東京都美術館× 東京藝術大学 「とびらプロジェクト」

活動紹介

2024アクセス実践講座③|Creative Ageing

2024.08.25


日時|2024年8月25日(日)13:30~16:30
場所|東京藝術大学 第1講義室
講師|藤岡勇人/東京都美術館 学芸員、金濱陽子/東京藝術大学


 

東京都美術館と東京藝術大学が取り組むプロジェクトとして「Creative Ageing ずっとび」があります。

2021年にスタートし、台東区の病院や福祉関連施設と連携しながら、アクティブシニア(元気なシニア)対象のプログラム認知症の方や、認知症が気になる方、またそのご家族へ向けたプログラムを実施してきました。

第3回では、「Creative Ageing ずっとび」を担当する、東京都美術館 学芸員の藤岡勇人さんと東京藝術大学の金濱陽子さんから、立ち上げの経緯やこれまでの取り組みの事例についてお話しいただきました。

 

 

 

ずっとびのプログラムにおいて、とびラーは参加者と一緒に作品を見たり、発言を引き出したりしながら、参加者が安心した気持ちでプログラムに臨めるような場づくりを進行しています。

今回の講座ではプログラムに参加したとびラーにも登壇してもらい、参加者の様子で印象的だったことやどんな時間だったかなど、感想も交えてお話ししてもらいました。

 


各プログラムの詳細は、それぞれの活動紹介ページや動画でご覧いただけます。

■「動く、遺影!イェイ!イェーイ!」(2024年8月7日実施)

活動紹介ページ

■「アート・コミュニケータと一緒に楽しむ おうちで印象派展」(2024年3月16日実施)

活動紹介ページ

動画

■「ずっとび鑑賞会」(2023年10月3日実施)

活動紹介ページ

動画


 

その話を受けて、とびラーは3人組になって自分たちが感じたことを話合いました。

 

 

後半は、台湾やイギリスでのCreative Ageingの活動事例について、藤岡さんからお話しを伺いました。

 

 

人は誰もが歳を重ねていきます。世間ではアンチエイジングという言葉も見受けられますが、とびらプロジェクトやずっとびは「歳をとること」をポジティブに捉え、さまざまなプログラムを通して、この価値観を発信していきたいと考えています。

講座の中での「創造的な活動は健康に良い」というお話が印象に残りました。高齢者に限らず、どの世代の人も創造的に、そして健やかに日々を過ごすことができたら、自分はもちろん他者の視点や価値観を肯定し、お互いに認め合える社会になるのではないかと、今回の講座から感じました。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 西見涼香)

2024建築実践講座②|建築を鑑賞する

2024.08.24


第2回建築実践講座|「建築を鑑賞する」

日時|2024年8月24日(土) 14:00〜17:00
会場|東京藝術大学 第1講義室
講師|倉方俊輔(大阪公立大学 教授、建築史家)


 

大阪公立大学 教授の倉方俊輔先生をお招きし、「建築を鑑賞する」をテーマにお話いただきました。

近年、精力的に取り組まれている美術作品の対話による鑑賞を建築でおこなう「建築鑑賞」を軸に講座が進んでいきました。

建物の所有者や利用者が使い続けること、一般公開し活用することによって建築の価値を捉え直したり、市民が鑑賞することで貴重な建築を保存し後世につながることについて考える時間になりました。

倉方先生が実行委員長を務めていらっしゃる東京建築祭をはじめ、最新の情報も交えてさまざまな事例を挙げてお話くださり、建築を介したコミュニケーションについて理解を深めていく講座となりました。

 

 

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 西見涼香)

 

【とびラボ実施報告】 『とびラーによる”ずっとアートと生きていく”ラヂオ』

2024.08.11

執筆者:染谷都(12期とびラー)

 

 

なかなか美術館へ行く機会がない人々が少しでも美術館に興味を持てるようになり、行ってみよう!と思うきっかけの一つになるものを作りたい」と、今回の企画を立ち上げました。どんな形ならたくさんの人に届くだろうと話し合いを重ね、音声コンテンツを作ってWEBで公開することにしました。

『とびラーによる“ずっとアートと生きていく”ラヂオ』と題して、じっくり耳を傾けたくなるようなラジオ番組風の音声コンテンツを制作しました。

東京都美術館の「アート・コミュニケーション事業を体験する2024(以下、AC展2024)※」開催期間中の週末に、展示室の一角を使って来館者のインタビューを公開収録で行い、「美術館はどんなところか」「どんな思いで美術館に行っているのか」といった、来館者の声を集めました。パーソナリティに扮したとびラーがインタビューをし、楽しく会話が盛り上がるようなトークを展開し、来館者との語らいを重ねる中で新たな発見も感じられました。

(参考:とびdeラヂオぶ〜☆2023年の様子 )

     

実施日:2024年8月3日(土)、4日(日)、10日(土)、11日(日)

実施場所:東京都美術館 ロビー階 第3公募展示室

     

※AC展2024とは?

アート・コミュニケーション事業を体験するは、東京都美術館で2023年から毎年開催しています。2024年は、『「ずっと」アートと生きていく-上田薫と上田葉子の生き方に学ぶ、クリエイティブ・エイジング』と題して、豊かに歳を重ねていくためにアートが果たす力と美術館の役割をテーマに実施されました。

 

 


         

 

◾️収録の概要

収録は、AC展2024の会場の最後にあるとびらプロジェクトの活動を紹介するゾーンで行いました。来館者が自由に立ち寄り、座れる場所です。テーブルに手作りの「ON AIR」ランプを設置し、まずはラジオブースっぽい雰囲気を演出しました。

 

 

AC展2024の展示作品や資料展示などを見終えた来館者に声をかけ出演交渉をします。録音の了承を得て、10分程度のインタビューを行います。一組の来館者に対して、インタビュアー、音声機器操作、記録係の基本三人体制で、収録していきました。

 

まずはAC展2024の感想を聞きます。クリエイティブ・エイジングについて、作品や作家について、鑑賞から感じたことをのびのび語れる空気を作っていきます。

そこから、話題はいよいよ核心に入っていきます。美術館にはよく来られますか?などの問いかけから、来館者とアートとの関係に話は展開していきます。

結びには、これまで、そしてこれから、アートとどのようにつながっていきたいですかと問いかけていきました。

最後に「私にとってアートは○○○です!」と言って締めてもらいました。

 

最初の2日間が終了したあとは、参加したとびラー同士で、収録したインタビュー音声を聴き、次の二日間へ向けてふりかえりをしました。そして、インタビューの仕方についてブラッシュアップを図っていきました。

 

 

◾️インタビュイーについて

インタビュイー(interviewee)とは、取材される人や質問に答える人のことです。

今回インタビューに参加いただいたのは、学生、親子、友人同士、外国からの方など、美術館が好きで、企画展からの流れで来場した人たちが多かったです。また、医療/福祉関連の従事者、美大生、アート関係など、仕事柄アート・コミュニケーション事業に興味を持って来場した人たちもいました。

さらに、会場にたまたま居合わせた人同士で一つの収録テーブルを囲み、複数人で会話することにチャレンジしたところ、世代も背景も異なるお二人の声を一緒に収録することができました。

 

 

◾️印象的だったインタビュー

ある女性は、亡くなる直前のお母様と一緒にゴッホの《ひまわり》を観ることができた時のエピソードを語ってくれました。

ある男性は、幼少期に父親と美術館に行くといつもかけてもらっていた言葉を思い出し、自分の息子への気持ちを再確認したと言います。

このように、インタビューを通して来館者自身が美術館の記憶を思い出し語ってくれることで、ご家族との大切な記憶を聞くことができました。

 

アート散歩が好きなご近所の仲間だという80代女性と40代男性にもお話を伺いました。男性は前日にインタビューを受けた友人からAC展2024を勧められ、この女性を誘って来館されたとのこと。口コミで人と人、人と作品が繋がっていき、今この時をともにしている、まさにこれがアート・コミュニケーションであることを実感する場面でした。

 

公開収録最終日は展示室が多くの人で賑わい、様々な場所でコミュニケーションが交わされていました。収録コーナーでも、20分…30分…と、話し込む方も多くいて、熱のあるインタビューが展開されました。

 

 


 

     

◾️編集、そして番組「とびラーによる”ずっとアートと生きていく”ラヂオ」になってい

収録が終わった後は、録音状態を確認しながら、届けたいインタビュー素材を編集しました。番組の形に編集していくにあたり、番組の進行役(ナビゲーター)は、録音時のインタビュアー以外の人を担当としました。ナビゲーターは、自ら番組の進行台本を書き、声を録音しました。とびラーにとっては初挑戦の作業でした。

 

番組のナビゲーターの録音が終了すると、収録した音声素材の試聴会をとびラー内で開催し、感想をシェアする時間を設けました。

 

     

ラジオ番組さながらに、番組テーマを設け、ジングルの音楽はオリジナルで制作しました。ギターと歌が得意なメンバーが音楽を作り、ラボメンバーのお子さんの声で収録した番組タイトル「”ずっとアートと生きていく”ラヂオ」の声をのせ、親しみがもてるあたたかい雰囲気を目指しました。

 

これらの素材を繋げて、出来上がった試作品の視聴会を再度とびラー同士で行い、聴きやすくなるように何度も整えました。平行してWEB掲載用のテキスト、タイトルロゴなどのデザインを、アイデアを出し合いながら考え、音声コンテンツのリリースへと向かっていきました。

        

 

 

◾️まとめ

はじめは、美術館にまだ足が向かない方への働きかけであった今回の音声コンテンツ制作。しかし実現してみたら、来館者の美術活動やミュージアム体験に対する気持ちを刺激し、アート・コミュニケータであるとびラーも美術館での人との繋がりに刺激を受けることができました。まとめられた言葉や文字ではなく、生の会話を通してそれらが生まれたことが、このラジオという形式を取った一番の効果かもしれません。

 

4日間で、合計40組53名へインタビューすることができました。

とびらプロジェクトのホームページで公開しているので、ぜひ聴いていただければと思います。

https://tobira-project.info/acradio/

     

 

 


 

執筆:12期とびラー 染谷都

フリーランスのラヂオ番組制作ディレクター。台東区民。藝大の森お世話隊員。好きなことは散歩と旅。

とびラボ「上野の森と建築を考えるラボ」では藝大の森&建築のツアーを試行中。

とびラーになって美術館によく行くようになり、作品<箱と空間 =「場」が好きなことを再認識。その場が実在しなくても誰もが参加できるラジオ番組のようなココチいい場づくりをリアルで模索中。

 

 

 

 

 

アート・コミュニケーション事業を体験する 2024【7/30(火)〜8/11(日)】

2024.08.11

終了しました。たくさんのご来場ありがとうございました。

とびラー&開扉アート・コミュニケータ

\ 活躍中 /

昨年度からはじまった「アート・コミュニケーション事業を体験する」。
今年も 7/30(火)〜8/11(日)の12日間開催します!会場では、毎日、とびラーと“開扉”アート・コミュニケータが、みなさんとのアートを介したコミュニケーションの場を生み出していきます。

今年のテーマは、「クリエイティブ・エイジング」。
豊かに歳を重ねていくために、アートが果たす力や美術館の役割について、とびラーや“開扉”アート・コミュニケータといっしょに考えてみませんか。

会場でお待ちしています!



アート・コミュニケーション事業を体験する 2024
「ずっと」アートと生きていくー上田薫と上田葉子の生き方に学ぶ、クリエイティブ・エイジング

会期   2024年7月30日(火)~8月11日(日)
会場   東京都美術館 ロビー階 第3公募展示室
休室日  8月5日(月)
開室時間 9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
観覧料  無料

\毎日とびラー&“開扉”アート・コミュニケータが会場にいます/

+++++++++++++++++++++++

アート・コミュニケーション事業を体験する 2024
公式Webサイト:

https://tobira-project.info/ac-ten/

+++++++++++++++++++++++

昨年の様子はこちらでご覧いただけます。
◎「アート・コミュニケーションを体験する2023」アーカイブページ:
https://tobira-project.info/ac-ten/blog.html?category=archive


 


“開扉”アート・コミュニケータとは…

とびラーが3年の任期を終えることを、「新しい扉を開く」意味を込めて、「開扉(カイピ)」と呼んでいます。開扉したとびラーは、美術館や大学と継続した関係を保ちながら、アート・コミュニケータとして実社会で活躍することが期待されています。現在も任期満了した多くのアート・コミュニケータが、美術館で培ったネットワークや、とびらプロジェクトの活動を通して育んだスキルを活かしながら、対話のある社会の実現に向けた活動を継続しています。

「アート・コミュニケーションを体験する2024」では、開扉アート・コミュニケータの団体が、とびラーや開扉アート・コミュニケータ全体の運営も担っています。

 


 

2024鑑賞実践講座③|「ファシリテーション基礎(2)」

2024.07.15

 


 

第3回鑑賞実践講座|「ファシリテーション基礎(2)」

日時|2024年7月15日(月・祝)10:00〜17:00
会場|東京都美術館 アートスタディルーム・スタジオ
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA))、ARDAコーチ5名
内容|
・映像を使ったVisual Thinking Strategies ファシリテーション分析
・Visual Thinking Strategies ファシリテーション実践と分析

 


 

第3回は、前回に引き続き、NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA)の三ツ木紀英さんから、Visual Thinking Strategies(ビジュアルシンキングストラテジーズ:複数の人で対話をしながら作品を鑑賞する手法。以下、VTS)におけるファシリテーションの基礎を学ぶ2回目です。

午前は、まず、小学4年生の児童がVTS鑑賞をしている映像を視聴しました。映像内のファシリテータと児童の対話の内容をメモしながら、ファシリテータが行っていること、問いかけていること、また、その作用を観察しました。

特に今回は、VTSの手法の中で「Q2」と呼ばれるファシリテータの問いかけを中心に観察を行いました。

・」

「Q2」は、VTS鑑賞において、鑑賞者が「こんなふうに感じる」という主観的な意見を言った場合に、「(あなたに)そう感じさせるのは、作品の中の何が要因なのか」ということを、客観的に考えていくための質問です。問いかけの例としては「作品のどこからそう思いましたか?」などです。この質問をすることで、発言した児童や、一緒に鑑賞している児童にどんな変化が起こっているかという部分を中心に映像を観察しました。

(VTSのファシリテータは対話の問いかけとして3つの問いかけを用います。「Q2 」以外に「Q1」「Q3」があります。「Q1」は、対話を始めるときに参加者全員に投げかけるオープンな問いかけ。例:「この作品の中で何が起こっていますか?」など。「Q3」は、1つの意見の検討が終わった時に、再び全員に向けてする問いかけ。例:「他に発見はありますか?」などです。)

作品画像のカラーコピーを用いて制作した「触図」。スタッフがモチーフの輪郭線を触らせながら説明している様子。

午後は、グループに分かれて、VTSファシリテーションの実践とふりかえりを行いました。ここで鑑賞した作品は、実際にとびラーが来館者と鑑賞をする展覧会の作品から数点が選ばれました。

ここでも、「Q2」(作品の中に根拠をさがす質問)を、何に対して、どのように聞いていたのか。または、聞いていなかったのか。また、「Q2」を聞くことによって、鑑賞の場にどんな影響が起こっていたかということをグループで検証していきました。

今回は、VTSファシリテーションの基礎となる「問いかけ」とその作用について1日を通して考え、実践してきました。次回は、実際の来館者との鑑賞に向けて、展示室での場づくりについて学んでいきます。

 

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)

2024鑑賞実践講座②|「ファシリテーション基礎(1)」

2024.07.14

 


 

第2回 鑑賞実践講座|「ファシリテーション基礎(1)」

日時|2024年7月14日(日)10:00〜17:00
会場|東京都美術館 アートスタディルーム・スタジオ
講師|三ツ木紀英(NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA))、ARDAコーチ5名
内容|
・グループ鑑賞体験
・ファシリテーションのポイント観察
・Visual Thinking Strategies ファシリテーション実践

 


 

第2回からは、NPO法人 芸術資源開発機構(ARDA)の三ツ木紀英さんを講師に迎え、Visual Thinking Strategies(ビジュアルシンキングストラテジーズ:複数の人で対話をしながら作品を鑑賞する手法。以下、VTS)におけるファシリテーションを学びながら、作品をよりよくみることや、アートを介したコミュニケーションの場づくりについて考えていきます。

第2・3回は、ファシリテーションの基礎を学ぶ2日間です。

第2回の午前は、 グループに分かれ、ポスターサイズの作品画像を用いて、複数の人で作品を鑑賞する体験をしました。また、その鑑賞体験をふりかえりました。とびラーは、1人で作品をみるときとは一味違う鑑賞の深まりや複数の視点でみることの面白さについて話しあっていました。

 

 

午後は、三ツ木さんのファシリテーションで、現在の東京都美術館で開催中の展覧会出展作品より2作品を鑑賞しました。

とびラーは、作品を鑑賞する「鑑賞者」と、VTSの場を観察する「観察者」に分かれます。そして、ファシリテーションのポイントをその場で観察します。

観察のポイントは、ファシリテータが行った振る舞いや問いかけが、鑑賞の場にどのように影響するか、その「原因と結果」を読み取ることです。

ここでは、鑑賞実践講座への参加2・3年目のとびラーが中心となって、観察して発見したファシリテーションのポイントを全体でシェアしていきました。

2024年のとびらプロジェクトには、全盲のとびラーが1名参加しています。今回の講座では、情報保障として、作品のモチーフの輪郭線が触覚的にわかる作品画像(=触図)を制作しました。作品画像のカラーコピーをモチーフの輪郭ごとに重ねていく簡易的な作りです。

触図は、グループの対話で語られる視覚的な情報を、スタッフが隣について伝えながら使用しました。モチーフの位置や全体の構図を触って理解できることで、構図についての説明が伝わりやすくなります。また、グループの対話の内容も理解しやすくなるというメリットがありました。それにより、全盲のとびラーも鑑賞の流れを掴みやすくなり、自分の意見や質問を発言することができていました。

鑑賞実践講座への全盲のとびラーの参加を考えることを通して、見えない人との鑑賞についてもとびラーと一緒に考えていきます。

 

作品画像のカラーコピーを用いて制作した「触図」

 

また、講座の最後には、小さな作品画像を使って、全員がVTSファシリテーションにトライする時間も設けました。

いよいよ、VTSファシリテーションの実践的なレクチャーと体験が始まりました。実際の来館者との鑑賞に向けて、座学だけでなく実践を積み重ねながら学んでいきましょう。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)

2024アクセス実践講座②|ろう文化

2024.07.07


日時|2024年7月7日(日)14:00〜16:15
場所|東京藝術大学 第3・4講義室
講師|小野広祐/明晴学園 教頭


 

第2回は、明晴学園教頭でありNHK手話ニュースキャスターでもある小野広祐先生をお招きし、ろう文化について伺いました。

聞こえない人といっても、音声言語を身につけた後に聞こえなくなった中途失聴者、音がある程度識別できる難聴者、生まれつき聞こえなかったり、音声言語を獲得する前に失聴したろう者とさまざまであり、手話にも日本手話と手指日本語があるとお話がありました。

小野先生は普段、日本手話を使ってコミュニケーションを取っていらっしゃるとのこと。顔の動きやうなずきによって、意味やニュアンスが変わることを学びました。そして「日本手話は、音声の代わりとなる補助的なものではなく、言語のひとつ」という言葉が印象に残りました。

 

 

言語が違えば、表現も異なります。手話では相手を指差すことが多々あります。聴者が日常生活で同じことをすると失礼という考えもありますが、指差しは手話にとって大事な表現です。ゲームによって指を差すこと/指されることに慣れたり、実際に手話をやってみたりして、手話の表現やろう文化について学びを深めていきました。

 

 

とびラーの中には、ろう・難聴のとびラーもいます。

また、とびらプロジェクトと連動する「Museum Start あいうえの」では、2年にわたって聴者・ろう者・難聴者が参加するプログラム「みるラボ」を開催し、さまざまな「きこえ」の状況にあるティーン世代の参加者ととびラーが一緒に作品を鑑賞し、手話、口話、筆談、通訳、身体表現などの手段を通して「伝える、共有する」ことへの試行錯誤を重ねてきました。

とびラーには今回の学びや感じたことを色々な機会で思い出し、ろう者や難聴者とのコミュニケーションに活かしてくれたらと思います。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 西見涼香)

2024アクセス実践講座①|障害者差別解消法:合理的配慮とは

2024.06.30

 


日時|2024年6月30日(日)10:00~14:00
場所|東京都美術館 講堂
講師|又村あおい/全国手をつなぐ育成会連合会 常務理事 兼 事務局長、小牟田悠介/東京藝術大学


 

2024年度アクセス実践講座の第1回は、とびらプロジェクトマネジャーの小牟田さんから講座の趣旨についてのお話があり、その後、全国手をつなぐ育成会連合会 常務理事 兼 事務局長である又村あおいさんに、障害者差別解消法や合理的配慮についてご講義いただきました。

 

 

まず小牟田さんから、東京都美術館のミッションや取り組みと合わせて、とびらプロジェクトが美術館へのアクセシビリティを学び、考え、実行していこうとする背景についてお話しがありました。

 

続いて、又村さんからは、障害者差別解消法などの法律について伺いました。「障害とはなにか。障害理解とは」を考える時間では、社会のさまざまな障壁によって生じる「社会モデル」があることや、ヒトは歳を重ねることで視力や聴力、身体機能などが低下していくので数年後の自分の理解にもなるのではないかというお話があり、新たな気づきがありました。

 

 

また合理的配慮とは、相手との建設的な対話によって「できる」「できない」で考えるのではなく、できる範囲で対応可能な、納得の得られる配慮をおこなうことであると伺いました。

とびラーの中には、ろう者や難聴者、全盲の方がいます。スタッフやとびラーは普段から音声アプリや筆談、ときには手の感覚(触覚)を使い、彼らと一緒に対話を重ねながら、とびらプロジェクトは進んでいます。そして、東京都美術館では、特別展の休室日を利用した「障害のある方のための特別鑑賞会」を開催しています。

このような場で活動する機会が多いとびラーにとって、当事者が困りごとを申出しやすい場をつくることが大事だと気づく講座になったのではないでしょうか。

 

 

合理的配慮という言葉は聞いたことがあっても、何をどうすればいいのかわからないと身構えてしまっていましたが、とびらプロジェクトで日々おこなっているように、気軽に声をかけることから始めてみようと、今回の講座から思いました。

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 西見涼香)

 

2024建築実践講座①|都美の建築と歴史と楽しみ方

2024.06.29


第1回建築実践講座|「都美の建築と歴史と楽しみ方」

日時|2024年6月29日(土) 10:00〜15:00
会場|AM:東京都美術館 講堂/PM:東京藝術大学 第3講義室
講師|河野佑美(東京都美術館 学芸員)


 

現在の東京都美術館は1975年に「新館」として開館し、2010年から2012年にかけて大規模修繕工事がおこなわれた建物ですが、講座の午前中はそれ以前の1925年に開館した「旧館」も含めた東京都美術館の建物や歴史について、東京都美術館 学芸員の河野佑美さんにお話しいただきました。

東京都美術館では「とびラーによる建築ツアー」を実施しています。建築家が込めた想い、歴史、建物の色・デザインといった建築を楽しむポイントを切り口に、東京都美術館の建築空間をアート・コミュニケータ(とびラー)と対話しながら味わいます。このツアーは2012年のリニューアル時におこなった館内ツアーがきっかけで始まりました。
建築ツアーが生まれた経緯や建築家ではない人がツアーを作り上げていくことについても、河野さんの経験を交えながら熱く語っていただきました。

 

 

そして午後は「とびラーによる建築ツアー」を体験しました。
とびラーの中には建築ツアーに参加したことがない人もいます。ガイド経験者のとびラーがガイド役となって、参加者役のとびラーと都美館内を巡りました。
ツアー後は各チームでふりかえりをおこなったり、別のチームでふりかえりで出た話題を共有したりして、私たちの拠点となる東京都美術館への関心を深めていきました。

 

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 西見涼香)

 

2024鑑賞実践講座①|とびらプロジェクトで大切にしている鑑賞体験とは?

2024.06.24

 

 


 

第1回鑑賞実践講座|「とびらプロジェクトで大切にしている鑑賞体験とは?」

日時|2024年6月24日(月)14:30〜17:00
会場|東京都美術館 講堂
講師|熊谷 香寿美(東京都美術館 学芸員 アート・コミュニケーション係長 )

 


 

第1回目の講座では、今年度の鑑賞実践講座の目標に基づき、「みる」という行為についてさまざまな角度から考えました。

 

講座目標
・さまざまな人が自分の感じ方を大切にしながら作品をよくみるためのコミュニケーションの場づくりができるようになる。
・作品を媒介にして、共同的かつクリティカルに複数の人が思考する場をデザインできるようになる。

 

2024年のとびらプロジェクトには、全盲のとびラーが1名参加しています。鑑賞実践講座でも、視覚だけでなく多様な知覚や感性を働かせながら、他者との関わりを通じて思考する方法を考えていきます。

初回の講座ではまず、「とびらプロジェクトで大切にしている鑑賞」や「共同的な学び」について考えるレクチャーを行いました。

 


 

その後、私たちに備わるさまざまな知覚に意識を向ける体験を行いました。用いたのは、「貝殻」です。

 

 

ツルツル・ざらざら・ギザギザ・まるまる…

触れることで、普段「見ている」だけでは気づけない多様な感触を実感することができました。

さらに、自分が知覚した感触を他者に言葉で伝えることで、自分と他者のコミュニケーションの中で新たな理解が生まれる過程を体験しました。

 

次に、2〜3年目のとびラーがファシリテータとなり、東京都美術館の敷地内に常設展示されている野外彫刻やレリーフをグループで鑑賞しました。

 

 

14期とびラーの皆さんには、自分の感じ方を大切にしながら作品を深く鑑賞する楽しさや、作品を媒介に他者と一緒に考える場の豊かさを体験していただけたのではないかと思います。

 

このような「とびらプロジェクトで大切にしている鑑賞体験」を生み出す場をデザインしていくために、これから約半年間の講座と実践に取り組んでいきましょう!

 

 

 

(とびらプロジェクト コーディネータ 越川さくら)

カレンダー

2026年5月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

アーカイブ

カテゴリー