを知ったり、行った先での出会いの大切さを改めて認識したり、色々な楽しみ方を共有しました。
◆まちあるき(東京建築祭編)
いよいよ東京建築祭。神田・京橋・築地・銀座の周辺に絞り、神田の丸石ビルディングからスタートしてまちを歩きました。
*建築祭では普段入ることのできない建物内部が見学可能です。今回は、混雑のため外観を見るだけに。
建築祭に参加している中からお目当ての建築をいくつか選び、そこを目指して自分たちで組み立てたルートを巡りました。でも一番印象的だったのは、みんなでまちを歩くと、お目当てだった建築以外にも、通りすがりに各々目に留まる建物がたくさんあることでした。
一例を挙げると、洋風な看板建築の外観が気になり思わず足を止めた日本橋本町の建物(日本橋旧テーラー堀屋)や、グラデーションがきれいなタイルが目を惹く中央区立常盤小学校別館など。また、窓にあしらわれたガラスブロックに惹かれ立ち寄った神田のビルでは、ちょうど立ち話していたまちの方々と、ビルの話をきっかけにおしゃべりをしました。
*看板建築の2階窓の両側の意匠が気になり鑑賞。(左)タイルに興味をもち撮影。(右)
*路地裏に入ってみると都会の小学校ならではの景色に遭遇。復興小学校らしいレトロな常磐小学校の窓(左)
他にも、建築祭には参加していないけれどメンバーが好きなレトロビルに立ち寄ったりもしました。とにかく難しい事は考えずに、興味を持ったところにはまずは寄ってみて観察するところから始まり、そこから建築・まちを楽しんだ1日でした。
後日実施したふりかえりの場では、撮った写真を共有することで建物の細部を鑑賞する楽しさや、同じ建物を見ていても視点は人それぞれだと知ることができる楽しさがありました。また、気になった建物について調べてみることで、その建物にまつわる人々の想いも知ることができました。
◆ラボに参加したとびラーの声(抜粋)
これらの活動を通じ、参加したとびラーからは次のような声がありました。
・建物とまちがつながり、さらに人がつながった。
・今では、何でもないまちも好きになった。
・建物の細部を意識してみるようになった。
・「みる」に「誰かの経験・思い出・思い入れ」が加わり、丸ごと味わえるのが良い。
・みんなでみると、発見があり、感動のシェアができる。まちと建物を自分と違う視点から見直すことができる。
・自分がこれまで見ていた景色も違ってみえてくる。
*漠然と思っていた「イイね!」が、全体のふりかえりで言語化でき笑顔。
最初にまちあるきをした谷中は私が生まれ育った地元でもありますが、普段5分もかからず通り過ぎるだけの道を、みんなが色々発見して倍以上の時間をかけて味わう姿がすごく印象的でした。そして様々な視点を知れたおかげで、自分がこのまちが落ち着く理由や「いいな」と思う理由にも気づかせてもらえました。
「建物はモノではなく、その建物があるまち、そこに関わる人々の想いや記憶とつながっている」、「建物を介して他者との視点の違いを知ることができたり、誰かとコミュニケーションするのは楽しい」。みんなでミーハーに楽しむことから始めたら、最後には、そんな気づきを得られるとびラボになりました。
執筆:馬場 里美(12期とびラー):
普段は不動産賃貸・管理業に携わっています。とびラー活動を通じて、近すぎて当たり前に感じていた上野公園のよさにも改めて気づくことができました。
構成:染谷 都染谷 都(12期とびラー):
ラジオ番組制作ディレクター。藝大の森お世話隊でボランティア活動中。このとびラボを経てまちあるき、建築を通してのコミュニケーションを考えるきっかけに。とびらプロジェクトのこれからゼミ「『アート・コミュニケータの建築鑑賞まちあるき』を考える」「上野の森と建築を考える」の活動へつながった想いをさらに広げていきたいです。
2024.06.22
■はじめに
とびラー11期の小野関です。
とびラーとして色々な人と関わり、様々な活動に参加する中で、コミュニケーションが発生する場面や仕組みに興味が向きました。
まさか体操を作ることになるとは思ってもみませんでしたが、丸1年に及んだこのとびラボの歩みをご紹介します。
・
数あるとびラボの中では、異色なラボだったかもしれません。
アートスタディルームで汗をかくまで運動している姿は、他のとびラーたちの目にはどう映っていたでしょうか。
まずはこのラボで制作した「とびラ体操」をご覧ください。
■体操はコミュニケーションツール
2023年の6月にとびラーの交流会が行なわれました。
2年目、3年目となるとびラーが、4月から加わった新しいとびラーを迎えるためにいろいろな企画を準備し、交流を楽しむ場となりました。
その企画の中の1つに、ラジオ体操がありました。
交流会の当日は、12期とびラーにとって全6回の基礎講座の最終日であり、受講で疲れた頭と体を癒して、リラックスしてもらおうという気持ちから出たアイデアでした。
日本で育ったほとんどの人はラジオ体操を知っています。
様々な背景を持つ人の集まりであるとびラーが、同じ時間を過ごすことのできるグッドアイデアだと感心しました。
交流会で実施した際には、「気持ちいいね!」「こんなに長かったっけ?」など、会話が広がっていく様子を見ることができ、コミュニケーションツールとしての体操の持つ力に興味をもちました。
少し調べてみたところ、体操を体力向上や健康増進だけでなく、コミュニケーションツールとして活用している地域や学校もあると知りました。
また、ラジオ体操以外にも、「〇〇体操」というコンテンツはたくさん作られています。純粋に運動するためのものや好きなものを身体で表現しているもの、本格的なものからシュールなものまで様々ですが、そのどれにも共通して感じられたのは、「みんなで一緒にやろう!」という気持ちです。
体操がコミュニケーションのきっかけになるのであれば、とびラーとかけ合わせたらきっと面白くなるのではないか?
どんなものができるかはまったくわからないけれど、これを作っていくプロセスはきっと楽しいだろう、という予感はありました。
■「この指とまれ[i]」の想い
交流会から数週間後に、「この指とまれ」をする想いを文章にして、とびラー専用掲示板に投稿しました。その時に書いていたのが以下の文章です。
10期・11期・12期とびラー交流会の準備から本番まで、何度かラジオ体操を踊りました。毎回みんなが楽しそうだったのが印象的でした。やり方は少しずつ違っても、同じ動きをすることってコミュニケーションツールなんだと思いました。
だから、都美を題材にしたオリジナルの体操を作って、みんなで踊ればきっと楽しい。そして作る過程では、題材のことをよく見たり、表現方法を考えたりするのがきっと楽しい。
これは鑑賞→表現→コミュニケーションの連鎖を感じられるものになりそうな気がする。とびラーもスタッフさんも学芸員さんも守衛さんもみんなで踊りましょう!
「体操」の動詞は「踊る」で合ってるのかな?と悩んだことを思い出します。(たぶんですが、「体操」の動詞は「体操する」なんですよね…)
動機を一言にしてしまえば、「楽しそうだから」という一点のみだったのですが、それだけでは趣味の自主制作と変わりません。
そこで少しだけ自分たちに問いを向けて考える時間を持ちました。
・美術館で体操を作る意味があるのか?
・美術館で作られる体操とはどんなものか?
・とびラボでやる意味があるのか?
考えた結果、「この指とまれ」の掲示板の文中にある「鑑賞→表現→コミュニケーションの連鎖を感じられるものになりそうな気がする」というぼんやりとした考えが浮かびました。
全くもって抽象的なのですが、あとは集まったメンバーと一緒に考えながらやってみようと思っていました。
最後の一文は思い切って大風呂敷を広げましたが、半分は煽り文句のつもりで。でも半分は本気で、とびラーだけでなく美術館にいる色々な人とやってみたいと考えて書きました。
これは僕が感じているとびラボの面白いところで、他のコミュニティなら躊躇ってしまいそうな呼びかけでも、おもしろそう!やってみよう!と受け止めてもらえるのです。
結果よりも試行錯誤するプロセスや、その場で生まれた気持ちを大事にしたいという共通の想いがあり、明確なゴールが見えていなくても、同じ興味を持った人が能動的に集るのです。
そしてこのゆびとまにも、何人かのとびラーが集り、とびラボとしてスタートを切りました。
■想いの共有
ラボのキックオフミーティングでは、集まったメンバーに「このラボに参加しようと思った理由」「体操って何?」「どんな体操にしたいか?」「誰のための体操か?」などについてメンバーの考えや想いをきき合いました。
とびラボでは、折衷案を取るということではなく、みんなの興味や気持ちの重なる部分を確かめ合いながら目指す方向を探るようにミーティングが進みます。
一人ひとりの想いをじっくりときき、その人が何を大事にしているのかを理解しようとする力が働いているように感じられます。
素直な意見をその場に出せる雰囲気をみんなで作っている感覚です。
だから、ゴールのイメージがなくても、みんなでスタートすることができるのです。
■とびラーならではの題材とは何か?
次には、「体操で何を表現したいか」を話し合いました。
東京都美術館に親しんでもらうために、建築の特徴を表現するのはどうか?
より広くアートそのものに興味をもってもらうために、誰もが知っている有名な作品を表現するのはどうか?
上野という地域性を取り入れて、パンダや西郷像も入れてはどうか?
それぞれの想いから、色々なアイデアが出されました。
そして最初に取り組む対象として、普段からとびラーが親しんでいる、東京都美術館の野外彫刻作品[ii]を題材にしてみることにしました。
題材の模索中には、あるメンバーが現代美術家の高橋唐子(たかはしとうこ)さんが、静岡県立美術館の彫刻作品から着想を得て作られたという《ロダン体操》[iii]を発見し、共有してくれたことで、僕たちと同じようなこと(全然ちがう!と言われるかもしれませんが)を考えた先人がいたことに喜び、一方的につながりを感じました。
その後、ラボのミーティングを開く際には毎回《ロダン体操》で身体をほぐしてから始めるようになりました。
初めてアートスタディルームで音楽に合わせて《ロダン体操》をした時は周囲からの視線を感じ、どう思われているのだろう?と不安になりました。
しかしその後も毎回やっているうちに、見ていた人たちから「なんだかすごく楽しそうなことしてるね!」という声がたくさんきこえてくるようになりました。
■作品愛と体操らしさの両立
題材が決まってからは、まずは試しに表現してみようということで、彫刻の画像を見ながら体を動かしてみることにしました。
最初は僕だけが立って「こんな感じかな?」「これはどう見える?」と色々な動きを試していたのですが、次第に一人二人と立ち上がり「あの作品はこうだよね!」「こうのほうがいいんじゃない?」とアイデアを出し合うようになりました。
一度火がついてからの勢いはすごかったです。
掲示板に上げた文中で、「鑑賞→表現→コミュニケーションの連鎖」と書いているように、作品の観察にも時間を割くことを想定していたのですが、既にメンバーが見慣れている作品であったためか、次々と動きのアイデアが溢れてくる状態でした。
みんなそれぞれに作品への愛を持っていて、少しでもその作品らしさを表現したいという気持ちが表れていたように思います。
また、あまり気にしていなかった作品とは、改めて向き合う機会になれたのではないかと思います。
時に奇抜なアイデアに大笑いしながらも、気をつけたかったのは、止まったポーズで表すのではなく、動きの中で表すということ。
そして手先足先の小さな動きではなく、身体全体を使った大きな動きで表すということです。
メンバーの中には、地域の高齢者に体操の指導をしている方がおり、体操らしい身体の動かし方になるように相談しながら、作品らしさと体操らしさが融合する振り付けを考えていきました。
それぞれの彫刻を表す体操ができてからは、全体の構成を考えました。
前出の指導者の方も体操の専門家ではありませんので、あくまでも自分たちで考え、やってみて、身体のどこに負荷がかかっているか、同じような運動が続いていないかなどを確認しながら組み立てました。
いつも《ロダン体操》をしてから、振り付けや構成の試行錯誤を始めると、誰かが「休憩しよう」と言うまで動き続けていたので、気が付くとみんな汗を流してフラフラ。
自分も含め若者ではないことを感じざるを得ませんでした。
ラボの連絡をする掲示板の持ち物欄には、「スポーツドリンクとタオル」と書くようになっていました。
■自分たちのやり方でできた喜び
次は、考えた構成で音楽に合わせてみることにしました。
曲は、ラボのメンバーがフリーのBGMを見つけてきてくれましたので、それに合わせてみることにしました。
楽譜を書き起こすことができれば、もっと上手なやり方があったのかもしれません。
でもそれができなかった僕たちは、まず曲を聴いて、メロディーと尺に体操のタイミングが合うように、何度もやりながら回数や間隔を調整しました。
今思えば、なんとも不器用なやり方でしたね。
でもその時は、方法について議論しようという空気にはなりませんでした。
最初は全然合わなかったものが、ここのタイミングを速めて・・・ここを一拍空ければ・・・と微調整を繰り返すうちに少しずつ重なっていきました。
何度目だったかわかりませんが、曲の終わりと深呼吸で息を吐くタイミングが噛み合った時は、「おー!」という感動の声が上がりました。
きっとベストな方法ではないと気付いていながらも、その時自分たちにできるやり方で前進し、最後にはこれでもできたと喜び合うことができた。
まるで未開の登山ルートを切り拓いたような爽快感がありました。(登山はしたことないですが。)
■見える化で広がった安心感
さて、音楽に合わせることができたので、次の回では、自分たちが練習する時のお手本とするための動画を撮影することにしました。
しかし、改めてやってみるとまた曲と体操がズレてしまっています。
前回90分間をフルに使って微調整を繰り返し、やっと合わせられたものだったので、さすがに気持ちが萎えかけました。
再現性を高めるにはどうしたらよいだろう?と悩みましたが、このあたりからラボに参加してくれたメンバーの一人が、動き方や拍数をイラストに描き出してくれたのです。
それがこちらです。
みんなが頭と身体で覚えていたことを見えるかたちにしてもらえたことで、メンバー内に安心感が広がりました。
書き残す、可視化するというのは基本的なことですが、そんなことも忘れて突っ走ってきていたのだなと気付かされました。
このイラストを印刷した紙をカメラの横に貼り、動画の撮影を行ないました。
■隠せぬ疲労感も味になった?
イラストを見ながらの体操を撮影し、全体の流れが確認できる動画ができました。
この後は数日間の自主練習を経て、完成版としての動画の撮影に挑みます。
数日後の撮影当日。
朝からメンバーを入れ替えながら少しずつ撮影を行ない、なんとか夕方までに撮り切ることができました。
ただ、若者でない僕たちにはさすがにハードスケジュールだったようで…
完成した動画の中でも疲労の色が隠せず、足元がフラフラだったり無表情だったりしていますが、それはもうこの動画の味として笑ってください。
初夏にゆびとまをし、この頃は次の春がもう目の前でした。
10期とびラーの開扉の日が迫っていて、現役中に完成させることは難しいだろうということは分かっていました。
それでもラボに参加してくれて、「頑張って完成させてね」と言ってもらったことは、その後のモチベーションになりました。
■どこまでも自分たち流を楽しんだ
映像の次はナレーションと字幕です。
これも専門のコピーライターがいるわけではありませんので、自分たちで考えます。
この時はNHKのラジオ体操のナレーションを研究し、たたき台となるものを作ってきてくれたメンバーがいました。
本当にメンバーの能動性、主体性にはいつも感心させられます。
彫刻作品を表現する体操であるため、作品の形状の部分に言及するのか、体操としての効果の部分に言及するのか、色々な角度から言いまわしを検討しました。
実際に作ってみると、考えることがたくさんあるということに気付けたこともこのラボの収穫です。
時には遊び心も入れて、自分たちの納得のいくかたちに仕上げました。
音声の収録はアートスタディルームの脇にある小部屋に籠って行ないました。
録音機材はiPhoneのみ。
とても音響の専門家には見せられない環境ですが、少しでも外の音が入ってしまわないようにホワイトボードを衝立の代わりにしたりして工夫しました。
■ゴールのかたちも自分たち次第
映像と音声の素材が揃いましたので、最後の作業は編集です。
当然、動画編集の専門家はいません。
しかし、少しだけ経験のあるメンバーが手を上げてくれました。
こればかりはみんなでできる作業ではないので、自宅で作業してもらうことになります。
動画編集は時間のかかる作業です。
映像を切り貼りするだけでなく、画面の構成をデザインしたり、字幕の固有名詞の表記を確認したりすることも必要です。
にもかかわらず、家庭での時間を割いて作業してくれました。
また、動画の冒頭にタイトル画像も入れようという提案があり、これはデザインの心得のあるメンバーが自宅作業を引き受けてくれました。
もし編集ができなければ、音楽に合わせて体操するところをノーカットで撮影し、同時にナレーションも録音するという、考えるだけでも気が遠くなるようなことをやろうとしていたかもしれません。
あるいは、動画は諦めて紙芝居のようなものを作っていたかもしれません。
それでも悪くはないのですが、「みんなで一緒にやろう!」という気持ちを体現するかたちとしては、やはり動画がベストだったと思います。
■プロセスを重ねたことへの達成感
6月。昨年の交流会でのラジオ体操からほぼ1年が経ちました。
編集された動画をアートスタディルームで試写し、最後に字幕の文字校正をして、「とびラ体操」の動画は完成しました。
ゴールのかたちも含めて、集まったメンバーと一緒に考えて進めていくプロセスの中で起こること、それを楽しむことがこのラボの目的でした。
ここまで書いてきたように、動画というかたちになるまでは色々な試行錯誤がありました。
誰も専門家がいない中で、みんなで意見を出し合い、1つの制作物を完成させられたことは、まさに「この指とまれ式」と「そこに居る人が全て式」で進めてきたプロセスの集大成になったと思っています。
何よりもこのプロセスを重ねて来られたことに達成感があります。
そしてこのブログを読み、動画を見てくれた人にも、僕たちが経験してきたことの一端を感じてもらえたら嬉しいです。
■‘24の交流会での実演
動画の試写には、たまたまその日居合わせたプロジェクトマネージャの小牟田さんも同席してくれました。
そして動画を見終わった時に、「今年の交流会でやったら?」と仰いました。
思わぬ一言に「え?いいの?」という感じでした。
というのも、みんなで頑張って作ったものなので、どこかで実演して、他のとびラーにも一緒にやってもらいたいという気持ちはありつつも、そのためだけに他のとびラーに集まってもらうのは自己満足のようになってしまう気がしていました。
そしてなにより、コミュニケーションツールとして制作した以上は、その用途に合った場面で使いたいという想いがありました。
ちょうどよい機会はないだろうか?と考えていたところでしたが、その機会を見出せず、またいつかチャンスがあれば・・・ということで終わりにしようと考えていたところでの小牟田さんからの一言でした。
早速、その場にいたメンバーで、交流会で実演するための設計を考えました。
「とびラ体操」を見たことのない人にも一緒に体操をしてもらうためには、このラボに関わってくれたとびラーに見本になってもらう必要があります。
会場内のどこにメンバーを配置すれば効果的かを考えると、あと二人ほど見本となれる人が欲しい。
こういう時僕は、どうしようかなぁ…と悩み始めてしまうのですが、行動の早い他のメンバーは思い当たるとびラーに早々に声を掛け、協力をお願いしていました。
しかも協力をお願いした二人とも二つ返事でOKしてくれました。
交流会までは2週間ほど。
短期間で体操を覚えてみんなの前で実演してほしい、というなかなかハードルの高い要求だったと思うのですが、快諾してくれて本当に助かりましたし、このタイミングでラボに関わるとびラーが増えて、大団円への勢いが増した気がしました。
また、とびラーの中には、きこえない人、きこえにくい人、見えない人もいます。
そういう人たちにも一緒に体操してもらうためには、どうしたらよいか?も考え、できる限りのアイデアで進行台本をまとめました。
交流会当日。
「とびラ体操」でたくさんのとびラーが前後左右に揺れている光景は壮観でした。
一年前のラジオ体操はみんなが知っているもの。
今年のとびラ体操はほとんどの人は初めて見るもの。
どうなることかと不安もありましたが、みんなが映像と実演を見ながら楽しそうにやってくれて、忘れられない景色になりました。
動画に出演しているとびラーも動画内の表情とは打って変わって笑顔満開でした。
■最後に
この「とびラ体操を作りたい!」は、ほぼ月に一度のペースで、丸一年続けました。思わぬ長丁場となりましたが、支えられたのは、ラボに参加してくれたとびラーの熱量と、見守り、声をかけてくれたとびラーやスタッフさんの応援だったと思っています。
参加してくれたとびラーの熱量の高さには毎回驚かされました。
いつも集まる度に「さあ、今日もやろう!」というエネルギーに満ちていて、みんなでサポートし合いながらラボを前進させてくれました。
最初からずっと参加してくれたとびラーはもちろん、途中から入ってくれた人も、戻ってきた人も、みんなそれぞれに存在感を発揮してくれました。
そして、ラボに参加していないとびラーたちからもたくさん声をかけてもらえたのは、このラボの特徴だったのではないかと思います。
ラボを行なった後に活動報告のホワイトボード[iv]を公開すると、「ホワイトボードを見るだけでも楽しい」「時間が合えばいつか参加したい」などのコメントをもらいました。
興味を持ってもらえることが、ラボに参加するとびラーの熱量をさらに高めたように思います。
最後にもう一度書きますが、「とびラ体操」はコミュニケーションツールのつもりで制作しました。
世の中にある「〇〇体操」の1つとして、どこかで使えるチャンスがあれば、どんどん使ってほしいと思います。
そして、人や場所や時間に合わせてどんどんカスタマイズしてほしいと思います。
《ロダン体操》につながりを感じた僕たちのように、どこかの誰かに東京都美術館と、そしてとびラーとのつながりを感じてもらえたら・・・
「とびラ体操」がどこかで活躍してくれることを期待して、「とびラ体操を作りたい!」ラボは解散いたします。
みんな!やったね!ありがとう!
たくさんのとびラボに参加し、たくさんのとびラーと関わらせてもらいました。「この指とまれ式」と「そこにいる人が全て式」から生まれるものには、関わった人たちの体温を感じます。毎回、内容も顔ぶれも変わりますが、1つの気持ちをみんなで育てていく感じは、何回やっても飽きません。
[i] 「この指とまれ式」でとびラボを始める時の合言葉
[ii] 東京都美術館にある彫刻作品 https://www.tobikan.jp/archives/collection.html
[iii] ロダン体操 https://spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/rodin/gym/
[iv] とびラボなどの活動内容を共有し合う、とびラー専用の掲示板
2024.03.30
執筆者:小野関亮吉

東京都美術館の正面入り口エスプラナードにある、大きな銀色の球体。シンボルのような存在のこの彫刻は、井上武吉の《my sky hole 85-2 光と影》(マイスカイホール)という作品です。とびラーの多くは、この作品への愛着を込めて「マイスカ」と呼んでいます。
大きな球体は全体が鏡面になっていて、上から下へ、斜めに貫通する穴が開いています。マイスカの前に立つと、自分や建物を映してみたり、穴をのぞき込もうとしてみたりと、何かしらのアクションを起こしてしまう、魅力あふれる作品です。
この作品は、ステンレス製の球体と鉄製の台座で構成されています。2つのパーツの関係をよく見てみると、台座の形が球体の影のように見えると気付かれる方が多いのではないでしょうか。素材の質感から見ても、全方位に光を反射するピカピカの球体と錆びた赤茶色の台座のコントラストが、まさに「光と影」を感じさせます。
球体部分があまりにも目を引くため、影部分はなかなか注目を浴びることがないかもしれません。私たち「太陽とマイスカととびラーで作るラボ」は、この影の部分に関心を寄せるとびラーが集まったとびラボです。
東京都美術館の作品紹介の動画<https://www.youtube.com/watch?v=1n0-t8jhEKk>でも語られているように、球体を貫く穴の角度は、作品の基本設計が行われた1984年12月8日正午の太陽光の角度となっていて、またこの日時に球体が作る影の形に沿って鉄の板でできた台座が付けられているとのことです。
台座が球体の影を表していることに、間違いは無いようです。
12月8日は作者である井上武吉の誕生日でもあることから、とびラーの間では、「作者の誕生日の正午に、球体の影が台座の形と一致するらしい・・・」と、まことしやかに囁かれていました。
しかし、実際に12月8日に影の形を観察してみても、影は台座の範囲を大きくはみ出し、一致することはありません。作品が制作された場所(一説によれば鎌倉の工房)と、現在の設置場所が異なるから重ならないのではないか?あるいは、制作されて以来の歳月の間に太陽高度が下がったのではないか?などと、さまざまな憶測が巡りました。
だとしたら、今の場所では、球体の影と台座の形はいつ一致するのだろうか?球体の影と台座がピッタリ重なる角度の太陽が出るその日を、私たちは検証し切れずにいましたが、ある日突然、1人の来館者の方からいただいた情報により実態が明らかになったのです。

その方(ここではTさんとさせていただきます)は、以前「とびラーによる建築ツアー」<https://www.tobikan.jp/learn/architecturaltour.html>に参加されました。その際に、当時のとびラーとの雑談の中で「作者の誕生日の正午に、球体の影が台座の形と一致するらしい」という噂を聞いたことを覚えており、実際に12月8日に来館して観察されたのだそうです。
そして影と台座が重なっていないことを確認しました。ではいつなら重なるのだろう?と興味を持ち、調査を始めることにしたそうです。Tさんは、マイスカの座標、球体の高さ、台座の長さなどのデータを揃えました。そして、台座と球体と太陽が一直線に並ぶ時の太陽方位、台座の先端を球体の影の頂点が通過する時の太陽高度、その両方が重なる日時を計算で割り出しました。
するとその日時は、「立冬」と「立春」であることを突き止めたのです。
僕たちがTさんの存在を知ったのは、「エスプラナードで会いましょう」<https://tobira-project.info/blog/20231216_esplanade_de_aimashow.html>というとびラボの準備をしている時でした。

2023年に実施した「エスプラナードで会いましょう」の様子。
たまたまお声がけしたとびラーがTさんのお話をうかがっていると、興味を持ったとびラーが集まりました。中にはメモを取るとびラーもいました。するとTさんは、後日この研究と観察の資料をとびらプロジェクト宛に送ってくださったのです。
そこには、作品の座標、採寸データ、太陽方位と太陽高度の数値が実に詳細に書かれていました。さらにそれだけでなく、球体の影が台座の形と一致した状態を含む、前後数日間の観察記録が、写真と共に記されていたのです。この資料さえあれば、今後は誰でも球体の影が台座の形と一致する日時を分単位で知ることができます。みんなで資料を回し見ながら、個人でここまで深く研究されている方がいるのかと驚きました。
Tさんが導き出した、台座と影が一致するタイミングが二十四節気の「立冬」と「立春」であるという事実から想像するに、作者の(あるいは作品の設置に関わった何者かの)何らかの意図を感じます。そしてそれを、観察によって解き明かしたTさんの情熱には敬服するばかりです。
Tさんの研究結果を提供していただいた以上は、とびラーとして、人と作品、人と人、人と場所をつなぐ活動に発展させたいと思いました。とびラボでは、一年に二度しか起こらないこの現象に合わせて何ができるのか、Tさんの資料の数々を目の前に広げやりたいことのアイデアを出し合いました。
自然が相手のため、天候次第では影が出ないこともあり得ます。それゆえに、一般の方を公募で事前に募集したりイベントとして広く告知したりするスタイルは不向きです。それよりも、ふらっと美術館に来てみたらなにやら人が集まっていて、聞けば今日は野外彫刻作品の台座と影の形が一致する日なのだと。思わずそこに居合わせた人たちと「へー」と盛り上がったよ。そんな風に、たまたま出会った人と人が作品を介してつながれる、このラボではそういう一時を作りたいという意見がでました。具体的にどのように実現できるのか、思案し続けています。
マイスカの影に注目したことで、私たちは、エスプラナードで見られる他の野外彫刻作品や建物、自然が生み出す様々な形の影の美しさにも気づきました。
4棟が立ち並ぶ公募棟の四角い壁面には、巨大な三角形の影ができます。反対側に位置する企画棟からは、その前を人々の影が行き交い、なんともドラマチックな光景を見ることができます。無意識に明るいところに目が行ってしまうのが人間の性かもしれませんが、影に注目することでトリックアートや切り絵を見ているような感覚になります。世界の裏側に入ったようなこの不思議な感覚を、みなさんにもぜひ味わってみてほしいです。


台座と影の形が重なるその日時が近くなると、このとびラボに参加したとびラーを中心に誘い合って、マイスカの前に集まっています。そして来館者の方も何人か興味を持ってくれて、一緒に鑑賞することもできました。今のところこのとびラボでできたことは、作品にできた影を他の人と一緒に鑑賞した、作品だけでなく影の形や現象が面白いことを誰かと共有しただけです。でも少なくともとびラーの中では、徐々にこれらのことに興味を持つ人が増えてきているように感じています。
この野外彫刻と影の観察の面白さが他の来館者の方にも知れ渡り、特に「立冬」と「立春」にたくさんの人が集まり、マイスカの影と台座が重なる瞬間に歓声が起こるような景色が見られたらいいなと思います。その時は、その場にコミュニケーションの輪が広がるような何かができるといいですね。例えばハイタッチでもいいし、例えばご来光を迎えた時のようにみんなで合掌したりするのも面白そうです。
そして、マイスカの影には実はもう一つ面白い仕組みがあることも、Tさんが教えてくれました。
「立冬」と「立春」を挟むある時期(おおよそ11月上旬から2月上旬まで)には、マイスカを貫通する穴を通り抜けた光が台座の上で様々な形に変容します。台座の中央に光が集まった時は、驚くほど強い光の塊を見ることができます。

光を受けた立体、その影、さらに影の中の光。マイスカは動きませんが、太陽の光を身に受けることで、季節や光などの常に動いているものの方を見せてくれる、マイスカはそんな作品でもあるのだと知ることができました。この1作品だけでも年間通して観察する面白さがあることを、Tさんの活動から教わりました。
これを読んでいただいた方が東京都美術館に来られた時、マイスカの周りをぐるりと回って影に思いを馳せていると、どこからか現れたとびラーと出会うかもしれません。その時は、太陽とマイスカととびラーとみなさんで、その一時を楽しみましょう。

執筆者:11期とびラー 小野関亮吉
普段はゲームソフトの開発現場でプロジェクトマネージャーをしています。公私共に人と関わる機会が少なくなっていることを感じ、コミュニケーションが生まれる仕組みやコミュニティ作りに関心を持つようになりました。美術館は作品を鑑賞するだけでなく、誰かかと出会える場所であることを伝えていきたいです。
2024.03.28
『とびdeラヂオぶ~☆』はとびラボです。
活動期間:2023年7月~2024年3月
頻度 :月に1~2回
■「とびLOVE#1」のゲスト・スタッフ越川さんととびラーで試聴する様子
■趣旨 美術館に興味のない人や足を運んだことのない人のきっかけをつくりたい。
( “すべての人に開かれた「アートへの入口」”に足をかけてほしい!)
■ラジオをツールとしたのはなぜ?
このとびラボは、「とびラーのなかでラジオをきく人が思っていたよりたくさんいたので、『ラジオとアートコミュニケーションをテーマに話してみたい』」というラジオの仕事に携わっているとびラーの思いがきっかけとなり始まりました。話していくなかで、ラジオは話し手と聞き手が1対1でつながるメディアであること。その強みを生かしラジオを通して 「東京都美術館の魅力を知ってもらいたい!」「東京都美術館に関わる様々な人の話や推しポイントを我々メンバーがききたい!知りたい!」ということになりました。
■これまでのラボの流れ

▼なりきり期…集まったメンバーで自身がラジオDJになったつもりで、好きな音楽を選曲し自己紹介。
また、ある日のラボでは「マティス展」が開催中だったので、マティスの作品をイメージして各々音楽を選曲してみました。そのようにしてみたことで、音楽とアートという組み合わせでできることについて話が膨らみました。
▼迷走期…ラジオを介してしたいこととは?となったとき「東京都美術館のミッションに立ち返ろう」「興味のある人は自ら情報を取得するけど、そうでもない人たちにも知ってもらうきっかけをつくりたい」「中高生の放送部と一緒になにかできないか?」など、思いばかりがどんどん膨らみ迷走してしまったのでスタッフに相談したところ、結局わたしたちは「ラジオ番組が作りたいんだ!」という明快な答えにたどり着きました。とはいえ、ラジオ番組を制作したことがないメンバーがほとんどだったので、どのような形で実現できるのか、録音や進行も試しながら、まずはとびラー同士で聞けるような番組を制作してみようということになりました。今回の企画の内容は①美術館に関わる様々な人(警備員さん、ショップ店員さん、来館者など)の話を聞きたい。②とびラー内コミュニケーションの活性に役立てたい。この点に関しては、約130人のとびラーそれぞれが様々な活動に取り組んでいるため、お互いが知り合うきっかけが意外と少ないと感じました。そこで、ラジオというメディアを通してとびラー同士がお互いを理解する機会を作りたい。そうすることで、とびラー同士のコミュニケーションがより活性化し、活動の幅が広がるのではないかと考えたのです。この思いを形にするべく始動しました。スタッフにも相談し、まずは身近なスタッフやとびラーに美術館についての話を聞くという、インタビュー番組の制作が決定しました。
▼制作実践期
方向性が決まり、さっそく「とびLOVE」というタイトルの番組制作にとりかかりました。この番組タイトルには、愛してやまない東京都美術館への思いを語ってほしい・聞きたいという意図をこめました。番組の長さは10分程度で、移動中やすきま時間に気軽に聞けるよう、また内容は、話してくれる人の人柄が少しでも伝わるものにしようと決めました。
制作過程…基本的にインタビュアーが話してみたい人に自ら依頼するところからスタートします。収録はハンドサイズのレコーダーを使用しました。ヘッドホンをつけて、音声がうまく録れているか音のバランスを確認しながらの作業です。初めての収録の時はドキドキでした。収録場所はとびラーの主な活動場所であるアートスタディルーム。初めのうちは部屋の静かな場所を選んでいましたが、進めていくにつれて同じ部屋でミーティングしている他のとびラーの声も番組のエッセンスとして収録するようになりました。
編集作業も、とびラーが担当。番組にはオープニングテーマやエンディングテーマもつけ、場面転換に使用する番組のタイトルを乗せた「ジングル」は、ギターを弾けるラボメンバーが作りました。また、番組タイトルをラボメンバーの子どもや、ゲスト出演者に言ってもらい、その声を乗せたバージョンのジングルも制作。様々な声が番組にいろどりを添えることになりました。出来上がった番組はラボメンバーで試聴し、カットしてもいい部分について話したりして最終的な番組の形に仕上げます。そして、とびラーには聞こえない・聞こえにくい仲間がいるので、文字でも番組の内容が楽しめる「文字版」を制作することにしました。番組の最終版が出来たところで文字起こしを行いそれをもとに文字版を制作します。文字版もラボメンバーで最終チェックをして完成です。完成した番組はダウンロードで聴取できるようデータをアップし、とびラー全員が聞けるようにお知らせをしました。
番組について…第2回目からはゲストにインタビューする人と、番組のオープニングとエンディングの案内役(ナビゲーター)を分けることにしました。そうすることでインタビュアーが変わっても番組の始まりと終わりをいつも同じ声でおとどけできるので番組自体の統一感がでました。また、全5回を通して共通していることはゲストの人となりが分かるインタビューだということです。いつも接しているスタッフがアートと関わることとなったきっかけや、とびラーがなぜとびらプロジェクトに応募しようと思ったのかについて触れることで、距離が縮まった感じがしたり、普通に接していただけでは触れられなかったかもしれない考えや思いを知ることができたりと毎回“驚きや感嘆、新しい発見”があるこのインタビューはとても個性豊かです。インタビュアー×ゲストの化学反応はもちろんですが、インタビュアーによって雰囲気が変わるのです。そして、録音に際しては、他のラボも開催中の部屋で協力してもらいながら実施。番組内でBGMのように様々な声が聞こえてくるのもとびラーの日常が感じられます。

文字版について…聞こえない・聞こえにくいとびラーとも番組の雰囲気や出演してくれたゲストについて共有したいという思いから、目でも楽しんでもらえるようにするため、ただの文字起こしではなく、収録時の様子を書き足したりしています。そうすることよって、聞こえるメンバーにも音だけでは伝わらない部分を伝える手段にもなりました。
番組を聴いたとびラーからの感想…番組ナビゲーターを担当したとびラーの口調のファンという人、「みんなの好きなことが集結してできている感じがいい」「(ゲストの)活動の様子や思いがきけてよかった」「文字版は、音だけでは伝わらなかったところまで知ることができる」などの声が寄せられています。聴いた・見た感想をきけるのもラボメンバー以外のとびラーが関心を寄せて支えてくれているからで、励みになっています。このやりとりがとびラー同士のコミュニケーションにもなっているはずです。
■『とびdeラヂオぶ~☆』は数多く存在するとびラボのなかのひとつのラボです。
我々とびラーが愛してやまないラブの対象・東京都美術館に来てみてほしい。そのきっかけになるようなことを発信したい!と思いつくままに意見を出し合い、膨らませ、想像してきました。たどり着いたのは、まずは身近な気になる仲間の美術館への思いを聞いてみようということでした。このラボを通してゲストの話をきけばきくほど、もっと他の人の話もききたい!という、ききたい欲が湧いてきました。
ラボメンバーからは「妄想から始まってだんだん具体的になって、これからどう発展するか楽しみ」「スタッフやとびラーの人となりをラジオを通してとびラー内に発信できたことで、親しみがわき接するときの心持ちが変化した」「番組を聴いて寄せられた感想を通して、出演してくれたとびラーだけでなく感想をくれたとびラーの人柄もわかった」「寄せてもらったメッセージからどんな思いで聴いてくれているのか想像をかきたてられ励みになった」という声があがっています。また、文字版については「全く予想していなかったが、その場の雰囲気まで伝えられるものになった」「聞こえない・聞こえにくいとびラーにも届けたいと考えて出来た文字版が、聞こえるとびラーにも音で伝わる以外の部分を感じてもらえることにつながった」「文字というのは形も音に通じるものがあると思う」「それぞれの人の持っている個性にあった文字があるように、番組らしいカラフルな文字版があると視覚的によりうまく伝わるのではないか」などの見解もでました。
番組も文字版もまだまだ可能性を秘めているとメンバー全員が感じているところですが、10期のとびラボメンバーが開扉するのを機にいったん解散。
スタッフ、とびラー仲間はもとより、その輪を広げて美術館に関わっている様々な人々に話をききたい。そして、知りたい、知らせたい。このラボを通して美術館と人とをつなげたい思いは広がっています。
・とびラブはつづく・・・。乞うご期待!!
執筆:

柴田 麻記(12期とびラー)

染谷 都(12期とびラー)
2024.03.27
【ラボ実施の経緯】
とびラー11期の菊地と、とびラー10期の金城。
11期と10期で期が異なる私たち。
複数のとびラボで一緒に取り組む過程を経て、個性が違う私たちで一緒にラボを行ってみようという話になりました。
ラボを行うなら自分達も楽しく取り組みたいという想いから、「アートと自分達が好きなもの・得意なことを掛け合わせてラボを行ってみよう」と2人で話し合いました。
金城は化粧が好き。
菊地は歴史が好き。
化粧の歴史から見るアートの世界は、今までの自分達の見方とは異なる視点から、アート鑑賞に膨らみと広がりを与えるきっかけになるかもしれない。
そんな想いから、「化粧史×化粧師」ラボを企画・実施しました。
化粧史×化粧師ラボは、2部構成で進めました。
①化粧史:化粧とアートの歴史を参加者が調べてきて発表する時間。
②化粧師:化粧品業界でお勤めの方がおり、眉毛カットを体験する時間。
💄化粧史:アートと化粧の歴史を学ぶ💄
2回にわけて開催しました。
1回目は、菊地が、化粧とアートの歴史について参加者への講義を行いました。
1回目の集合写真
1回目はZOOMを併用し、遠隔でもラボに参加できる設計にしました。
2回目は、参加メンバーが各々「化粧とアートの歴史」について資料を作成。作成した資料を元に発表し合いました。
自分が興味を持った「化粧が印象に残るアート作品」について、参加者には歴史を背景として資料を作成してもらいました。
発表は1人あたりの持ち時間を決め、順番に行いました。
参加メンバーで2回目実施の際に作成した資料の一部を紹介します。
日本の化粧とアートの歴史から、世界の化粧とアートの歴史まで、幅広く見ていきました。
「化粧の歴史」に触れた後、歌川国貞の《今風化粧鏡》と、ロバート・フレデリック・ブルームの《化粧する芸者》の2作品を見てみました。
江戸時代は、首筋をたしなむという表現があったほど、うなじの色気に重きを置いていた印象。
絵師は斜め後ろから描き、鏡を通じて対象者を描く構図が多い。
歴史を知りアートを見ることで、その時代に定義された美しさに着目して鑑賞する新たな視点を得られました。
💄化粧師:性別を問わず、化粧に触れてみよう体験💄
化粧関係の仕事に携わっているアート・コミュニケータがいたので、性別問わず化粧に触れられる眉毛カットと眉毛プロポーションのレクチャーを行っていただきました。
男性も女性も、眉が整うと印象が変わりますね。
眉毛を整えてもらった後の方が、表情が明るくなった印象です。
化粧史×化粧師ラボを実施し、アートと別ジャンルの掛け合わせの可能性を感じました。
男性の参加者も数名おり、このラボ実施まで化粧の観点からアートを見たことがなかったとのこと。
性別によらないアートの見方を1つ体得したという感想もありました。
眉毛カットでは、第三者を通して装うことを楽しみました。
装うことは人の視線を意識する行為の意味合いもあり、眉毛カットの様子を見守られることは、まるで自分が作品となり鑑賞者から見られているようだ、との声もありました。
アートと自分が興味・関心のあることを掛け合わせると、新しいアートの見方と出会える。
日常で接するものとアートを掛け合わせると、新しい世界が芽吹くかもしれません。
このラボを実施し、化粧の歴史は深く、西洋と東洋で化粧への異なるアプローチの仕方が絵画に反映されていることに気づきました。
古代エジプトでは、瞼に塗る顔料は日差しから目を守る効果もあったとのこと。
「綺麗に装う」だけではなく、「その時代の実用性も兼ねる」という観点から化粧を見ると、歴史を知る、アートを見る楽しさが広がりました。
発表の場を設け、共有したからこそ発見できた楽しさでした。
自分が楽しいと思ったことを、発信していく。
やりたいと思ったことに対し、誰かが興味関心をよせてくれる場がとびらプロジェクトであると感じたラボでした。
2回目の集合写真
眉毛を整える企画があったため、全員活動場所に集合しました。
執筆:
とびらプロジェクトに参加して、美術館は作品を見るだけではなく、アートを通してつながるコミュニティスペースであることを知りました。より多くの方に、アートとつながりを楽しんでもらいたいです。
個人的に美術を楽しんできましたが、とびラーになり、皆で作品を見る楽しさに目覚めました。その楽しさを十分堪能するには、人の話を「じっくり聞く」ということが大切だということも教えてもらいました。(会社の会議に参加するたびに、全員、鑑賞実践講座で鍛える必要があるな、強く感じる日々です。)
2024.02.13
消しゴムはんこラボ。
消しゴムを彫ってはんこを作るラボ、と思われるかもしれませんがそれは活動の一部です。
作品を鑑賞してそれをモチーフにはんこを彫り、「障害のある方のための特別鑑賞会」の参加証送付用封筒に押し、参加証を封入し、特別鑑賞会でその封筒を展示して、来館者の方々に見て頂き、感想を聞くラボです。長いですね。
「障害のある方のための特別鑑賞会」とは障害のある方がより安心して鑑賞できるように、東京都美術館の特別展の休室日に開催する鑑賞会です。申込んだ人には参加証をお送りしていますが、よりウェルカムの気持ちをお伝えしたいと思い、特別展に関連するはんこを作成し、送付用の封筒に押して送付しています。
今年度は「マティス展」、「永遠の都ローマ展」、「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」で実施しました。
「マティス展」の特別鑑賞会の様子はコチラ
「永遠の都ローマ展」の特別鑑賞会の様子はコチラ
まずははんこのモチーフとなる作品を選びます。
展覧会で作品を鑑賞しながら、またはチラシや公式ホームページから彫りやすそうな、いえ、彫りたいと心が動く作品を選びます。
作品を選んだらどの部分を彫るのかデザインを決めます。
封筒に押すサイズは9×7cmです。これに収まるように縮小したり、一部分を切り取ったりします。
同じ作品でも切り取り箇所や表現に個性が現れます。
例えばチラシにも使われたこちらの作品。
同じ作品を元にしたのに、彫ったモチーフはこんなに違います。
このようにバリエーション豊かなはんこが出来ました。
そしてメインの彫り押し作業です。
初めて消しゴムはんこを彫る人も多かったですが、道具は100均でも揃えられ、
中学時代の彫刻刀を数十年ぶりに取り出す人もいました。
また道具を一度に揃えられない場合は、ラボのメンバーに借りて仕上げたりもしました。
線を彫るのか残すのか、どの線を生かすのか、おのおの作品と対話をしながら、黙々と彫り進めます。カニでも食べているのかと思うほどの無言の時間が流れます。彫っているところの写真はいつも頭頂部しか映りません。
彫り方はとびラー同士で教え合います。何期も前のとびラーから受け継がれている技もあります。事前にYouTubeの動画を観て勉強してくる人もいました。
彫れたらいよいよ封筒に押します。
図案を反転して彫っているので、押して初めてどんな作品かわかります。
また、インクの色や押し方でもイメージが変わります。
こうしてはんこの押された参加証送付用の封筒が完成しました。
様々なはんこができました。
並べると壮観です。
線そのものを彫る、線の周りを彫る、の違いや、一色で表したり、浮世絵のように色を重ねたり、同じモチーフでもこんなに違ったはんこになります。
違いを楽しむのも、消しゴムはんこの面白さです。
完成した封筒に参加証を入れる封入作業もスタッフと一緒に行っています。どんな方のお手元に届くのか、喜んでもらえるのか、どきどきしながら作業をします。
また、今年度から特別鑑賞会当日に消しゴムはんこを押した封筒の展示を行いました。
今まで参加証の封筒を受け取られた方から、押されたはんこについて「これは誰が彫っているの?」「みんな同じ絵柄なの?」「他にどんな絵柄があるの?」というお声を頂いたので、来館者の方々に消しゴムはんこを紹介しようとなったのです。
先ずは机上で展示のレイアウトを考えます。
その後、車椅子の方にも見やすいよう、目線を考慮して位置を調整していきます。
そして特別鑑賞会当日。
全ての封筒を展示したボードをアンケートコーナーに設置して、来館者を迎えました。
特別鑑賞会の申し込み方法は、Webフォームと、メール、はがきの3種類です。
メールとはがきで申し込んだ方には、参加証を封筒でお送りしますが、Webフォームで申し込んだ方は、参加証がメールで届くので、はんこが押された封筒の存在を知りません。8割以上の方がWebフォームからの申し込みなので、はんこが押された封筒をここで初めて見る方が大多数です。
また、封筒をお持ちの方も、他にどんな絵柄があるのか興味深げに見てくださいました。
封筒の絵柄や、モデルの実物の作品の感想を語ってくださったり、同じ作品でも彫る人によって表現の違いがあることに気付いてくださったり、多くの方が足を止めてくださいました。
今まで届いた封筒を全部取っておいている方、届いた封筒のはんこをイラストに描いてくれた方もいらっしゃって嬉しい驚きでした。
中には封筒が欲しいから次回はWebフォームではなく、はがきで申し込むと言う方もいらっしゃいました。嬉しい反面、時代に逆行して頂くのも気が引けるので、Webフォームで申し込んだ方には、封筒の代わりにはがきサイズの紙に押したはんこをランダムで1枚お土産として持って帰って頂きました。
裏返しにした紙を1枚引きます。どんな絵柄かは引いた後に表を見てからのお楽しみです。絵柄を見た方からは楽しげな歓声があがっていました。
消しゴムはんこラボは長く続いているラボですが、その時々で形を変えながら活動をしています。封筒の展示はコロナが明けた今年度から始めたことでしたが、今まで聞けなかった来館者の方たちの感想やお話を伺える貴重な機会となりました。
消しゴムなんて初めて彫るというとびラーも大勢参加してくれました。また、彫らなくてもボードの作成や封入作業に参加してくれたり、鑑賞会で来館者にボードの案内をしてくれるメンバーもいて、展示を盛り上げてくれました。
印刷かと見紛うほどの繊細なはんこを彫る人も、味がある太い線のはんこを彫る人も、彫らない人も、はんこを通じて作品と鑑賞者に向き合う。それが消しゴムはんこラボです。
美術館で作品を観た感動を何かに残したいと思ったそこのあなた、文章、模写の他に消しゴムはんこも一つの選択肢にぜひ加えてみてください。

執筆: 篠田綾子(10期とびラー)
超絶技を繰り出す人もいる消しゴムはんこラボで、初めての人も気後れせずに参加できるような大雑把なはんこを彫っています。上手くなくても楽しければいいんです。
2023.12.16
「みえない人」も「みえる人」も、お互いがいるから、みえること、気づけることがあります。「みえない人」と「みえる人」そして「とびラー」が、作品鑑賞を通じて障害の有無に関わらずフラットに対話することで、新たな発見や気づきを分かち合いたい。この企画は、そんな思いからスタートしました。
半年近くにわたる活動では、とびラーは実際に「みえない・みえにくい」状況とはどういうことなのかを考えることから始め、みえる・みえないの垣根を越えてフラットに対話し鑑賞するにはどうすればよいか、議論を重ねていきました。
プログラムの骨格が決まると、当事者(視覚障害者)の方と一緒にトライアルを行い、そこで出た意見も反映しながら、安心・安全かつ、みんなで楽しめるプログラムへとブラッシュアップしていきました。
そして、いよいよ本番当日! 一般応募いただいた「みえない人・みえにくい人」と「みえる人」をお迎えしてプログラムを開催し、たくさんの気づきと発見に満ちあふれた時間となりました。
■開催日時: 2023年12月16日(土)
■参加人数: みえない人・みえにくい人(視覚に障害のある方):6名
介助者:4名
みえる人(晴眼者):5名
とびラー:17名
■会場:上野アーティストプロジェクト2023『いのちをうつすー菌類、植物、動物、人間ー』展、アートスタディルーム
■プログラム概要:「みえない人・みえにくい人(+介助者)」と「みえる人」、とびラーによる4〜6名のグループに分かれ、アイスブレイクを経て『いのちをうつすー菌類、植物、動物、人間ー』展の3作品をそれぞれ鑑賞。その後、一緒に鑑賞したことでの発見や気づきをシェアする。

<開催に至るまでのプロセス>
「みえない」「みえにくい」って、実際はどういうことなのでしょう?鑑賞会を企画するにあたり、まずは「みえない」「みえにくい」方がどのように作品を楽しんでいるのか、また、みえる人とどのように共有できるのかを考えました。そこでの気づきから「めざすゴール」や「実現のためのアイデア」を検討していきました。そこで「一緒に作品を味わい、お互いの違いを意識することなくフラットに対話することで、みえない人もみえる人も楽しめる場をつくる」ことを目指そうと決めました。
そうして作ったプログラムを、実際に視覚障害者の方を招いた2度のトライアルを行い、実践するうえでの意見や、アドバイスをもとにブラッシュアップしていきました。
本番の1か月前に展覧会が開幕してからは、実際に展示フロアでの作品鑑賞や移動の動線を何度もシミュレーションし、メンバー全員が各々の役割と持ち場で準備を進めていきました。
開催直前には、目指している対話の場づくりをもう一度思い起こして、「安心・安全な場」そして「楽しむこと」を大切にしようと確認し、開催当日を迎えました。
<開催当日の様子>
1.開会~アイスブレイク
冒頭でとびらプロジェクトとプログラムの概要を説明し、「言葉が大切なコミュニケーション手段なので、今日は感じたこと気づいたことをたくさんお話してください」と大切な思いをお伝えして、プログラムがスタートしました。
先ずはお互いのことを知り、発言しやすい場をつくるために自己紹介。話す人と聞く人を明確にして、触覚という共通の体験を入れて話すとよいのでは、というアイデアから、今回の展覧会のモチーフにもなっている鳥のぬいぐるみを持って話すようにしました。自然と和やかな雰囲気になり、鑑賞への期待感も高まりました。さあ、展示室へGO!
2.作品鑑賞
展覧会場は2つのフロアに分かれ、ゴリラ、鳥、牛、馬、キノコ、草花といった様々な動植物をモチーフにした絵画、彫刻、写真などの作品が展示されていて、各グループ毎に3つの作品を順番に鑑賞していきます。作品と作品の間の移動時間には、展示室全体の空間について、言葉で説明しながら、楽しくおしゃべりします。鑑賞作品が会場全体の中でどのように展示されているのかを伝えることで、みえない人の理解につながっていきました。
また、みえない方それぞれのみえ方に応じて、鑑賞時の立ち位置なども工夫するように配慮しました。参加者の状況を見ながら、適宜休憩も入れて鑑賞していきました。
ご主人や娘さんと一緒に参加された80代のみえない女性。介助者のご主人はアイスブレイクではおとなしい感じでしたが、アホウドリをみて「抱きしめたい」と思いがけない胸キュンの一言!グループ全体が打ち解けて、一気に対話が弾んでいきました。
また、あるグループのみえにくい人は、何とか作品をみてみよう、感じてみようと、作品に近づけるギリギリまで近づいて食い入るように鑑賞されていました。そのあまりの熱心さに、みえる方も感動されて、言葉でその場を補うように発話が増えていき、徐々に対話の場ができていきました。
最初は緊張していた参加者も、作品鑑賞が進むにつれて、みえる人がどのように伝えればみえない人にわかりやすいかを考えて一つ一つ丁寧に話しかけたり、みえない人も説明や問いかけに対して積極的に気づきや質問をするようになっていきました。2作品目、3作品目と鑑賞を重ねていく中で自然に発言が出るようになり鑑賞が深まっていく様子がはっきりとわかりました。そのような姿を見ると、「フラットに対話をし、みんなでみる」という鑑賞は実現できたと思われます。
それは何度も現場で確認した事前の準備と、みえる・みえないに関わらず相手に寄り添う気持ちを持って接したことにより達成できたのだと思います。
1時間の鑑賞タイムを終えて、参加者の皆さんも充実した笑顔でアートスタディルームに戻ります!
3.シェアリング~閉会
アイスブレイクと同じテーブルでのシェアタイムでは、参加者の皆さんの表情もイキイキとしていて、感想話に花が咲きました。例えば、ゴリラの作品では、「一つ一つの表情に喜怒哀楽があるように繊細で豊かに感じられるようになった」というグループもあれば、「みえにくい人にはゴリラの顔は黒い毛玉にしかみえなかった」という感想が出たグループもありました。
みえない人・みえにくい人がどのように対象を見ているのか、対話により得られる共通の体験を分かち合う喜びと難しさなど、他のグループの話を聞くことで、さらなる発見や気づきにもつながり、ふだんみえているようでみえていなかったものに気づいたり、みえていないものをありありと感じられた時間になったようです。
<参加者の感想>
終了後に記入いただいた参加者のアンケートから一部をご紹介します!
・「みんなの見る目が人によってちがう。自分1人だと絵を見ることが難しいけど、みんなと一緒なら見ることができる」(みえない人)
・「見える人から説明してもらうことで鑑賞のきっかけをもらえる。見える人→見えない人への一方向ではなく、会話の中から作品鑑賞が生まれてくる感じがした」(みえない人)
・「アートはみえる、みえないということは関係なく、一緒に鑑賞することで自分自身で発見があった。今までなかなかいけなかった美術館に行こうと思うきっかけになった」(みえにくい人)
・「見えていると思っていたら、実は大して見ていなかったことに気づいて驚きました」(みえる人)
・「見えない人に対して絵を伝えるために、分かりやすい言葉を選ばなければならないことに気づくことができた。見える・見えないの0か100ではなく、見えないのはグラデーションだと気づいた」(みえる人)
・「自分の見方の高さを少し変えるだけで、ものの見方、伝え方はこんなにも深くなるのだと実感しました。ちょっとした変化でコミュニケーションはもっと深まるのですね」(介助者(みえる人))
・「みなさんの感想をお聞きしていると、作家さんの「ここを見てほしい」という意向がちゃんと伝わっているんだと思いました。それをみなさんがきちんと受けとめていることに感動します。生命は美しいとあらためて感じます」(介助者(みえる人))
また、ファシリテーターを務めたとびラーからはこんな声がありました。
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「最初は見える人が見えない人に説明をしていましたが、鑑賞が進むにつれ、見えない人の質問によって鑑賞がさらに深まっていくことに皆が気づいて、見える人も見えない人もお互いの立場を平等に感じているように思いました」
「見える人の素直な感想が、見えない人の質問を生み出しだんだんと垣根のない空間なっていきました。和やかで温かい時間を一緒に過ごすことができました」
「描かれているゴリラのイメージについて話した時に「会社のボス的な存在なのでは?」となりました。
Aさん:「俺についてこい」 みたいな感じかな。
Bさん:う~ん…きっと部下には何も言わないと思う。
Cさん:背中で語るタイプですね。
皆さんの想像していたのは昭和タイプのボスだったのかもしれません」
「馬の作品の印象をみんなで話す中で、みえない人の「何となく不穏な感じを受ける」というひと言から競走馬の悲しいエピソードが引き出され、より鑑賞が深まる体験ができました」
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たくさんの感想をいただき、もう少しシェアタイムの時間があればとの声も多くいただきました。「みえる人」の中には、今回の体験をきっかけにアート・コミュニケータに関心を持っていただいたり、「みえない人」で、美術館でまた鑑賞してみたい、新しいことにチャレンジしてみたい、と前向きな発言をされている方がいたのが印象的でした。参加者それぞれが何かを感じて、新しい視点が生まれていたようです。
みんなでみて フラットに対話をして 鑑賞を楽しむ。
みえない人とみえる人の対話を通じて、お互いの視点によってよりよく作品を味わうことを目指した「みんなでみる美術館」。
みえる・みえないをハードルと考えるのではなく、その人の特性の一つとしてとらえ、お互いの違いを楽しむ、そんな場になる一歩を踏み出すことができました。
今回の実践を次のインクルーシブな場へとつなげていき、またみんなで一緒に分かち合えますように。
東京都美術館では、たくさんの参加体験型のプログラムや、障害のある方のための特別鑑賞会なども開催されています。また皆さんとご一緒できることを楽しみにしています!
10期とびラー 安東豊
アートを介して対話することで、人と人との多様な価値観や想いがつながり、新しい世界がみえてくる。そんな出会いや化学反応の場に立ち会い、寄り添える喜びを感じています。

10期とびラー 飯田倫子
「遠くに行くならみんなで行け」そんな言葉の意味を強く感じたラボでした。みんなで取り組んだからこそ、「みんなでみる」ことが実現できたと思っています。
2023.12.16
東京都美術館には「エスプラナード」と呼ばれる空間があります。上野公園から正門を通ってすぐ、レンガ色の建物に囲まれた広くて開放的なスペースのことです。館内の建物に入るまでの散歩道となっているその空間は、この美術館の建築的な特徴にもなっています。
とびラーにとっては、来るたびに通るなじみ深いエスプラナード で、来館者に楽しんでもらえるような何かをしたい!と思い立ってとびラボを始めたのが8月のことでした。
具体的に何をするかやその目的については、とびラボに集まったとびラーみんなで考えることにしました。
まずはエスプラナードについて各々が思うことや期待することを話し合ってみました。「せっかくの素敵な空間なのに来館者にあまり意識されずに素通りされているのでは?」「野外彫刻がたくさん展示してあるのにあまり見てもらえていない」「美術館に来た人に展示を観るだけでなくプラスアルファの楽しみをここで提供したい」などの意見が出ました。
そして今度はエスプラナードでやってみたいことのアイデアを自由に出し合いました。
「パラソルや椅子を置いてのんびり過ごしてもらいたい」「レッドカーペットを引いてゴージャスな気分で歩いてもらう」「広い空間を生かしてファッションショーをおこなう」「建物の壁でナイトシアターをやる」「コーヒーを無料でふるまう」などたくさんの案が出てきました。エスプラナードという空間を舞台に、みんなで妄想を広げる時間がとても楽しくどんどんアイデアが広がりました。
次のミーティングでは、たくさんの案の中から本当に自分たちがやりたいこと、ここでやるべきことはなんだろう、と考えてみました。
そこでみんなの意見が一致したことは「エスプラナードを通るどなたでも気軽に参加できる」、そして「アートや美術館をより親しみやすく感じて欲しい」というものでした。
エスプラナードはこの美術館の入り口だからこそ、すべての市民にとってアートへの入り口になるような体験を提供したいと考えました。
その目的をはたすためにできることはなんだろう?と、今度はみんなで実際にエスプラナードに出て来館者の様子を観察することにしました。
美術館に来る多くの人は自分が観たい展示や用事を済ませるために、建物の中にまっすぐ入っていきます。帰りもあまり寄り道をせずに上野公園へと出かけていき、エスプラナードはその通り道となっています。
けれど時折、美術館の正門の前で記念写真を撮る人や、エスプラナードで一番目立つ大きな球形の彫刻《my sky hole 85-2 光と影》に興味を示して鏡のような表面に映り込む自分の姿を覗き込む人たちがいました。
その様子を見てみんなで考えたことは、わたしたちとびラーが来館者に声がけして少しの間立ち止まって話をしたり、エスプラナードを一緒に散歩してみてはどうか?ということでした。
会話を生むきっかけとして、記念写真を撮ってあげたり道に迷っている方の案内をしてみる。そこからコミュニケーションをとれたら、来館者に楽しい思い出を提供できて、美術館に親しみをもってくれるかもしれない。それいいね!とエスプラナードで自分たちがおこなうことを現場で決めました。
また、来館者に声をかける際に、他の来館者とは違うここで何かをする人だと分かる格好をした方が声をかけやすいのでは?と考えました。広いエスプラナードで少し目立つように背の高い帽子をかぶるのと、写真を撮る役割を示すカメラのマークを入れた腕章をつけてはどうか。
するとその場で持っていた紙を折って小さな帽子を作ったとびラーがいました。それをみんなでかぶってみることで、エスプラナードで自分たちがやりたいことのイメージが一気に固まりました。
そうと決まったら手先が器用なとびラーたちがあっという間に帽子や腕章を手作り。自分たちが衣装をまとうことで気分も大きく盛り上がり、これで来館者に喜んでもらいたい!と意欲満々で実施の日を迎えました。
その日は12月とは思えないぐらいの暖かい晴天で朝から美術館に来る人もちらほら。午前10時から声がけを始めました。
しかし最初は緊張し、まっすぐ建物に向かう人に足を止めてもらうことへ少し躊躇しました。けれどこれまでみんなで話し合ってきたことを実践する大きなチャンス、と勇気を振り絞ってエスプラナードを通る人にどんどん声かけをしていきました。そうすると意外と足を止めて話を聞いてくれる人がいました。
この日は特別展が開催されていない時期でしたが、市民が応募して作品を出品する公募展を観に来た家族連れや友人グループが多くいました。「記念に写真を撮りましょうか?」と彫刻や門の前で話しかけると「じゃあせっかくだから」とスマホやカメラを手渡してくれました。中には手作りの衣装をまとったとびラーと一緒に撮りたいと言ってくれるグループもいてうれしくなりました。
「はい、チーズ!」と撮影した後、「今日はなにを観に来られたんですか?」とうかがうと「孫の書作品が入選したので家族で観に来たの」「友達が撮った写真作品が飾られてる」などと話す方が多く、「入選おめでとうございます!」と伝えると照れくさそうにしつつ「ありがとう!」と喜ばれました。そこからアートにまつわる家族の素敵な話や作品への熱い思いを聞いたりして来館者と一緒に会話を楽しみました。
また、置いてある野外彫刻の説明をすると他の作品も観たいと言ってくださる方もいて、ぐるりとエスプラナードを案内しました。
声がけや会話の内容もとびラーそれぞれ得意な話し方があり、エスプラナードのあちこちで笑顔の輪が同時にいくつも出来ていました。中には一人の方とじっくり話し込むとびラーもいて、美術館に来たそれぞれの人のストーリーを聞けるとても良い機会になりました。
行きがけにお話しして展示を観た帰りにまた寄って話かけてくれる方や、「今日ここに来て良かった」と言ってくださる家族もいました。
二時間半の間に合計110組以上のグループとお話ししました。時間が来ても止めるのが惜しい気持ちになりましたがこの日は一旦終了。またやりたいね、とみんなで話しながらエスプラナードを後にしました。
今回の活動を通して、ミュージアムにある「場」から発想して、場と人、人と人を結ぶアートコミュニケーションについてとびラー同士で考えることができました。
また、実際に来館者に声がけして会話をすることで、いろんな方がアートや美術館を身近に楽しまれている様子を知ることができました。
美術館に来る方に楽しんでほしいと始めたことですが、私たちが来館者から美術館の魅力を教えてもらうという、とても良い経験になりました。
今回のとびラボでは最初に目的ややることを決めずにスタートしましたが、いろんなとびラーが自分で企画を提案したり衣装を持ち込んだりみんなで自主的に動いて一つのプログラムを形作ることができました。
例え少しのスペースでもアイデアしだいでコミュニケーションの「場」をつくる活動は、他の美術館や文化施設でもできるかもしれません。またどこかでいろんな人との出会いを楽しみたい、そう思えるとびラボでした。

10期とびラー 池田智雄
美術館・博物館・郷土資料館や音楽ホールなど、人が文化の楽しさを求めて集まる場所が好き。そこがもっと楽しくて親しみやすい場所になるようなことを自分たちでできたらうれしいです。